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公開番号2024045037
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-02
出願番号2023147887
出願日2023-09-12
発明の名称GaAsインゴットの製造方法及びGaAsインゴット
出願人DOWAエレクトロニクス株式会社
代理人個人,個人
主分類C30B 29/42 20060101AFI20240326BHJP(結晶成長)
要約【課題】キャリア濃度が厳密に制御され、かつ低転位密度であるGaAsウエハを効率よく得られるGaAsインゴット製造方法及びGaAsインゴットを提供する。
【解決手段】種結晶、ドーパントであるSi原料、GaAs原料及び封止剤である酸化ホウ素をルツボ内に収容して縦型ボート法で結晶成長を行う、GaAsインゴットの製造方法において、前記GaAs原料は、Si濃度がGaAsに対して20~200wtppmであるSiドープGaAsであり、前記Si原料のチャージ量がGaAsに対して200~300wtppmであり、前記酸化ホウ素が、Si換算で5mol%超のSiO2を含み、前記Si原料、前記GaAs原料及び前記酸化ホウ素を加熱により溶融した後、液状の酸化ホウ素を攪拌しながら結晶成長を行う、GaAsインゴットの製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
種結晶、ドーパントであるSi原料、GaAs原料及び封止剤である酸化ホウ素をルツボ内に収容して縦型ボート法で結晶成長を行う、GaAsインゴットの製造方法において、
前記GaAs原料は、Si濃度がGaAsに対して20~200wtppmであるSiドープGaAsであり、
前記Si原料のチャージ量がGaAsに対して200~300wtppmであり、
前記酸化ホウ素が、Si換算で5mol%超のSiO

を含み、
前記Si原料、前記GaAs原料及び前記酸化ホウ素を加熱により溶融した後、液状の酸化ホウ素を攪拌しながら結晶成長を行う、GaAsインゴットの製造方法。
続きを表示(約 610 文字)【請求項2】
直胴部の直径が140mm以下のGaAsインゴットの製造方法であって、前記GaAs原料中のSiと前記Si原料とを合計した、シリコンチャージ合計量がGaAsに対して300wtppm超となる、あるいは、
直胴部の直径が140mm超のGaAsインゴットの製造方法であって、前記Si原料のチャージ量がGaAsに対して200~250wtppmであり、前記GaAs原料中のSiと前記Si原料とを合計した、シリコンチャージ合計量がGaAsに対して250wtppm超となる、請求項1に記載のGaAsインゴットの製造方法。
【請求項3】
直胴部の直径が140mm以下のGaAsインゴットであって、前記直胴部の70%以上から得られるウエハが、キャリア濃度が1.5×10
18
~2.9×10
18
cm
-3
であり、かつ、エッチピット密度の最大値が1200cm
-2
以下である、あるいは
直胴部の直径が140mm超のGaAsインゴットであって、前記直胴部の70%以上から得られるウエハが、キャリア濃度が1.5×10
18
~2.9×10
18
cm
-3
であり、かつ、エッチピット密度の最大値が1500cm
-2
以下である、GaAsインゴット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、GaAsインゴットの製造方法及びGaAsインゴットに関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
GaAs単結晶ウエハ(以下、GaAsウエハともいう。)を得るためのGaAs単結晶(以下、GaAsインゴットともいう。)の製造方法として、引き上げ(LEC)法、横型ボート(HB)法、縦型温度傾斜(VGF)法及び縦型ブリッジマン(VB)法が知られている。単結晶の種結晶を起点とし、これらの製造方法により結晶成長させた単結晶の直胴部を有する塊がインゴットであり、そのインゴットの直胴部からウエハが切り出される。同一のGaAsインゴットからは、複数のGaAsウエハが得られ、これら複数のウエハはウエハ群ともいわれる。
【0003】
ここで、縦型温度傾斜(VGF)法及び縦型ブリッジマン(VB)法といった縦型ボート法は、ルツボの底部に種結晶を配置し、その種結晶の上層に単結晶の原料融液と封止剤の液体を配置して、当該ルツボを所定の温度分布から冷却することにより、原料融液の下部から上方に向けて結晶を成長させる方法である。縦型温度傾斜法(VGF法)の場合、温度そのものを降温し、縦型ブリッジマン法(VB法)の場合、当該ルツボを所定の温度分布内で相対的に移動させる。SiドープGaAs単結晶インゴットを製造する場合には、GaAs融液中にSiを添加する。揮発成分であるAsがインゴットから解離するのを防ぐ目的などのため、通常、封止剤として酸化ホウ素(B



)が用いられる。結晶成長中、GaAs融液と液体B



との界面では、以下の反応式(1)による酸化還元反応が起きることが知られている。
3Si(Melt中)+2B



=3SiO

(B



中)+4B(Melt中)・・・(1)
【0004】
縦型ボート法は原料融液の下部から上方に向けて結晶を成長させるため、結晶に取り込まれなかった不純物は融液中に濃縮される。ここで、キャリア濃度を高めるべくGaAs融液中に添加するドーパントのSi(つまり、GaAs原料とともに投入するSi結晶)を多量にすると、上記反応式(1)の平衡が右辺側に進行し、GaAs融液中にホウ素(B)が多量に移動するため、結晶成長が進み不純物の濃縮が進むにつれて砒化ホウ素の発生も進行し、高い結晶性を得ることができなくなる。つまり、この製造方法で得られるGaAs単結晶においては、キャリア濃度と結晶性とがトレードオフの関係にある。
【0005】
特許文献1には、縦型ボート法において、GaAs融液と液体B



の界面に板状の
固体の二酸化ケイ素を配置して、高いキャリア濃度と高い結晶性を有するGaAs単結晶
を製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2012-246156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、半導体レーザーの中でも、VCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)をはじめとる面発光レーザーの活用が活発に進められ、光通信、光センシング等に応用されている。これらの用途では、素子基板としてシリコン(Si)ドープ型のn型GaAsウエハが用いられ、GaAsウエハには、キャリア濃度が厳密に制御され、かつ低転位密度であることが求められる。具体的には、キャリア濃度は1.5×10
18
cm
-3
以上2.9×10
18
cm
-3
以下の範囲とすることが望ましく、また、低転位密度であることについては、6インチ未満(例えば、4インチ以下)のウエハでは、エッチピット密度の最大値が1200cm
-2
以下、6インチ以上のウエハではエッチピット密度の最大値が1500cm
-2
以下とすることが望ましい。
【0008】
特許文献1に開示されるGaAsインゴットからは、これらのキャリア濃度とエッチピット密度の最大値の条件を満たすウエハが限定的な数量しか得られず、生産性の点から課題を残していた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
結晶成長においては、Siの偏析によって、結晶化が進むにつれてGaAs融液中のSi濃度が上昇し、インゴットのシード側からテイル側に向けてSi濃度と共にキャリア濃度も上昇するのが通常である。インゴットの直胴部のシード側において下限となるキャリア濃度を1.5×10
18
cm
-3
以上にしようとGaAs融液に添加するドーパントとしてのSi原料の量を増やすと、結晶成長の初期に多結晶化が発生してしまい単結晶のインゴットが得られない場合が生じるようになる。例えば、4インチ用のGaAsインゴットの製造において、Siを含まないGaAs原料を使用して、ドーパントとしてSi原料を300wtppmよりも多く入れると、多結晶が発生しやすくなる。そこで、本発明者は、上述の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、種結晶、ドーパントであるSi原料、GaAs原料及び封止剤である酸化ホウ素をルツボ内に収容して縦型ボート法で結晶成長を行うGaAsインゴットの製造方法において、ドーパントとしてSi原料を使用することに加え、原料であるGaAs原料に所定量のSiをドープさせるとともに、封止剤である酸化ホウ素に所定量のSiO

を含有させることで、結晶成長中のGaAs融液のSi濃度を制御することを通して、融液中の合計のSi量が、GaAs原料に所定量のSiをドープさせない場合には多結晶を発生させる場合がある量(例えば4インチ用で300wtppm)を超えていてもインゴットを多結晶化させることなく、インゴットの直胴部の大部分においてキャリア濃度及びエッチピット密度を所望の範囲内にすることができることを見出し、本発明を完成させた。以降、ドーパントとしてのSi原料のSi量に、GaAs原料中のSi量を足した量について、シリコンチャージ合計量と記載する。
【0010】
本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]種結晶、ドーパントであるSi原料、GaAs原料及び封止剤である酸化ホウ素をルツボ内に収容して縦型ボート法で結晶成長を行う、GaAsインゴットの製造方法において、
前記GaAs原料が、Si濃度がGaAsに対して20~200wtppmであるSiドープGaAsであり、
前記Si原料のチャージ量がGaAsに対して200~300wtppmであり、
前記酸化ホウ素が、Si換算で5mol%超のSiO

を含み、
前記Si原料、前記GaAs原料及び前記酸化ホウ素を加熱により溶融した後、液状の酸化ホウ素を攪拌しながら結晶成長を行う、GaAsインゴットの製造方法。
[2]直胴部の直径が140mm以下のGaAsインゴットの製造方法であって、前記GaAs原料中のSiと前記Si原料とを合計した、シリコンチャージ合計量がGaAsに対して300wtppm超となる、あるいは、
直胴部の直径が140mm超のGaAsインゴットの製造方法であって、前記Si原料のチャージ量がGaAsに対して200~250wtppmであり、前記GaAs原料中のSiと前記Si原料とを合計した、シリコンチャージ合計量がGaAsに対して250wtppm超となる、[1]に記載のGaAsインゴットの製造方法。
[3]直胴部の直径が140mm以下のGaAsインゴットであって、前記直胴部の70%以上から得られるウエハが、キャリア濃度が1.5×10
18
~2.9×10
18
cm
-3
であり、かつエッチピット密度の最大値が1200cm
-2
以下である、あるいは
直胴部の直径が140mm超のGaAsインゴットであって、前記直胴部の70%以上から得られるウエハが、キャリア濃度が1.5×10
18
~2.9×10
18
cm
-3
であり、かつエッチピット密度の最大値が1500cm
-2
以下である、GaAsインゴット。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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