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公開番号2024076238
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-05
出願番号2022187716
出願日2022-11-24
発明の名称コンクリートの電気化学的脱塩処理方法
出願人デンカ株式会社,株式会社デンカリノテック,中日本高速道路株式会社,オリエンタル白石株式会社,国立大学法人徳島大学
代理人個人,個人,個人
主分類C04B 41/72 20060101AFI20240529BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】鋼材の配筋量と塩化物イオン量が部位によって異なるコンクリート構造体であっても、均一に脱塩を行うことができ、過剰な電流が流れず、水素脆化や水素ガス圧の上昇によるひび割れの問題、及びASRによるひび割れの問題を生じない、橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法を提供する。
【解決手段】コンクリートの電気化学的脱塩処理方法は、鋼材を内部に有する橋梁コンクリート構造物において、コンクリートの内部の鋼材を内部電極とし、各部位のコンクリートの表面に外部電極を設け、内部電極と外部電極との間に電流を流す方法であり、前記橋梁コンクリート構造物が、(A)間詰め部、(B)主桁上フランジ部及びウェーブ部及び(C)主桁下フランジ部を有する橋梁構造物であり、各部位ごとに鉄筋(鋼材)の表面積当たりの電流密度が0超~5A/m2となるように、コンクリートの表面積当たりの電流密度をそれぞれ別個に制御する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
鋼材を内部に有する橋梁コンクリート構造物において、該橋梁コンクリート構造物を複数の部位に分け、各部位において、コンクリートの内部の鋼材を内部電極とし、各部位のコンクリートの表面に外部電極を設け、陰極としての内部電極と陽極としての外部電極との間に電流を流すコンクリートの電気化学的脱塩処理方法であって、前記橋梁コンクリート構造物が、(A)間詰め部、(B)主桁上フランジ部及びウェーブ部及び(C)主桁下フランジ部を有する橋梁構造物であり、前記(A)部~(C)部の各部位ごとに鉄筋(鋼材)の表面積当たりの電流密度が0超~5A/m

となるように、コンクリートの表面積当たりの電流密度をそれぞれ別個に制御することを特徴とする橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
前記電流の電圧が5~40Vである請求項1に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【請求項3】
前記電流が直流電流であり、該直流電流を発生させる電源を各部位ごとにそれぞれ有する請求項1又は2に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【請求項4】
前記外部電極が陽極材、電解質溶液及び電解質溶液保持材を有する請求項1に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【請求項5】
前記電流の通電期間が、1週間~半年である請求項1に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【請求項6】
前記電解質溶液の供給用配管と供給装置を有する請求項4に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【請求項7】
前記電解質溶液が循環使用される請求項6に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【請求項8】
前記電解質溶液中の塩化物イオン濃度及びpHをモニタリングする請求項4に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの電気化学的脱塩処理方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、道路、鉄道などの土木建設構造物、具体的には橋梁の下部工、橋梁の橋桁、トンネルなどの地下構造物又は半地下構造物、カルバートなどの構築には、一般的に鉄筋コンクリートが使用されている。この鉄筋コンクリートは、高い圧縮強度性能を持つコンクリートと、高い引張強度性能を持つ鉄筋とを組み合わせることにより、圧縮強度と引張強度とを併せ持つ複合構造体を作ることが可能であり、構造物の材料として多く使用されている。なお、この鉄筋コンクリートを用いた構造物には、所謂PC(プレストレストコンクリート)構造物と呼ばれ、更にPC鋼材(PC鋼線、PC鋼棒、PC鋼より線など)をコンクリート内に配置したコンクリート構造物も多く存在する。
【0003】
ところで、コンクリートの鉄筋やPC鋼材などの鋼材周辺に多量の塩化物イオンが存在すると、いわゆる塩害が発生する。「塩害」とは、沿岸部にあるコンクリート構造物の場合、海水の飛沫がコンクリート表面に付着し、その塩化物イオンがコンクリートの吸着現象や濃度勾配によりコンクリート中に浸透して鉄筋まで到達すると、塩化物イオンにより鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まる劣化現象である。さらに、過去のコンクリート構造物では、細骨材として海砂が使用されることもあり、その際、管理の不十分さから塩化物イオンの除去が十分に行われないまま使用されたため、多量の塩化物イオンがコンクリート中に存在することになり、その結果、鉄筋の不動態皮膜が破壊され腐食が始まるケースもある。なお、道路の管理で用いられる塩化物系の凍結防止剤によっても「塩害」は発生する。
上記のような鉄筋コンクリートの劣化現象が進行すると、複合構造物としての耐久性が大きく低下することになる。
【0004】
劣化した鉄筋コンクリートの補修方法として、破壊を伴うことなく電気化学的な方法により補修を行う方法が提案され、実施されてきた。
例えば、特許文献1では、板状体の一方面側に外部電極を配設するとともに、外部電極配設領域の全面を繊維質シートからなる電解質溶液保持材で被覆した電極用ユニットパネルを多数用意し、処理対象のコンクリート面に対して、電極用ユニットパネルを並べて配設するとともに、隣接する電極用ユニットパネル間の目地部及び外周部において液密性を確保した状態とし、任意箇所に電解質溶液供給口を設置するとともに、電解質溶液回収口を設置し、継続的又は断続的に、電解質溶液供給口から電解質溶液を電極用ユニットパネルとコンクリート表面との間に供給するとともに、電解質溶液回収口から電解質溶液を回収する、鉄筋コンクリートの電気化学的脱塩処理方法が提案されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2では、コンクリート内部の鋼材を内部電極とし、コンクリートの表面に溶液を保持する溶液保持部材を介して設置した電極を外部電極とし、内部電極と外部電極との間に電流を流すコンクリートの電気化学的脱塩処理方法において、前記溶液保持部材に、水密性及び溶液に対して化学的耐性を有するシートを採用し、コンクリートの表面に前記シートを被着し、コンクリートの表面と前記シートとの間を空気の吸引により負圧にして密着させ、その隙間に溶液を連続的又は断続的に流す、ことを特徴とする、コンクリートの電気化学的脱塩処理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6586000号公報
特開2015-227578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2に開示される方法など、電気化学的な方法により補修を行うことで、コンクリート構造物の脱塩を、非破壊でかつ効率的に行うことができる。
しかしながら、例えば、橋梁部などのコンクリート構造物では、荷重に応じて、鉄筋の配筋量が異なる部位が存在するため、同じ電流を流した場合に、鉄筋(鋼材)が密に存在する所は脱塩素イオン(以下「脱塩」と記載する。)が進み、一方、鉄筋(鋼材)が疎の部分については、脱塩の進みが遅いという問題があった。すなわち、鉄筋(鋼材)が疎の部分においては、鉄筋と鉄筋の間のコンクリートに電流が流れにくくなりその部分の脱塩効率が悪くなるという問題があった。
一方、電気化学的な方法においては、コンクリート中に含まれるナトリウム等のアルカリ金属イオンがコンクリート中の陰極に引き寄せられて、陰極である鉄筋(鋼材)周辺に集積され、アルカリ骨材反応(以下「ASR」と記載する。)が開始されることがある。
鉄筋(鋼材)が疎の部分では、鉄筋表面積当たりの電流量は多くなるため、鉄筋(鋼材)近傍にアルカリイオンが集積するとともに、OHイオンが生成し、高アルカリ環境を形成する。そのため、ASRが促進されることが懸念されるという問題があった。
【0008】
また、構造物にはその形態により塩化物イオンの浸透しやすい箇所と浸透しにくい箇所が存在するが、従来の脱塩工法では塩化物イオンの多い箇所も少ない箇所も同一のコンクリート面積当りの電流密度で通電を行っていたので、塩化物イオンの少ない箇所では必要以上に電流を流しているという問題があった。
さらに、脱塩の遅い部分での脱塩を十分に行う量の電流を流すと、脱塩の進みが早い部分に関しては、過剰の電流が流れるため、水素脆化や水素ガス圧の上昇によるひび割れ、アルカリ金属イオンの集積が顕著になり、ASRが一層進む懸念があった。
そこで、本発明は鉄筋(鋼材)の配筋量及び塩化物イオン量が部位によって異なるコンクリート構造体であっても、鉄筋量と塩化物イオン量に応じた電流密度の管理を行うことを可能とし、均一に脱塩を行うことができ、過剰な電流が流れず、水素脆化や水素ガス圧の上昇によるひび割れの問題、およびASRによるひび割れの問題を生じない、橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために鋭意検討したところ、鉄筋(鋼材)の配筋量に応じて、複数か所の独立した電源回路を形成することで、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、以上の知見に基づき完成したものである。本発明は下記のとおりである。
【0010】
[1]鋼材を内部に有する橋梁コンクリート構造物において、該橋梁コンクリート構造物を複数の部位に分け、各部位において、コンクリートの内部の鋼材を内部電極とし、各部位のコンクリートの表面に外部電極を設け、陰極としての内部電極と陽極としての外部電極との間に電流を流すコンクリートの電気化学的脱塩処理方法であって、前記橋梁コンクリート構造物が、(A)間詰め部、(B)主桁上フランジ部及びウェーブ部及び(C)主桁下フランジ部を有する橋梁構造物であり、前記(A)部~(C)部の各部位ごとに鉄筋(鋼材)の表面積当たりの電流密度が0超~5A/m

となるように、コンクリートの表面積当たりの電流密度をそれぞれ別個に制御することを特徴とする橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[2]前記電流の電圧が5~40Vである上記[1]に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[3]前記電流が直流電流であり、該直流電流を発生させる電源を各部位ごとにそれぞれ有する上記[1]又は[2]に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[4]前記外部電極が陽極材、電解質溶液及び電解質溶液保持材を有する上記[1]~[3]のいずれかに記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[5]前記電流の通電期間が、1週間~半年である上記[1]~[4]のいずれかに記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[6]前記電解質溶液の供給用配管と供給装置を有する[4]又は[5]に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[7]前記電解質溶液が循環使用される上記[6]に記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
[8]前記電解質溶液中の塩化物イオン濃度及びpHをモニタリングする上記[4]~[7]のいずれかに記載の橋梁構造物におけるコンクリートの電気化学的脱塩処理方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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