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公開番号2024052470
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2023002014
出願日2023-01-10
発明の名称水の浄化装置、及び水の浄化方法
出願人個人,個人,個人,個人
代理人個人
主分類C02F 1/58 20230101AFI20240404BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】水の中の有機物を除去する技術を、凝集した有機物が水に浮くように改良する。
【解決手段】浄化装置1は、流入管21と流出管22とを有するケース10を備える。ケース10の中には、金属マグネシウムでできたマグネシウム片51と、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きな金属でできた研磨片52とがそれぞれ多数収納されている。浄化装置1を水に沈めることで流入管21からケース10に水が入ってくると、マグネシウム片51と研磨片52とが動き回って互いに衝突し、金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンが生じる。金属マグネシウム粉とマグネシウムイオンは水とともに、流出管22を介してケース10外に流出する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、
前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、
前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の研磨片と、
を含んでなる水の浄化装置であって、
前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、
前記マグネシウム片と前記研磨片とは、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより互いに衝突し合うようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている、
水の浄化装置。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、
前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、
前記ケース内に設けられた、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起を有する研磨面と、
を含んでなる水の浄化装置であって、
前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、
前記マグネシウム片は、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより前記研磨面に衝突するようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている、
水の浄化装置。
【請求項3】
前記研磨片は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項1記載の水の浄化装置。
【請求項4】
前記突起は、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項2記載の水の浄化装置。
【請求項5】
前記ケースの内面の少なくとも一部が、前記金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項6】
前記流入口には前記ケースの内部と連通する前記ケースから突出する管である流入管が接続されており、前記流出口には前記ケースの内部と連通する前記ケースから突出する管である流出管が接続されている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項7】
前記流入口と前記流出口には、所定の大きさ以下の前記金属マグネシウム粉のみを通過させる大きさの目開きを有する濾材が設けられており、前記濾材を通過した前記金属マグネシウム粉のみが前記ケースの外側に流出するようになっている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
【請求項8】
前記流入管と前記流出管の所定の位置には、所定の大きさ以下の前記金属マグネシウム粉のみを通過させる大きさの目開きを有する濾材が設けられており、前記濾材を通過した前記金属マグネシウム粉のみが前記ケースの外側に流出するようになっている、
請求項6記載の水の浄化装置。
【請求項9】
前記研磨面は、前記ケースの内面である、
請求項2又は4記載の水の浄化装置。
【請求項10】
前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水に、前記ケース内で渦を作らせる形状の板である渦生成板が前記ケース内に設けられている、
請求項1又は2記載の水の浄化装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本願発明は、海水、淡水の別を問わず水の中の有機物(有機汚濁物質と、赤潮、アオコ等の発生の原因となるプランクトンを含む)を除去することにより、水の浄化を行うための技術に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
少なくとも日本では一時に比べれば多少状況は好転しているが、海水、淡水を問わず有機物による水の汚濁が問題となることがままある。
燐、窒素、硫黄或いはそれらを含む物質である有機汚濁物質が水の中で増えるとそれ自体が水を汚濁させるし、また有機汚濁物質を食料とするプランクトンが増えることにより水の汚濁は益々進むことがよく知られている。
有機物による汚染が進むと海では赤潮や青潮等が、湖沼、河川ではアオコ等が発生し、悪臭が生じたり、漁業被害が生じたりする。
【0003】
そのような被害を防ぐために、水の中の有機物を除去する技術が提案されている。
その中の1つとして、水酸化マグネシウム(Mg(OH)

)又は酸化マグネシウム(MgO)を主成分とした水質改良材が知られている。この水質改良材は、宇部マテリアルズ株式会社により「クリアウォーター(商標)」という製品名で販売され、既に多くの使用実績が存在する。この水質改良材は、有機物の除去の対象となる水に固体のまま散布するか、或いは水に溶かしてスラリー状にしてから散布することにより用いられる。
水質改良材中の酸化マグネシウムは、水の中で以下の反応を起こして結果としてMg(OH)

となる。
MgO+H

O→Mg(OH)

したがって、水質改良材の主成分が水酸化マグネシウムであるか酸化マグネシウムであるかによらず、有機物を除去する対象となる水には水酸化マグネシウムが撒かれた状態となる。
ここで、水酸化マグネシウムが水中に散布されると、有機物は水酸化マグネシウムによって凝集され、固体或いは半個体の塊(例えばヘドロ状の塊)の状態となって水中で沈降する。それにより、水中に散在していた有機物は海底等の底に溜まることになるから、有機物を含んでいた水の水質が改善され、例えばその透明度が増す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の水質改良材は既に述べたように実用化されており、一定の効果を上げている。
しかしながら、水酸化マグネシウムの効果によって凝集して海底等に沈んだ有機物の塊は、海底等に堆積する。水酸化マグネシウムによって海底等の付近がアルカリ性に保たれることによって硫酸還元菌の活動が抑制されるため、海底等に沈んだ有機物から悪臭が生じることは抑制されるものの、有機物の分解には長時間かかるし、悪臭の発生も完全に抑制されるというわけではない。
また、そのような課題を解決するために海底等に堆積した有機物の塊を浚おうとすると、手間、コストが過大となる。
【0005】
上述のような課題が生じる理由は、水酸化マグネシウムの効果によって凝集した有機物が水の中で沈降することに起因する。逆にいえば、そのような有機物が水に浮くのであれば上述のような課題は生じにくい。
しかしながら水酸化マグネシウムによって凝集した有機物が水に沈むというのは従来の常識であり、凝集した有機物を水に浮かせるような技術は存在していない。
【0006】
本願発明は、海水、淡水の別を問わず水の中の有機物を除去する技術を、凝集した有機物が水に浮くように改良することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための本願発明は以下のようなものである。
本願発明は2つの発明に大別される。便宜上それらを第1発明、第2発明と称する。第1発明と第2発明とは、組合せて用いることができる。つまり、後述する研磨片と、研磨面及び突起とは、共存させることが可能である。
【0008】
第1発明は、有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の研磨片と、を含んでなる水の浄化装置である。
前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、前記マグネシウム片と前記研磨片とは、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより互いに衝突し合うようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている。
【0009】
この水の浄化装置は、ケース内にマグネシウム片と、研磨片とを収納して構成される。マグネシウム片は金属マグネシウムでできている。研磨片は、マグネシウム片と衝突した場合にマグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じるようなものであればその素材は問わない。研磨片は、例えば、金属、軽石その他の石、珪藻土等によりできている。金属でできている場合の研磨片は、金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできていてもよい。金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属の例として、鉄、銅、ステンレスを挙げることができる。ステンレスが含まれていることから理解できるように、本願でいう「金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属」は合金でも良い。研磨片を金属マグネシウムよりも電気陰性度が大きい金属でできているものとすると、後述するような利点が生じる。
有機物を除去する対象の水は、海水でも淡水でもよい。本願発明におけるケース或いは水の浄化装置(以降、「水の浄化装置」を単に「浄化装置」という場合がある。)は、有機物を除去する対象となる水に水没した状態で用いられる。例えば、浄化装置は、海、湖沼等に沈めて用いられる。浄化装置は、海底、湖底等に単純に沈めて用いられても良いし、船により海中、湖中で牽引されながら用いられても良い。
ケースには、流入口と流出口があり、流入口から有機物を除去する対象となる水がケース内に導かれ、流出口からケース内に導かれた水がケース外に導かれるようになっている。第2発明の場合もそうであるが、それが可能であればケースの形状は不問である。例えば、前記ケースは円筒形状であり、軸方向の一端側に前記流入口が、他端側に前記流出口がそれぞれ設けられていてもよい。
ケース内には、水の流れが生じる。その水の流れにより、ケース内においてマグネシウム片と研磨片とは動くことになり(水の流れの状態如何によっては、乱舞するように動き回り)、互いに衝突し、それによりマグネシウム片から、細かな金属マグネシウム粉が生じることになる。したがって、流出口からケース外に導かれる水には、金属マグネシウム粉が含まれることになる。しかも、本願発明の浄化装置による金属マグネシウム粉の水中への散布は、長期間にわたって少しずつ行うことができる。
ここで、散布された金属マグネシウム粉は水中で以下の反応を起こす。
Mg+2H

O→Mg(OH)

+H

このようにして生じた水酸化マグネシウム(Mg(OH)

)は、背景技術の欄で述べたように、有機物を凝集させ、固体或いは半個体の塊(例えば、ヘドロ状の塊)の状態とする。この塊はそのままでは水の中を沈降する。ここで、大きな役割を果たすのが、金属マグネシウムが水と反応して水酸化マグネシウムを生じるときに生じる気体である水素(H

)である。気体である水素は、水の中で生じた上述の塊に泡となって付着して有機物の塊に浮力を与える。それにより、本願発明の浄化装置を用いて金属マグネシウム粉を水の中に散布すると、それによって生じた有機物の塊は水の中で沈降することなく、水に浮く。水に浮いた有機物の塊は、例えば船舶を用いて速やかに回収することもできるし、或いは陸地に打ち上げられたのであれば陸から回収することも可能となる。しかも気体の水素は、水への溶解度が低く、また、水との反応性が低いため、有機物の塊に泡の状態で付着した水素は長期間残存する。したがって、有機物の塊は長期間水に浮いた状態となるので、その処理が容易である。
本願発明の浄化装置では、金属マグネシウム粉を発生させるためのエネルギーとして、ケース内に導かれた水の運動エネルギーを用いる。したがって、例えば、マグネシウム片と研磨片とをバネによって押圧させるような場合と異なり、マグネシウム片の摩耗によってバネの弾性力が変化することに基づく金属マグネシウム粉の大きさのばらつきが生じることもない。
【0010】
第2発明は、以下のようなものである。
第2発明は、有機物を除去する対象の水に水没させられるケースと、前記ケースの内部に収納された金属マグネシウムでできている多数のマグネシウム片と、前記ケース内に設けられた、前記マグネシウム片と衝突した場合に前記マグネシウム片から金属マグネシウム粉を生じる研磨材として機能する多数の突起を有する研磨面と、を含んでなる水の浄化装置である。
そして、この浄化装置における前記ケースには、前記水を前記ケースの内部に導く開口である流入口と、前記ケース内部に導かれた前記水を前記ケースの外部に導く開口である流出口とが設けられているとともに、前記マグネシウム片は、前記流入口から前記ケースの内部に導かれた前記水の流れによって動くことにより前記研磨面に衝突するようになっており、前記流出口から前記ケースの外部に導かれる水には、前記マグネシウム片から生じた前記金属マグネシウム粉が含まれるようになっている。
(【0011】以降は省略されています)

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