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公開番号2024052441
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2022159156
出願日2022-09-30
発明の名称抗ウイルス繊維および抗ウイルス生地
出願人KBセーレン株式会社
代理人
主分類D01F 1/10 20060101AFI20240404BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】 洗濯耐久性が高く、ヨウ素などの有害な化合物の発生がない、抗ウイルス繊維を提供する。
【解決手段】 銀を担持したリン酸ジルコニウムを主成分とする化合物を含む抗ウイルス繊維であり、前記化合物は銀含有量が4質量%以上、13質量%以下であり、繊維中の前記化合物の含有量が2.5質量%以上、15質量%未満含む抗ウイルス繊維である。繊維中の銀含有量が0.20質量%以上、1.50質量%未満であることが好ましい。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
銀を担持したリン酸ジルコニウムを主成分とする化合物を含む抗ウイルス繊維であり、前記化合物は銀含有量が4質量%以上、13質量%以下であり、繊維中の前記化合物の含有量が2.5質量%以上、15質量%未満含む抗ウイルス繊維。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
繊維中の銀含有量が0.20質量%以上、1.50質量%未満である請求項1記載の抗ウイルス繊維。
【請求項3】
破断強度が3cN/dtex以上、破断伸度が30%以上である請求項1または2記載の抗ウイルス繊維。
【請求項4】
ネコカリシウイルスの抗ウイルス活性値が3.0以上である請求項1または2記載の抗ウイルス繊維。
【請求項5】
30質量%以上、100質量%以下の割合で請求項1または2記載の繊維を含む抗ウイルス生地。
【請求項6】
ネコカリシウイルスの抗ウイルス活性値が3.0以上である請求項5記載の抗ウイルス生地。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はウイルスを不活化する繊維および生地に関し、特にエンベロープの無いウイルスに対して抗ウイルス効果の高い繊維および生地に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)やノロウイルス、鳥インフルエンザなどウイルス感染による死者が報告されている。さらに現在、新型コロナウイルスのSARS-CoV-2によるパンデミック(感染爆発)が発生しており、ウイルスの突然変異によって収束がみられていない。新型コロナウイルスに対する緊急対策も必要であるが、新たなウイルスの突然変異によって別のパンデミックが発生する可能性も大いに考えられる。
ウイルスによる感染性胃腸炎は一年を通じて発生が確認され、罹患者数・死亡者数の多さから世界的社会問題となっている。感染性胃腸炎を起こす原因ウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、アデノウイルス等がある。特にノロウイルスは、ウイルス粒子が10~100個という少量で感染が成立するという非常に高い感染力に加え、高い残留性により感染が拡大するという特徴がある。
【0003】
ノロウイルスの主な感染経路は、ウイルスが蓄積したカキ等の二枚貝を食することによる経口感染や、家庭や公共施設において、感染者の糞便・汚物から人の手指や調理器具、食器等を伝播した経口感染である。
【0004】
ノロウイルスは環境耐性が高いことが知られ、長期にわたり生残する。そのため、感染の拡大を予防するためには確実にウイルスを不活化させることが必要である。通常、ノロウイルスの不活化には、加熱・次亜塩素酸消毒が行われている(米国疾病管理予防センター ノロウイルス対策ガイドライン)。また、食品製造現場では、ノロウイルスを含む非エンベロープウイルス対策製品としてエタノール製剤が用いられている。しかし、既存の消毒方法は、薬剤特性から使用において制限が生じ、エタノール製剤はノロウイルスの不活化効果の点で充分であるとは云えず、これらに代わる有効なノロウイルス対策技術が求められている。
【0005】
これらの問題を解決する手段として、ウイルスによる感染や、感染者からの感染による被害の拡大を防ぐために、抗ウイルス効果のある繊維製品の開発が進められている。たとえば、特許文献1では、マレイン酸成分を含む、金属イオンが担持した共重合高分子を抗ウイルスの有効成分として繊維に含有させたビスコースレーヨン繊維、特許文献2では、抗ウイルス性能を有するアミノ基含有有機化合物で処理したアクリル系繊維が提案されている。特許文献3では、ヨウ化銅を抗ウイルスの有効成分として含む繊維が提案されており、特許文献4では、H型カルボキシル基含有架橋アクリレート系繊維を含有する繊維構造物の表面にH型カルボキシル基含有粒子が付着されている抗ウイルス性繊維構造体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第4584339号公報
特許第5088581号公報
特許第6063666号公報
特開2019-173202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は具体的には酢酸ビニル―無水マレイン酸共重合体が混合されたビスコースレーヨン繊維が記載されている。抗ウイルス成分であるマレイン酸成分を含む共重合高分子は水分を保持できるセルロースなどの素材に担持していることが好ましく、セルロース繊維には適用できるが、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂に練り込んで溶融紡糸をすると抗ウイルス成分に含まれる水分で樹脂が劣化して紡糸が困難であるため、この抗ウイルス成分をポリエステル樹脂やポリアミド樹脂に用いることができない。
また、特許文献2に記載の抗ウイルス成分はアクリル系繊維に対しアミノ基含有有機化合物を反応させることにより得られるものであるため、ポリエステル樹脂やポリアミド樹脂に直接抗ウイルス成分を練り込んだ繊維とすることはできない。
また、特許文献3のヨウ化銅のウイルス不活性化効果は、銅および遊離したヨウ素による作用であり、遊離したヨウ素が昇華して拡散されるため、実用性や安全性に問題がある。
また、特許文献4には抗ウイルス成分であるH型カルボキシル基を有する重合体からなる粒子を、浸漬方法により繊維構造物の表面へ付着させるが、この方法では洗濯耐久性が低いことが問題であった。
【0008】
したがって、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、洗濯耐久性が高く、ヨウ素などの有害な化合物の発生がない、抗ウイルス繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、様々な抗ウイルス成分をポリエステル樹脂に練り込んで繊維化した結果、リン酸銀ジルコニウム化合物を含有する繊維の抗ウイルス効果が高く、ノロウイルス等のエンベロープを持たないウイルスに対して特に有効であることを見出した。
すなわち、本発明は、第1に、銀を担持したリン酸ジルコニウムを主成分とする化合物を含む抗ウイルス繊維であり、前記化合物は銀含有量が4質量%以上、13質量%以下であり、繊維中の前記化合物の含有量が2.5質量%以上、15質量%未満含む抗ウイルス繊維である。
本発明は、第2に、繊維中の銀含有量が0.20質量%以上、1.50質量%未満である第1の抗ウイルス繊維である。
本発明は、第3に、破断強度が3cN/dtex以上、破断伸度が30%以上である第1または第2の抗ウイルス繊維である。
本発明は、第4に、筒編地としたときのネコカリシウイルスの抗ウイルス活性値が3.0以上である第1~第3いずれかの抗ウイルス繊維である。
本発明は、第5に、30質量%以上100質量%以下の割合で第1~第4の繊維を含む抗ウイルス生地である。
本発明は、第6に、30質量%以上100質量%以下の割合で第1~第4の繊維を使用し、ネコカリシウイルスの抗ウイルス活性値が3.0以上である抗ウイルス生地である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の抗ウイルス繊維は、工業的に容易にかつ安価に製造することが出来、ノロウイルス等のエンベロープを持たないウイルスに対して高い抗ウイルス性能を発揮する。洗濯耐久性が高く、他素材と混合した生地でも抗ウイルス性を発揮し、意匠性の高い抗ウイルス生地の提供が可能となる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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