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公開番号2024063103
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-10
出願番号2024028795,2021512076
出願日2024-02-28,2020-03-27
発明の名称複合繊維、その製造方法、熱接着不織布、吸収性物品用表面シート、および吸収性物品
出願人大和紡績株式会社
代理人弁理士法人池内アンドパートナーズ
主分類D01F 8/06 20060101AFI20240501BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】カード通過性が良好であり、滑らかな触感を有するとともに、接着強度が高い熱接着不織布を得ることができる複合繊維、その製造方法、それを含む熱接着不織布、吸収性物品用表面シート、および吸収性物品を提供する。
【解決手段】芯成分と鞘成分が実質的に同心円状に配置され、芯成分/鞘成分の体積比が30/70~70/30であり、単繊維繊度が0.6dtex以上2.0dtex未満であり、芯成分はポリエステル樹脂を60質量%以上含み、鞘成分は高密度ポリエチレンを60質量%以上含み、高密度ポリエチレンのメルトマスフローレイトが13g/10分より大きく45g/10分以下であり、鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンの[110]面について測定した結晶子サイズが20.0~50.0nmであり、示差走査熱量分析で測定した高密度ポリエチレンの融解熱量(ΔHPE-HD)が145.0mJ/mg以上である複合繊維を提供する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
芯成分と鞘成分を含む複合繊維であり、
前記芯成分と前記鞘成分が実質的に同心円状に配置され、前記芯成分と前記鞘成分の複合比が、芯成分と鞘成分の体積比(芯成分/鞘成分)で30/70~70/30であり、
単繊維繊度が0.6dtex以上2.0dtex未満であり、
前記芯成分はポリエステル樹脂を60質量%以上含み、
前記鞘成分は高密度ポリエチレンを60質量%以上含み、
前記高密度ポリエチレンのメルトマスフローレイト(MFR:測定温度190℃、荷重2.16kgf(21.18N))が13g/10分より大きく45g/10分以下であり、
前記鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンの[110]面について測定した結晶子サイズが20.0nm以上50.0nm以下であり、
示差走査熱量分析(DSC)で測定した前記高密度ポリエチレンの融解熱量(ΔH
PE-HD
)が145.0mJ/mg以上であることを特徴とする、複合繊維。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記複合繊維の単繊維強度が1.5cN/dtex以上5.0cN/dtex以下であり、
前記複合繊維の破断伸度が20%以上150%以下であり、
前記複合繊維の単繊維強度と破断伸度の比(単繊維強度[cN/dtex]/破断伸度[%])が0.04より大きく0.12以下である、請求項1に記載の複合繊維。
【請求項3】
前記複合繊維の単繊維強度と破断伸度の正の平方根との積で表されるタフネス(タフネス=単繊維強度[cN/dtex]×√破断伸度[%])が12.0以上20.0以下である、請求項1または2に記載の複合繊維。
【請求項4】
前記鞘成分に含まれる高密度ポリエチレンの[200]面について測定した結晶子サイズが16.7nmより大きく30.0nm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の複合繊維。
【請求項5】
繊維長が25mm以上50mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の複合繊維。
【請求項6】
前記複合繊維の質量を100質量%としたとき、無機フィラーを0.5質量%以上10質量%以下含有する、請求項1~5のいずれかに記載の複合繊維。
【請求項7】
ポリエステル樹脂を60質量%以上含む芯成分を、紡糸温度280℃以上380℃以下の温度で押し出す工程、
メルトマスフローレイト(MFR:測定温度190℃、荷重2.16kgf(21.18N))が13g/10分より大きく45g/10分以下である高密度ポリエチレンを60質量%以上含む鞘成分を、紡糸温度250℃以上350℃以下の温度で押し出す工程、
前記芯成分と前記鞘成分を、芯成分と鞘成分の体積比(芯成分/鞘成分)で30/70~70/30となるように、繊維断面において複合繊維の表面を鞘成分が覆い、芯成分と鞘成分が実質的に同心円状に配置されている複合型ノズルに供給する工程、
押し出された前記芯成分および前記鞘成分からなる溶融状態の未延伸繊維をドラフト比が600以上1500以下となるよう引き取りながら冷却し、前記芯成分および前記鞘成分が凝固した、単繊維繊度が1.8dtex以上4.5dtex以下の未延伸繊維トウを得る工程、
前記未延伸繊維トウを70℃以上120℃以下の温度にて1.6倍以上3.6倍以下に延伸し、単繊維繊度が0.6dtex以上2.0dtex未満の延伸繊維トウを得る工程、
前記延伸繊維トウに、繊維処理剤を付与する工程、
繊維処理剤を付与した延伸繊維トウに対し、水蒸気を媒体として延伸繊維トウの表面を60℃以上に加熱する工程、
表面の温度が60℃以上となっている前記延伸繊維トウに捲縮を付与する工程、
捲縮が付与された延伸繊維トウを乾燥させる工程、
を含む、複合繊維の製造方法。
【請求項8】
前記延伸繊維トウを得る工程が、70℃以上100℃以下の温水を用いた湿式延伸である、請求項7に記載の複合繊維の製造方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の複合繊維を25質量%以上含み、少なくとも一部の前記複合繊維が鞘成分によって接着している、熱接着不織布。
【請求項10】
KES法に基づいて測定した平均摩擦係数の変動(MMD)が0.01以下である、請求項9に記載の熱接着不織布。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複合繊維、その製造方法、ならびにそれを含む熱接着不織布、吸収性物品用表面シート、および吸収性物品に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
融点の異なる2種類の熱可塑性樹脂を使用した複合繊維には様々な種類の繊維が存在する。複合繊維の中でも、2種類の熱可塑性樹脂のうち、融点がより低い熱可塑性樹脂を繊維の外側に配置し(この樹脂成分は鞘成分と称される。)、もう一方の、融点がより高い熱可塑性樹脂を繊維の内側に配置した(この樹脂成分は芯成分と称される。)芯鞘型複合繊維は、熱風処理機や加熱した金属ロールを使用して繊維の外側に配置された熱可塑性樹脂を溶融することで、他の繊維と容易に接着させることができる繊維として知られている。このような芯鞘型複合繊維を含む繊維ウェブは、上記鞘成分を溶融させることで他の繊維と容易に接着する。このようにして得られる熱接着不織布は、嵩高性や柔軟性に優れた不織布になるため、生理用ナプキンや紙オムツなどの吸収性物品における表面シートや、吸収性物品の外側部分を構成するバックシートに使用されているだけでなく、各種対人ワイピングシート、各種対物ワイピングシート、医療用品、化粧品、各種吸収材(例えば漏出した油を吸収する油吸収材がある。)、液体ろ過フィルターやエアフィルターのろ過材といった各種フィルター材料など、幅広い用途で使用されている。
【0003】
熱接着不織布の用途のうち、吸収性物品の表面シートやバックシート、化粧料含浸皮膚被覆シートなど、熱接着不織布が使用時に人の肌に直接触れる用途では、熱接着不織布がより柔らかく、より滑らかな触感を有することが求められている。そのため熱接着不織布に使用する複合繊維は単繊維繊度をより小さくすることが求められている。
【0004】
熱接着不織布を製造する際、複合繊維を含む繊維ウェブを製造する方法は種々存在するが、嵩高で柔らかい熱接着不織布を得るためには乾式法、より具体的にはカード法にて複合繊維を含む繊維ウェブを製造し、得られた繊維ウェブを熱処理することで繊維ウェブに含まれる複合繊維の鞘成分を溶融し繊維同士を接着させる方法が一般的である。しかし、カード法で繊維ウェブを製造する場合、繊維の直径(繊維の単繊維繊度)が小さくなるほど当該繊維のカード通過性が低下し、不織布の生産性が低下しやすくなる。その原因としては、カード機を通過させる繊維が、より単繊維繊度(直径)の小さい繊維になることで繊維の弾性(コシ)が小さくなり、カード機にて繊維ウェブにする際、カード機内部で繊維同士が絡まり、ネップと呼ばれる粒状の繊維塊が発生しやすくなることが挙げられる。
【0005】
また、カード機にて繊維ウェブを作製する繊維には、カード機内部での通過性を高め、繊維ウェブが容易に形成されるようにするため、通常鋸歯状の捲縮形状が付与されている。複合繊維は、所望の捲縮数を付与して製造されるが、これらの繊維は強く圧縮された状態で梱包されて出荷されるため、長時間圧縮された状態となる。加えて、出荷された複合繊維を使用する際、圧縮された複合繊維の塊から、繊維を少しずつ掻き取り、繊維をカード機に投入して繊維ウェブとするが、これらの工程でも繊維に対して強い力が働く。そのため繊維を製造する際、所望の捲縮数の捲縮が付与されていても、圧縮状態での長期間の保管、および不織布製造時の開繊工程で加えられる力によって、捲縮の形状が崩れることがある。捲縮の形状が崩れた繊維は、カード機内部でシリンダーロールによって引き揃えられず、他の繊維とも絡みにくいことから、カード機内部でカードワイヤーに絡まずに舞い上がってしまう、いわゆる"フライ"の状態になり、不織布の生産性が低下する。繊維の単繊維繊度が小さくなる、すなわち繊維の直径が小さくなると圧縮状態が長期間続くこと、あるいはカード機に投入される前の開繊工程や混綿工程において強い力が繊維に対して加えられることで捲縮の形状が崩れやすく、この点からもカード通過性の改良が求められている。
【0006】
加えて、吸収性物品といった衛生材料や医療用品に使用する熱接着不織布は、使用者に対し清潔感を与えるため、通常見た目が白いことが求められる。また、吸収性物品に使用する不織布の中でも装着者の肌と接する面に使用する表面シートは、見た目が白いだけでなく、体の外に排出された血液(経血)や、尿や流動性のある便などの排泄物を迅速に吸収することに加え、吸収した血液や排泄物を表面から見えにくくする、いわゆる隠蔽性が求められる。熱接着不織布の見た目の白さを高めたり、熱接着不織布の隠蔽性を高めたりする目的で、複合繊維は二酸化チタン(単に酸化チタンとも称す。)や酸化亜鉛などの無機フィラー(白色顔料)を混ぜた熱可塑性樹脂を用いて製造する。無機フィラーを含む合成繊維は、無機フィラーが異物として働くため、可紡性が低下しやすいだけでなく、単繊維強度および繊維の弾性が低下するため、カード機にて開繊する際、ネップやフライが生じやすくなる。このように、細繊度にすることに伴うカード通過性の低下、および無機フィラーの添加に伴うカード通過性の低下から、細繊度(2.0dtex未満)の複合繊維では、細繊度化とともに、カード通過性の改良が求められている。
【0007】
さらに、細繊度の複合繊維を使用した熱接着不織布を、特に性能の向上が著しい吸収性物品用シートとして用いる場合は、熱接着不織布の嵩高性、および通液性をさらに改善することが求められる。具体的には、細繊度の複合繊維が繊維径の小さい繊維になりやすいため、これを含む熱接着不織布は従来の複合繊維(すなわち、繊度が2.0dtex以上の複合繊維)と比較して得られる熱接着不織布の嵩(比容積)に劣る傾向がある。熱接着不織布の嵩が小さい場合、吸収性物品用シートとして所望の触感が得られないおそれがあり、吸収性物品の表面シートやバックシートではその傾向が顕著になる。また、細繊度の複合繊維を含む熱接着不織布は、前記のように不織布の嵩が不足する可能性があるだけでなく、繊維が細く、嵩が大きくなりにくいことから、当該細繊度の複合繊維を含む繊維層が、繊維層を構成する繊維と繊維との間に存在する空隙が少ない、緻密すぎる繊維層になるおそれがある。吸収性物品用表面シートにおいて、肌に触れる面が緻密になりすぎると、その繊維層を血液や尿といった液体が通過する際に時間がかかるようになり、通液性が悪化したり、血液や尿といった液体がシート上に残る、液残りを発生させたりするおそれがある。
【0008】
複合繊維としては、これまで数々の提案がなされている。特許文献1では熱接着性複合繊維の繊度と捲縮率、捲縮数の最大値や最小値の差などを調整するため、捲縮付与前にトウを所定温度に加熱し、その後仕上げ油剤を吹きかけて冷却した後、捲縮を付与するという製法で作られた熱接着性複合繊維が開示されている。しかし、特許文献1に開示されている技術内容では、生産設備や製造条件が限られる他、実際に得られた熱接着性繊維の繊度は2.4~3.4dtexであり、触感の改良のため、さらなる細繊度化が求められるものである。特許文献2では、固有粘度0.3~0.55のアルキレンテレフタレートを芯成分とした複合繊維が開示されている。特許文献2に記載の複合繊維は、繊度が1.1dtex未満の複合繊維が得られているが、固有粘度が特に低粘度のアルキレンテレフタレートを使用するため、使用できるアルキレンテレフタレート樹脂が制限される。加えて、この複合繊維は不織布にした際の手切れ性に特徴がある複合繊維であり、衛生材料用の熱接着不織布やフェイスマスク、フィルター材といった用途であれば、繊維やそれを用いて得られる不織布の機械的強度が不足するおそれがある。
【0009】
特許文献3にはポリエステル系樹脂を含む第1成分と、ポリオレフィン系樹脂とを含み、繊維を破断させたとき破断仕事量が1.6cN・cm/dtex以上、破断強度(cN/dtex)と破断伸度(%)の比が0.005~0.040([cN/dtex]/[%])の熱融着性複合繊維が開示されている。しかし特許文献3に記載の熱融着性複合繊維では、繊維の伸度がいずれも大きく(100%~)、伸びやすく、柔らかい状態であることが分かる(特許文献3の実施例1~5)。このため、繊維に対し繊維軸方向に対し引っ張る力が加えられた場合は、繊維自身が伸びることで耐えることができるが、繊維そのものは伸びやすい、柔らかい状態であるため、様々な方向から力が加わることでよじれ、他の繊維と絡み合うことで、カード機においてネップが発生しやすくなるおそれがある。加えて単繊維強度が小さいことから、得られる熱融着性複合繊維を繊維ウェブにした際、繊維ウェブの弾性、剛性が不足することで、取り扱い性に問題が生じるおそれもある。
【0010】
特許文献4、5には芯樹脂がポリエステル樹脂、鞘成分がポリオレフィン樹脂で構成された複合繊維が開示されている。特許文献4では捲縮を付与する際にトウの温度を一定の温度にする方法で製造することが開示され、特許文献5では芯成分を固有粘度が0.60~0.75のポリエステル系樹脂とし、芯成分に無機粒子を7~12質量%添加して得られた複合繊維が開示されている。しかし、特許文献4、5に記載の複合繊維はいずれも繊度が2.3~2.5dtexであり、触感の改良のため、さらなる細繊度化が求められるものである。加えて特許文献4、5ではカード通過性など不織布にする際の工程性などは検討されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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