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公開番号
2024051824
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-04-11
出願番号
2022158166
出願日
2022-09-30
発明の名称
全芳香族ポリアミド溶液の製造方法
出願人
帝人株式会社
代理人
個人
主分類
D01F
6/80 20060101AFI20240404BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約
【課題】無機塩や非プロトン性極性有機溶媒を使用することなく、廃棄したアラミド繊維等のアラミド繊維を溶解可能な高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法を提供する。
【解決手段】単糸繊度が10dtex以下の全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と0.5:99.5~10:90の質量比率で接触させて混合物とした後、該混合物を60℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
単糸繊度が10dtex以下の全芳香族ポリアミド繊維を、イオン液体と0.5:99.5~10:90の質量比率で接触させて混合物とした後、該混合物を60℃以上に加温しながら剪断応力下にて混錬することを特徴とする全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
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【請求項2】
全芳香族ポリアミドが、酸成分とジアミン成分から構成されるパラ型全芳香族コポリアミドであって、酸成分としてテレフタル酸ジクロライド(以下第一成分という)を含み、ジアミン成分としてパラフェニレンジアミン(以下第二成分という)及び3,3’オキシジフェニレンジアミン、または3,4’オキシジフェニレンジアミン、または4,4’オキシジフェニレンジアミンのうちのいずれか一つ、もしくはそれらの混合物(以下第三成分という)を含んでなり、該ジアミン成分における第二成分と第三成分とのモル比率が20/80~80/20である請求項1に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項3】
イオン液体が、分子寄与法による溶解度パラメータδtが37(J/cm
3
)
1/2
以上のイミダゾリウム系イオン液体である請求項1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項4】
イオン液体が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム トリフルオロアセテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム メチルホスフォネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム クロライド、及び1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム クロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項5】
イオン液体が、分子寄与法による溶解度パラメータδtが27(J/cm
3
)
1/2
以上のホスホニウム系イオン液体である請求項1又は2に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項6】
イオン液体が、トリブチル(エチル)ホスホニウム ジエチルホスフェート、及びトリブチル(メチル)ホスホニウム ジメチルホスフェートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項7】
全芳香族ポリアミドとイオン液体との質量比が0.5:99.5~5:95である請求項5に記載の全芳香族ポリアミド溶液の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の全芳香族ポリアミド溶液を湿式紡糸用ドープとして用いることを特徴とする全芳香族ポリアミド繊維の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、全芳香族ポリアミド(以下、アラミドと称する場合がある)溶液に関するものであり、さらに詳しくはアラミド繊維を有効に再利用するために、アラミド繊維を溶媒に再溶解しアラミド溶液を製造する方法に関するものである。
続きを表示(約 1,500 文字)
【背景技術】
【0002】
アラミド繊維はその高強度、高弾性率、耐薬品性の特性を生かし、産業資材用途や機能性衣料などに活用されている。一方、これらのアラミド繊維製品を廃棄する際は、化学的安定性及び難燃性の観点から焼却処分等の行うことが非常に難しいため、埋め立てによる処分が一般的であり、産業用繊維として利用されている状況から多量のアラミド繊維廃棄物が大きな環境負荷を与えることが問題となっている。
【0003】
さらに、近年では高機能繊維製品の需要が持続的成長を求められ、繊維産業においてもリサイクルを求める声が高まってきている。このような背景のもと、アラミド繊維を有効活用する目的で、廃棄したアラミド繊維を溶媒に再溶解してポリマー溶液(ドープ)とし、リサイクルする方法が検討されてきた。
【0004】
例えば、特開2006-241624号公報では、工程内で発生した繊維屑を塩化カルシウム等の無機塩を含有するN―メチルーピロリドン(NMP)と接触、混合させた後、該混合物を剪断応力化に置くことで、アラミド繊維を再溶解する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、この方法で使用される塩化カルシウム中の塩化物イオンはステンレス鋼の配管表面にある酸素、クロムからなる不導体被膜を損傷し、ステンレス鋼母体に達するため、ステンレス鋼母体中の鉄、クロム、ニッケルなどがイオン化するアノード反応が起こる。一方、その周辺のカソードでは溶存酸素が還元反応を生じている。この時、塩化物イオンは被膜を構成している酸素と置換し、被膜の破損を推し進めると考えられている。
【0006】
このような被膜の破損は配管の腐食、ひいては配管内の薬液の漏洩につながり、漏洩は爆発・火災に通じる。そのため、無機塩を使用しない溶媒が求められていたが、そのような溶媒としては強酸、強アルカリが考えられ、繊維の溶解は可能であったが、配管の腐食性や作業性等を考慮すると工業的な実現可能性は極めて乏しかった。
【0007】
また、特開2009-40871号公報には、溶解性の乏しい、パラ型アラミドを4級アンモニウム塩と非プロトン性の極性溶媒を用いて、溶解したアラミド溶液について記載されている。しかしながら、該方法はパラ型全芳香族ポリアミドが溶解する濃度が極めて低く、フッ化水素等の発生も考えられ、工業的な使用には適さない。
【0008】
さらに代替溶剤として検討されたものとして、WO2015/158866号では部分的に溶解する溶媒としてイオン液体の使用が提案されている。しかしこれらの溶剤を用いても溶解度は低く、廃棄したアラミド繊維からドープを作成し、再度凝固して繊維やフィルム等の固形物を得ることは極めて困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2006-241624号公報
特開2009-40871号公報
WO2015/158866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、無機塩や非プロトン性極性有機溶媒を使用することなく、廃棄したアラミド繊維等のアラミド繊維を溶解可能とする高い溶解性を示し、工程の安定化に優れた全芳香族アミド溶液の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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