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公開番号2025130348
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-08
出願番号2024027463
出願日2024-02-27
発明の名称脂肪族ポリエステルフィルムおよび包装体、農林水産業資材、生分解方法、農林水産素材
出願人東レ株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類B32B 27/36 20060101AFI20250901BHJP(積層体)
要約【課題】優れた生分解性を有しながら、強度と柔軟性を両立したフィルムを提供する。
【解決手段】ポリ乳酸を主成分とするA層と、ポリヒドロキシアルカン酸を主成分とするB層が厚み方向に交互に配列された構造を有し、A層とB層の層数の合計が5層以上である脂肪族ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリ乳酸を主成分とするA層と、ポリヒドロキシアルカン酸を主成分とするB層が厚み方向に交互に配列された構造を有し、A層とB層の層数の合計が5層以上である脂肪族ポリエステルフィルム。
続きを表示(約 780 文字)【請求項2】
ポリ乳酸を主成分とするA層が、さらにポリヒドロキシアルカン酸を含む、請求項1に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項3】
脂肪族ポリエステルフィルム全質量に対するポリ乳酸の比率が30質量%以上である、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項4】
少なくとも1つのA層において、ポリヒドロキシアルカン酸からなるドメインの平均アスペクト比が1.1以上20以下である、請求項2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項5】
A層、B層の内層における1層あたりの厚みがそれぞれ0.01μm以上18μm以下である、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項6】
主配向軸方向の120℃での熱収縮率をF1(%)、主配向軸方向と直交する方向の120℃での熱収縮率をF2(%)とした際に、F1、F2がいずれも15%以下である、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項7】
主配向軸方向の破断強度をS1(MPa)、主配向軸方向と直交する方向の破断強度をS2(MPa)とした際に、S1、S2がともに50MPa以上280MPa以下である、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項8】
厚み方向に対してポリヒドロキシアルカン酸からなる連続相を有する、請求項2または4に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項9】
少なくとも片面にさらに機能層を有する、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
【請求項10】
包装用途に用いられる、請求項1または2に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族ポリエステルフィルム、特に包装用途や農林水産用途に用いられる脂肪族ポリエステルフィルムに関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、欧州を中心に生ゴミの分別回収やコンポスト処理が進められており、生ゴミと共にコンポスト処理できる生分解プラスチック製品や包装材料が望まれている。生分解性プラスチックの中でも、脂肪族ポリエステル樹脂が高い生分解性を有する点から注目され、包装材料用などへ適用検討がなされている。しかしながら、一般的にフィルム化が容易で強度に優れるとされるポリ乳酸は低温環境下では土壌中での生分解の進行が遅く、対して生分解性に優れるポリヒドロキシアルカン酸は延伸加工が困難な樹脂であり、機械的強度や熱寸法安定性に劣る問題がある。
【0003】
ポリ乳酸を含むフィルムの改良策としてポリ乳酸とそれ以外の別の樹脂を積層体構造とする方法の検討が既知技術として挙げられる。特許文献1ではポリ乳酸とアクリル等の骨格樹脂層を積層させることで結晶性ポリ乳酸の脆さを克服し、かつ、透明性が高く装飾性に優れるフィルムを得る方法が提案されている。特許文献2では、ポリ乳酸とそれ以外の生分解性樹脂を積層させることで高強度かつ寸法安定性に優れるフィルムを得る方法が提案されている。特許文献3ではポリ乳酸またはポリヒドロキシアルカン酸などの生分解性樹脂を基材に用い、接着層上に金属酸化物を有する構造とすることで、バリア性に優れた食料製品の包装材用フィルムを得る方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2007-245710号公報
特開2005-47138号公報
特開2013-521161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3に記載の方法で得られるフィルムはいずれもポリ乳酸を主成分とするため低温環境下の土壌における生分解の進行が遅いという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、120℃での熱収縮率を小さくできるポリ乳酸の特性を有すると共に、生分解性に優れた脂肪族ポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ね、以下の本発明に至った。すなわち本発明の好ましい一態様は以下の通りである。
(1)ポリ乳酸を主成分とするA層と、ポリヒドロキシアルカン酸を主成分とするB層が厚み方向に交互に配列された構造を有し、A層とB層の層数の合計が5層以上である脂肪族ポリエステルフィルム。
(2)ポリ乳酸を主成分とするA層が、さらにポリヒドロキシアルカン酸を含む、(1)に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(3)脂肪族ポリエステルフィルム全質量に対するポリ乳酸の比率が30質量%以上である、(1)または(2)に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(4)少なくとも1つのA層において、ポリヒドロキシアルカン酸からなるドメインの平均アスペクト比が1.1以上20以下である、(2)に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(5)A層、B層の内層における1層あたりの厚みがそれぞれ0.01μm以上18μm以下である、(1)~(4)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(6)主配向軸方向の120℃での熱収縮率をF1(%)、主配向軸方向と直交する方向の120℃での熱収縮率をF2(%)とした際に、F1、F2がいずれも15%以下である、(1)~(5)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(7)主配向軸方向の破断強度をS1(MPa)、主配向軸方向と直交する方向の破断強度をS2(MPa)とした際に、S1、S2がともに50MPa以上280MPa以下である、(1)~(6)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(8)厚み方向に対してポリヒドロキシアルカン酸からなる連続相を有する、(2)または(4)に記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(9)少なくとも片面にさらに機能層を有する、(1)~(8)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(10)包装用途に用いられる、(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(11)農林水産業用途に用いられる、(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(12)(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルムを含む包装体。
(13)(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルムを含む農林水産業資材。
(14)(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルムをコンポスト機材で分解する、生分解方法。
(15)(12)に記載の包装体をコンポスト機材で分解する、生分解方法。
(16)(13)に記載の農林水産業資材をコンポスト機材で分解する、生分解方法。
(17)農林水産素材の被覆に用いられるフィルムであって、前記農林水産素材が肥料、飼料、種苗、薬剤から選択される1種以上を含む、(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルム。
(18)(1)~(9)のいずれかに記載の脂肪族ポリエステルフィルムによって被覆されたことを特徴とする農林水産素材。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、120℃での熱収縮率を小さくできるポリ乳酸の特性を有すると共に、生分解性に優れた脂肪族ポリエステルフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の脂肪族ポリエステルフィルムについて詳細に説明する。以下好ましい範囲について上限と下限が別々に記載されている場合、その組み合わせは任意とすることができる。また、本明細書において、脂肪族ポリエステルフィルムを単に「フィルム」と称する場合がある。また、本発明の脂肪族ポリエステルフィルムにおいて、「厚み方向」とはフィルム面に垂直な方向をいう。「長手方向」とは、フィルム製造工程における流れ方向に対応する方向(以下、「MD」という場合がある。)であり、「幅方向」とは、前記のフィルム製造工程における流れ方向とフィルム面内で直交する方向(以下、「TD」という場合がある。)である。フィルムサンプルがリール、ロール等の形状の場合は、フィルム巻き取り方向が長手方向といえる。また、本発明における主配向軸方向は以下の方法にて定義するものである。まず、任意の方向を上に向けて、長さ150mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプル<1>とし、サンプル<1>の長辺の方向を0°と定義する。次に、長辺方向が0°方向から右に15°回転した方向となるように、同サイズのサンプル<2>を採取する。以下同様に、矩形のサンプルの長辺方向を15°ずつ回転させ、サンプル<3>~<12>を採取する。次に、各矩形のサンプルを引張試験機(エー・アンド・デイ製“テンシロン万能試験機”RTG-1210)に、長辺方向が引張方向となるように初期チャック間距離30mmでセットし、25±5℃、65±10%RHの温湿度の雰囲気下で引張速度を300mm/分として引張試験を行う。このときサンプルが破断した際の荷重から試験前の試料の断面積(フィルムサンプルの厚み×幅)で除した値を破断強度(単位:MPa)、破断した際の歪みを破断伸度(単位:%)として算出し、各サンプルについて同様の測定を5回ずつ行って平均値を採用する。本発明においては、当該方法よって得られた破断強度が最大であった測定方向を主配向軸方向とし、これに直交する方向を主配向軸方向と直交する方向とする。
【0010】
本発明の脂肪族ポリエステルフィルムは、ポリ乳酸を主成分とするA層とポリヒドロキシアルカン酸を主成分とするB層が厚み方向に交互に配列された構造、すなわち積層構造を有し、A層とB層の層数の合計が5層以上である。ここで、ポリ乳酸を主成分とするA層とは当該層100質量%中にポリ乳酸を50質量%以上含有することをいい、ポリヒドロキシアルカン酸を主成分とするB層とは当該層100質量%中にポリヒドロキシアルカン酸を60質量%以上含有することをいう。
(【0011】以降は省略されています)

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