TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025129975
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-05
出願番号2024027003
出願日2024-02-26
発明の名称接合シミュレーション方法、接合シミュレーション装置及びプログラム
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人まこと国際特許事務所
主分類B23K 31/00 20060101AFI20250829BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】高強度鋼板を対象とした場合であっても、鋼板の接合過程を精度良く数値シミュレーション可能な接合シミュレーション方法等を提供する。
【解決手段】本発明は、マルテンサイトの焼き戻しの進行程度がそれぞれ異なるm個の鋼板の温度依存の変形抵抗σY (j)を予め取得する第1ステップST1と、鋼板の温度に基づいて、式(1)を満足し、鋼板におけるマルテンサイトの焼き戻しの進行程度を表すm個のパラメータφj(x,ti)を算出する第2ステップST2と、鋼板の接合過程における温度依存の変形抵抗σY(x,ti)を、式(2)に基づき算出する第3ステップST3と、変形抵抗σY(x,ti)を用いて、鋼板の接合過程を数値シミュレーションする第4ステップST4と、を有する。
【数25】
<com:Image com:imageContentCategory="Drawing"> <com:ImageFormatCategory>TIFF</com:ImageFormatCategory> <com:FileName>2025129975000027.tif</com:FileName> <com:HeightMeasure com:measureUnitCode="Mm">30</com:HeightMeasure> <com:WidthMeasure com:measureUnitCode="Mm">165</com:WidthMeasure> </com:Image> 【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
材料組織にマルテンサイトを含む鋼板の接合過程を数値シミュレーションする、接合シミュレーション方法であって、
マルテンサイトの焼き戻しの進行程度がそれぞれ異なるm(m≧2の整数)個の前記鋼板の温度依存の変形抵抗σ

(j)
(jは1からmまでの整数)を予め取得する第1ステップと、
前記数値シミュレーションにおいて、前記鋼板内の位置をx、前記鋼板の接合過程における時刻をt

(接合過程の開始時刻t

≦t

≦接合過程の終了時刻t

、iは0からnまでの非負の整数)としたときに、前記鋼板の温度に基づいて、以下の式(1)を満足し、前記鋼板におけるマルテンサイトの焼き戻しの進行程度を表すm個のパラメータφ

(x,t

)を算出する第2ステップと、
前記数値シミュレーションにおいて、前記鋼板の接合過程における温度依存の変形抵抗σ

(x,t

)を、以下の式(2)に基づき算出する第3ステップと、
前記変形抵抗σ

(x,t

)を用いて、前記鋼板の接合過程を数値シミュレーションする第4ステップと、
を有する、接合シミュレーション方法。
TIFF
2025129975000023.tif
30
165
続きを表示(約 2,000 文字)【請求項2】
前記第2ステップにおいて、接合後の前記鋼板の接合部近傍領域の室温でのビッカース硬さH(x,t

)を用いて、前記パラメータφ

(x,t

)を算出する、
請求項1に記載の接合シミュレーション方法。
【請求項3】
前記m=2であり、
前記第2ステップにおいて、以下の式(3)及び式(4)に基づき、2個の前記パラメータφ

(x,t

)であるφ

(x,t

)及びφ

(x,t

)を算出し、
前記第3ステップにおいて、以下の式(5)に基づき、前記変形抵抗σ

(x,t

)を、算出する、
請求項1又は2に記載の接合シミュレーション方法。
TIFF
2025129975000024.tif
35
165
上記の式(4)において、H

は焼き入れたままのフレッシュマルテンサイトの室温でのビッカース硬さを意味し、H

は数値シミュレーションの対象とする前記鋼板の接合過程の温度・時間範囲において、ビッカース硬さがこれ以上低下しない程度に十分に焼き戻しが進行したときのマルテンサイトの室温でのビッカース硬さを意味する。H(x,t

)は前記鋼板の接合部近傍領域の室温でのビッカース硬さ予測値を意味する。
上記の式(5)において、σ


は焼き入れたままのフレッシュマルテンサイトの変形抵抗を意味し、σ


は数値シミュレーションの対象とする前記鋼板の接合過程の温度・時間範囲において、ビッカース硬さがこれ以上低下しない程度に十分に焼き戻しが進行したときのマルテンサイトの変形抵抗を意味する。
【請求項4】
前記第2ステップにおいて、以下の式(6)~式(8)に基づき、前記H(x,t

)を算出する、
請求項3に記載の接合シミュレーション方法。
TIFF
2025129975000025.tif
41
165
上記の式(6)において、Δλ

(x,t

)は焼き戻しパラメータの増分を、Δt

は時刻t

における時間の増分を、b、cは前記鋼板の材料に依存する定数を意味する。
上記の式(7)において、I(x,t

)は時刻t

から時刻t

までの積算焼き戻しパラメータを意味する。
上記の式(8)において、α、βは前記鋼板の材料に依存する定数を意味する。
【請求項5】
前記接合過程は、前記鋼板のスポット溶接の溶接過程である、
請求項1又は2の何れかに記載の接合シミュレーション方法。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1に記載の接合シミュレーション方法が有する前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ及び前記第4ステップを実行させるためのプログラム。
【請求項7】
材料組織にマルテンサイトを含む鋼板の接合過程を数値シミュレーションする、接合シミュレーション装置であって、
マルテンサイトの焼き戻しの進行程度がそれぞれ異なるm(m≧2の整数)個の前記鋼板の温度依存の変形抵抗σ

(j)
(jは1からmまでの整数)を予め取得する第1ステップと、
前記数値シミュレーションにおいて、前記鋼板内の位置をx、前記鋼板の接合過程における時刻をt

(接合過程の開始時刻t

≦t

≦接合過程の終了時刻t

、iは0からnまでの非負の整数)としたときに、前記鋼板の温度に基づいて、以下の式(1)を満足し、前記鋼板におけるマルテンサイトの焼き戻しの進行程度を表すm個のパラメータφ

(x,t

)を算出する第2ステップと、
前記数値シミュレーションにおいて、前記鋼板の接合過程における温度依存の変形抵抗σ

(x,t

)を、以下の式(2)に基づき算出する第3ステップと、
前記変形抵抗σ

(x,t

)を用いて、前記鋼板の接合過程を数値シミュレーションする第4ステップと、
を実行する、接合シミュレーション装置。
TIFF
2025129975000026.tif
30
165

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、材料組織にマルテンサイトを含む鋼板の接合過程を数値シミュレーションする接合シミュレーション方法、接合シミュレーション装置、及び接合シミュレーション方法を実行させるためのプログラムに関する。特に、本発明は、引張強さ1GPa級以上の高強度鋼板を対象とした場合であっても、鋼板の接合過程を精度良く数値シミュレーション可能な接合シミュレーション方法、接合シミュレーション装置及びプログラムに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、鋼板をスポット溶接すると、水素脆化や液体金属脆化に起因して、スポット溶接部に割れが生じる場合がある。特に、高強度鋼板については、この問題が比較的生じ易いため、スポット溶接中に鋼板に生じる応力や残留応力を評価することが重要である。
【0003】
しかしながら、上記の応力は実測が困難な場合が多く、数値シミュレーションによる予測も容易ではない。スポット溶接におけるナゲット径や残留応力を数値シミュレーションによって予測する取り組みの報告は多く、市販のスポット溶接シミュレーションソフト(SWANTEC社製「SORPAS」)では、引張強さ1.5GPa級の鋼板についてナゲット径等の予測計算が可能とされている。
【0004】
ただし、残留応力に関しては、従来の市販ソフトを用いた数値シミュレーションでは予測精度が十分ではない。具体的には、本発明者らが検討したところ、X線を用いて測定可能な鋼板の試験片表面の残留応力について、特に圧痕中心の近傍における実験値と計算値との間には大きな差が生じていた。現在、表面の残留応力を予測可能と報告されている鋼板は、引張強さ980MPa級まで(例えば、非特許文献5、6)であり、それ以上の鋼板に関する報告はない。
【0005】
このため、引張強さ1GPa級以上の高強度鋼板を対象とした場合であっても、スポット溶接のような鋼板の接合過程を精度良く数値シミュレーション可能、ひいては、鋼板の残留応力を精度良く予測可能なシミュレーション方法が望まれている。
【0006】
なお、特許文献1、非特許文献2~8には、スポット溶接の溶接過程をシミュレーションする方法について開示されているが、上記の問題を解決できるものではない。
また、非特許文献1には、焼き戻しパラメータ(λ値)や積算焼き戻しパラメータ(積算パラメータ(I))について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第6607713号公報
【非特許文献】
【0008】
井上毅,“新しい焼きもどしパラメータとその連続昇温曲線に沿った焼きもどし効果の積算法への応用”, 鉄と鋼,1980年,第66巻,第10号,p. 1532-1541
村川英一,他2名,“高強度鋼板スポット溶接における相変態および焼戻しを考慮した熱弾塑性解析”,溶接学会全国大会講演概要,2015年9月,第97集,P.328-329
松田広志,他3名,“超ハイテン抵抗溶接部のミクロ組織と硬さの推算”,溶接学会論文集,2020年,第38巻,第4号,P.234-242
Ying Lu,他4名,“Subcritical heat affected zone softening in hot-stamped boron steel during resistance spot welding”,Materials & Design,2018年,Volume 155,p.170-184
伊與田宗慶,他5名,“980MPa級高張力鋼抵抗スポット溶接部におけるナゲット寸法および残留応力の数値シミュレーション”,溶接学会論文集,2011年,第29巻,第2号,P.86-95
Jukka Pakkanen,他2名,“Experimental investigation and numerical simulation of resistance spot welding for residual stress evaluation of DP1000 steel”,Welding in the World,2016年,Volume 60,p.393-402
上田秀樹,他7名,“自動車鋼板を対象としたスポット溶接シミュレーション”,新日鐵住金技報,2017年,第409号,p.108-119
福本学,他1名,“抵抗スポット溶接における応力変化の数値シミュレーション”,溶接学会誌,2021年,第90巻,第3号,p.194-198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するべくなされたものであり、引張強さ1GPa級以上の高強度鋼板を対象とした場合であっても、鋼板の接合過程を精度良く数値シミュレーション可能な接合シミュレーション方法、接合シミュレーション装置及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、前述のように、引張強さ1GPa級以上の高強度鋼板を対象とした場合に、従来の数値シミュレーションで得られる残留応力の予測精度が低下する(測定値との差が大きい)のは、残留応力を測定している鋼板表面近傍において、マルテンサイトの焼き戻しに起因した機械的特性(具体的には、変形抵抗(降伏応力))の変化を考慮できていないからであることを知見した。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

日本製鉄株式会社
鋼材
23日前
日本製鉄株式会社
線材
2か月前
日本製鉄株式会社
車輪
28日前
日本製鉄株式会社
鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
23日前
日本製鉄株式会社
鋼線
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼材
23日前
日本製鉄株式会社
鋼材
23日前
日本製鉄株式会社
ボルト
9日前
日本製鉄株式会社
床構造
2か月前
日本製鉄株式会社
角形鋼管
2か月前
日本製鉄株式会社
筒型構造
1か月前
日本製鉄株式会社
耐摩耗鋼
29日前
日本製鉄株式会社
管理装置
2日前
日本製鉄株式会社
柱梁接合部
2か月前
日本製鉄株式会社
直流電気炉
2か月前
日本製鉄株式会社
直流電気炉
2か月前
日本製鉄株式会社
圧延H形鋼
2か月前
日本製鉄株式会社
リクレーマ
2日前
日本製鉄株式会社
金属溶解方法
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼の製造方法
22日前
日本製鉄株式会社
高Ni合金板
2日前
日本製鉄株式会社
高炉操業方法
21日前
日本製鉄株式会社
鋼の製造方法
2か月前
日本製鉄株式会社
転炉吹錬方法
2か月前
日本製鉄株式会社
転炉吹錬方法
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼線及び撚り線
2か月前
日本製鉄株式会社
高炉の冷却構造
5日前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
パネル用支持具
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼管用ねじ継手
2か月前
日本製鉄株式会社
鋼線及びロープ
2か月前
日本製鉄株式会社
パネル用支持具
2か月前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼板
16日前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼材
1か月前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼材
1か月前
続きを見る