発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、ドメイン壁スキルミオン駆動素子等に関する。 続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】 【0002】 磁区(ドメイン)の磁化反転、磁壁(ドメインウォール)の移動等に替えて、スキルミオンを移動させて情報を記録・消去するレーストラック型メモリが、次世代磁気メモリの有力候補とされている。スキルミオンは、電子スピン(磁気モーメント)が渦巻状に配列したトポロジカルな磁気構造(トポロジカル数/スキルミオン数=±1)を有し、磁化が一様な強磁性状態とは異なり、準粒子的な安定した振る舞いをする。またスキルミオンは極微小で、微弱な電流(密度)で移動し得る。このためスキルミオンを情報担体とできれば、ノイズ(外部磁場、温度擾乱等)に対して堅牢で、高密度化や省電力化等を図れる磁気メモリが実現され得る。 【0003】 このようなスキルミオンに関する提案は多くなされており、例えば、下記の文献に関連した記載がある。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 特開2014-86470 特開2014-175417 特表2023-527826 【非特許文献】 【0005】 T. Nagase et al., Nat. Commun. 12, 3490 (2021). T. Nagase et al., Phys. Rev. Lett. 123, 137203 (2019). A. O. Leonov et al., Phys. Rev. Lett. 117, 087202 (2016). M. Kameda et al., “Controllable interskyrmion attractive interactions and resulting skyrmion-lattice structures in two-dimensional chiral magnets with in-plane anisotropy”, Phys. Rev. B 104, 174446 (2021). J. Iwasaki et al., “Universal current-velocity relation of skyrmion motion in chiral magnets”, Nat. Commun. 4,1463 (2013). T. Dohi et al., “Formation and current-induced motion of synthetic antiferromagnetic skyrmion bubbles”, Nat.Commun. 10, 5153 (2019). S. Mallick et al., “Driving skyrmions with high mobility in synthetic ferrimagnet”, arXiv:2305.19208 (2023). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、いずれの文献にも、個別に励起(生成)させたスキルミオンを、材料端等で消滅させずに、電流(誘起)駆動で軌道制御できる旨の記載はない。情報担体となるスキルミオンの軌道制御は、レーストラック型メモリ等において、情報損失リスクを解消するために重要である。 【0007】 本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、磁気メモリ等への利用が期待されるドメイン壁スキルミオン駆動素子等を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明者は、鋭意研究により、個別に励起したスキルミオンを駆動電流の方向から逸らさずに(消滅させずに)、その軌道を制御できることを新たに見出した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。 【0009】 《ドメイン壁スキルミオン駆動素子》 (1)本発明は、薄膜状の磁性体と、該磁性体の略面直方向に磁場を印加する磁気部と、該磁性体の面内方向に駆動電流を通電する電気部とを備え、該磁性体内にドメイン壁を境界とするスキルミオンを個別にまたは結晶状態で励起させ、該スキルミオンを該駆動電流の方向に沿って移動させれるドメイン壁スキルミオン駆動素子である。 【0010】 (2)本発明のドメイン壁スキルミオン駆動素子(単に「素子」ともいう。)によれば、個別に励起させたドメイン壁を境界とするスキルミオンを、駆動電流の方向に沿って逸脱さずに移動させれる。このため、例えば、ドメイン壁スキルミオン(単に「スキルミオン」ともいう。)が軌道を逸れて、磁性体端等で消滅することが回避される。その結果、本発明の素子によれば、例えば、情報損失や情報伝達速度の顕著な低下等の欠陥がないメモリや記憶装置の提供が可能となり得る。 (【0011】以降は省略されています)
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