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公開番号2025082062
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-28
出願番号2023195291
出願日2023-11-16
発明の名称細胞培養膜および臓器模倣構造体
出願人豊田合成株式会社
代理人弁理士法人明成国際特許事務所
主分類C12M 3/00 20060101AFI20250521BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】肝星細胞を脱活性化状態に維持しつつ、2次元培養できる細胞培養膜を提供すること。
【解決手段】細胞培養膜は、肝星細胞を培養可能であり、第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面とを有する膜本体と、膜本体に形成された複数の孔と、を備え、複数の孔のそれぞれは、すり鉢状であり、少なくとも第1面に開口し、複数の孔の第1面における第1平均孔径は、4μm以上13μm以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
肝星細胞を培養可能な細胞培養膜であって、
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有する膜本体と、
前記膜本体に形成された複数の孔と、を備え
前記複数の孔のそれぞれは、すり鉢状であり、少なくとも前記第1面に開口し、
前記複数の孔の前記第1面における第1平均孔径は、4μm以上13μm以下である、細胞培養膜。
続きを表示(約 430 文字)【請求項2】
請求項1に記載の細胞培養膜であって、
前記第1平均孔径は、6μm以上10μm以下である、細胞培養膜。
【請求項3】
請求項1に記載の細胞培養膜であって、
前記複数の孔のそれぞれは、前記第1面から前記第2面に亘って貫通する貫通孔である、細胞培養膜。
【請求項4】
請求項1に記載の細胞培養膜と、
前記第1面に培養された前記肝星細胞と、を備える、臓器模倣構造体。
【請求項5】
請求項4に記載の細胞培養膜と、
前記第1面に培養された前記肝星細胞と、
前記第2面に培養された肝実質細胞と、備える、臓器模倣構造体。
【請求項6】
肝星細胞を培養可能な細胞培養膜であって、
前記細胞培養膜はポリウレタンにより形成され、
前記細胞培養膜に前記肝星細胞を培養した場合、前記肝星細胞の脱活性化状態を1週間以上維持する、細胞培養膜。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、細胞培養膜および臓器模倣構造体に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、例えば創薬の研究ため、ヒト肝臓モデルの作製が試みられている。ヒト肝星細胞は、脱活性化状態から活性化状態に変化することが知られている。そして、実験においては、ヒト肝星細胞は脱活性化状態であることが好ましい。例えば、特許文献1には、ヒト肝細胞とヒト肝星細胞とを凝集させたヘテロスフェロイドを含むヒト肝臓様立体構造体の作製方法が記載されている。特許文献1では、ヒト肝臓様立体構造体の製造時に、活性化状態への変化を抑制するための星細胞静止化剤の使用が示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2020/171220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スフェロイドの作製とは別の方法として、細胞培養膜を用いた共培養によるヒト肝臓モデルの作製が試みられている。細胞培養膜を用いて肝星細胞を2次元培養する場合、肝星細胞は脱活性化状態から活性化状態に変化し易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の第1形態によれば、細胞培養膜が提供される。この細胞培養膜は、肝星細胞を培養可能な細胞培養膜であって、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有する膜本体と、前記膜本体に形成された複数の孔と、を備え、前記複数の孔のそれぞれは、すり鉢状であり、少なくとも前記第1面に開口し、前記複数の孔の前記第1面における第1平均孔径は、4μm以上13μm以下である。この形態によれば、複数の孔のそれぞれはすり鉢状であるため、肝星細胞は複数の孔に入り込んだ状態で培養される。また、第1平均孔径が4μm以上13μm以下である細胞培養膜を用いることにより、脱活性化状態から活性化状態への変化を抑制して肝星細胞を培養できる。
(2)上記形態の細胞培養膜において、前記第1平均孔径は、6μm以上10μm以下であってもよい。この形態によれば、肝星細胞の脱活性化状態から活性化状態への変化をさらに抑制できる。
(3)上記形態の細胞培養膜において、前記複数の孔のそれぞれは、前記第1面から前記第2面に亘って貫通する貫通孔であってもよい。この形態によれば、第1面に肝星細胞を培養し、第2面に肝星細胞とは種類の異なる細胞を培養した場合に、第1面に培養された肝星細胞と、第2面に培養された細胞とが各貫通孔を通じて接触することができるため、生体内の状態により近い臓器模倣構造体を作ることができる。
(4)上記形態の細胞培養膜と、前記第1面に培養された前記肝星細胞と、を備える、臓器模倣構造体であってもよい。この形態によれば、臓器模倣構造体が備える肝星細胞は、脱活性化状態から活性化状態への変化が抑制されている。よって、臓器模倣構造体を用いて、薬物の毒性試験などを好適に行うことができる。
(5)上記形態の細胞培養膜と、前記第1面に培養された前記肝星細胞と、前記第2面に培養された肝実質細胞と、を備える、臓器模倣構造体であってもよい。この形態によれば、肝星細胞と肝実質細胞とは孔を介して接触している。よって、臓器模倣構造体を用いて、物質添加後における、肝実質細胞と脱活性化状態である肝星細胞との間の細胞間接触による相互作用について評価できる。
(6)本開示の第2形態によれば、肝星細胞を培養可能な細胞培養膜が提供される。この細胞培養膜は、ポリウレタンにより形成され、前記細胞培養膜に前記肝星細胞を培養した場合、前記肝星細胞の脱活性化状態を1週間以上維持する。この形態によれば、細胞培養膜に培養された肝星細胞は、脱活性化状態から活性化状態への変化が抑制されている。よって、創薬のための実験を好適に行うことができる。
本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、上記の細胞培養膜の他に、例えば細胞培養膜の製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
細胞培養膜の断面の模式図である。
第1の臓器模倣構造体の模式図である。
第2の臓器模倣構造体の模式図である。
臓器模倣構造体の作製方法を説明する図である。
細胞培養膜の他の実施形態を示す図である。
細胞培養膜と、培養された細胞の状態の評価結果とをまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
肝星細胞は、脱活性化状態から活性化状態に変化することが知られている。肝星細胞は、生体内では通常、脱活性化状態で存在するが、慢性的な炎症や障害により、活性化する。活性化した肝星細胞は、機能や形態が異なる筋線維芽細胞様細胞に形質転換し、過剰なコラーゲンを合成する。活性化状態の肝星細胞は、肝線維症や肝硬変を引き起こすと推定されている。そこで、例えば肝硬変の研究のため、脱活性化状態の肝星細胞が求められている。しかし、一般にin vitroでの培養では、肝星細胞は、脱活性化状態から活性化状態に変化し易い。発明者らは、肝星細胞の活性化状態への変化を抑制できる細胞培養膜を見出した。なお、脱活性化状態は、静止状態や不活性化状態とも呼ばれる。
【0009】
図1は、細胞培養膜10の断面の模式図である。細胞培養膜10は、肝星細胞を培養可能である。細胞培養膜10は、膜本体20と、膜本体20に形成された複数の孔23とを備える。細胞培養膜10は、熱硬化性樹脂で形成されている。細胞培養膜10を形成する熱硬化性樹脂として、ポリウレタン、ポリウレア、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、およびポリイミドなどを用いることができる。本実施形態では、細胞培養膜10は、ポリウレタンにより形成されている。細胞培養膜10は、肝星細胞301を培養した場合、肝星細胞301の脱活性化状態を1週間以上維持する。膜本体20は、第1面21と、第1面21とは反対側に位置する第2面22とを有する。本実施形態では、複数の孔23は、第1面21から第2面22に亘って貫通する貫通孔である。各孔23は、第1面21に開口する第1開口部23aと、第2面22に開口する第2開口部23bとを有する。細胞培養膜10は第2開口部23bを有することにより、第1面21に肝星細胞を培養し、第2面22に肝星細胞とは種類の異なる細胞を培養した場合に、肝星細胞と、肝星細胞とは異なる細胞とを第2開口部23bを通じて接触させることができる。
【0010】
孔23は、すり鉢状である。なお、貫通孔の場合、第2開口部23bの直径である第2孔径Dbが、第1開口部23aの直径である第1孔径Daよりも小さい形状がすり鉢状に含まれる。さらに、第1開口部23aと第2開口部23bとを接続する内周部の形状が曲面である場合と平面である場合との両方がすり鉢状に含まれる。第2面22における第2孔径Dbの平均値である第2平均孔径は、複数の孔23の第1孔径Daの平均値である第1平均孔径よりも小さい。これにより、肝星細胞301を孔23の内部に入り込んだ状態で培養することができる。また、第1平均孔径は、4μm以上13μm以下であることが好ましく、6μm以上10μm以下であることがさらに好ましい。これにより、細胞培養膜10の第1面21に図2に示す肝星細胞301を培養した場合に、肝星細胞301の脱活性化状態から活性化状態への変化を抑制することができる。細胞培養膜10を用いると肝星細胞301の脱活性化状態を1週間以上維持できるので、例えば培養された肝星細胞301へ被験物質を長期間または反復的に暴露することができて長期毒性の予測精度が向上する。
(【0011】以降は省略されています)

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