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公開番号
2025065827
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-22
出願番号
2023175289
出願日
2023-10-10
発明の名称
水中油型懸濁液の油水分離方法および分離装置
出願人
三菱ケミカルエンジニアリング株式会社
代理人
弁理士法人お茶の水内外特許事務所
主分類
B03D
1/02 20060101AFI20250415BHJP(液体による,または,風力テーブルまたはジグによる固体物質の分離;固体物質または流体から固体物質の磁気または静電気による分離,高圧電界による分離)
要約
【課題】新規な水中油型懸濁液の油水分離方法と油水分離装置を提供すること。
【解決手段】水中油型の懸濁液と、マイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように接触させ、水リッチ相に対して、懸濁液リッチ相と水リッチ相とが均一に混合しないように新たなマイクロバブルを供給し、懸濁液中のミセルを吸着したマイクロバブルを浮上させる油水分離方法、および、水中油型の懸濁液とマイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように収容する分離槽と、分離槽に供給されるマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置と、を備え、マイクロバブル発生装置が、発生するマイクロバブルが水リッチ相に供給されるように設置され、マイクロバブル発生時に分離槽内が均一になるように撹拌されない油水分離装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
水中油型の懸濁液と、マイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように接触させ、
前記水リッチ相に対して、懸濁液リッチ相と水リッチ相とが均一に混合しないように新たなマイクロバブルを供給し、
前記懸濁液中のミセルを吸着したマイクロバブルを浮上させることを特徴とする油水分離方法。
続きを表示(約 730 文字)
【請求項2】
前記懸濁液が、細胞の破砕物を含むことを特徴とする請求項1に記載の油水分離方法。
【請求項3】
前記水が、濃度1重量%以上の塩水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の油水分離方法。
【請求項4】
前記水溶液が、食塩水であることを特徴とする請求項3に記載の油水分離方法。
【請求項5】
前記マイクロバブルが、個数平均直径10μm以上100μm未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の油水分離方法。
【請求項6】
新たなマイクロバブルの供給に伴い、全体の液量が増加しないことを特徴とする請求項1または2に記載の油水分離方法。
【請求項7】
水中油型の懸濁液とマイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように収容する分離槽と、
前記分離槽に供給されるマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置と、
を備え、
前記マイクロバブル発生装置が、発生するマイクロバブルが前記水リッチ相に供給されるように設置され、マイクロバブル発生時に分離槽内が均一になるように撹拌されないことを特徴とする油水分離装置。
【請求項8】
前記マイクロバブル発生装置が、抜取口と供給口がともに前記分離槽の下方に接続された循環配管中に設置されていることを特徴とする請求項7に記載の油水分離装置。
【請求項9】
前記マイクロバブル発生装置が、前記分離槽の下方に設置された多孔質体からマイクロバブルを吹き出す微細孔式であることを特徴とする請求項7に記載の油水分離装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型懸濁液の油水分離方法と分離装置に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
生物細胞を利用した有用化合物の生産が広く行われている。有用化合物が細胞外に分泌されずに細胞内小胞等に蓄えられる場合、有用化合物を取り出すためには細胞壁・細胞膜を破砕する必要がある。細胞の破砕方法として、強いせん断力を加える方法が一般的に用いられている(特許文献1等)。
有用化合物が親油性化合物(疎水性化合物)の場合、細胞破砕物を含む水に非極性有機溶媒を接触させる液-液抽出により、有用化合物は非極性有機溶媒に抽出されている。ここで、微生物等の培養時には、通常、培養槽中に消泡剤が加えられる。培養槽から微生物ごと培養液を抜き出してせん断力を加えて破砕すると、この消泡剤が乳化剤として作用して、油中水型の懸濁液(エマルション)となってしまう場合がある。油中水型の懸濁液となった場合、油相を効率的に分離することができず、収率の低下、有機溶媒使用量の増加による高コスト化、後処理の煩雑化という問題がある。
特許文献2には、脂溶性生理活性物質を含有する微生物細胞破砕物の水性懸濁液を、特定の非イオン性界面活性剤と、アルカリ存在下に加温処理したのちに、有機溶媒と混合して脂溶性生理活性物質を抽出する、安定的かつ効率的な脂溶性生理活性物質の製造方法が提案されている。
【0003】
気泡の表面に疎水性化合物を吸着させて分離する方法が知られている。特許文献3には、水性媒体中で行う生体反応によって産生する疎水性化合物を分離する方法に於いて、気泡と水性媒体を接触させて水性媒体中に含まれる疎水性化合物を気泡界面に捕集した後、該気泡を水性媒体から分離する疎水性化合物の分離方法が提案されている。特許文献3に記載の方法は、水中に溶解または分散している疎水性化合物を、多孔質体から吹き出す気泡に吸着させている。
特許文献3に記載の方法を、乳化した油中水型の懸濁液に適用したところ、発生する気泡が大きくなり、ミセルを吸着することができなかった。本発明者らが検討したところ、そのメカニズムは不明であるが、多孔質体の表面にミセルが付着すると、ミセルが崩壊して油が多孔質体の表面を覆って微細な泡を放出する細孔が塞がれてしまい、塞がれなかった大きな孔のみから気泡が発生して、気泡が大きくなってしまうことが確認できた。
【0004】
本出願人は、生物培養液を収容する培養槽と、該培養槽から抜き出した生物培養液に、酸素含有率を高めた空気から形成されたマイクロナノバブルを含有させるマイクロナノバブル発生装置と、該マイクロナノバブルを含有させた生物培養液を前記培養槽に還流する管路と、を備える生物反応装置を提案している(特許文献4)。
特許文献4に記載の生物反応装置の培養槽に細胞破砕物を含む水中油型の懸濁液を入れてマイクロバブルを発生させたところ、マイクロバブル発生装置を通過したミセルはさらに微細となり、より乳化が進んでしまった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2010-162499号公報
特開2016-208909号公報
特開2008-49243号公報
国際公開第2017/017998号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、新規な水中油型懸濁液の油水分離方法と油水分離装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.水中油型の懸濁液と、マイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように接触させ、
前記水リッチ相に対して、懸濁液リッチ相と水リッチ相とが均一に混合しないように新たなマイクロバブルを供給し、
前記懸濁液中のミセルを吸着したマイクロバブルを浮上させることを特徴とする油水分離方法。
2.前記懸濁液が、細胞の破砕物を含むことを特徴とする1.に記載の油水分離方法。
3.前記水が、濃度1重量%以上の塩水溶液であることを特徴とする1.または2.に記載の油水分離方法。
4.前記水溶液が、食塩水であることを特徴とする3.に記載の油水分離方法。
5.前記マイクロバブルが、個数平均直径10μm以上100μm未満であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の油水分離方法。
6.新たなマイクロバブルの供給に伴い、全体の液量が増加しないことを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の油水分離方法。
7.水中油型の懸濁液とマイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように収容する分離槽と、
前記分離槽に供給されるマイクロバブルを発生するマイクロバブル発生装置と、
を備え、
前記マイクロバブル発生装置が、発生するマイクロバブルが前記水リッチ相に供給されるように設置され、マイクロバブル発生時に分離槽内が均一になるように撹拌されないことを特徴とする油水分離装置。
8.前記マイクロバブル発生装置が、抜取口と供給口がともに前記分離槽の下方に接続された循環配管中に設置されていることを特徴とする7.に記載の油水分離装置。
9.前記マイクロバブル発生装置が、前記分離槽の下方に設置された多孔質体からマイクロバブルを吹き出す微細孔式であることを特徴とする7.に記載の油水分離装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油水分離方法と油水分離装置により、水中油型の懸濁液から油分を効率的に分離することができる。
本発明の油水分離方法と油水分離装置は、水中油型懸濁液のミセルが液面で崩壊して油層を形成する場合があり、その場合は非常に容易に油分を回収することができる。ミセルが崩壊しない場合も、液面近くにミセルが高濃度で集積するため、回収したミセルから油分を分離するために必要な疎水性溶媒や薬剤の量を少なくすることができる。
本発明の油水分離方法と油水分離装置は、細胞の破砕物を含む水中油型の懸濁液に適用することにより、高付加価値の親油性成分を効率的に回収することができる。本発明の油水分離方法と油水分離装置は、細胞の破砕に高エネルギーが必要なため水中油型の懸濁液となりやすい細胞壁を有する細胞(植物細胞・酵母)の破砕物から、油分を効率的に分離、回収することができる。
水を懸濁液よりも高密度とすることにより、水リッチ相と懸濁液リッチ相との混合を減らすことができ、上方に位置する懸濁液リッチ相にマイクロバブルを効率的に供給できるとともに、ミセルがマイクロバブル発生装置と接触することによる不具合の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の油水分離装置の第一実施態様の概要を示す図。
本発明の油水分離装置の第二実施態様の概要を示す図。
実験1における、透明度の経時変化を示すグラフ。
実験2における、透明度の経時変化を示すグラフ。
実験2における、各試験例の所定時間での外観を示す図。
実験3における、各試験例の液面近傍の外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
・油水分離方法
本発明の油水分離方法は、
水中油型の懸濁液と、マイクロバブルを含有していてもよい水とを、懸濁液リッチ相が上方、水リッチ相が下方となるように接触させ、
この下方に位置する水リッチ相に対して、懸濁液リッチ相と水リッチ相とが均一に混合しないように新たなマイクロバブルを供給し、
懸濁液中のミセルを吸着したマイクロバブルを浮上させる。
(【0011】以降は省略されています)
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