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公開番号
2025021579
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-14
出願番号
2023125372
出願日
2023-08-01
発明の名称
車載充電装置
出願人
株式会社アイシン
代理人
弁理士法人R&C
主分類
H02M
3/155 20060101AFI20250206BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】車載の回転電機のコイル及びインバータを利用して、外部交流電源からの電力により車載の直流電源を充電する車載充電装置をシステムコストの増加を抑制して構成する。
【解決手段】外部交流電源4の側の交流電力と第1の直流電力との間で電力を変換する交流直流変換器1と、第1の直流電力と直流電源3の側の第2の直流電力との間で電力を変換する直流直流変換器2とを備え、直流直流変換器2は、交流直流変換器1の側の第1アーム21と、直流電源3の側の第2アームと、第1アーム21と第2アームとの間に配置されたリアクトルとを備えたHブリッジ回路を備え、リアクトルが回転電機の複数のコイル7を用いて構成され、第2アームがインバータ5を用いて構成されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
中性点で互いに接続された複数相のコイルを備え、車輪の駆動力源となる回転電機と、直流と複数相の交流との間で電力を変換するインバータと、前記インバータを介して前記回転電機に接続される直流電源と、を備えた車両に搭載され、外部交流電源から供給される電力によって前記直流電源を充電する車載充電装置であって、
前記外部交流電源の側の交流電力と第1の直流電力との間で電力を変換する交流直流変換器と、
前記第1の直流電力と前記直流電源の側の第2の直流電力との間で電力を変換する直流直流変換器と、を備え、
前記直流直流変換器は、前記交流直流変換器の側の第1アームと、前記直流電源の側の第2アームと、前記第1アームと前記第2アームとの間に配置されたリアクトルと、を備えたHブリッジ回路を備え、
前記リアクトルが複数の前記コイルを用いて構成され、
前記第2アームが前記インバータを用いて構成されている、車載充電装置。
続きを表示(約 410 文字)
【請求項2】
前記交流直流変換器は、交流直流昇圧変換器であり、
前記直流直流変換器は、前記直流電源の定格電圧に応じて直流直流昇圧変換器又は直流直流降圧変換器として機能する、請求項1に記載の車載充電装置。
【請求項3】
前記交流直流変換器は、
一次側コイルと二次側コイルとを備えたトランスと、
前記一次側コイルに接続された一次側ブリッジ回路と、
前記二次側コイルに接続された二次側ブリッジ回路と、
を備えて構成されたデュアル・アクティブ・ブリッジ回路であり、
前記一次側ブリッジ回路は、双方向型スイッチング素子により構成されている、請求項1又は2に記載の車載充電装置。
【請求項4】
前記リアクトルが、電気的接続を断接するコンタクタを介して、前記第1アームと前記第2アームとの間に配置されている、請求項1又は2に記載の車載充電装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載充電装置に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)
【背景技術】
【0002】
特表2022-503713号公報には、電気自動車やハイブリッド自動車などの車輪の駆動力源として回転電機を備えた車両に搭載された直流電源を、車両に搭載された状態で充電する車載充電装置(Onboard Charger)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。この文献の図3には、外部交流電源(310)がY字接続された3相のコイルの中性点に接続され、当該3相のコイルのそれぞれにインバータ(220)の交流側のそれぞれのアームが接続され、インバータ(220)の直流側端子に直流直流変換器(DC/DCコンバータ)の入力側端子が接続され、直流直流変換器の出力側端子に直流電源が接続された車載充電装置が例示されている。3相のコイル及びインバータ(220)は、外部交流電源(310)からの正弦波のグリッド電流を直流に変換する交流直流変換器(AC/DCコンバータ)を形成している。インバータ(220)がスイッチング制御されることにより、この交流直流変換器は交流電力から変換される直流電力の力率を改善する力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路としても機能する。交流直流変換後の電流には、外部交流電源(310)の周波数(系統周波数)の2倍の周波数のリップルが生じる。直流直流変換器は、このリップルを低減して直流電源を充電するためのバッテリ電流を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2022-503713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば電気自動車やハイブリッド自動車における車載充電装置では、3相のコイルとして、例えば当該車両の車輪の駆動力源の回転電機のステータに備えられたコイル(ステータコイル)を用いることができる。図12はそのような車載充電装置の従来例である充電装置10Xの一例を示している。充電装置10Xは、車輪の駆動力源の回転電機70のコイル7及び当該回転電機70を駆動制御するインバータ5を兼用して構成されている。充電装置10Xは、交流直流変換器である第1変換器100と直流直流変換器である第2変換器200とを有して構成されている。第1変換器100は、コイル7とインバータ5とを利用して構成されており、回転電機70の複数相のコイル7の中性点7Nに外部交流電源4が接続されている。第1変換器100と第2変換器200とは、機能切替コンタクタ12を介して選択的に接続されている。コイル7及びインバータ5が車輪の駆動に用いられる場合は、機能切替コンタクタ第1接点12aが閉成され、コイル7及びインバータ5が直流電源3の充電に用いられる場合は、機能切替コンタクタ第2接点12bが閉成される。
【0005】
しかし、車輪の駆動力源となる回転電機は、高電力密度となるように設計されており、コイル7は、交流直流変換器のインダクタとしてはインダクタンスが小さい。このため、交流直流変換の際に、外部交流電源4の系統電流の高調波電流の脈動のピーク値が大きくなる傾向がある。これを抑制するための1つの方法として、第1変換器100を構成するインバータ5の制御周波数を高くすることが考えられる。或いは、第2変換器200の側で脈動を軽減するべく、直流直流変換器の制御周波数を高くことが考えられる。但し、制御周波数を高くする場合には、インバータ5や直流直流変換器を制御する制御装置の制御周期(動作周波数)も短くする必要がある。また、早い制御周期に伴う高い周波数でのスイッチングは、インバータ5及び直流直流変換器が備えるスイッチング素子における損失を増大させ、車載充電装置の効率の低下に繋がる。また、制御装置として、高速動作が可能なマイクロコンピュータ等を用いる必要が生じ、車載充電装置のコストの上昇に繋がる。あるいは別の方法として、外部交流電源4とコイル7の中性点7Nとの間に、図12に示すようにインダクタ(L1)を追加することも考えられる。しかし、この場合も、インダクタ(L1)の追加は車載充電装置のコストの上昇に繋がる。
【0006】
上記背景に鑑みて、車載の回転電機のコイル及びインバータを利用して、外部交流電源からの電力により車載の直流電源を充電する車載充電装置をシステムコストの増加を抑制して構成することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みた車載充電装置は、中性点で互いに接続された複数相のコイルを備え、車輪の駆動力源となる回転電機と、直流と複数相の交流との間で電力を変換するインバータと、前記インバータを介して前記回転電機に接続される直流電源と、を備えた車両に搭載され、外部交流電源から供給される電力によって前記直流電源を充電する車載充電装置であって、前記外部交流電源の側の交流電力と第1の直流電力との間で電力を変換する交流直流変換器と、前記第1の直流電力と前記直流電源の側の第2の直流電力との間で電力を変換する直流直流変換器と、を備え、前記直流直流変換器は、前記交流直流変換器の側の第1アームと、前記直流電源の側の第2アームと、前記第1アームと前記第2アームとの間に配置されたリアクトルと、を備えたHブリッジ回路を備え、前記リアクトルが複数の前記コイルを用いて構成され、前記第2アームが前記インバータを用いて構成されている。
【0008】
この構成によれば、車載充電装置を構成する交流直流変換器と直流直流変換器との内、適切なインダクタンスが必要な交流直流変換器が、回転電機の駆動系回路(コイル及びインバータ)を用いることなく構成される。車載充電装置に回転電機のコイルを用いる場合、当該コイルのインダクタンスが小さいことにより、必要な性能を確保することが困難となる場合がある。しかし、本構成によれば、回転電機のコイルを用いず、適切なインダクタンスが設定可能な交流直流変換器により、力率改善などの充分な性能を確保して交流直流変換器を構成することができる。また、直流直流変換器が回転電機の駆動系回路を用いて構成されるため、車載充電装置のコストを低減することができる。さらに、交流直流変換器に適切なインダクタンスを設定可能なことにより、交流直流変換器を短い制御周期(高い制御周波数)で制御する必要もなく、交流直流変換器を構成するスイッチング素子の損失も低減し易い。
【0009】
また、中性点で互いに接続されて並列接続された複数相のコイルは見かけ上1つのコイルとなり、リアクトルを構成することができる。また、並列接続されたインバータの各相のアームは見かけ上1相のアーム(ハーフブリッジ)となり、第2アームを構成することができる。第1アームと第2アームとの間にコイルが配置されることで、第1アームと、リアクトル(コイル)と、第2アーム(インバータ)とによりHブリッジ回路を形成することができる。Hブリッジ回路を備えた直流直流変換器は、降圧及び昇圧の双方が可能である。車輪を駆動する回転電機に電力を供給するために車両に搭載される直流電源には、定格電圧が異なるものがある。同じ車種であってもグレードによって直流電源の定格電圧が異なる場合があり、例えば上級グレードでは、より高い出力を得るために定格電圧がより高い直流電源が搭載される場合もある。この電圧が一般的な商用電源から交流直流変換を行って得られる電圧よりも高い場合には、直流直流変換器において昇圧が必要となる。車両に応じて異なる構成の車載充電装置を搭載するとスケールメリットを得られず、車載充電装置のコストの低減が限定的となる。しかし、直流直流変換器が昇降圧機能を有して構成されることで同じハードウェアを用い、制御形態(例えばプログラムなどのソフトウェア)を変更することで多様なグレード、多様の車種に同じ車載充電装置を展開することができる。
【0010】
このように、本構成によれば、車載の回転電機のコイル及びインバータを利用して、外部交流電源からの電力により車載の直流電源を充電する車載充電装置をシステムコストの増加を抑制して構成することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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