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公開番号
2025015522
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-30
出願番号
2024116064
出願日
2024-07-19
発明の名称
フラットなオイル粘度の潤滑剤組成物
出願人
インフィニューム インターナショナル リミテッド
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C10M
169/04 20060101AFI20250123BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約
【課題】粘度特性が向上した潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】以下を含む潤滑油組成物。
(i)潤滑油組成物の質量に対して少なくとも50質量%の基油、
(ii)数平均分子量(Mn)が1600g/モル未満である少なくとも1種のキャップ型分散剤、
(iii)少なくとも1種のマグネシウム含有洗浄剤、
(iv)少なくとも1種のカルシウム含有洗浄剤、
(v)以下のような少なくとも1種の共重合体粘度調整剤であって:
1)相対KV140/相対KV20の比が1.9以上;
2)相対KV100/相対KV70の比が1.30以上;
3)共重合体粘度調整剤と、KV100(ASTMD445)が約4cStであり粘度指数(ASTMD2270)が約120であるグループIIIの基油との、KV100が約8cStであるブレンドについて、1)、2)、及び3)を測定したときの粘度指数(ASTMD2270)が320以上である、共重合体粘度調整剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
潤滑油組成物であって、以下:
(i)前記潤滑油組成物の質量に対して少なくとも50質量%の基油、
(ii)数平均分子量(Mn)が1600g/モル未満である重合体から誘導した少なくとも1種のキャップ型分散剤、
(iii)少なくとも1種のマグネシウム含有洗浄剤、
(iv)少なくとも1種のカルシウム含有洗浄剤、
(v)以下のような少なくとも1種の共重合体粘度調整剤であって:
1)相対KV140/相対KV20の比が1.9以上であり;
2)相対KV100/相対KV70の比が1.30以上であり;
3)前記共重合体粘度調整剤と、KV100(ASTM D445)が約4cStであり粘度指数(ASTM D2270)が約120であるグループIIIの基油との、KV100が約8cStであるブレンドについて、1)、2)、及び3)を測定したときの粘度指数(ASTM D2270)が320以上である、共重合体粘度調整剤
を含むか、又はこれらを混和して得られる潤滑油組成物。
続きを表示(約 2,500 文字)
【請求項2】
前記キャップ型分散剤は下記式で表され:
JPEG
2025015522000053.jpg
43
119
式中、R
11
及びR
12
はそれぞれ個別に、水素又はヒドロカルビル基であり、ただし、同じコハク酸イミド環に結合したR
11
及びR
12
がともに水素であることはなく;zは0~10の整数であり;各R
13
は個別にアセチル基であるか、又は異なる窒素原子に結合した2つの近接するR
13
基は互いに結合してもよい
請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記共重合体粘度調整剤は、水素化ポリブタジエン系(アルカ)アクリル酸エステルマクロ単量体由来の繰り返し単位を有する櫛型共重合体である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記成分(v)のグループIIIの基油は、KV140が2cStであり、KV20が44cStであり、KV70が19cStである(ASTM D445)、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
潤滑油組成物であって、以下:
(i)前記潤滑油組成物の質量に対して少なくとも50質量%の基油;
(ii)数平均分子量(Mn)が1600g/モル未満である重合体から誘導し、下記式で表わされる少なくとも1種のキャップ型分散剤であって:
JPEG
2025015522000054.jpg
43
119
式中、R
11
及びR
12
はそれぞれ個別に、水素又はヒドロカルビル基であり、ただし、同じコハク酸イミド環に結合したR
11
及びR
12
がともに水素であることはなく;zは0~10の整数であり;各R
13
は個別にアセチル基であり、又は異なる窒素原子に結合した2つの近接するR
13
基は互いに結合してもよい、キャップ型分散剤;
(iii)少なくとも1種のマグネシウム含有洗浄剤;
(iv)少なくとも1種のカルシウム含有洗浄剤;
(v)少なくとも以下の単量体の反応生成物を含む少なくとも1種の櫛型共重合体粘度調整剤であって:
(a)水素化ポリブタジエン系(アルカ)アクリル酸エステルマクロ単量体;
(b)C
3
‐C
8
アルキル(アルカ)アクリル酸エステル単量体;
(c)C
12
‐C
24
アルキル(アルカ)アクリル酸エステル単量体;及び
(d)以下の構造(II)を有する、C
1
‐C
18
アルキル末端キャップ型又はC
6
‐C
20
アリール‐、アラルキル‐、もしくはアルカリール‐末端キャップ型C
2
‐C
6
オキシアルキル又はC
2
‐C
6
オリゴ(アルキレングリコール)系(アルカ)アクリル酸エステル単量体、及び/あるいはヒドロキシアルキル‐もしくはH‐末端キャップ型オリゴ(アルキレングリコール)系(アルカ)アクリレート単量体であって:
JPEG
2025015522000055.jpg
49
170
式中、R
2
は水素又はC
1
‐C
2
アルキルを表し、mは、‐(CH
2
)
m
‐が酸素間の直鎖状、分枝状、及び/又は環状アルキル基を表せるように2~6であり、nは1~10であり、R
1
はH、C
1
‐C
18
直鎖状、分枝状、及び/もしくは環状アルキル末端キャップ又はC
6
‐C
20
アリール‐、アラルキル‐、もしくはアルカリール‐末端キャップを表す、単量体、
ここで、(c)及び(d)の組み合わせはまとまって共重合体中の全繰り返し単位の質量に対して20.0質量%を超える櫛型共重合体粘度調整剤の繰り返し単位を含む、櫛型共重合体粘度調整剤
を含むか、又はこれらを混和して得られる潤滑油組成物。
【請求項6】
前記アルキル基が少なくとも1種の第二級アルコールから誘導されるアルキルチオリン酸金属を更に含む請求項5に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
前記アルキルチオリン酸金属の前記アルキル基は少なくとも1種の第一級アルコール及び少なくとも1種の第二級アルコールから誘導される、請求項6に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
前記アルキルチオリン酸金属は1種以上のジアルキルジチオリン酸亜鉛を含み、前記アルキル基は第二級アルコール又は第一級アルコールと第二級アルコールとの混合物から少なくとも部分的に誘導される、請求項6に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
前記アルキルチオリン酸金属は式Zn[SP(S)(OR
1
)(OR
2
)]
2
で表され、式中、R
1
及びR
2
はそれぞれ個別にC
1
‐C
18
アルキル基である、請求項に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
R
1
及びR
2
のうちの1つ、2つ、3つ、及び/又は4つは第二級C
2
‐C
12
アルキル基である、請求項9に記載の潤滑油組成物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年7月20日出願の米国仮特許出願第63/514,687号に基づく優先権、及びその利益を主張する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【0002】
本開示は、エンジンのクランクケース用途、特に圧縮点火式エンジン及び/又は火花点火式用途における、フラット粘度特性を有する潤滑剤組成物の添加剤としての、櫛型共重合体粘度調整剤、キャップした低分子量分散剤、並びにカルシウム洗浄剤とマグネシウム洗浄剤との組み合わせの利用に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、粘度特性が向上した潤滑油組成物に関する。より具体的には、本発明は、ガソリン(火花点火式)及びディーゼル(圧縮点火式、火花補助圧縮点火式)内燃機関で使用するための、クランクケース潤滑剤と称する駆動系及び自動車用クランクケース潤滑油組成物;また、潤滑油組成物で潤滑されたエンジンの燃費性能を向上させるための、このような潤滑油組成物への添加剤の使用に関する。
近年ますます燃費が重要視されている。車両の燃費を向上させるための1つのアプローチは、エンジン内の摩擦を低減する新規な低粘度潤滑油を設計することである。燃費を向上させ、CO
2
排出量を最適に削減する試みとして、他社ブランド製造(OEM)による低粘度等級の使用や規定化が急速に拡大している。SAE粘度等級を下げたエンジンオイル及び/又は駆動列トランスミッションオイルを提供する課題の1つは、より高い使用温度範囲でエンジン潤滑の利点を維持することである。潤滑油は、エンジン温度が上昇するにつれて希薄になり、動粘度が低下する傾向にある。このことは、とりわけ、濃密な潤滑油用に設計したエンジンにおいて、潤滑効果及び保護効果が低下するため、希薄なオイルとしては望ましくない。SAE 0W‐8等級のような既存の低粘度エンジンオイルでは、燃料効率と信頼性とのバランスを達成することは難しい。例えば、(高温での)粘度が低いと、潤滑系の様々な部品でオイル漏出の量が増加し、その結果、油圧が低下するため、エンジンのハードウェアは漏出を補うように適合させる必要があり、燃費効果が低下する。
【0004】
車両の燃費を改善するための1つのアプローチは、エンジンの使用温度範囲全体に渡って「フラット」粘度を維持しながら摩擦を低減する新規な潤滑油を設計することである。このようなオイルは、望ましい燃費の利点を提供しつつ煤煙処理性を改善し、また/あるいは耐摩耗性を強化することが望ましい。これらの要件を満たす低粘度等級の新規なエンジンオイルを提供する必要がある。
「フラット粘度オイル」は、温度上昇に伴う粘度変化が従来のオイルより大幅に低いエンジンオイルである。フラット粘度オイルは、使用温度範囲での変化が少ないため、依然として、より広いエンジン運転範囲において意図する潤滑機能を発揮する。フラットなオイルを得るために提案されている方法は、低粘度基油の寄与を増やし、高粘度指数の粘度調整剤を添加することである。これにより、低~中温域では動粘度が低下し、高温領域では増粘効果が高まる。
【0005】
フラット粘度エンジンオイルは、(低~中温域(約20~70℃)での粘度を更に低下させることにより)燃料効率を向上させ、(粘度を、高温域で従来規格の範囲内に維持することにより)信頼性を向上させることが必要である。また、Yamamori,K.ら、「Research on Ultra‐High Viscosity Index Engine Oil Part 1‐“Flat Viscosity”Concept and Contribution to Carbon Neutrality」、SAE Technical Paper、2022年、2022‐01‐0525、doi:10.4271/2022‐01‐0525;及びKoyama,T.ら、「Research on Ultra‐High Viscosity Index Engine Oil:Part2‐Influence of Engine Oil Evaporation Characteristics on Oil Consumption of Internal Combustion Engines」、SAE Technical Paper、2022年、2022‐01‐0524、doi:10.4271/2022‐01‐0524も参照されたい。
【0006】
主要なエンジンメーカーらは、2025年までにSAE 0W‐8、0W‐12、0W‐16(及び0W‐20も含まれる可能性がある)用の現在の工場充填オイル及び純正オイルを、フラット粘度エンジンオイルに置き換えることを目標としている。そのため、フラットなオイル特性を有する新規な低SAE粘度等級の潤滑油が可能な限り早急に提供されることが望まれている。
米国特許第2021/0189281号明細書、米国特許第2021/0179961号明細書、米国特許第2021/0179960号明細書、米国特許第11,384,311号明細書、米国特許第2021/0179965号明細書、及び米国特許第11,365,273号明細書は、様々な櫛型共重合体粘度調整剤、及び潤滑油組成物におけるその使用を開示している。
特開第2023/004932号明細書は、ポリメタクリレート櫛形共重合体、GTLベースストック、洗浄剤、分散剤、酸化防止剤を含み、HTHS150が2.25~2.54MPa・sであり、KV
80
が8.5~9.5cStであり、KV
60
が13.0~14.2cStであり、ノアック蒸発量が組成物に対して15~25質量%である潤滑剤ブレンドを開示している。
特開第2022/120328号明細書は、櫛型共重合体及びエステルベースストックを含有し、ノアック蒸発量が15~25質量%未満である潤滑剤ブレンドを開示している。
【0007】
特開第2022/022996号明細書は、櫛型共重合体及びベースストックを含有し、ノアック蒸発量が15~25質量%未満であり、KV
100
が6.1~9.3cStである潤滑剤ブレンドを開示している。
特開第2022/022491号明細書は、櫛型共重合体及びベースストックを含有し、ノアック蒸発量が25~40質量%未満であり、KV
100
が2.5~3.5cStである潤滑剤ブレンドを開示している。
国際公開第2022210065号は、櫛型共重合体、ベースストック、酸素添加合成油を含有する潤滑剤ブレンドを開示している。
国際公開第2022201845号は、マグネシウム洗浄剤、及び任意に特定の比率のホウ酸化カルシウム洗浄剤を含有する潤滑剤ブレンドを開示している。
【0008】
有機カーボネート又は類似のキャッピング剤(エポキシド、ラクトン、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸)でキャップした分散剤は一般的な技術であり、例えば、2段階の後処理に供するコハク酸イミド分散剤を報告している米国特許公開第2010/0160192号明細書を参照されたい;その後処理では、コハク酸イミドを、初めに無水フタル酸又は無水ナフタル酸と反応させ、初期の後処理コハク酸イミドを生成し、次いでこれを環状カーボネートと反応させ、少なくとも1つの塩基性窒素が残存する最終的な後処理コハク酸イミドを形成する。
同様に、米国特許第8,901,050号明細書には、シラン系腐食防止剤と共に、ホウ酸化ビスコハク酸イミド、エチレンカーボネート後処理ビスコハク酸イミド、及びポリコハク酸イミド共重合体系分散剤を含む分散剤混合物を使用することにより、潤滑油組成物の銅腐食性能を向上させる方法が記載されている。
【0009】
米国特許第10,407,640号明細書は船舶用ディーゼルシリンダー潤滑油組成物を目的とし、前記組成物は(a)潤滑粘度を有する主要量のII族ベースストック油、及び(b)船舶用ディーゼルシリンダー潤滑油組成物の総質量に対して活性基準で約1.5~約8.0質量%の量の非ホウ酸化後処理ポリブテンビス‐コハク酸イミド分散剤を含む。ここで、ポリブテン置換基は、約1500~約2500の数平均分子量のポリブテン基に由来し、船舶用ディーゼルシリンダー潤滑油組成物のTBNは約5~約20であり、更に、非ホウ酸化後処理ポリブテンビスコハク酸イミドは、環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート)後処理ポリブテンビス‐コハク酸イミド分散剤である。
【0010】
他の有意義な参考文献としては:J.Bartz、「Additive fur Schmierstoffe[Additives for Lubricants]、Expert‐Verlag、Renningen‐Malmsheim、1994年、p.197‐252;米国特許第3,702,300号明細書;米国特許第8,324,139号明細書;米国特許第8,455,568号明細書;米国特許第8,901,050号明細書;米国特許第8,927,469号明細書;米国特許第10,179,886号明細書;米国特許第8,927,469号明細書;米国特許第10,407,640号明細書;米国特許第10,174,272号明細書;米国特許第8,927,469号明細書;米国特許第10,179,886号明細書;米国特許第11,390,825号明細書;米国特許公開第2010/0160192号明細書;及び米国特許第2018/0334635号明細書;欧州特許庁公開第0 969 077号明細書;欧州特許第0 637 332号明細書、欧州特許第0 937 769号明細書、及び欧州特許第0 979 834号明細書が挙げられる。
現在、驚くべきことに、キャップした分散剤と併用した特定の櫛型共重合体を、例えば内燃機関内の潤滑剤組成物中で使用することにより、燃費及び/又は摩耗特性の向上に加えて望ましいフラット粘度オイル特性を提供できることが、本発明者らにより見出された。
本開示はまた、キャップした低粘度分散剤と本開示に従った櫛型共重合体粘度調整剤とを併用することにより、本開示に従ったフラットなオイル粘度特性を有する高燃料効率潤滑剤組成物を提供する。
【発明の概要】
(【0011】以降は省略されています)
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