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公開番号2025012992
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023116228
出願日2023-07-14
発明の名称能動型騒音低減装置
出願人本田技研工業株式会社
代理人弁理士法人大島特許事務所
主分類G10K 11/178 20060101AFI20250117BHJP(楽器;音響)
要約【課題】IMC型の能動型騒音低減装置において、雑音の追加によって乗員に不快感を与えることなく、二次経路フィルタの適応更新を正確に行う。
【解決手段】能動型騒音低減装置1は、打消音出力装置21と、誤差信号eを生成する誤差マイク22と、誤差信号eに基づいて打消音出力装置21を制御する制御装置23と、を備え、制御装置23は、制御信号uを生成する制御フィルタWと、打消音出力装置21から誤差マイク22までの伝達関数Cの推定値を示す二次経路フィルタC^と、騒音源から誤差マイク22までの伝達関数Pの推定値を示す一次経路フィルタP^と、備え、一次経路フィルタP^は、参照信号rに基づいて騒音推定信号d^を生成し、二次経路フィルタC^及び一次経路フィルタP^は、参照信号r及び騒音推定信号d^に基づいて生成される仮想誤差信号evに基づいて、適応的に更新される。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
騒音を打ち消すための打消音を出力する打消音出力装置と、
前記騒音及び前記打消音に基づいて誤差信号を生成する誤差マイクと、
前記誤差信号に基づいて前記打消音出力装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記打消音出力装置を制御するための制御信号を生成する制御フィルタと、
前記打消音出力装置から前記誤差マイクまでの伝達関数の推定値を示す二次経路フィルタと、を備え、
前記二次経路フィルタは、前記制御信号に基づいて打消音推定信号を生成し、
前記制御フィルタは、前記誤差信号及び前記打消音推定信号に基づいて生成される参照信号に基づいて、前記制御信号を生成するIMC型の能動型騒音低減装置であって、
前記制御装置は、騒音源から前記誤差マイクまでの伝達関数の推定値を示す一次経路フィルタを更に備え、
前記一次経路フィルタは、前記参照信号に基づいて騒音推定信号を生成し、
前記二次経路フィルタ及び前記一次経路フィルタは、前記参照信号及び前記騒音推定信号に基づいて生成される仮想誤差信号に基づいて、適応的に更新される能動型騒音低減装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記制御装置は、共通の正規化除数によって、前記二次経路フィルタの適応更新量及び前記一次経路フィルタの適応更新量を正規化する請求項1に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項3】
前記二次経路フィルタは、前記制御信号及び前記仮想誤差信号に基づいて適応的に更新され、
前記一次経路フィルタは、前記参照信号及び前記仮想誤差信号に基づいて適応的に更新され、
前記共通の正規化除数は、前記参照信号の信号ベクトルのノルムと、前記制御信号の信号ベクトルのノルムと、を含んでいる請求項2に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項4】
前記二次経路フィルタは、有限インパルス応答フィルタによって構成され、
前記制御装置は、前記二次経路フィルタのインパルス応答の特性に対応した重み付け係数によって、前記二次経路フィルタの適応更新量を調整する請求項1に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記打消音出力装置から前記誤差マイクまでの距離に応じた前記二次経路フィルタのインパルス応答の遅延時刻において最大になるように、前記重み付け係数を設定する請求項4に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記遅延時刻から時間が進むにつれて小さくなるように、前記重み付け係数を設定する請求項5に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項7】
前記制御フィルタは、前記誤差信号に基づいて適応的に更新され、
前記制御装置は、前記打消音出力装置が前記打消音を出力した時刻から所定時間経過後にステップ状に減少する重み付け係数によって、前記制御フィルタの適応更新量を調整する請求項1に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記誤差信号から所定の制御対象周波数帯の成分を抽出することで抽出誤差信号を生成するバンドパスフィルタを更に備え、
前記参照信号は、前記抽出誤差信号及び前記打消音推定信号に基づいて生成される請求項1~7のいずれか1項に記載の能動型騒音低減装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
ランダムノイズを発生させるノイズ発生部と、
前記ランダムノイズのうちの前記制御対象周波数帯の成分を減衰させることでノイズ信号を生成するバンドストップフィルタと、を更に備え、
前記制御フィルタは、前記抽出誤差信号及び前記ノイズ信号に基づいて適応的に更新される請求項8に記載の能動型騒音低減装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音とは逆位相の打消音を騒音に干渉させることで騒音を低減する能動型騒音低減装置に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中の高齢者や子供といった脆弱な立場にある人々に配慮し、このような人々に持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。その実現に向けて、車両の居住性に関する開発を通して、交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発が注目されている。
【0003】
車両の居住性を向上させるためには、車内空間における騒音の低減を図ることが好ましい。そこで、騒音とは逆位相の打消音を騒音に干渉させることで騒音を低減する能動型騒音低減装置の研究開発が積極的に行われている。
【0004】
従来、フィードバック制御型の能動型騒音低減装置として、IMC(Internal Model Control)型の能動型騒音低減装置が知られている。IMC型の能動型騒音低減装置は、誤差マイクによって生成される誤差信号と、二次経路フィルタによって生成される打消音推定信号と、に基づいて、制御装置の内部で参照信号を生成するように構成されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、白色ノイズ発生部によって白色ノイズを発生させ、この白色ノイズと誤差信号とに基づいて二次経路フィルタ(特許文献1の「ADF25」参照)を適応的に更新するように構成されたIMC型の能動型騒音低減装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平8-221079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、二次経路フィルタの適応更新のための白色ノイズが、打消音とともに打消音出力装置(特許文献1の「スピーカ4」参照)から出力される。そのため、白色ノイズが車室内の乗員に聞こえてしまい、乗員に不快感を与える恐れがある。一方で、白色ノイズが車室内の乗員に聞こえないように白色ノイズを小さくすると、二次経路フィルタの適応更新を正確に行えなくなる恐れがある。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑み、IMC型の能動型騒音低減装置において、白色ノイズのような雑音の追加によって乗員に不快感を与えることなく、二次経路フィルタの適応更新を正確に行うことを課題とする。延いては、持続可能な輸送システムの発展に寄与することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、騒音を打ち消すための打消音を出力する打消音出力装置(21)と、前記騒音及び前記打消音に基づいて誤差信号(e)を生成する誤差マイク(22)と、前記誤差信号に基づいて前記打消音出力装置を制御する制御装置(23、73)と、を備え、前記制御装置は、前記打消音出力装置を制御するための制御信号(u)を生成する制御フィルタ(W)と、前記打消音出力装置から前記誤差マイクまでの伝達関数の推定値を示す二次経路フィルタ(c^)と、を備え、前記二次経路フィルタは、前記制御信号に基づいて打消音推定信号(y^)を生成し、前記制御フィルタは、前記誤差信号及び前記打消音推定信号に基づいて生成される参照信号(r)に基づいて、前記制御信号を生成するIMC型の能動型騒音低減装置(1、71)であって、前記制御装置は、騒音源から前記誤差マイクまでの伝達関数の推定値を示す一次経路フィルタ(P^)を更に備え、前記一次経路フィルタは、前記参照信号に基づいて騒音推定信号(d^)を生成し、前記二次経路フィルタ及び前記一次経路フィルタは、前記参照信号及び前記騒音推定信号に基づいて生成される仮想誤差信号(e

)に基づいて、適応的に更新される。
【0010】
この態様によれば、白色ノイズのような雑音を利用するのではなく、一次経路フィルタを利用して、二次経路フィルタを適応的に更新することができる。そのため、白色ノイズのような雑音の追加によって乗員に不快感を与えることなく、二次経路フィルタの適応更新を正確に行うことができる。
(【0011】以降は省略されています)

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