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公開番号
2024171246
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-11
出願番号
2023088218
出願日
2023-05-29
発明の名称
ヌクレオチドの可視化方法およびその利用
出願人
国立大学法人広島大学
代理人
弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類
C12N
15/63 20060101AFI20241204BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】生細胞内のヌクレオチドを可視化する方法を提供する。
【解決手段】特定の構造を有する第1の融合タンパク質、および特定の構造を有する第2の融合タンパク質を細胞内で発現させることを特徴とする、細胞内ヌクレオチドの可視化法。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
細胞内ヌクレオチドの可視化法であって、
第1の融合タンパク質、および
第2の融合タンパク質を細胞内で発現させることを特徴とし、
前記第1の融合タンパク質は、A-L
n
-X、またはX-L
n
-Aで示され、
前記第2の融合タンパク質は、B-L
n
-Y、またはY-L
n
-Bで示される、細胞内ヌクレオチドの可視化法。
(式中、
Aは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第1の部分であり、
Bは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第2の部分であり、
前記第1の部分および前記第2の部分は、それぞれ異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記細胞内ヌクレオチドと相互作用し、
XおよびYは、前記第1の融合タンパク質および前記第2の融合タンパク質と、前記細胞内ヌクレオチドとが、細胞内で会合した場合に、蛍光を発する、または発光する物質であり、
Lは、リンカーであり、
nは、前記Lのアミノ酸数を示し、0~100である。)
続きを表示(約 1,500 文字)
【請求項2】
前記細胞内ヌクレオチドが、損傷ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の可視化法。
【請求項3】
前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質が、前記損傷ヌクレオチドに結合するタンパク質である、請求項2に記載の可視化法。
【請求項4】
前記XおよびYが、fluoppiシステムを構成するAsh-TagおよびFP-tag、FRETを構成するドナー分子およびアクセプター分子、発光タンパク質を分割した第1の部分および第2の部分、または蛍光タンパク質を分割した第1の部分および第2の部分のいずれかの組み合わせである、請求項1~3のいずれか1項に記載の可視化法。
【請求項5】
第1の融合タンパク質、および第2の融合タンパク質からなる、細胞内ヌクレオチドの可視化用組み合わせであり、
前記第1の融合タンパク質は、A-L
n
-X、またはX-L
n
-Aで示され、
前記第2の融合タンパク質は、B-L
n
-Y、またはY-L
n
-Bで示される、組み合わせ。
(式中、
Aは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第1の部分であり、
Bは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第2の部分であり、
前記第1の部分および前記第2の部分は、それぞれ異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記細胞内ヌクレオチドと相互作用し、
XおよびYは、前記第1の融合タンパク質、前記第2の融合タンパク質、および前記細胞内ヌクレオチドが、細胞内で会合した場合に、蛍光を発する、または発光する物質であり、
Lは、リンカーであり、
nは、前記Lのアミノ酸数を示し、0~100である。)
【請求項6】
請求項5に記載の第1の融合タンパク質をコードする核酸、および請求項5に記載の第2の融合タンパク質をコードする核酸を含む、ベクター。
【請求項7】
請求項5に記載の組み合わせ、または請求項6に記載のベクターを含む、形質転換体。
【請求項8】
請求項5に記載の組み合わせ、または請求項6に記載のベクターを含む、細胞内ヌクレオチドの可視化用キット。
【請求項9】
抗がん剤の候補物質のスクリーニング方法であって、
(A)請求項7に記載の形質転換体と、試験物質とを接触させる工程、
(B)前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光を測定する工程、および
(C)前記試験物質と接触させた前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光が、前記試験物質を接触させない場合と比べて高い場合に、前記試験物質が抗がん剤の候補物質であると判定する工程、を含み、
可視化の対象となる前記細胞内ヌクレオチドが損傷ヌクレオチドである、スクリーニング方法。
【請求項10】
抗酸化剤の候補物質のスクリーニング方法であって、
(a)請求項7に記載の形質転換体と、試験物質とを接触させる工程、
(b)前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光を測定する工程、および
(c)前記試験物質と接触させた前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光が、前記試験物質を接触させない場合と比べて低い場合に、前記試験物質が抗酸化剤の候補物質であると判定する工程、を含み、
可視化の対象となる前記細胞内ヌクレオチドが損傷ヌクレオチドである、スクリーニング方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌクレオチドの可視化方法およびその利用に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
ヌクレオチドは核酸関連化合物であり、塩基部、糖部およびリン酸から構成されている。ヌクレオチドは、DNAおよびRNAの原料、または代謝物であるが、「細胞内のエネルギー通貨」として知られるアデノシン5’-3リン酸(ATP)、細胞内情報伝達に関与するグアノシン5’-3リン酸(GTP)などもヌクレオチドに含まれる。
【0003】
細胞内のヌクレオチドを検出する方法として、様々な方法が提示されている。そのような方法としては例えば、細胞膜を破壊した細胞等に含まれるヌクレオチドを高速液体クロマトグラフィー等により検出する方法(非特許文献1、2)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
S. Matsuda and T. Kasahara, Simultaneous and absolute quantification of nucleoside triphosphates using liquid chromatography-triple quadrupole tandem mass spectrometry. Genes Environ. 40, 13 (2018)
Z. F. Pursell, J. T. McDonald, C. K. Mathews, T. A. Kunkel, Trace amounts of 8-oxo-dGTP in mitochondrial dNTP pools reduce DNA polymerase γ replication fidelity. Nucleic Acids Res. 36, 2174-2181 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、細胞内のヌクレオチドを可視化するために、細胞を破壊する必要があった。
【0006】
そこで、本発明の一態様は、細胞(とりわけ、生細胞)内のヌクレオチドを可視化する方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、特定の構造を有する第1の融合タンパク質と、特定の構造を有する第2の融合タンパク質と、を細胞内で発現させることにより、細胞(とりわけ、生細胞)内のヌクレオチドを可視化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の構成を含む。
<1>細胞内ヌクレオチドの可視化法であって、第1の融合タンパク質、および第2の融合タンパク質を細胞内で発現させることを特徴とし、前記第1の融合タンパク質は、A-L
n
-X、またはX-L
n
-Aで示され、前記第2の融合タンパク質は、B-L
n
-Y、またはY-L
n
-Bで示される、細胞内ヌクレオチドの可視化法。(式中、Aは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第1の部分であり、Bは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第2の部分であり、前記第1の部分および前記第2の部分は、それぞれ異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記細胞内ヌクレオチドと相互作用し、XおよびYは、前記第1の融合タンパク質および前記第2の融合タンパク質と、前記細胞内ヌクレオチドとが、細胞内で会合した場合に、蛍光を発する、または発光する物質であり、Lは、リンカーであり、nは、前記Lのアミノ酸数を示し、0~100である。)
<2>前記細胞内ヌクレオチドが、損傷ヌクレオチドを含む、<1>に記載の可視化法。
<3>前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質が、前記損傷ヌクレオチドに結合するタンパク質である、<2>に記載の可視化法。
<4>前記XおよびYが、fluoppiシステムを構成するAsh-TagおよびFP-tag、FRETを構成するドナー分子およびアクセプター分子、発光タンパク質を分割した第1の部分および第2の部分、または蛍光タンパク質を分割した第1の部分および第2の部分のいずれかの組み合わせである、<1>~<3>のいずれかに記載の可視化法。
<5>第1の融合タンパク質、および第2の融合タンパク質からなる、細胞内ヌクレオチドの可視化用組み合わせであり、前記第1の融合タンパク質は、A-L
n
-X、またはX-L
n
-Aで示され、前記第2の融合タンパク質は、B-L
n
-Y、またはY-L
n
-Bで示される、組み合わせ。(式中、Aは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第1の部分であり、Bは、前記細胞内ヌクレオチドに結合するタンパク質の第2の部分であり、前記第1の部分および前記第2の部分は、それぞれ異なるアミノ酸配列を有し、かつ前記細胞内ヌクレオチドと相互作用し、XおよびYは、前記第1の融合タンパク質、前記第2の融合タンパク質、および前記細胞内ヌクレオチドが、細胞内で会合した場合に、蛍光を発する、または発光する物質であり、Lは、リンカーであり、nは、前記Lのアミノ酸数を示し、0~100である。)
<6><5>に記載の第1の融合タンパク質をコードする核酸、および<5>に記載の第2の融合タンパク質をコードする核酸を含む、ベクター。
<7><5>に記載の組み合わせ、または<6>に記載のベクターを含む、形質転換体。
<8><5>に記載の組み合わせ、または<6>に記載のベクターを含む、細胞内ヌクレオチドの可視化用キット。
<9>抗がん剤の候補物質のスクリーニング方法であって、(A)<7>に記載の形質転換体と、試験物質とを接触させる工程、(B)前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光を測定する工程、および(C)前記試験物質と接触させた前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光が、前記試験物質を接触させない場合と比べて高い場合に、前記試験物質が抗がん剤の候補物質であると判定する工程、を含み、可視化の対象となる前記細胞内ヌクレオチドが損傷ヌクレオチドである、スクリーニング方法。
<10>抗酸化剤の候補物質のスクリーニング方法であって、(a)<7>に記載の形質転換体と、試験物質とを接触させる工程、(b)前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光を測定する工程、および(c)前記試験物質と接触させた前記形質転換体における細胞内の蛍光または発光が、前記試験物質を接触させない場合と比べて低い場合に、前記試験物質が抗酸化剤の候補物質であると判定する工程、を含み、可視化の対象となる前記細胞内ヌクレオチドが損傷ヌクレオチドである、スクリーニング方法。
<11>細胞の酸化ストレスの測定に使用するための、<5>に記載の組み合わせ。
<12><5>または<11>に記載の組み合わせ、または<6>に記載のベクターを導入した細胞を用いて、当該細胞内の蛍光または発光を指標とすることにより、細胞の酸化ストレスを測定する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、細胞(とりわけ、生細胞)内のヌクレオチドを可視化する方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施例1に係る、dGまたはdG
O
を添加して培養した生細胞中のdG
O
TPの検出結果の観察像である。
実施例2の試験1に係る、dG
O
TPの検出結果の観察像である。
実施例2の試験1に係る、dG
O
TPの検出結果を示したグラフである。
実施例2の試験2に係る、dG
O
TPの検出結果の観察像である。
実施例2の試験2に係る、dG
O
TPの検出結果を示したグラフである。
実施例3の試験1に係る、dG
O
TPの検出結果の観察像である。
実施例3の試験1に係る、dG
O
TPの検出結果を示したグラフである。
実施例3の試験2に係る、dG
O
TPの検出結果の観察像である。
実施例3の試験2に係る、dG
O
TPの検出結果を示したグラフである。
実施例4に係る、dG
O
TPの検出結果の観察像である。
実施例4に係る、dG
O
TPの検出結果を示したグラフである。
実施例5に係る、dG
O
TPの検出結果を示した観察像である。
実施例5に係る、dG
O
TPの検出結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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