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公開番号2024170533
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-10
出願番号2024152697,2020188117
出願日2024-09-04,2020-11-11
発明の名称光学フィルタ
出願人AGC株式会社
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類G02B 5/28 20060101AFI20241203BHJP(光学)
要約【課題】可視光の高い透過性と近赤外光の高い遮蔽性を有し、高入射角においてもリップルが抑制され、近赤外光の高入射角における遮蔽性の変化が抑制された光学フィルタの提供。
【解決手段】基材と、前記基材の少なくとも一方の主面側に積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、前記基材は、色素(IR)と樹脂とを含み総厚が0.3~20μmである樹脂膜を少なくとも1層有し、前記光学フィルタが入射角0度、5度、40度での分光透過率曲線において特定の光学特性(i-1)、(i-2)、(i-4)、(i-7)~(i-10)をすべて満たす光学フィルタ。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基材と、前記基材の少なくとも一方の主面側に積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、
前記基材は、色素(IR)と樹脂とを含む樹脂膜を少なくとも1層有し、
前記樹脂膜の総厚が0.3~20μmであり、
前記光学フィルタが下記光学特性(i-1)、(i-2)、(i-4)、(i-7)~(i-10)をすべて満たす光学フィルタ。
(i-1)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、波長450~500nm、入射角5度での平均反射率R
450-500(5deg)AVE
が3%以下、かつ、入射角40度での平均反射率R
450-500(40deg)AVE
が5%以下
(i-2)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、波長500~580nm、入射角5度での平均反射率R
500-580(5deg)AVE
が2.5%以下、かつ、入射角40度での平均反射率R
500-580(40deg)AVE
が4%以下
(i-4)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、波長450~580nm、入射角5度での最大反射率R
450-580(5deg)MAX
が4%以下、かつ、入射角40度での最大反射率R
450-580(40deg)MAX
が6%以下
(i-7)波長450~580nmにおいて、入射角0度での平均透過率T
450-580(0deg)AVE
が88%以上
(i-8)波長600~800nmにおいて、入射角0度で透過率が20%になる波長と、入射角40度で透過率が20%になる波長との差の絶対値が10nm以下
(i-9)波長600~800nmにおいて、入射角0度で透過率が20%になる波長が640~690nmの範囲にある
(i-10)波長750~1000nmにおいて、入射角0度での最大透過率T
750-1000(0deg)MAX
が1%以下、かつ、入射角40度での最大透過率T
750-1000(40deg)MAX
が1%以下
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記光学フィルタが下記光学特性(i-3)を満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-3)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、前記R
450-500(5deg)AVE
>前記R
500-580(5deg)AVE
かつ、前記R
450-500(40deg)AVE
>前記R
500-580(40deg)AVE
の関係を満たす
【請求項3】
前記光学フィルタが下記光学特性(i-5)および(i-6)を満たす、請求項1または2に記載の光学フィルタ。
(i-5)波長450~500nmにおいて、入射角0度での透過率と入射角40度での透過率との差の最大値が6%以下
(i-6)波長500~580nmにおいて、入射角0度での透過率と入射角40度での透過率との差の最大値が5%以下
【請求項4】
前記樹脂膜が下記光学特性(ii-1)~(ii-6)をすべて満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
(ii-1)波長450~580nmにおける平均内部透過率T
450-580AVE
が88%以上
(ii-2)波長600~700nmにおいて、内部透過率が20%になる波長が640~690nmの範囲にある
(ii-3)波長700nmにおける内部透過率T
700
が1%以下
(ii-4)波長750nmにおける内部透過率T
750
が10%以下
(ii-5)波長800nmにおける内部透過率T
800
が20%以下
(ii-6)波長950nmにおける内部透過率T
950
が60%以上95%以下
【請求項5】
前記誘電体多層膜が下記光学特性(iv-1)~(iv-8)をすべて満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
(iv-1)波長450~580nmにおいて、入射角0度での平均透過率T
450-580(0deg)AVE
が90%以上、かつ、入射角40度での平均透過率T
450-580(40deg)AVE
が90%以上
(iv-2)波長450~500nmにおいて、入射角0度での平均透過率と入射角40度での平均透過率との差の絶対値が3%以下
(iv-3)波長500~580nmにおいて、入射角0度での平均透過率と入射角40度での平均透過率との差の絶対値が2%以下
(iv-4)波長450~500nmにおいて、入射角0度での透過率と入射角40度での透過率との差の最大値が6%以下
(iv-5)波長500~580nmにおいて、入射角0度での透過率と入射角40度での透過率との差の最大値が5%以下
(iv-6)波長600~800nmにおいて、入射角0度での透過率が20%になる波長が720~770nmの範囲にある
(iv-7)波長780~850nmにおいて、入射角0度での最大透過率T
780-850(0deg)MAX
が4%以上10%未満
(iv-8)波長900~980nmにおいて、入射角40度での最大透過率T
900-980(40deg)MAX
が1%以上5%未満
【請求項6】
前記色素(IR)は、
ジクロロメタン中で波長690nm以上735nm未満に最大吸収波長を有する化合物(A)、
ジクロロメタン中で波長735nm以上835nm未満に最大吸収波長を有する化合物(B)、
ジクロロメタン中で波長900nm以上1000nm以下に最大吸収波長を有する化合物(C)からそれぞれ1種類以上ずつ選ばれる化合物を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記化合物(A)の最大吸収波長と前記化合物(B)の最大吸収波長との差の最大値が40nm以上である、請求項6に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
前記基材は支持体と前記樹脂膜を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記支持体はフツリン酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、または石英ガラスのいずれかである、請求項8に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記樹脂膜を1層有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、可視波長領域の光を透過し、近赤外波長領域の光を遮断する光学フィルタに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し、紫外波長領域の光(以下「紫外光」ともいう)や近赤外波長領域の光(以下「近赤外光」ともいう)を遮断する光学フィルタが用いられる。
【0003】
このような光学フィルタは、例えば、透明基板の片面または両面に、屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層(誘電体多層膜)し、光の干渉を利用して遮蔽したい光を反射する反射型のフィルタ等、様々な方式が挙げられる。
【0004】
誘電体多層膜を有する光学フィルタは、光の入射角により誘電体多層膜の光学膜厚が変化するために、入射角に依存した分光透過率曲線の変化や、高入射角において高反射率を得るべき近赤外光が高透過率化する光抜け、誘電体多層膜が反射した近赤外光によるノイズの発生が問題である。このようなフィルタを使用すると、固体撮像素子の分光感度が入射角の影響を受けるおそれがある。特に、近年のカメラモジュール低背化に伴い高入射角条件での使用が想定される。
【0005】
また、誘電体多層膜では、多層膜の積層数に応じて各層界面の反射光に起因する干渉により透過率の激しい変化(リップル)が生じうる。また、リップルは入射角が大きいほど大きく発生する。可視波長領域の光を透過し、近赤外波長領域の光を遮断する光学フィルタに用いられる誘電体多層膜は、可視光を透過し、近赤外光以降の長波長の光を遮断するよう設計される。ここで従来の誘電体多層膜は、近赤外光領域の光抜けを抑制するよう設計される一方、可視光領域でリップルが生じ、しかも、考慮される入射角は30度程度までであった。
【0006】
特許文献1には、誘電体多層膜を備え、高入射角において可視光領域のリップルが抑制された近赤外線カットフィルタが記載されている。
特許文献2には、種々の近赤外線吸収色素を組み合わせることにより、誘電体多層膜を備えることなく入射角依存性を低減した光学フィルタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2019-120942号公報
特開2019-32371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1に記載の近赤外線カットフィルタは、高入射角において分光透過率曲線が変化し、近赤外光領域の遮蔽性が変化している。
特許文献2に記載の光学フィルタは、近赤外光領域の遮蔽性や入射角依存性を担保するために多量に用いられる色素によって可視光も吸収されてしまい、可視光領域の透過率が低い。
【0009】
本発明は、可視光の高い透過性と近赤外光の高い遮蔽性を有し、高入射角においてもリップルが抑制され、近赤外光の高入射角における遮蔽性の変化が抑制された光学フィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成を有する光学フィルタを提供する。
〔1〕
基材と、前記基材の少なくとも一方の主面側に積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、
前記基材は、色素(IR)と樹脂とを含む樹脂膜を少なくとも1層有し、
前記樹脂膜の総厚が0.3~20μmであり、
前記光学フィルタが下記光学特性(i-1)、(i-2)、(i-4)、(i-7)~(i-10)をすべて満たす光学フィルタ。
(i-1)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、波長450~500nm、入射角5度での平均反射率R
450-500(5deg)AVE
が3%以下、かつ、入射角40度での平均反射率R
450-500(40deg)AVE
が5%以下
(i-2)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、波長500~580nm、入射角5度での平均反射率R
500-580(5deg)AVE
が2.5%以下、かつ、入射角40度での平均反射率R
500-580(40deg)AVE
が4%以下
(i-4)前記光学フィルタの少なくとも一方の面において、波長450~580nm、入射角5度での最大反射率R
450-580(5deg)MAX
が4%以下、かつ、入射角40度での最大反射率R
450-580(40deg)MAX
が6%以下
(i-7)波長450~580nmにおいて、入射角0度での平均透過率T
450-580(0deg)AVE
が88%以上
(i-8)波長600~800nmにおいて、入射角0度で透過率が20%になる波長と、入射角40度で透過率が20%になる波長との差の絶対値が10nm以下
(i-9)波長600~800nmにおいて、入射角0度で透過率が20%になる波長が640~690nmの範囲にある
(i-10)波長750~1000nmにおいて、入射角0度での最大透過率T
750-1000(0deg)MAX
が1%以下、かつ、入射角40度での最大透過率T
750-1000(40deg)MAX
が1%以下
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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