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公開番号2024159941
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2024148113,2020017117
出願日2024-08-30,2020-02-04
発明の名称円偏光板およびそれを用いる有機EL表示装置
出願人住友化学株式会社
代理人個人,個人
主分類G02B 5/30 20060101AFI20241031BHJP(光学)
要約【課題】
本発明は、高温環境下にて色変化の小さい優れた円偏光板並びに円偏光板付き有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、二色性色素を含む偏光膜と厚み10μm以上80μm以下の透明保護フィルムとが積層された偏光板と、重合性液晶化合物Bを含む組成物の硬化物である位相差膜と、を含む円偏光板であって、
前記位相差膜が厚み5μm以下を有し、
前記重合性液晶化合物Bが分子構造中にエステル結合を有する化合物であり、
前記偏光板が温度23℃で湿度50%における平衡含水率1.5質量%以下を有する円偏光板を提供する。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
二色性色素を含む偏光膜と厚み10μm以上80μm以下の透明保護フィルムとが積層された偏光板と、重合性液晶化合物Bを含む組成物の硬化物である位相差膜と、を含む円偏光板であって、
前記位相差膜が厚み5μm以下を有し、
前記重合性液晶化合物Bが分子構造中にエステル結合を有する化合物であり、
前記偏光板が温度23℃で相対湿度50%における平衡含水率1.5質量%以下を有する円偏光板。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
二色性色素がアゾ色素である請求項1に記載の円偏光板。
【請求項3】
透明保護フィルムが環状オレフィン系樹脂である請求項1または2に記載の円偏光板。
【請求項4】
前記偏光膜は、重合性基としてアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する重合性液晶化合物Aの硬化物を更に含む請求項1~3のいずれかに記載の円偏光板。
【請求項5】
前記偏光膜がX線回折測定においてブラッグピークを示す請求項1~4のいずれかに記載の円偏光板。
【請求項6】
該重合性液晶化合物Aの硬化物が、スメクチック液晶相を示し水平配向状態で硬化されている請求項4に記載の円偏光板。
【請求項7】
前記位相差膜が下記式(1)を満たす請求項1~6いずれかに記載の円偏光板。
100 ≦ Re(550) ≦ 180 (1)
[式中、Re(550)は波長550nmにおける面内位相差値を表す。]
【請求項8】
前記位相差膜が式(2)を満たす、請求項1~7いずれかに記載の円偏光板。
Re(450)/Re(550)<1 (2)
[式中、Re(450)およびRe(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおける面内位相差値を表す。]
【請求項9】
前記位相差膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸との成す角度が実質的に45°である請求項1~8のいずれかに記載の円偏光板。
【請求項10】
前記重合性液晶化合物Bが、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも一方の重合性基を有する請求項1~9のいずれかに記載の円偏光板。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、円偏光板およびそれを用いる有機EL表示装置に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、薄型ディスプレイの普及と共に、有機ELパネルを搭載したディスプレイ(有機EL表示装置)が普及している。有機ELパネルは内部の金属電極で外光が反射されてしまうため明瞭な黒表示が得られないという問題を生じる。この問題に対して、円偏光板を視認面に設けることによって、外光反射防止を抑制することができる。すなわち、視認者からの積層順としては、円偏光板→有機ELディスプレイである。円偏光板は、一般的に偏光板と位相差膜を積層する事で作製することができる。偏光板としては、一般的にPVA(ポリビニルアルコール)を延伸しヨウ素で染色した偏光子に透明保護フィルムを積層したものが、位相差膜としては、延伸フィルムや液晶分子配向させた位相差膜(λ/4板)が用いられる。この際、長波長ほど複屈折性が大きくなる性質(逆波長分散特性)を示すようなλ/4板が好適に用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
有機EL表示装置においては、使用環境によって有機EL層が酸素並びに水分によって劣化し発光しなくなるという課題があり、有機ELパネルの両面をガラス等の透湿度の低い基材によって保護される場合がある。また、パネルの最表面も耐水面から透湿度の低い基材によって保護される場合がある。しかしながら、このような構成時、位相差膜の種類によっては高温環境下で色変化を生じるという問題があることがわかった。鋭意検討した結果、偏光板を形成する保護フィルムやポリビニルアルコール等が有するわずかな水分が系内に残留し、その水分によって位相差膜の加水分解が起こり、これが色変化を引き起こす事がわかった。
【0004】
そこで、本発明においては、高温環境下にて色変化の小さい優れた円偏光板並びに円偏光板付き有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の好適な態様[1]~[12]に関する。
[1]二色性色素を含む偏光膜と厚み10μm以上80μm以下の透明保護フィルムとが積層された偏光板と、重合性液晶化合物Bを含む組成物の硬化物である位相差膜と、を含む円偏光板であって、
前記位相差膜が厚み5μm以下を有し、
前記重合性液晶化合物Bが分子構造中にエステル結合を有する化合物であり、
前記偏光板が温度23℃で相対湿度50%における平衡含水率1.5質量%以下を有する円偏光板。
[2]二色性色素がアゾ色素である[1]に記載の円偏光板。
[3]透明保護フィルムが環状オレフィン系樹脂である[1]または[2]に記載の円偏光板。
[4]前記偏光膜は、重合性基としてアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有する重合性液晶化合物Aの硬化物を更に含む[1]~[3]のいずれかに記載の円偏光板。
[5]前記偏光膜がX線回折測定においてブラッグピークを示す[1]~[4]のいずれかに記載の円偏光板。
[6]該重合性液晶化合物Aの硬化物が、スメクチック液晶相を示し水平配向状態で硬化されている[4]に記載の円偏光板。
[7]前記位相差膜が下記式(1)を満たす[1]~[6]いずれかに記載の円偏光板。
100 ≦ Re(550) ≦ 180 (1)
[式中、Re(550)は波長550nmにおける面内位相差値を表す。]
[8]前記位相差膜が式(2)を満たす、[1]~[7]いずれかに記載の円偏光板。
Re(450)/Re(550)<1 (2)
[式中、Re(450)およびRe(550)はそれぞれ波長450nmおよび550nmにおける面内位相差値を表す。]
[9]前記位相差膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸との成す角度が実質的に45°である[1]~[8]のいずれかに記載の円偏光板。
[10]前記重合性液晶化合物Bが、アクリロイルオキシ基及びメタクリロイルオキシ基の少なくとも一方の重合性基を有する[1]~[9]のいずれかに記載の円偏光板。
[11]前記重合性液晶化合物Bが下記式(II)で表される化合物である[1]~[10]のいずれかに記載の円偏光板。
TIFF
2024159941000001.tif
18
146
式(II)中、
Arは置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。


及びG

はそれぞれ独立に、二価の芳香族基または二価の脂環式炭化水素基を表す。


及びL

はそれぞれ独立に、エステル構造を有する二価の連結基である。


及びT

はそれぞれ独立に、単結合又は二価の連結基である。
h及びiはそれぞれ独立に0~3の整数を表し、1≦h+i関係を満たす。ここで、2≦h+iである場合、T

及びT

、G

及びG

は、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。


及びE

はそれぞれ独立に、炭素数1~17のアルカンジイル基を表し、ここで、アルカンジイル基に含まれる水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよく、アルカンジイル基に含まれる-CH

-は、-O-、-S-、-COO-で置換されていてもよく、-O-、-S-、-COO-を複数有する場合は互いに隣接しない。


及びP

は互いに独立に、重合性基又は水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
[12]偏光板は、偏光膜の片面のみに透明保護フィルムを積層している[1]~[11]のいずれかに記載の円偏光板。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の円偏光板を含む有機EL表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の円偏光板は、高温環境下であっても色変化を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
円偏光板は、偏光板と位相差膜とから構成されている。本発明では、偏光板の温度23℃で湿度50%における平衡含水率を1.5質量%以下に制御することが必要である。平衡含水率は、一定の温度、湿度の空気中において材質中の水分量がその雰囲気中で平衡に達した状態における含水率であると定義される。本発明では、偏光板(サイズ:幅4cm長さ10cm)を温度23℃、相対湿度50%のクリーンルームで1日間保持し質量を測定した後、その偏光板を105℃1時間乾燥させ質量を測定し、以下の式で計算した値を平衡含水率とする:
(温度23℃で相対湿度50%での質量-105℃で1時間乾燥後の質量)÷(温度23℃で相対湿度50%での質量)×100
【0008】
本発明では、偏光板の平衡含水率が1.5質量%よりも高いと、高温下での円偏光板の色変化が起こりやすくなり好ましくない。偏光板の平衡含水率は、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。偏光板の平衡含水率の下限は、0であってもよい。偏光板の平衡含水率が1.5質量%より高いときは、乾燥することにより、平衡含水率を下げることができる。乾燥は、加熱の他、乾燥環境に静置する等適宜行われる。
【0009】
本発明の円偏光板は、二色性色素を含む偏光膜と厚み10μm以上80μm以下の透明保護フィルムとが積層された偏光板、及び重合性液晶化合物Bを含む組成物の硬化物である位相差膜を含む。
【0010】
<偏光膜>
偏光膜は、光吸収異方性の機能を有する膜である。偏光膜は、二色性色素を吸着させた延伸フィルムであってもよいし、水平配向された重合性液晶化合物と水平配向された二色性色素とを含む組成物の硬化物であってもよい。前記平衡含水率の観点から偏光膜は重合性液晶化合物の重合体からなる偏光膜の方がより好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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