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公開番号2024153517
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-29
出願番号2023067498
出願日2023-04-17
発明の名称超接合炭化珪素半導体装置および超接合炭化珪素半導体装置の製造方法
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所,富士電機株式会社
代理人個人
主分類H01L 29/78 20060101AFI20241022BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】n型の半導体層の形成の際に、面内のキャリア濃度分布の影響を小さくできる超接合炭化珪素半導体装置および超接合炭化珪素半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】超接合炭化珪素半導体装置は、炭化珪素半導体基板1と、第1導電型の第1半導体層17と、第1導電型の第1カラム領域4と第2導電型の第2カラム領域3とが繰り返し交互に配置された並列pn領域21と、第1導電型の第2半導体層5と、第2導電型の第3半導体層6と、第1導電型の第1半導体領域7と、トレンチ16と、第2導電型の第2半導体領域14と、第2導電型の第3半導体領域15と、ゲート電極10と、第1電極12と、を備える。第1カラム領域4および第2カラム領域3は、不純物としてリンを含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1導電型の炭化珪素半導体基板と、
前記炭化珪素半導体基板のおもて面に設けられた第1導電型の第1半導体層と、
前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた、第1導電型の第1カラム領域と第2導電型の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な面において繰り返し交互に配置された並列pn領域と、
前記並列pn領域の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた第1導電型の第2半導体層と、
前記第2半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に設けられた第2導電型の第3半導体層と、
前記第3半導体層の内部に選択的に設けられた前記第1半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域および前記第3半導体層を貫通して前記第2半導体層に達するトレンチと、
前記第2半導体層内に設けられた、前記トレンチの底部と接する第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体層の表面層の、前記トレンチの間に設けられた、第2導電型の第3半導体領域と、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第1半導体領域および前記第3半導体層に接する第1電極と、
を備え、
前記第1カラム領域および前記第2カラム領域は、不純物としてリンを含むことを特徴とする超接合炭化珪素半導体装置。
続きを表示(約 1,700 文字)【請求項2】
前記第1カラム領域は、前記炭化珪素半導体基板側の下部第1カラム領域と、前記第2半導体層側の上部第1カラム領域とから構成され、
前記下部第1カラム領域は、不純物として窒素を含み、前記上部第1カラム領域および前記第2カラム領域は、不純物としてリンを含むことを特徴とする請求項1に記載の超接合炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体層は、不純物としてリンを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の超接合炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
第1導電型の炭化珪素半導体基板のおもて面に第1導電型の第1半導体層を形成する第1工程と、
前記第1半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に、第1導電型の第1カラム領域と第2導電型の第2カラム領域とが前記おもて面に平行な面において繰り返し交互に配置された並列pn領域を形成する第2工程と、
前記並列pn領域の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に第1導電型の第2半導体層を形成する第3工程と、
前記第2半導体層の、前記炭化珪素半導体基板側に対して反対側の表面に第2導電型の第3半導体層を形成する第4工程と、
前記第2半導体層内に第2導電型の第2半導体領域を形成する第5工程と、
前記第2半導体層の表面層に第2導電型の第3半導体領域を形成する第6工程と、
前記第3半導体層の内部に選択的に前記第1半導体層よりも不純物濃度の高い第1導電型の第1半導体領域を形成する第7工程と、
前記第1半導体領域および前記第3半導体層を貫通して、前記第2半導体層に達し、底面が前記第2半導体領域と接するトレンチを形成する第8工程と、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する第9工程と、
前記第1半導体領域および前記第3半導体層に接する第1電極を形成する第10工程と、
を含み、
前記第2工程では、前記第1半導体層のおもて面に炭化珪素でできたエピタキシャル膜を形成し、前記エピタキシャル膜の表面から全面に、リンイオンを注入することにより、第1導電型の半導体領域を形成し、前記半導体領域内に、第2導電型となる不純物イオンを選択的に注入することにより、第2導電型の半導体領域を形成することを複数回繰り返すことで、並列pn構造を形成することを特徴とする超接合炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程では、前記第1半導体層のおもて面に炭化珪素でできたエピタキシャル膜を形成し、前記エピタキシャル膜の表面から全面に、前記炭化珪素半導体基板側の下部領域に、窒素イオンを注入し、前記エピタキシャル膜の表面から全面に、リンイオンを注入することにより、第1導電型の半導体領域を形成し、前記半導体領域内に、第2導電型となる不純物イオンを選択的に注入することにより、第2導電型の半導体領域を形成することを1回または複数回繰り返すことで、前記並列pn構造を形成することを特徴とする請求項4に記載の超接合炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程では、前記炭化珪素半導体基板のおもて面に前記エピタキシャル膜を形成し、前記エピタキシャル膜の表面から全面に、リンイオンを注入することにより前記第1半導体層を形成することを特徴とする請求項4または5に記載の超接合炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記エピタキシャル膜は、炭化珪素でできたノンドープ膜または、窒素原子を1×10
13
~10
15
/cm
3
でドーピングした炭化珪素でできた超低濃度膜であることを特徴とする請求項4または5に記載の超接合炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1半導体層は、不純物としてリンと窒素を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の超接合炭化珪素半導体装置の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、超接合炭化珪素半導体装置および超接合炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来の炭化珪素MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)では、エピタキシャル成長とイオン注入とを組み合わせることで、ゲート酸化膜と炭化珪素との高品質な界面を作り低抵抗を実現している。さらに、ゲート酸化膜に高電界が印加されないような構造とすることで高耐圧、高信頼性の半導体装置を実現している(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
例えば、低抵抗を実現するため、ゲート酸化膜と炭化珪素との高品質な界面を作り、JFET(Junction Field Effect Transistor)部分の不純物濃度を高くすることで低抵抗を実現している。また、ゲート電極下に電界を緩和させるためのp型領域を形成することで高耐圧、高信頼性を実現している。また、コンタクト領域の下に深いp型領域を形成し、ドレイン電極に性能限界以上の高電圧が印加された時に発生するアバランシェ電流をゲート電極近傍に流れなくすることで、ゲート電極の負荷を小さくしている。また、コンタクト領域の下の深いp型領域により、内蔵ダイオードを動作させる時でも大電流がゲート電極近傍に流れなくすることで、ゲート電極の負荷を小さくし信頼性を向上させている。
【0004】
ここで、通常のn型チャネル縦型MOSFETでは、半導体基板内に形成される複数の半導体層のうち、n型伝導層(ドリフト層)が最も高抵抗の半導体層である。このn型ドリフト層の電気抵抗が縦型MOSFET全体のオン抵抗に大きく影響を与えている。縦型MOSFET全体のオン抵抗を低減するためには、n型ドリフト層の厚みを薄くし電流経路を短くすることで実現できる。
【0005】
しかし、縦型MOSFETは、オフ状態において空乏層が高抵抗のn型ドリフト層まで広がることで、耐圧を保持する機能も有している。このため、オン抵抗低減のためにn型ドリフト層を薄くした場合、オフ状態における空乏層の広がりが短くなるため、低い印加電圧で破壊電界強度に達しやすくなり、耐圧が低下する。一方、縦型MOSFETの耐圧を高くするためには、n型ドリフト層の厚みを増加させる必要があり、オン抵抗が増加する。このようなオン抵抗と耐圧の関係をトレードオフ関係と呼び、トレードオフ関係にある両者をともに向上させることは一般的に難しい。このオン抵抗と耐圧とのトレードオフ関係は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やバイポーラトランジスタ、ダイオード等の半導体装置においても同様に成立することが知られている。
【0006】
上述のような問題を解決する半導体装置の構造として、超接合(SJ:Super Junction:スーパージャンクション)構造が知られている(例えば、下記特許文献2、3参照)。図14は、従来の超接合炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
【0007】
図14では、超接合炭化珪素半導体装置として、超接合構造を有するMOSFET(以下、SJ-MOSFET)を示す。図14に示すように、SJ-MOSFET150は、高不純物濃度のn
+
型炭化珪素半導体基板101に、n型バッファ層117およびn型ドリフト層102を成長させたウエハを材料とする。このウエハ表面からn型ドリフト層102を貫きn
+
型炭化珪素半導体基板101に到達しないp型カラム領域103が設けられている。図14では、p型カラム領域103はn
+
型炭化珪素半導体基板101に到達しないが、n
+
型炭化珪素半導体基板101に到達してもよい。
【0008】
また、n型ドリフト層102中に、基板主面に垂直な方向に延び、かつ基板主面に平行な面において狭い幅を有するp型領域(p型カラム領域103)とn型領域(p型カラム領域103に挟まれたn型ドリフト層102の部分、以下n型カラム領域104と称する)とを基板主面に平行な面において交互に繰り返し並べた並列構造(以降、並列pn構造121と称する)を有している。並列pn構造121を構成するp型カラム領域103およびn型カラム領域104は、n型ドリフト層102に対応して不純物濃度を高めた領域である。並列pn構造121では、p型カラム領域103およびn型カラム領域104に含まれる不純物濃度と面積との積である不純物量を略等しくチャージバランスをとることで、オフ状態において擬似的にノンドープ層を作り出して高耐圧化を図ることができる。
【0009】
図14において、符号105、106、107、108、109、110、111、112、114、115および116は、それぞれn型高濃度領域、p型ベース層、n
+
型ソース領域、p
+
型コンタクト領域、ゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜、ソース電極、第1p
+
型ベース領域、第2p
+
型ベース領域およびトレンチを表している。
【0010】
また、第一導電型ドリフト領域と第二導電型仕切り領域とを交互に配置した並列pn層を備える超接合半導体素子において、第一導電型ドリフト領域の不純物がリンである超接合半導体素子が記載されている(例えば、下記特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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