発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明はバイオマス資源を用いて2,4-ピリジンジカルボン酸類を製造する方法に関する。 続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】 【0002】 2,4-ピリジンジカルボン酸(2,4-PDCA)は,2-オキソグルタル酸のアナログであり,2-オキソグルタル酸と拮抗して2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼの作用を阻害することが報告されている(非特許文献1)。また,2,4-PDCAは、アスコルビン酸と拮抗して1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)酸化酵素の作用を阻害し,カーネーション切り花のエチレン生成を抑制すること(非特許文献2)、さらには、2,4-PDCAでカーネーションの切り花を処理することにより、その観賞期間を延長することができ、2,4-PDCAがカーネーションの品質保持剤として使用できることが報告されている(非特許文献3)。 【0003】 また、2,4-PDCAのエステル誘導体には、ヒトケラチン繊維、例えば毛髪若しくは睫毛の成長を誘導又は刺激する作用があり、その脱毛を抑制し密度を増加させるために有用であることが報告されている(特許文献1)。 また、2,4-PDCAは、プロリン及びリジンヒドロキシラーゼの阻害剤などの医薬品の製造中間体としても利用されている。 【0004】 斯かる2,4-PDCAは、化学的には、イソニコチン酸や2,4-ルチジンを原料として製造されているが、原料が高価であることや石化資源由来であることが潜在的な課題と考えられる。 一方、酵素反応を用いてピリジンカルボン酸類を製造するための方法として、以下に示すように、対応するカテコール類を前駆体として用い、これを基質とするジオキシゲナーゼにより開裂させた後、アンモニウム塩を添加する方法が知られている(非特許文献4)。 しかしながら、カテコール類を前駆体とする場合には、ジオキシゲナーゼの作用により生じるアルデヒド型中間体の安定性が低く、蓄積させることが困難な点や、夾雑物であるアミン化合物がアンモニウム塩と同様に中間体と反応し、収率低下の要因となることから、カテコール類ではなくアミノフェノール類を前駆体とする方法が開発されている(下記式参照)。アミノフェノール類を前駆体とする場合、ジオキシゲナーゼの作用によって生じた中間体は分子内反応により速やかにピリジン環を形成することから、中間体を蓄積させる必要がなく、また夾雑物の影響も受けにくいため、収率の向上が見込まれる。(非特許文献5) 【0005】 TIFF 2024104204000001.tif 50 170 【0006】 2,4-PDCAの製造方法においては、原料となるプロトカテク酸に対応するアミノフェノール類(3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸)を基質とするジオキシゲナーゼは知られておらず、従来は、プロトカテク酸をプロトカテク酸-4,5-ジオキシゲナーゼに作用させ、生じる中間体に対して塩化アンモニウムを作用させる方法、すなわち、プロトカテク酸-4,5-ジオキシゲナーゼを発現させたRhodococcus jostii株を1g/LのNH 4 Clを含む培地で培養する方法が報告されているだけである(非特許文献6)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 欧州特許第1,352,629号 【非特許文献】 【0008】 K. I. Kivirikko and J. Myllyharju, Matrix Biol. 1998. 16:357-368. F. Vlad, et al., Physiol. Plant. 2010. 140:199-207. S. Satoh, et al., J. Japan. Soc. Hort. Sci. 2014. 83:72-80. Y. Asano, et al., Biosci. Biotech. Biochem. 1994. 58:2054-2056. Z. He and J. C. Spain, J. Ind. Microbiol. Biotechnol. 2000. 25:25-28. Z. Mycroft, et al., Green Chem. 2015. 17:4974-4979. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 本発明は、バイオマス資源を用いた2,4-ピリジンジカルボン酸の製造方法を提供することに関する。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは、特定のプロトカテク酸-4,5-ジオキシゲナーゼが3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸(3,4-AHBA)に対して触媒活性を示し、当該酵素又はこれを生産する微生物を用いることにより、3,4-AHBAから2,4-ピリジンジカルボン酸の効率的な製造が可能であることを見出した。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する