発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明はホログラム撮像装置に関し、特に、インコヒーレントディジタルホログラフィによるホログラム撮像装置に関する。 続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】 【0002】 インコヒーレントディジタルホログラフィは、レーザーのようなコヒーレンスが高い光源を必要とせず、太陽光、LED、蛍光などの空間的にコヒーレンスが低い光源を用いて自己干渉の現象を利用することで、物体のホログラムを撮影できる(特許文献1)。この特徴から、インコヒーレントディジタルホログラフィは、ライダーや縞投影法などの能動的な立体撮影手法と異なり、特殊な光源を必要とせず、自然光環境下での受動的な立体撮影手法を実現できる。さらに、インコヒーレントディジタルホログラフィは、その原理が自己干渉に基づくため、ラグランジュ不変則の制約を受けず、従来のインコヒーレント結像系に対しておおよそ1.5倍以上、従来のコヒーレント結像系に対して2倍の分解能を有することが知られている(非特許文献1)。 【0003】 従来の結像系と同様に、インコヒーレントディジタルホログラフィでも、その分解能は光の波長に比例し、光学系を構成するレンズの開口数(NA)に反比例している。したがって、撮影対象の細かさに応じて、光の波長及びレンズのNAを適切に設定する必要があり、分解能を向上するためには、光源の短波長化、レンズの高NA化が必要である。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 特許第6416270号公報 特許第6245551号公報 特開2019-144520号公報 特開2010-127976号公報 【非特許文献】 【0005】 J. Rosen, A. Vijayakumar, M. Kumar, M. R. Rai, R. Kelner, Y. Kashter, A. Bulbul, and S. Mukherjee, “Recent advances in self-interference incoherent digital holography,” Advances in Optics and Photonics, Vol. 11, No. 1, pp. 1-66, (2019). J. Rosen and G. Brooker, “Non-scanning motionless fluorescence three-dimensional holographic microscopy,” Nature Photonics, Vol. 2, pp. 190-195, (2008). J. Hong and M. K. Kim, “Single-shot self-interference incoherent digital holography using off-axis configuration,” Optics Letters, Vol. 38, No. 23, pp. 5196-5199, (2013). T. Nobukawa, Y. Katano, M. Goto, T. Muroi, N. Kinoshita, Y. Iguchi, and N. Ishii, “Incoherent digital holography simulation based on scalar diffraction theory,” Journal of Optical Society of America A, Vol. 38, Issue 7, pp. 924-932, (2021). T. Nobukawa, Y. Katano, T. Muroi, N. Kinoshita, and N. Ishii, “Sampling requirements and adaptive spatial averaging for incoherent digital holography,” Optics Express, Vol. 27, No. 23, pp. 33634-33651, (2019). 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 光の波長を短くする場合には、白色光源から、より短い波長帯域の波長フィルターを適用するか、光源自体を短波長のものに変更することで実現できる。しかしながら、光源の波長を青色の波長(405nm程度)よりも短くすると、光学素子での光の吸収が大きくなってしまうため、波長の短波長化には限界がある。さらに、波長フィルターを適用する前者の方法では、撮像装置に複数枚の波長フィルターとそれを切り替える機構を搭載する必要があり、装置が複雑・高価になる課題がある。また、後者の方法でも、光源を変更するために、複数の光源を搭載する必要があり、同様の課題がある。また、太陽光、LED、蛍光灯の周囲光で撮影する場合や、蛍光自体を撮影する場合、被写体自体に赤色や緑色の長波長の成分がある場合には、短波長化によって分解能を向上することは困難である。 【0007】 レンズのNAを大きくする場合には、NAが大きくなるほど、収差除去のために複数枚のレンズを組み合わせて高精度な配置技術でレンズ系が構成されており、レンズ系自体が大型・高価になってしまい、光源の波長を変える場合と同様に、撮像装置が複雑・高価になってしまう。 【0008】 このように、波長やNAを変更する分解能向上手法では、撮像装置が複雑・高価になる傾向にあり、特に、光源の短波長化については、被写体に応じては適用できないケースが存在する。 【0009】 したがって、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、従来の分解能向上手法に伴う装置が複雑・大型・高価になってしまう課題を解決し、光源やレンズのNAを変更することなく、被写体に依存せずに分解能を向上することができる、ホログラム撮像装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記課題を解決するために本発明に係るホログラム撮像装置は、インコヒーレントな光波を第1分割光と第2分割光に分割し、前記第1分割光と前記第2分割光に互いに異なる位相分布を付与し、その後、前記第1分割光と前記第2分割光を互いに干渉させてホログラムを形成し、撮影するホログラム撮像装置において、前記第1分割光及び前記第2分割光の一方を焦点距離が負のレンズの機能を有する光学素子で変調し、他方を焦点距離が正のレンズの機能を有する光学素子で変調し、これらを撮像素子の受光面で干渉させることを特徴とする。 (【0011】以降は省略されています)
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