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公開番号
2023181735
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2023-12-25
出願番号
2022095039
出願日
2022-06-13
発明の名称
磁性細線メモリ
出願人
日本放送協会
代理人
弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類
H01L
29/82 20060101AFI20231218BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】一定長の磁区を連続的に形成することができる磁性細線メモリを提供する。
【解決手段】磁性細線メモリ1は、薄膜状の磁性細線2と、磁性細線2の膜厚方向に磁性細線2と交差するように配設された記録素子4と、を備え、磁性細線2は、記録素子4と交差する交差領域20に隣接して、記録素子4に流れる電流によって情報が書き込まれる磁区形成領域30を備えると共に、磁区形成領域30に隣接して記録領域40を備え、磁区形成領域30と記録領域40との境界に、磁性細線の幅方向に凹んだ第1括れ部11を有し、磁区形成領域30と交差領域20との境界に、磁性細線の幅方向に凹んだ第2括れ部11を有し、第1括れ部11は、磁区形成領域30から記録領域40に向かう第1方向に向かって幅が狭くなるように形成された第1形状であり、第2括れ部12は、第1方向とは逆向きの第2方向に向かって幅が狭くなるように形成された第2形状である。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
薄膜状の磁性細線と、
前記磁性細線の膜厚方向に層間絶縁膜を介して前記磁性細線と交差するように配設された記録素子と、を備え、
前記磁性細線は、前記記録素子と交差する交差領域に隣接して、前記記録素子に流れる電流によって情報が書き込まれる磁区形成領域を備えると共に、前記磁区形成領域に隣接して記録領域を備え、
前記磁区形成領域と前記記録領域との境界に、当該磁性細線の幅方向に凹んだ第1括れ部を有し、
前記磁区形成領域と前記交差領域との境界に、当該磁性細線の幅方向に凹んだ第2括れ部を有し、
前記第1括れ部は、前記磁区形成領域から前記記録領域に向かう第1方向に向かって幅が狭くなるように形成された第1形状であり、
前記第2括れ部は、前記第1方向とは逆向きの第2方向に向かって幅が狭くなるように形成された第2形状であることを特徴とする磁性細線メモリ。
続きを表示(約 660 文字)
【請求項2】
前記磁性細線の幅は、当該磁性細線の幅方向における両側が凹むように形成された前記第1括れ部の位置で前記第1方向に向かって先細りであり、当該磁性細線の幅方向における両側が凹むように形成された前記第2括れ部の位置で前記第2方向に向かって先細りである、ことを特徴とする請求項1に記載の磁性細線メモリ。
【請求項3】
前記第1括れ部および前記第2括れ部は、前記記録素子に対して前記磁区形成領域が配置された側にのみ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の磁性細線メモリ。
【請求項4】
前記第1括れ部および前記第2括れ部は、前記磁性細線の長手方向におけるそれぞれの長さが、前記磁性細線の幅方向における凹みの長さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁性細線メモリ。
【請求項5】
前記磁性細線は、複数の前記第1括れ部を有し、それぞれの第1括れ部により、前記記録領域が、前記磁区形成領域の長さと同じ間隔で区画されている、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁性細線メモリ。
【請求項6】
前記磁区形成領域は、前記第1括れ部及び前記第2括れ部から等距離の仮想線に対して線対称となる形状である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁性細線メモリ。
【請求項7】
前記第1括れ部及び前記第2括れ部は、合同な形状を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁性細線メモリ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性細線メモリに係り、特に、電流磁界により磁化を局所的に反転させることで情報記録を行う磁性細線メモリに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
磁性体材料を細線状に形成した媒体に2値情報を高速記録する磁気記録装置として、磁性細線メモリの研究が進められている。磁性細線メモリは、所定の書き込み方式により磁性細線に磁化の向きの情報を保存させ、また、磁性細線に電流を流すことで、書き込んだ情報を移動させることができる。磁性細線への情報の書き込み方式としては、例えば電流磁界による書き込み(例えば特許文献1参照)や、スピントルク書き込み(例えば特許文献2参照)が知られている。なお、特許文献2に開示された磁性細線メモリにおいては、磁性細線に磁壁が安定に存在できるように周期的な括れが形成されている。
【0003】
特許文献1に記載された磁性細線メモリは、磁性細線の上部に細線状に形成した導体(以降、記録素子)を直交配置し、記録素子に電流を印加することによって発生する電流磁界を用いて磁性細線中の磁化を局所的に反転し、情報の記録を行う。このような磁性細線メモリを並列配置、および積層することで、並列同期制御による超高速動作が可能となる。さらに、動作原理上機械的な可動部がないため、高い動作信頼性を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2020-027802号公報
特開2014-086640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流磁界による書き込み方式の磁性細線メモリにおいて、記録素子に電流を印加して電流磁界を発生させ、磁性細線中の磁化を局所的に反転させることで、記録ビットに相当する一定長の磁区を形成する必要がある。記録素子に電流を印加した際には、距離の2乗に反比例する強度の電流磁界が発生し、これにより磁区形成領域の磁化を反転させることで情報の記録を行うことができる。従来技術では、磁化反転した磁区の両端の磁壁のうち記録素子よりも遠い方の磁壁が外乱等により揺ぐ現象が発生する可能性があるため、安定した一定長の磁区を形成することは困難であった。
【0006】
そこで、安定した一定長の磁区を形成するために、磁性細線に括れを周期的に設けることが考えられる。そのような構造について検討したところ、新たに以下の問題が発生することが本願発明者らによって見い出された。括れを周期的に設けた磁性細線には、データとして上向き“0”または下向き“1”の磁化方向といった孤立した磁区の記録(例えば010101…といったビットの記録)を、問題なく行うことができた。しかしながら、括れを周期的に設けた磁性細線には、同じ磁化方向の連続した磁区の記録(たとえば0110110…といったビットの記録)を行うとしても、正常な記録を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、同じ磁化方向の連続した磁区であっても安定した一定長の磁区を磁性細線に形成することができる磁性細線メモリを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る磁性細線メモリは、薄膜状の磁性細線と、前記磁性細線の膜厚方向に層間絶縁膜を介して前記磁性細線と交差するように配設された記録素子と、を備え、前記磁性細線は、前記記録素子と交差する交差領域に隣接して、前記記録素子に流れる電流によって情報が書き込まれる磁区形成領域を備えると共に、前記磁区形成領域に隣接して記録領域を備え、前記磁区形成領域と前記記録領域との境界に、当該磁性細線の幅方向に凹んだ第1括れ部を有し、前記磁区形成領域と前記交差領域との境界に、当該磁性細線の幅方向に凹んだ第2括れ部を有し、前記第1括れ部は、前記磁区形成領域から前記記録領域に向かう第1方向に向かって幅が狭くなるように形成された第1形状であり、前記第2括れ部は、前記第1方向とは逆向きの第2方向に向かって幅が狭くなるように形成された第2形状であることとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明に係る磁性細線メモリは、磁区形成領域の両端部に形成された第1括れ部および第2括れ部が互いに逆向きとなるラチェット構造なので、磁区形成領域の境界に発生する磁壁の揺らぎを抑制することができる。これにより、同じ磁化方向の連続した磁区であっても安定した一定長の磁区を磁性細線に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の実施形態に係る磁性細線メモリを模式的に示す平面図である。
図1AのIb-Ib線における断面矢視図である。
図1AのIc-Ic線における断面矢視図である。
図1Aの磁性細線メモリが備える磁性細線の平面図である。
平面視における磁区形成領域の一例を示す図である。
平面視における磁区形成領域の他の一例を示す図である。
平面視における磁区形成領域のさらに他の一例を示す図である。
図3Cに示す磁区形成領域を備える磁性細線の一例を示す図である。
シミュレーションで設定した比較例に係る磁性細線メモリを模式的に示す平面図である。
図4Aの磁区形成領域の拡大図である。
シミュレーションにおいて記録素子へ印加する電流パルス波形の例である。
比較例に係る磁性細線メモリの1ビット目の磁区形成状態の時間変化を示す図である。
比較例に係る磁性細線メモリの2ビット目の磁区形成状態を示す図である。
シミュレーションで設定した実施例に係る磁性細線メモリを模式的に示す平面図である。
図8Aの磁区形成領域の拡大図である。
実施例に係る磁性細線メモリの2ビット目の磁区形成状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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