TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025134913
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-17
出願番号2025105607,2023545603
出願日2025-06-23,2022-08-30
発明の名称高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法
出願人株式会社東芝,株式会社Niterra Materials
代理人弁理士法人iX
主分類C04B 35/587 20060101AFI20250909BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】固溶酸素量を制御した高熱伝導性窒化珪素焼結体を提供する。
【解決手段】実施形態に係る高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法は、平均粒径2.5μm以下、不純物酸素含有量2質量%以下の窒化珪素粉末と、平均粒径3μm以下の焼結助剤と、を混合する湿式解砕混合工程と、原料粉末スラリーを用いて成形する成形工程と、成形体を400~800℃で脱脂する脱脂工程と、脱脂体を焼結する焼結工程とを備える。焼結工程は、非酸化性雰囲気中1500~1650℃で2~10時間保持する第一の保持工程と、非酸化性雰囲気中1750~2000℃で5~30時間保持する第二の保持工程と、を含む。得られた窒化珪素焼結体の熱伝導率は80W/(m・K)以上であり、固溶酸素量の平均値は0.2wt%以下であり、窒化珪素結晶粒子の長径の平均値は1~10μmであり、窒化珪素結晶粒子のアスペクト比の平均は2~10であり、粒界相の含有量が1~20質量%である。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
平均粒径2.5μm以下、不純物酸素含有量2質量%以下の窒化珪素粉末と、平均粒径3μm以下の焼結助剤と、を含む原料粉末を、有機溶媒中で湿式解砕して混合する湿式解砕混合工程と、
前記湿式解砕混合工程により得られた原料粉末スラリーを用いて成形体を形成する成形工程と、
得られた前記成形体を400℃以上800℃以下の範囲内で脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、
得られた前記脱脂体を焼結して窒化珪素焼結体を得る焼結工程であって、
非酸化性雰囲気中、1500℃以上1650℃以下の範囲内で2時間以上10時間以内保持する第一の保持工程と、
非酸化性雰囲気中、1750℃以上2000℃以下の範囲内で5時間以上30時間以下保持する第二の保持工程と、
を含む、前記焼結工程と、を備え、
得られた前記窒化珪素焼結体は、窒化珪素結晶粒子及び粒界相を含む高熱伝導性窒化珪素焼結体であって、
前記窒化珪素焼結体の熱伝導率は、80W/(m・K)以上であり、
前記窒化珪素焼結体の任意の断面における単位面積20μm×20μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子の固溶酸素量の平均値は、0.2wt%以下であり、
前記窒化珪素焼結体の任意の断面における単位面積50μm×50μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子の長径の平均値は、1μm以上10μm以下であり、
前記単位面積50μm×50μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子のアスペクト比の平均は、2以上10以下であり、
前記粒界相の含有量が1質量%以上20質量%以下である、高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
前記湿式解砕混合工程を行うことにより、前記原料粉末の粒度分布のピーク位置が粒子サイズの小さい方にシフトする、請求項1記載の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項3】
前記第一の保持工程は、常圧雰囲気またはそれ以下の減圧雰囲気で行う、請求項1または請求項2に記載の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項4】
前記第二の保持工程は、0.5MPa以上の加圧雰囲気で行う、請求項1または請求項2に記載の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項5】
前記第二の保持工程は、0.5MPa以上の加圧雰囲気で行う、請求項3に記載の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項6】
得られた前記窒化珪素焼結体に、1400℃以上1600℃以下の範囲内で保持する再熱処理工程を施す、請求項1または請求項2に記載の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項7】
得られた前記窒化珪素焼結体に、1400℃以上1600℃以下の範囲内で保持する再熱処理工程を施す、請求項5に記載の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項8】
前記再熱処理工程は、常圧またはそれ以下の減圧雰囲気下で行う、請求項6の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項9】
前記再熱処理工程は、常圧またはそれ以下の減圧雰囲気下で行う、請求項7の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
【請求項10】
前記再熱処理工程における保持温度と、前記第二の保持工程における保持温度と、の差は50℃以上300℃以下の範囲内である、請求項6の高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
後述する実施形態は、高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、窒化珪素(Si



)基板を半導体回路基板に適用することが試みられている。半導体回路基板としては、アルミナ(Al



)基板、窒化アルミニウム(AlN)基板が使用されている。アルミナ基板は熱伝導率が30W/(m・K)程度であるが、低コスト化が可能である。また、窒化アルミニウム基板は熱伝導率が160W/(m・K)以上となる高熱伝導化が可能である。一方、窒化珪素基板としては、熱伝導率が50W/(m・K)以上の基板が開発されている。
窒化珪素基板の熱伝導率は、窒化アルミニウム基板と比較して低い。しかし、窒化珪素基板の3点曲げ強度は、500MPa以上であり、優れている。窒化アルミニウム基板の3点曲げ強度は、通常300~400MPa程度であり、熱伝導率が高くなるほどに強度が下がる傾向にある。高強度の利点を生かすことにより、窒化珪素基板は薄型化が可能である。基板の薄型化により熱抵抗を下げることが可能になるので、放熱性が向上する。
例えば、特許第6293772号公報(特許文献1)には、熱伝導率50W/(m・K)以上、3点曲げ強度600MPa以上の窒化珪素基板が開示されている。特許文献1では、基板の厚み方向の粒界相の分布割合を制御している。これにより、特許文献1では、絶縁耐力のばらつきを抑制し、体積固有抵抗値の温度依存性を向上させている。さらに、特許文献1では、50Hzと1kHzでの比誘電率も制御している。
近年、半導体素子の高性能化に伴い、動作保証温度が高温になっている。SiC素子やGaN素子では、動作保証温度が250℃程度まで高くなることが見込まれている。また、半導体素子の動作周波数が1MHz程度まで高くなることも見込まれている。このため、窒化珪素基板についても、250℃程度の高温環境下、又は1MHz程度の高周波環境下であっても、絶縁性を維持することが求められている。
特許文献1に記載された窒化珪素基板は、良好な絶縁性を有するものの、近年はそれ以上の性能向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6293772号公報
特開2018-24548号公報
特開2022-71426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この原因を追究したところ、窒化珪素結晶粒子内の固溶酸素量に影響を受けることが分かった。固溶酸素は、窒化珪素結晶の結晶格子の一部が酸素元素に置換されること、または結晶格子間に酸素が侵入することで発生する。つまり、固溶酸素とは、窒化珪素結晶粒子内に取り込まれた酸素のことである。固溶酸素は、窒化珪素焼結体の粒界相に存在する酸素とは区別される。また、固溶酸素は、結晶格子の欠陥の原因となるため、固溶酸素量を制御する必要があった。
例えば、特開2018-24548号公報(特許文献2)には、窒化珪素結晶粒子の固溶酸素濃度が1~2500ppmの窒化珪素焼結体が開示されている。特許文献2では、固溶酸素量の測定に二次イオン質量分析(SIMS)を用いている。特許文献2では、ラスター領域3μmとしている。特許文献2の方法によれば、3μm以上の窒化珪素結晶粒子の固溶酸素量は測定できる。窒化珪素焼結体中の3μm以下の窒化珪素結晶粒子に関する固溶酸素量は測定できていない。また、SIMSは、表面分析法であるため、試料表面の酸化を受けやすい方法である。このため、窒化珪素焼結体中の固溶酸素量の制御が必ずしも十分であったとは言えなかった。
本発明は、このような問題に対処するためのものであり、固溶酸素量を制御した高熱伝導性窒化珪素焼結体を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法は、平均粒径2.5μm以下、不純物酸素含有量2質量%以下の窒化珪素粉末と、平均粒径3μm以下の焼結助剤と、を含む原料粉末を、有機溶媒中で湿式解砕して混合する湿式解砕混合工程と、前記湿式解砕混合工程により得られた原料粉末スラリーを用いて成形体を形成する成形工程と、得られた前記成形体を400℃以上800℃以下の範囲内で脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、得られた前記脱脂体を焼結して窒化珪素焼結体を得る焼結工程であって、非酸化性雰囲気中、1500℃以上1650℃以下の範囲内で2時間以上10時間以内保持する第一の保持工程と、非酸化性雰囲気中、1750℃以上2000℃以下の範囲内で5時間以上30時間以下保持する第二の保持工程と、を含む前記焼結工程と、を備える。得られた前記窒化珪素焼結体は、窒化珪素結晶粒子及び粒界相を含む高熱伝導性窒化珪素焼結体であって、前記窒化珪素焼結体の熱伝導率は、80W/(m・K)以上であり、前記窒化珪素焼結体の任意の断面における単位面積20μm×20μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子の固溶酸素量の平均値は、0.2wt%以下であり、前記窒化珪素焼結体の任意の断面における単位面積50μm×50μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子の長径の平均値は、1μm以上10μm以下であり、前記単位面積50μm×50μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子のアスペクト比の平均は、2以上10以下であり、前記粒界相の含有量が1質量%以上20質量%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
実施形態に係る窒化珪素焼結体の断面組織の一例を示す模式図。
第一のプロット図の一例を示す図。
第二のプロット図の一例を示す図。
第三のプロット図の一例を示す図。
実施形態に係る窒化珪素回路基板の一例を示す模式図。
実施形態に係る半導体装置の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係る高熱伝導性窒化珪素焼結体の製造方法は、平均粒径2.5μm以下、不純物酸素含有量2質量%以下の窒化珪素粉末と、平均粒径3μm以下の焼結助剤と、を含む原料粉末を、有機溶媒中で湿式解砕して混合する湿式解砕混合工程と、前記湿式解砕混合工程により得られた原料粉末スラリーを用いて成形体を形成する成形工程と、得られた前記成形体を400℃以上800℃以下の範囲内で脱脂して脱脂体を得る脱脂工程と、得られた前記脱脂体を焼結して窒化珪素焼結体を得る焼結工程であって、非酸化性雰囲気中、1500℃以上1650℃以下の範囲内で2時間以上10時間以内保持する第一の保持工程と、非酸化性雰囲気中、1750℃以上2000℃以下の範囲内で5時間以上30時間以下保持する第二の保持工程と、を含む前記焼結工程と、を備える。得られた前記窒化珪素焼結体は、窒化珪素結晶粒子及び粒界相を含む高熱伝導性窒化珪素焼結体であって、前記窒化珪素焼結体の熱伝導率は、80W/(m・K)以上であり、前記窒化珪素焼結体の任意の断面における単位面積20μm×20μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子の固溶酸素量の平均値は、0.2wt%以下であり、前記窒化珪素焼結体の任意の断面における単位面積50μm×50μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子の長径の平均値は、1μm以上10μm以下であり、前記単位面積50μm×50μmに存在する前記窒化珪素結晶粒子のアスペクト比の平均は、2以上10以下であり、前記粒界相の含有量が1質量%以上20質量%以下である。
図1は、実施形態に係る窒化珪素焼結体の断面組織の一例を示す模式図である。図1において、符号1は高熱伝導性窒化珪素焼結体、符号2は窒化珪素結晶粒子、符号3は粒界相である。高熱伝導性窒化珪素焼結体1のことを、単に窒化珪素焼結体1と呼ぶこともある。
窒化珪素焼結体1は、窒化珪素結晶粒子2と粒界相3を備える。粒界相3は、窒化珪素結晶粒子2同士の隙間に分布している。粒界相3は、後述する焼結助剤が反応して形成される。粒界相3が存在することにより、窒化珪素結晶粒子2同士が強固に結合し、熱伝導率の高い窒化珪素焼結体1を形成することができる。また、窒化珪素焼結体1には、図示しないポアが存在してもよい。
実施形態に係る窒化珪素焼結体1の熱伝導率は、80W/(m・K)以上である。熱伝導率が高いことにより放熱性が向上する。このため、熱伝導率は、80W/(m・K)以上、さらには100W/(m・K)以上であることが好ましい。
【0008】
窒化珪素結晶粒子2の長径の平均長さは、1μm以上10μm以下である。窒化珪素結晶粒子2のアスペクト比の平均は、2以上10以下である。
長径の平均長さ及び平均アスペクト比の測定には、走査電子顕微鏡(SEM)写真を用いる。SEM写真は、2000倍で撮影される。また、SEM写真において、窒化珪素結晶粒子2の個々の最大径を測定する。SEM写真に写る個々の窒化珪素結晶粒子2の最大径を、長径とする。単位面積50μm×50μmに写る個々の窒化珪素結晶粒子2の最大径の平均値を、長径の平均長さとする。
【0009】
アスペクト比は、長径/短径により算出される。長径は、前述の最大径である。長径の中心点から垂直に伸ばした線に沿う窒化珪素結晶粒子の長さを、短径とする。単位面積50μm×50μmに写る窒化珪素結晶粒子の個々のアスペクト比の平均値を、平均アスペクト比とする。なお、長径および短径は、SEM写真に写る窒化珪素結晶粒子の部分を使って測定する。例えば、他の窒化珪素結晶粒子と重なって輪郭すべてが見えない窒化珪素結晶粒子については、見えている部分(SEM写真に写っている部分)のみを使って、長径及び短径を測定する。また、単位面積50μm×50μmのSEM写真の端部で輪郭が途切れている窒化珪素結晶粒子についても、見えている部分(SEM写真に写っている部分)のみを使って、長径及び短径を測定する。窒化珪素結晶粒子の輪郭が確認し難い場合には、粒界相をエッチングで除去してもよい。
【0010】
窒化珪素結晶粒子2の長径の平均長さは、1μm以上10μm以下の範囲内である。また、窒化珪素結晶粒子2の平均アスペクト比は、2以上10以下である。この範囲内であると、熱伝導率を向上させることができる。また、強度の向上も図ることができる。
長径の平均長さが1μm未満であると、窒化珪素結晶粒子2が小さすぎて熱伝導率が低下する可能性がある。また、10μmを超えて大きいと、熱伝導率は向上するものの、強度が低下する可能性がある。平均アスペクト比が2未満であると、細長い窒化珪素結晶粒子が少ないため、強度が低下する可能性がある。平均アスペクト比が10を超えると、窒化珪素結晶粒子同士の隙間が大きくなる可能性がある。窒化珪素結晶粒子同士の隙間が大きくなると、粒界相が大きくなる。大きな粒界相は、熱伝導率を低下させる原因となる可能性がある。
また、図1に示すように、長径が5μm未満の窒化珪素結晶粒子2a(第1窒化珪素結晶粒子)と、長径が5μm以上の窒化珪素結晶粒子2b(第2窒化珪素結晶粒子)と、が存在することが好ましい。小さな結晶粒子と大きな結晶粒子が存在することにより、大きな結晶粒子の隙間に小さな結晶粒子を存在させることができる。これにより、熱伝導率と強度の向上を図ることができる。この観点から、長径3μm未満の窒化珪素結晶粒子2bが存在することが、より好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

株式会社東芝
センサ
23日前
株式会社東芝
センサ
1か月前
株式会社東芝
固定子
1か月前
株式会社東芝
配線治具
2か月前
株式会社東芝
ドア構造
1か月前
株式会社東芝
燃料電池
1か月前
株式会社東芝
回路素子
1か月前
株式会社東芝
半導体装置
2日前
株式会社東芝
X線厚み計
1か月前
株式会社東芝
電磁流量計
2か月前
株式会社東芝
主幹制御器
2か月前
株式会社東芝
電動送風機
24日前
株式会社東芝
半導体装置
1か月前
株式会社東芝
ラック装置
26日前
株式会社東芝
半導体装置
4日前
株式会社東芝
走行システム
10日前
株式会社東芝
水中洗浄装置
2か月前
株式会社東芝
ディスク装置
24日前
株式会社東芝
ディスク装置
25日前
株式会社東芝
アイソレータ
25日前
株式会社東芝
差動伝送回路
26日前
株式会社東芝
アンテナ装置
1か月前
株式会社東芝
開発支援装置
1か月前
株式会社東芝
ディスク装置
1か月前
株式会社東芝
異常検出装置
1か月前
株式会社東芝
計測システム
1か月前
株式会社東芝
海水用構造体
2日前
株式会社東芝
ディスク装置
2か月前
株式会社東芝
ディスク装置
1か月前
株式会社東芝
電力変換装置
1か月前
株式会社東芝
ディスク装置
10日前
株式会社東芝
モータ制御装置
26日前
株式会社東芝
部材の接合方法
1か月前
株式会社東芝
紫外線照射装置
1か月前
株式会社東芝
計算機システム
2か月前
株式会社東芝
開口部明示部材
3日前
続きを見る