TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
10個以上の画像は省略されています。
公開番号
2025114973
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-06
出願番号
2024009239
出願日
2024-01-25
発明の名称
シストセンチュウ孵化促進物質含有粉末の製造方法
出願人
ホクサン株式会社
,
国立研究開発法人産業技術総合研究所
代理人
弁理士法人葛和国際特許事務所
主分類
A01N
63/12 20200101AFI20250730BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約
【課題】 本発明の課題は、シストセンチュウ防除剤の製品化に用いることができるシストセンチュウ孵化促進物質含有組成物または粉末の新たな製造方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、シストセンチュウの宿主植物を液体培地で培養して得られた、シストセンチュウ孵化促進物質を含む培養液から、透析膜または限外濾過膜を用いて夾雑物を除去することを含む、シストセンチュウ孵化促進物質含有組成物の製造方法、シストセンチュウの宿主植物を液体培地で培養して得られた、シストセンチュウ孵化促進物質を含む培養液、または、該培養液から透析膜または限外濾過膜を用いて夾雑物を除去したシストセンチュウ孵化促進物質含有組成物を、スプレードライにより粉末化することを含む、シストセンチュウ孵化促進物質含有粉末の製造方法、および、これら製造方法によって製造されたシストセンチュウ孵化促進物質含有組成物または粉末などに関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
シストセンチュウの宿主植物を液体培地で培養して得られた、シストセンチュウ孵化促進物質を含む培養液、または、該培養液から透析膜または限外濾過膜を用いて夾雑物を除去したシストセンチュウ孵化促進物質含有組成物を、スプレードライにより粉末化することを含む、シストセンチュウ孵化促進物質含有粉末の製造方法。
続きを表示(約 450 文字)
【請求項2】
宿主植物が、ナス科植物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
シストセンチュウが、ジャガイモシストセンチュウである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
液体培地が、ショ糖を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
除去する夾雑物が、ショ糖を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
賦形剤を添加してからスプレードライにより粉末化する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
賦形剤の添加率が、ショ糖の配合率に対して、1~2倍である、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
スプレードライが、排気温度の上限を100℃として、排気温度が、熱風温度との対比で35~70%の範囲となるように設定して行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の製造方法で製造された、シストセンチュウ孵化促進物質含有粉末。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、シストセンチュウの孵化促進物質を含有する組成物または粉末の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
一般に、シストセンチュウ類は宿主植物の根に寄生し、根の中で成長し、メス成虫は成熟すると、頭部を根に固定したまま、胴体部を根外に出して肥大化したシストを形成する。シストの中には多数の卵が含まれており、シストセンチュウに汚染された圃場の土壌には、このシストが大量に残存する。翌年、農作物植物が発芽するとともに、根に寄生し、農作物に甚大な被害をもたらす。
一例として、シストセンチュウの中でも国際的に重要な害虫であるジャガイモシストセンチュウ(Potato Cyst Nematode、以下、PCNとも記す)は、ジャガイモやトマト等のナス科植物に寄生する土壌病害虫であるが、生活環においてシストを形成する。シストは交配後のメスの成虫が変化したもので、硬い殻を有し、その内部に次世代の卵を含む。シストは、土壌中の環境変化(乾燥や温度)から内包する休眠中の卵を守る役割も果たし、土壌中で長期にわたり生存が可能となる。更にシストは農薬に対しても耐性を有するため、シストに直接的に効果のある農薬は少なく、その防除対策にはD-D剤等の劇物を有効成分とする土壌消毒剤に頼らざるを得ない。また、PCNは生育中のジャガイモ等の宿主植物の根から分泌されるジャガイモシストセンチュウ孵化促進物質類(PCN Hatching Factor、以下、PCN-HFとも記す)を感知して孵化し、植物体に寄生する。そのため、土壌中のPCN-HFが感知されない、即ち宿主植物が存在しない期間は、シスト内で卵は休眠続ける。こうして長期間にわたり土壌中に潜伏可能であるため、この特徴もPCNの駆除が困難である一つの要因となっている。
30年以上前に、PCNを防除する1つのアイデアとして、PCN-HFをジャガイモ定植前の畑に散布することで、PCNを強制的に孵化させて餓死させるという防除方法が提唱されたが、大量のPCN-HF生産法が確立しておらず、圃場レベルでは実用化には至っていない。
【0003】
その後、PCN-HFの1成分として、ジャガイモ水耕栽培液からトリテルペノイド構造をもったソラノエクレピンAが発見されたが(特許文献1)、生合成経路が未解明で組換え生産ができないこと、植物体内濃度が低いため、植物体からの回収・精製は困難である。また、ソラノエクレピンAは化学合成が可能であるものの、52工程ものプロセスが必要で(非特許文献1)、生産効率が低く、高コストであるため、ソラノエクレピンAの化学合成による生産は実用上極めて困難である。また、植物体から分泌される天然のPCN-HF以外に、非天然物の孵化促進物質として、メタバナジン酸ナトリウム等の化合物が報告されているが、活性が不十分であるため実用化には至っていない。
【0004】
ソラノエクレピンA以外にも、ステロイドグリコアルカロイド(SGA、非特許文献2)、ソラノエクレピンB(非特許文献3)、ラクトンやラクタム類(特許文献2)、メチオニン(特許文献3)などがPCN-HFとして知られている。ジャガイモシストセンチュウ以外のシストセンチュウでは、ダイズシストセンチュウ孵化促進物質として、グリシノエクレピンAが知られている。
また、前記孵化促進物質に加え、シストセンチュウの宿主植物からの分泌物には、未同定の孵化促進物質、その活性を増強させる物質(増強因子)、逆にその活性を阻害する夾雑物として孵化阻害成分が存在することが示唆されている。これらの孵化促進物質や、関連物質(増強因子や孵化阻害成分)を取得、或いは分離する方法として、ナス科植物の根浸出液からセファデックスG-10カラムの分画も試みられている(特許文献4)。また、基材としてゼオライトを含む栽培用培地にてナス科植物やマメ科植物を栽培し、孵化促進物質を当該ゼオライトに吸着させる方法(特許文献5)、ジャガイモ根浸出液から固相抽出すること(非特許文献4)などが試みられてきた。
【0005】
しかし、これらの既存技術を用いたPCN-HFの生産法では、担体への吸着、有機溶媒による担体からの溶出、エバポレーションによる濃縮、試料乾固などの作業を要するため、作業に手間と時間を要し、高額な担体費用の負担、抽出に劇物指定の有機溶媒を使用することなどが課題となり、未だにシストセンチュウ防除剤の実用生産には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
米国特許第5585505号明細書
特開2022-128804号公報
国際公開第2019/004252号
欧州特許第1085812号明細書
特許第5884118号公報
【非特許文献】
【0007】
K. Tanino et al., “Total synthesis of solanoeclepin A”, Nature Chemistry volume 3, pages 484-488 (2011)
K. Shimizu et al., “Hatching stimulation activity of steroidal glycoalkaloids toward the potato cyst nematode, Globodera rostochiensis”, Plant Biotechnology 37, 319-325 (2020)
K. Shimizu et al., “Solanoeclepin B, a hatching factor for potato cyst nematode”, Sci. Adv. 9, eadf4166 (2023) 15 March 2023
A. Guerrieri et al., “UPLC-MS/MS analysis and biological activity of the potato cyst nematode hatching stimulant, solanoeclepin A, in the root exudate of Solanum spp.”, Planta 254:112 (2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、PCN-HFなどのシストセンチュウ孵化促進物質を安価、安全、高効率に回収できる手法を開発し、シストセンチュウ防除剤としての天然物由来のシストセンチュウ孵化促進物質を事業規模で生産する方法を開発することを目的とし、研究を進めた。その結果、本発明者らは、ショ糖等の糖分を含んだ液体培地でシストセンチュウの宿主植物を培養することで、シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液を高効率に大量生産でき、これが高い孵化促進効果示すことを確認した。しかしながら、製品化するにあたって、ショ糖などの夾雑物が使用上および品質管理上の問題となるという全く新しい課題に直面した。
シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液を液体の状態で保管するには、腐敗防止や活性を維持させる対策が必要となる。培養液がショ糖等の糖類を含む場合は、特に保管中の腐敗が発生し易いため、培養から回収までの工程で無菌状態を維持する必要がある。また活性を維持するためには低温保管が必要となるが、冷蔵保管では数週間で活性の低下を招く。よって、月~年単位の長期保管には凍結する必要がある。また、これを濃縮した濃縮液は、(1)高粘度化により、取り扱いが困難である、(2)糖度が高く、高粘度のため土壌処理において、土壌への浸透・混和が困難である、(3)土壌に添加後にカビが発生してシストセンチュウの孵化が却って阻害されるなどの問題点があった
【0009】
また、製品化するにあたって、シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液の状態では、有効成分の濃度の調整が容易ではなく、輸送時の容積や重量などにおいて不利である。そのため、本発明者らは、この点を、シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液を粉末化することで解決しようと考えた。しかしながら、孵化促進物質として知られるソラノエクレピンAについては35℃以上で不安定との報告があり(特許文献1)、また、孵化促進物質の一部は熱感受性であることが示唆されていることから、加熱による乾燥粉末化が適用できない可能性があるという全く新しい課題に直面した。
したがって、本発明の課題は、シストセンチュウ防除剤の事業規模での生産および製品化に際し、シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液に含まれる高い孵化促進活性を維持したまま、ショ糖などの夾雑物を除去するシストセンチュウ孵化促進物質含有組成物の製造方法を提供すること、または、シストセンチュウ防除剤の事業規模での生産および製品化に際し、シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液から、高い孵化促進活性を維持したまま、粉末化して、シストセンチュウ防除剤の製品化に用いることができるシストセンチュウ孵化促進物質含有粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、意外にも、透析膜または限外濾過膜を用いることによって、シストセンチュウ孵化促進物質含有培養液の孵化促進活性を維持したまま、ショ糖などの夾雑物を除去することができることを見出し、さらに研究を進めた結果、次の発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
ホクサン株式会社
シストセンチュウ孵化促進物質含有粉末の製造方法
5日前
ホクサン株式会社
シストセンチュウ孵化促進物質含有組成物の製造方法
5日前
個人
ルアー
6日前
個人
播種装置
3日前
個人
釣り用ルアー
1か月前
個人
釣り用ルアー
1か月前
個人
プランターセット
10日前
個人
生命力近親交配方法
10日前
個人
獣捕獲罠装置
13日前
株式会社アテックス
草刈機
18日前
株式会社シマノ
釣竿
17日前
個人
ペット用オムツカバー
17日前
個人
植物栽培装置
19日前
井関農機株式会社
歩行型管理機
1か月前
個人
漁業支援装置及び方法
4日前
株式会社フルトン
水中捕捉装置
18日前
株式会社パクマケ
植栽用遮光板
25日前
松山株式会社
草刈作業機
1か月前
株式会社村岡水産
釣り用ワーム
1か月前
花王株式会社
抗菌剤組成物
1か月前
株式会社泰
愛玩動物用タワー家具
20日前
個人
害虫捕獲、解放及び駆除装置
13日前
鹿島建設株式会社
レインガーデン
7日前
井関農機株式会社
水田引水管理システム
1か月前
個人
落口枡用取付部材及び落口枡
7日前
OTIS株式会社
ルアー用スカート
3日前
株式会社ササキコーポレーション
農作業機
5日前
有限会社マドネスジャパン
ポッパー
1か月前
株式会社クボタ
作業車両
1か月前
株式会社クボタ
作業車両
1か月前
個人
ペット搬送用バッグの開放部カバー
18日前
株式会社クボタ
作業車両
1か月前
株式会社和コーポレーション
肥料散布機
17日前
株式会社クボタ
作業車両
1か月前
株式会社クボタ
作業車両
1か月前
株式会社クボタ
圃場作業車
1か月前
続きを見る
他の特許を見る