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公開番号2025112760
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-01
出願番号2024007194
出願日2024-01-22
発明の名称操業条件導出装置、操業条件導出方法および操業条件導出プログラム
出願人JFEエンジニアリング株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類C02F 3/12 20230101AFI20250725BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】排水処理システムの最適操業条件を容易に導出し得ること。
【解決手段】排水処理システムの最適操業条件の導出において、処理対象水を生物処理で浄化した処理水にする排水処理設備の数理モデルと操業条件と前記処理対象水の水質とをもとに、前記処理水の水質予測値を含む前記排水処理設備の操業状態の予測値を算出し、前記排水処理設備に関連して前記生物処理以外の水処理を行う関連設備の数理モデルと少なくとも前記関連設備の操業条件とをもとに、前記関連設備の操業状態の予測値を算出し、前記関連設備の操業状態の予測値と前記排水処理設備の操業状態の予測値とをもとに目的関数値を算出し、処理水質について予め設定された制約条件を前記処理水の水質予測値が満たす範囲内において前記目的関数値が最小となる際の前記関連設備および前記排水処理設備の各操業条件を、前記排水処理システムの最適操業条件として探索する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
処理対象の排水を生物処理によって浄化した処理水にする排水処理設備と、当該排水処理設備に関連して前記生物処理以外の水処理を行う関連設備と、を備える排水処理システムの最適操業条件を導出する操業条件導出装置において、
前記関連設備の操業を模擬する関連設備モデルと少なくとも前記関連設備の操業条件とをもとに、前記関連設備の操業状態の予測値を算出し、前記排水処理設備の操業を模擬する排水処理設備モデルと前記排水処理設備の操業条件と前記処理対象の排水の水質とをもとに、前記処理水の水質予測値を含む前記排水処理設備の操業状態の予測値を算出するモデル計算部と、
前記関連設備の操業状態の予測値と前記排水処理設備の操業状態の予測値とをもとに目的関数値を算出し、前記処理水の水質について予め設定された制約条件を前記処理水の水質予測値が満たす範囲内において前記目的関数値が最小となる際の前記関連設備および前記排水処理設備の各操業条件を、前記排水処理システムの最適操業条件として探索する操業条件探索部と、
を備えることを特徴とする操業条件導出装置。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記排水処理システムの操業条件と、前記操業条件に従って操業する前記排水処理システムから観測された観測値とを収集するデータ収集部と、
予め設定された前記関連設備モデルおよび前記排水処理設備モデルの各初期モデルと前記データ収集部による前記排水処理システムの操業条件とをもとに、前記関連設備および前記排水処理設備の各操業状態の予測値を導出し、導出した前記各操業状態の予測値と前記データ収集部による前記観測値との誤差を小さくするように、前記各初期モデルのパラメータを調整して、前記関連設備モデルおよび前記排水処理設備モデルを構築するモデル構築部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の操業条件導出装置。
【請求項3】
前記処理水の水質を特定する処理水質情報の入力を受け付け、受け付けた前記処理水質情報に応じて前記制約条件を可変に設定する条件設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の操業条件導出装置。
【請求項4】
前記操業条件探索部によって探索された前記最適操業条件をもとに、前記関連設備および前記排水処理設備の各操業を制御する操業制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の操業条件導出装置。
【請求項5】
前記操業条件探索部は、前記処理水の水質予測値が前記制約条件を満たすか否かを判定し、前記制約条件を満たさない場合、前記関連設備および前記排水処理設備の各操業条件と前記処理対象の排水の水質とのうち少なくとも一つの値を、前記処理水の水質予測値が前記制約条件を満たすよう改善される方向に変更し、前記制約条件を満たす場合、前記少なくとも一つの値を、前記目的関数値が小さくなる方向に変更し、
前記モデル計算部は、前記最適操業条件が探索されるまで、前記操業条件探索部による変更後の値を含む前記関連設備および前記排水処理設備の各操業条件と前記処理対象の排水の水質とを用いて、前記関連設備の操業状態の予測値と前記排水処理設備の操業状態の予測値とを繰り返し算出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の操業条件導出装置。
【請求項6】
前記関連設備モデルは、前記関連設備の操業状態の予測値として前記関連設備の操業条件から前記関連設備の操業時の消費電力量を算出する少なくとも電力モデルを含み、
前記排水処理設備モデルは、前記排水処理設備の操業条件と前記処理対象の排水の水質とから前記処理水の水質予測値を算出する水質モデルと、前記排水処理設備の操業状態の予測値として記排水処理設備の操業条件から前記排水処理設備の操業時の消費電力量を算出する電力モデルと、を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の操業条件導出装置。
【請求項7】
処理対象の排水を生物処理によって浄化した処理水にする排水処理設備と、当該排水処理設備に関連して前記生物処理以外の水処理を行う関連設備と、を備える排水処理システムの最適操業条件を導出する操業条件導出方法において、
前記関連設備の操業を模擬する関連設備モデルと少なくとも前記関連設備の操業条件とをもとに、前記関連設備の操業状態の予測値を算出し、前記排水処理設備の操業を模擬する排水処理設備モデルと前記排水処理設備の操業条件と前記処理対象の排水の水質とをもとに、前記処理水の水質予測値を含む前記排水処理設備の操業状態の予測値を算出するモデル計算ステップと、
前記関連設備の操業状態の予測値と前記排水処理設備の操業状態の予測値とをもとに目的関数値を算出する目的関数値算出ステップと、
前記処理水の水質について予め設定された制約条件を前記処理水の水質予測値が満たすか否か判定する判定ステップと、
前記制約条件を前記処理水の水質予測値が満たす範囲内において前記目的関数値が最小となる際の前記関連設備および前記排水処理設備の各操業条件を、前記排水処理システムの最適操業条件として探索する操業条件探索ステップと、
を含むことを特徴とする操業条件導出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の操業条件導出方法をコンピュータに実行させる、
ことを特徴とする操業条件導出プログラム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理システムの最適操業条件を導出する操業条件導出装置、操業条件導出方法および操業条件導出プログラムに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、微生物を利用した生物処理により、処理対象の排水(以下、処理対象水という)を浄化する排水処理システムが提案されている。水処理の分野において、生物処理は、処理対象水中に含まれる有機物(有機性の汚濁物質)を微生物の生物反応によって分解するプロセスである。一般に、排水処理システムには、生物処理によって処理対象水を浄化する排水処理設備等が含まれる。排水処理設備は、処理対象水の生物処理を行うための反応タンクを備え、反応タンク内に流入した処理対象水を、活性汚泥等の多種多様な微生物によって生物処理する。これにより、排水処理設備は、処理対象水を浄化した水(以下、処理水という)を得る。排水処理設備によって得られた処理水は、浮遊物質の除去や消毒等の適切な処理を施した後に外部へ排出される。
【0003】
このような排水処理システムの最適操業条件を探索するためのツールとして、排水処理設備内で行われる処理対象水の生物処理プロセスを模擬するプロセスモデルが利用されている。当該プロセスモデルは、国際水協会(IWA)によって提唱された活性汚泥モデル等、物理化学的な洞察に基づいた数学モデルである。当該プロセスモデルでは、処理対象水の生物処理プロセスにおける微生物の生物反応が、モデルパラメータを変数とする複数の数式によって表現されている。このようなプロセスモデルは、排水処理設備から実際に観測された処理対象水の流量や有機物濃度等の観測値を入力することにより、排水処理システムの最適操業条件の探索に有用な予測値を出力することが可能である。
【0004】
しかし、上述した処理対象水の生物処理プロセスにおいては、反応タンク内に混在する多種多様な微生物の生物反応が、処理対象水の水質や流入量等の処理状況の変化に伴って複雑に変化してしまう。それ故、プロセスモデルによって上記複雑な生物反応を継続して高精度に表現するためには、生物処理プロセスの処理状況が時間の経過とともに変化するに伴い、プロセスモデルに含まれる多くのモデルパラメータを、上記処理状況および経験則をもとに試行錯誤して調整する必要があった。
【0005】
これに対し、例えば特許文献1には、水処理装置の運転データを収集するデータ収集手段と、モデルパラメータで記述された数式によって水処理プロセスの要部を表現した数学モデルと、過去の経験的な情報を総合して水処理プロセスを定性的に表現する言語モデルと、水処理装置を運転する運転手段と、これらデータ収集手段、数学モデル、言語モデルおよび運転手段の作動を制御する制御手段と、を備えた水処理装置のモデル参照型自動制御装置が開示されている。特許文献1に記載の従来技術において、数学モデルは、水処理装置の運転結果を予測する。言語モデルは、水処理プロセスの、上記数学モデルによって表現されていない性質についての知識を有し、運転データに基づいて水処理装置の運転状況を判断し、判断した運転状況に応じて、上記数学モデルの校正すべきモデルパラメータを選択して校正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第4700145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、上述した数学モデルおよび言語モデルを構築するために、処理対象水の生物処理プロセスに関する膨大なデータを収集する必要があり、さらには、これらのモデルのアルゴリズム実装に多大な手間を要する。それ故、モデル構築に多大な時間および労力(すなわち人的コスト)が掛かることから、これらのモデルを最適操業条件の探索ツールとして活用し難いという問題がある。
【0008】
また、排水処理の分野においては、近年、上述した排水処理設備のみならず、排水処理設備の前段において処理対象水からゴミ等の大きな異物を除去する設備等、排水処理設備に関連して生物処理以外の水処理を行う関連設備を含む全体的な排水処理システムの最適操業条件を容易に探索して導出することが要望されている。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、排水処理システムの最適操業条件を容易に導出することができる操業条件導出装置、操業条件導出方法および操業条件導出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る操業条件導出装置は、処理対象の排水を生物処理によって浄化した処理水にする排水処理設備と、当該排水処理設備に関連して前記生物処理以外の水処理を行う関連設備と、を備える排水処理システムの最適操業条件を導出する操業条件導出装置において、前記関連設備の操業を模擬する関連設備モデルと少なくとも前記関連設備の操業条件とをもとに、前記関連設備の操業状態の予測値を算出し、前記排水処理設備の操業を模擬する排水処理設備モデルと前記排水処理設備の操業条件と前記処理対象の排水の水質とをもとに、前記処理水の水質予測値を含む前記排水処理設備の操業状態の予測値を算出するモデル計算部と、前記関連設備の操業状態の予測値と前記排水処理設備の操業状態の予測値とをもとに目的関数値を算出し、前記処理水の水質について予め設定された制約条件を前記処理水の水質予測値が満たす範囲内において前記目的関数値が最小となる際の前記関連設備および前記排水処理設備の各操業条件を、前記排水処理システムの最適操業条件として探索する操業条件探索部と、を備えることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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