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公開番号2025101260
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-07
出願番号2023217979
出願日2023-12-25
発明の名称超伝導導体
出願人大学共同利用機関法人自然科学研究機構
代理人個人
主分類H01F 6/06 20060101AFI20250630BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】 超伝導導体において、クエンチによる熱暴走を回避または抑制するための構造に関する。
【解決手段】 複数の超伝導線材10を用いて超伝導素線20を形成する。超伝導素線20の表面には、凹部22、凸部23を有する金属層24を形成する。複数の超伝導素線20を、コンジット33内に収納する。コンジット33の中心部には冷媒流路34を形成し、液体水素などの冷媒36を供給する。コンジット33の内部の空隙には、銅などのワイヤ35を充填する。
こうすることにより、超伝導線材10に劣化等によって局所的な発熱が生じた場合、金属層24およびワイヤ35に電流がバイパスする。また、金属層24の凹部22、凸部23によって隣接する超伝導線材10の間に冷媒の流路を確保できるため、超伝導線材10の冷却を効果的に行うこともでき、熱暴走を回避することができる。
【選択図】 図1


特許請求の範囲【請求項1】
超伝導導体であって、
超伝導層を含む超伝導線材を複数本用いて形成された超伝導素線と、
複数の前記超伝導素線を収納し、内部に冷媒が供給される収納管とを備え、
前記超伝導素線は、その外周が、前記超伝導層が超伝導状態にあるときの抵抗値より高く、該超伝導層が常伝導状態にあるときの抵抗値より低い範囲の電気抵抗を有する金属により、凹凸部を有する状態で形成された金属層を有する超伝導導体。
続きを表示(約 480 文字)【請求項2】
請求項1記載の超伝導導体であって、
前記金属層は、銅、アルミニウム、インジウムのいずれかで構成される超伝導導体。
【請求項3】
請求項1記載の超伝導導体であって、
前記凹凸部は、隣接する超伝導素線が接触する部位の少なくとも一部において、前記収納管の径方向に前記冷媒を流す流路を形成する形状となっている超伝導導体。
【請求項4】
請求項1記載の超伝導導体であって、
前記金属層は、凹凸部を有する金属テープを前記超伝導素線に貼り付けて形成された超伝導導体。
【請求項5】
請求項4記載の超伝導導体であって、
前記凹凸部における凸部の幅は、凹部の幅よりも広い超伝導導体。
【請求項6】
請求項1記載の超伝導導体であって、
前記超伝導層は、高温超伝導素材で形成される超伝導導体。
【請求項7】
請求項6記載の超伝導導体であって、
前記超伝導層は、高温超伝導素材で形成され、
前記冷媒は液体水素である超伝導導体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導導体において、クエンチによる熱暴走を回避または抑制するための構造に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
超伝導体への通電能力は、超伝導状態を保つことができる臨界電流によって制限されるため、大電流が求められる超伝導ケーブル、超伝導コイルなどに実用するためには、複数本の超伝導線材を並列に用いる必要がある。かかる観点から、複数の超伝導線材間で電流偏流を抑止し、安定的に電流を流すよう形成されたものとして、超伝導線材を金属の芯にらせん状に巻き付けたCORC(登録商標)素線などが知られている。しかしながら、CORC(登録商標)素線などであっても、単体で流せる電流は十分とは言えず、実用的な電流を流すためには、さらに複数のCORC(登録商標)素線などを高強度のコンジットと呼ばれる収納管に収納する必要が生じることもある。
【0003】
一方、超伝導体は、一定の臨界温度を超えると超伝導性を失う性質を有しており、超伝導体に通電する際に、何らかの原因で局所的に臨界温度を超え常伝導状態が生じることがある。かかる現象をクエンチという。クエンチが生じると、超伝導体の抵抗が局所的に増大するため、局所的な加熱を生じ、発熱が冷却を上回ってしまう熱暴走と呼ばれる現象が生じ、さらには熱応力による破損や焼損に至ることもある。
【0004】
クエンチまたは熱暴走の回避は、高温超伝導体において特に重要であった。高温超伝導体とは、一般に77ケルビンよりも臨界温度が高い物質を言うが、かかる性質は、臨界温度を超えるまでの熱容量が大きいことを意味する。つまり、局所的に常伝導部分が生じたとしても、他の箇所にそれが広がるまでに時間を要することとなり、クエンチを検出できる頃には、局所の温度が高くなり、熱暴走によって熱応力による破損や焼損に至ってしまうという問題が生じ得る。従って、高温超伝導体では、クエンチまたはそれによる熱暴走の回避がより重要な課題となるのである。
【0005】
特許文献1は、高温超伝導線材を巻いたいわゆるパンケーキ型の超伝導導体において、その上面または下面に板状の導電性部材を接触させ、径方向の異なる位置にある線材同士に電気的な迂回路を形成する技術を開示している。このように線材にクエンチが生じた時には、熱暴走を回避するために、電流の迂回路を形成することが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2023-44839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱暴走の問題は、複数のCORC(登録商標)素線を用いる場合も同様である。しかし、従来技術では、熱暴走の抑制効果が十分とは言えず、まだ改善の余地が残されていた。熱暴走の問題は、CORC(登録商標)素線を用いる場合、さらには高温超伝導に限った話ではなく、超伝導全体に共通する問題である。
本発明は、かかる課題に鑑み、超伝導導体において、クエンチなどに起因する熱暴走の抑制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
超伝導導体であって、
超伝導層を含む超伝導線材を複数本用いて形成された超伝導素線と、
複数の前記超伝導素線を収納し、内部に冷媒が供給される収納管とを備え、
前記超伝導素線は、その外周が、前記超伝導層が超伝導状態にあるときの抵抗値より高く、該超伝導層が常伝導状態にあるときの抵抗値より低い範囲の電気抵抗を有する金属により、凹凸部を有する状態で形成された金属層を有する超伝導導体とすることができる。
【0009】
本発明によれば、超伝導線材を複数本用いて超伝導素線を形成し、さらに複数の超伝導素線を収納管に収納する。そして、超伝導素線には、その周囲に金属層が形成されている。超伝導素線にクエンチが生じた場合、熱暴走を回避または抑制する手段としては、クエンチ部分を流れる電流を抑え、バイパスさせることが有効となるが、本発明では、この金属層により超伝導素線の電流のバイパス経路を構成することができる。また、本発明の金属層の抵抗値は、超伝導層が超伝導状態にあるときの抵抗値より高いから、超伝導状態においては、超伝導素線を流れる電流を阻害することがない。一方、超伝導層が常伝導状態にあるときは、金属層の抵抗値の方が低くなるため、電流は金属層にバイパスされることになる。
【0010】
本発明では、さらに金属層には凹凸部が形成されている。収納管に複数の超伝導素線を収納した場合、ただでさえ超伝導素線間の隙間は小さく冷媒が流れにくい状態にあるところ、通電すると超伝導素線間には相互に密着させる方向の電磁力が作用するため、超伝導素線間は一層緊密になり、冷媒の流れを阻害してしまう。これに対し、本発明では、金属層に凹凸部が形成されているから、超伝導素線間の隙間を確保することができ、冷媒の流れを確保することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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