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公開番号2025031178
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-07
出願番号2023137226
出願日2023-08-25
発明の名称熱電材料、横型熱電モジュール、及び熱電材料の製造方法
出願人国立研究開発法人産業技術総合研究所,国立大学法人島根大学
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類H10N 10/853 20230101AFI20250228BHJP()
要約【課題】低温領域でゴニオ極性を示し、且つ、原料が安価な新規の熱電材料、この熱電材料を用いた横型熱電モジュール及びこの熱電材料の製造方法を提供する。
【解決手段】次の一般式(1)で表される熱電材料であって、
Mg3-x+dYxSb2-yBiy(1)
一般式(1)中、0≦x≦1、y=0又は2、且つ-0.1≦d≦1であって、y=0の時、0<x≦0.1である単結晶であり、測定温度300[K]における、面内ゼーベック係数(SIP)と、面間ゼーベック係数(SCP)との差(絶対値)が、20[μV/K]以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
次の一般式(1)で表される熱電材料であって、
Mg
3-x+d


Sb
2-y
Bi

(1)
(一般式(1)中、0≦x≦1、y=0又は2、且つ-0.1≦d≦1であって、y=0の時、0<x≦0.1である)
単結晶であり、
測定温度300[K]における、面内ゼーベック係数(S
IP
)と、面間ゼーベック係数(S
CP
)との差(絶対値)が、20[μV/K]以上である、熱電材料。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記一般式(1)中、y=0の時、測定温度300[K]における、キャリア密度(n)が-1.0×10
20
[cm
-3
]以上であり、
y=2の時、測定温度300[K]における、キャリア密度(n)が-5.0×10
19
[cm
-3
]以上10.0×10
19
[cm
-3
]以下である、請求項1に記載の熱電材料。
【請求項3】
測定温度300[K]における、面間電気抵抗率(ρ
CP
)が8.0[Ωm]以下である、請求項1に記載の熱電材料。
【請求項4】
横型熱電モジュール用である、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱電材料。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の熱電材料を用いた、横型熱電モジュール。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の熱電材料の製造方法であって、
前記一般式(1)中、y=0の時、前記一般式(1)の化学組成に含まれる元素の単体金属を、700℃以上900℃以下で加熱した後、冷却し、
y=2の時、前記一般式(1)の化学組成に含まれる元素の単体金属を、620℃以上830℃以下で加熱した後、冷却することを特徴とする、熱電材料の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、新規の熱電材料、横型熱電モジュール、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
熱電材料とは温度差をつけることによって電力を取り出せる材料をいう。可動部分がなく故障しにくいため、メンテナンスフリーの排熱回収技術として注目されている。熱電材料の性能は以下の式(A)で算出される無次元性能指数ZTで表すことができ、この値が高いものが優れた特性を示すものとされる。このような熱電材料を用いて、熱電モジュールを構築できる。
ZT=S

T/ρκ (A)
[S:ゼーベック係数(V/K)、T:温度(K)、ρ:電気抵抗率(Ωm)、κ:熱伝導率(w/m・K)]
【0003】
従来の熱電モジュールは、温度差方向と発電方向とが同じ方向である「縦型構造」をしており、熱電材料及び電極の界面を高温の熱源に接触させることで発電する。しかし該界面において元素拡散等の反応が生じ、熱電モジュールが劣化しやすいという課題があった。
【0004】
一方で、材料中でキャリア極性(p型及びn型)が方向により変化する材料を「ゴニオ極性材料」という。熱電材料としてゴニオ極性材料を用いた場合、温度差方向と発電方向とが直交する「横型構造」の熱電モジュールを構築できる。
【0005】
ゴニオ極性材料として、Re

Si

が横方向性能指数Z
xy
T=0.7を示すことが知られている(非特許文献1)。なお、横方向ゼーベック係数S
xy
は以下の式(B)で算出でき、横方向性能指数Z
xy
Tは以下の式(B)で算出できる。

xy
=(S
CP
-S
IP
)sin(θ)cos(θ) (B)

xy
T=(S
xy


T/ρ
xx
κ
yy
(C)
[S
CP
:面間ゼーベック係数(V/K)、S
IP
:面内ゼーベック係数(V/K)、θ:面内方向(CP)とy方向との角度、T:温度(K)、ρ
xx
:横方向電気抵抗率(Ωm)、κ
yy
:縦方向熱伝導率(w/m・K)]
【0006】
しかし、Re

Si

が高い性能を示すのは高温領域(700℃)であり、且つレニウムは高価な金属原料である。したがって、より低温領域でも性能を示し、且つ原料が安価な熱電材料の開発が求められている。Reよりも安価なMg

Sb

単結晶を用いた材料についても報告されているが、ゴニオ極性は発現していない(非特許文献2~3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Scudder, M. et al., “Highly efficient transverse thermoelectric devices with Re4Si7 crystals”, Energy & Environmental Science, 14, 4009 (2021)
Li, A. et al.,“Demonstration of valley anisotropy utilized to enhance the thermoelectric power factor.”, Nature Communications, 12, 5408 (2021)
Jin, M. et al., “ Nearly isotropic transport properties in anisotropically structured n-type single-crystalline Mg3Sb2.”, Materials Today Physics, 21, 100508 (2021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の技術における上記の状況に鑑みてなされたものであり、低温領域でゴニオ極性を示し、且つ原料が安価な新規の熱電材料を提供し、さらにはこの熱電材料を用いた横型熱電モジュール、及びこの熱電材料の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定の一般式(1)で表される熱電材料であって、単結晶であり、測定温度300[K]における、面内ゼーベック係数(S
IP
)と、面間ゼーベック係数(S
CP
)との差(絶対値)が、20[μV/K]以上である熱電材料により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本開示は以下の[1]~[6]に関する。
[1]:次の一般式(1)で表される熱電材料であって、
Mg
3-x+d


Sb
2-y
Bi

(1)
(一般式(1)中、0≦x≦1、y=0又は2、且つ-0.1≦d≦1であって、y=0の時、0<x≦0.1である)
単結晶であり、
測定温度300[K]における、面内ゼーベック係数(S
IP
)と、面間ゼーベック係数(S
CP
)との差(絶対値)が、20[μV/K]以上である、熱電材料。
[2]:前記一般式(1)中、y=0の時、測定温度300[K]における、キャリア密度(n)が-1.0×10
20
[cm
-3
]以上であり、
y=2の時、測定温度300[K]における、キャリア密度(n)が-5.0×10
19
[cm
-3
]以上10.0×10
19
[cm
-3
]以下である、[1]に記載の熱電材料。
[3]:測定温度300[K]における、面間電気抵抗率(ρ
CP
)が8.0[Ωm]以下である、[1]又は[2]に記載の熱電材料。
[4]:横型熱電モジュール用である、[1]~[3]のいずれかに記載の熱電材料。
[5]:[1]~[4]のいずれかに記載の熱電材料を用いた、横型熱電モジュール。
[6]:[1]~[4]のいずれかに記載の熱電材料の製造方法であって、
前記一般式(1)中、y=0の時、前記一般式(1)の化学組成に含まれる元素の単体金属を、700℃以上900℃以下で加熱した後、冷却し、
y=2の時、前記一般式(1)の化学組成に含まれる元素の単体金属を、620℃以上830℃以下で加熱した後、冷却することを特徴とする、熱電材料の製造方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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