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公開番号2025008811
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023111340
出願日2023-07-06
発明の名称発電装置
出願人国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
代理人弁理士法人南青山国際特許事務所
主分類F03D 5/04 20060101AFI20250109BHJP(液体用機械または機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの)
要約【課題】凧落下時に対する安全領域の縮小が可能な発電装置を提供する。
【解決手段】発電装置は、支持体と、凧と、可動体と、発電機とを具備する。上記支持体は、風上側から風下側に向かって上り傾斜となる傾斜面を有する。上記凧は、飛翔体と、上記飛翔体に接続される第1の索と第2の索とを有する。上記可動体は、上記第1の索および上記第2の索に接続され、上記第1の索の長さと上記第2の索の長さとの差である索長差を変化させることで、空中において上記飛翔体を8の字軌道で飛翔させることが可能な凧制御ユニットを有し、上記凧から受ける索引力の大きさに応じて上記傾斜面上を風下側および風上側へ往復運動することが可能に構成される。上記発電機は、地上に設置された発電機構と、上記発電機構と上記可動体とを連結する連結部とを有し、上記傾斜面上における上記可動体の上記往復運動を電力に変換する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
風上側から風下側に向かって上り傾斜となる傾斜面を有する支持体と、
飛翔体と、前記飛翔体に接続される第1の索と第2の索とを有する凧と、
前記第1の索および前記第2の索に接続され、前記第1の索の長さと前記第2の索の長さとの差である索長差を変化させることで、空中において前記飛翔体を8の字軌道で飛翔させることが可能な凧制御ユニットを有し、前記凧から受ける索引力の大きさに応じて前記傾斜面上を風下側および風上側へ往復運動することが可能に構成された可動体と、
地上に設置された発電機構と、前記発電機構と前記可動体とを連結する連結部とを有し、前記傾斜面上における前記可動体の前記往復運動を電力に変換する発電機と
を具備する発電装置。
続きを表示(約 990 文字)【請求項2】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記凧制御ユニットは、前記飛翔体が受ける風力を利用して前記凧に前記可動体を風下側へ向けて牽引させる第1の操作と、前記可動体の自重を利用して前記可動体を風上側へ向けて移動させる第2の操作と、を交互に実行する
発電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発電装置であって、
前記凧制御ユニットは、前記凧の仰角を変化させることで、前記第1の操作と前記第2の操作を切り替える
発電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記可動体は、前記8の字軌道における前記飛翔体の下降時に生じる第1の牽引力を利用した風下側への移動と、前記8の字軌道における前記飛翔体の上昇時に生じる、前記第1の牽引力よりも小さい第2の牽引力と前記可動体の自重とを利用した風上側への移動と、を交互に行う
発電装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発電装置であって、
前記凧制御ユニットは、前記索長差を変化させることで、空中において前記飛翔体を8の字軌道で強制振動させる、又は、8の字軌道で自励振動させるきっかけを与えることが可能に構成される
発電装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発電装置であって、
前記支持体は、前記傾斜面の方位を変更可能な回転テーブルを更に有する
発電装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発電装置であって、
前記傾斜面は、前記可動体の移動をガイドするガイドレールを有する
発電装置。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発電装置であって、
前記傾斜面は、風上側から風下側にいくほど傾斜の度合いが大きくなる傾斜を有する
発電装置。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の発電装置であって、
風下側に位置する前記可動体の、風下側から風上側に向かう方向への移動を付勢する付勢機構、及び/又は、風上側に位置する前記可動体の、風上側から風下側に向かう方向への移動を付勢する付勢機構を更に具備する
発電装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、凧を用いた発電装置に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
凧(飛翔体に索が結びつけられた系)を用いてエネルギーを生成させる発電装置は、いわゆる空中風力発電(Airborne Wind Energy System)である。空中風力発電では、空中に飛翔体を飛ばし、当該飛翔体が受ける風力をエネルギーに変換する。空中風力発電としては、発電機構を地上に設置するものと、飛翔体に設置するものに大別される(非特許文献1参照。)。
【0003】
実用化されている地上に発電機構を設置する発電装置に、ポンピングサイクル(Pumping Cycle)方式がある。当該方式では、凧が風を受け上昇する際に索が引き出され、索を巻き付けたドラムを回転させることでエネルギーを取り出す。索が所定の長さまで引き出されると、凧を降下させる。この際、凧に負迎角をとらせるなどして、抗力を最小とし、索を巻きあげる際のエネルギーを最小化する。その結果、索の引き出し時のエネルギー生成量が巻きあげ時のエネルギー消費量よりも大きくなり、この1周期で正味のエネルギーを生み出すことができる(特許文献1~5参照。)。
【0004】
発電機を地上に固定した状態でエネルギーを取り出す他の方式としては、風力をねじりのエネルギーに複数の羽で変換する方式(特許文献6参照。)、凧の8の字サイクルをレバーの左右の動きに変換する方式(特許文献7参照。)、垂直軸風車の両端を凧とする方式(特許文献8参照。)等がある。
【0005】
発電機を地上に固定した状態でエネルギーを取り出す更に他の方式として、凧に発電機を載せた車両を牽引させる方式がある。この方式では、発電機が地上の特定の位置に固定される上記各方式に対して、発電機が地上の特定の位置に固定されない。この方式では、凧に牽引される車両の車輪の回転機構からエネルギーを取り出している(特許文献9、10参照。)。
【0006】
上述した各方式のうちポンピングサイクル方式以外の方式では、構造上の安定性の課題、効率性の課題から実用化には至っていない。例えば、特許文献6に記載される風力タービン装置では、複数の索と柔軟翼を組み合わせる構造であるため突風への対応がポンピングサイクル方式で使用される通常の凧に比べて弱いという構造上の安定性の課題がある。また、特許文献8に記載される風力発電システムにおいても、凧に取り付けられるタービン部が同様の構造上の安定性の課題を有する。特許文献7に記載されるカイトを略円弧状の軌跡を描くように左右に往復動させることによってパワーレバーを駆動させて動力を出力するようにしている風力エネルギー回収装置では、風下かつ上方への引張力を利用するポンピングサイクル方式よりも理論上エネルギー発生に寄与する引張力が小さくなり、効率的でない。このため、ポンピングサイクル方式、特許文献9や特許文献10に記載される車両を牽引する方式が実用的な方式となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2004-232461号公報
特表2013-535612号公報
特表2018-502799号公報
特表2019-532216号公報
特開2020-94521号公報
特開2022-34899号公報
国際公開2013/094623号
特開2014-51991号公報
特表2010-523865号公報
特表2016-502625号公報
【非特許文献】
【0008】
Antonello Cherubini, Andrea Papini, Rocco Vertechy, Marco Fontana, "Airborne Wind Energy System: A review of the technologies," Renewable and Sustainable Energy Reviews, Vol.51, 2015, pp.1461-1476, https://doi.org/10.1016/j.rser.2015.07.053
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1~5に記載されるポンピングサイクル方式、特許文献9や10に記載される車両を牽引する方式では、生産するエネルギーを確保するために、広大な安全領域の確保を必要とする。すなわち、ポンピングサイクル方式では、索を一定長さ引き伸ばす必要があるため、飛翔体と索の落下に対する安全領域を考慮すると、少なくとも数百m程度の領域を確保しなければならない。また、車両を牽引する方式では、車両が周回するためのレールを必要とし、さらに飛翔体と索の落下に対する安全領域を確保しなければならない。
【0010】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、凧落下時に対する安全領域の縮小が可能な発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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