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公開番号2025001740
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023101380
出願日2023-06-21
発明の名称紡糸口金
出願人東レ株式会社
代理人
主分類D01D 4/02 20060101AFI20241226BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】 厚みの異なる積層板が積層された紡糸口金において、繊維製造工程における繰り返しの使用を可能としつつも、工業的な利用においても繊維の生産性を損なうことなく、取扱性に優れかつ長期間での使用を可能とする紡糸口金を提供する。
【解決手段】 厚みが2種類以上異なる積層板が積層された紡糸口金において、最も厚みの薄い板(積層板B)の位置決めピン孔が下記式に基づいて穿設されていることを特徴とする紡糸口金。0.010≦(b/a-1)/HAB(式1)
ここでいうaおよびbは、位置決めピン孔の垂直方向断面の短軸(a)と長軸(b)であり、b/aは位置決めピン孔のアスペクト比を示すものである。また、HABとは、積層板Bに対する最も厚い積層板(積層板A)との厚みの比を指す。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
複数の積層板が積層された紡糸口金において、前記積層板の厚みは2種類以上であって、最も厚みの薄い板(積層板B)の位置決めピン孔が下記式に基づいて穿設されていることを特徴とする紡糸口金。
0.010≦(b/a-1)/H
AB
(式1)
ここでいうaおよびbは、積層板の垂直方向断面の位置決めピン孔の短軸(a)と長軸(b)であり、b/aは位置決めピン孔のアスペクト比を示すものである。また、H
AB
とは、積層板Bの厚さに対する、最も厚い積層板Aの厚さの比を指す。
続きを表示(約 110 文字)【請求項2】
積層板の材質がステンレス鋼(SUS)である請求項1に記載の紡糸口金。
【請求項3】
積層板Aと積層板Bの材質が、異なるステンレス鋼(SUS)である請求項1または請求項2に記載の紡糸口金。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを糸状に吐出するための紡糸口金に関するものである。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
現在では、衣料用途のみならず産業資材用途まで、繊維の用途の多様化が進み、その要求特性も多様なものとなってきており、その要求に応じるべく、多種多様な繊維要素技術に関する提案がなされている。例えば、ソフトな風合い付与や糸表面積向上による高機能化を狙いとした単糸細繊度化や多フィラメント化、光沢感や剛性付与を狙いとした異形断面化、2種類以上のポリマーを組み合わせることで高機能化を狙いとした複合繊維化といった技術が挙げられる。
【0003】
一般的にこれら合成繊維を製造するためには、液状化させたポリマーを吐出するための紡糸口金が必須であるが、上記した高機能性を満足する繊維を安定的に製造するためには、緻密に設計された流路を有する紡糸口金の使用が必要不可欠である。中でも、単糸細繊度化を狙いとした多フィラメント化可能な紡糸口金や、2種類以上のポリマーを所望の形状に複合化させるための紡糸口金においては、ポリマー流を精密に制御するための積層板と、制御されたポリマー流を糸状に安定的に吐出させるための積層板、の少なくとも2種類の積層板を積層して構成される紡糸口金となる。このように、ポリマー流を緻密に制御し、安定的な吐出を可能とするためは、複数の積層板から構成される紡糸口金の適用が不可欠であるが、このような紡糸口金の製造には高い加工精度が求められる。これより、製造コストも高価になることから、工業的な使用という観点から見た場合、長期的な糸生産安定性を有することは言うまでもなく、加えて繰り返しの使用性や取扱性に優れることが求められる。
【0004】
ここでいう繰り返しの使用とは、紡糸口金を使用して繊維を製造した後、各積層板に解体し、ポリマー除去ならびに洗浄工程を経て、再度組み立てて繊維の製造に使用することをいう。例えば溶融紡糸法の場合においては、高温下で長時間、紡糸パック内で固定化された状態でポリマー流が断続的に通過する環境で使用されることを意味する。
【0005】
このように紡糸口金はその使用上、いくつもの工程で温度変化や外部衝撃を受けることになる。一般的に、複数の積層板から構成される紡糸口金は、位置決めピンやボルト等を使用して各積層板間で不要に流路を閉塞することがないように位置調整して組み立てられた後、固定化されて繊維製造に使用されるが、使用に伴って生じた積層板の歪が、撓みや縮み等の積層板の変形が顕在化する場合がある。この場合には、積層板間の位置決めピン孔の中心位置に僅かなズレが生じることになるため、紡糸口金を適切に組み立てることが難しくなり、再使用が困難になる場合があった。加えて、より緻密なポリマー流に分割して複雑な繊維断面を狙いとする紡糸口金においては、紡糸口金を構成する積層板の枚数が多くなることになるが、既存の繊維製造設備に適用できるように設計される場合が多いことを踏まえると、積層板の厚みが可能な限り薄くすることになる。この場合、温度変化や外部衝撃に起因した歪を生じやすくなるため、さらなる組立不良を助長する場合があった。
【0006】
このような課題に対して、特許文献1では、複合口金を構成する各積層板同士を接合することで、位置決めピンを必要としない一体型の複合紡糸口金が提案されている。
【0007】
また、特許文献2では、金属部材と比較して熱膨張の影響が小さいセラミック部材を有する紡糸口金が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2008-38305号公報
特開2001-234421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、複数種のポリマーを分配・移送するためのポリマー流路群が加工され、かつ複数に分割された口金板群を互いにその接合面を合わせて積層し一体化した複合紡糸口金とすることで、位置決めピンを設ける必要のない口金の組み立て技術を開示している。この紡糸口金を使用すれば、口金板間が接合されて一体化しているため、繰り返しの使用における組立不良の問題を解消できる可能性がある。しかしながら、各積層板を接合した一体化紡糸口金であることから、紡糸口金内は非常に複雑なポリマー流路を形成しており、使用後の洗浄工程、例えば加熱したソルトバス中に浸漬したりする工程においては、流路内に残留するポリマー等の除去を困難にする場合がある。洗浄不良により操業性の悪化を引き起こす可能性があることから、繊維の生産安定性を確保できない場合があった。
【0010】
特許文献2では、溶融紡糸するための紡糸口金において、ポリマー吐出孔群をセラミック部材とすることでポリマー離型性を向上させ、製糸生産安定化を図る口金技術を開示している。本技術は、従来紡糸口金に適用されているSUS304材やSUS630材、SUS316材等の金属部材と比較して、製糸中に発生するポリマー熱劣化物等の異物が堆積しにくいセラミック部材を紡糸口金の吐出積層板に配置することで、製糸安定性に優れることができるとされている。確かに、セラミック部材は金属部材と比較して熱寸法安定性に優れることもあり、紡糸口金の繰り返しの使用における撓みや縮みによる組立不良を抑制できる可能性がある。しかしながら、セラミック部材は脆性が大きく耐衝撃性が低いことから、繰り返しの使用の中で受ける外部衝撃により、一部が欠けたり割れたりする場合があり、取扱性が難しい場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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