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公開番号2024174656
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-17
出願番号2023092594
出願日2023-06-05
発明の名称半導体装置および半導体装置の製造方法
出願人株式会社デンソー,トヨタ自動車株式会社,株式会社ミライズテクノロジーズ
代理人弁理士法人ゆうあい特許事務所
主分類H01L 23/40 20060101AFI20241210BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】半導体素子にはんだ形状制御部材を設けずとも、半導体素子と金属部材とを接合するはんだのフィレット形状が制御された半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体素子3にはんだ42を配置し、はんだ42上に上面5a、下面5bおよび側面5cを有する金属部材5の下面5bを接触するように載せる。はんだ42を溶融させた状態で半導体素子3と金属部材5との距離をはんだ42の溶融前よりも大きくし、この状態を維持したままはんだ42を固化させる。これにより、はんだ42が厚み方向における中心に向かって凹んだ円弧形状となり、はんだ42のうち半導体素子3に接する部分のフィレット角が所定未満となるため、半導体素子3にかかる応力が緩和された半導体装置を製造できる。
【選択図】図4C
特許請求の範囲【請求項1】
半導体素子(3)と、上面(5a)、下面(5b)および前記上面と前記下面との間の面である側面(5c)を有し、前記半導体素子と対向する部分の平面サイズが前記半導体素子よりも小さい金属部材(5)とを用意することと、
前記半導体素子にはんだ(42)を配置し、前記半導体素子のうち前記はんだが配置される面の外郭内側に前記金属部材を配置するとともに、前記はんだに前記金属部材の前記下面を接触するように載せることと、
前記はんだを溶融させた状態における前記金属部材と前記半導体素子との距離を前記はんだの溶融前よりも大きくすることと、
前記距離を前記はんだの溶融前よりも大きくしたままの状態で前記はんだを固化させることと、を含む半導体装置の製造方法。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
リードフレーム(7)を用意することと、
前記リードフレームにはんだ(43)を介して前記金属部材の前記上面を接触するように載せることと、
はんだを介して接続された前記半導体素子、前記金属部材および前記リードフレームを有してなるワークを乗せる台座(101)と、前記リードフレームを支える複数の支柱(102)とを有する治具(100)を用意することと、をさらに含み、
前記距離を大きくすることにおいては、前記ワークを前記治具にセットし、複数の前記支柱を伸ばして前記リードフレームを持ち上げることにより行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
リードフレーム(7)を用意することと、
前記リードフレームにはんだ(43)を介して前記金属部材の前記上面を接触するように載せることと、
はんだを介して接続された前記半導体素子、前記金属部材および前記リードフレームを有してなるワークを乗せる台座(101)と、前記リードフレームを支える複数の支柱(102)とを有する治具(100)を用意することと、
前記台座に前記はんだを溶融させるときに膨張し、前記はんだを固化するときに収縮する熱伸縮部材(110)を配置し、前記熱伸縮部材の上に前記ワークを乗せること、をさらに含み、
前記距離を大きくすることにおいては、複数の前記支柱により前記リードフレームを支えたまま、前記熱伸縮部材を収縮させることにより行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記距離を大きくすることにおいては、前記金属部材を直接持ち上げることにより行う、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記距離を大きくする前に、前記距離を前記はんだの溶融前よりも小さくし、前記はんだを前記側面に付着させること、をさらに含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記金属部材を用意することにおいては、前記側面と前記下面とを繋ぐ部分に、前記側面および前記下面とは異なる平面または湾曲面とされたはんだ誘導部(51)が形成されたものを用意する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属部材を用意することにおいては、前記側面のうち前記下面の端部側に凹部とされたはんだ誘導部(51)が形成されたものを用意する、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体装置であって、
半導体素子(3)と、
上面(5a)、下面(5b)および前記上面と前記下面との間の面である側面(5c)を有し、前記半導体素子よりも平面サイズが小さい金属部材(5)と、
前記半導体素子と前記金属部材の前記下面とを接合するはんだ(4)と、を備え、
前記金属部材は、前記半導体素子のうち前記はんだが配置される面の外郭内側に配置されており、
前記はんだは、外郭の一部が前記側面よりも前記金属部材の内側に入り込むとともに、前記側面の少なくとも一部を覆っている、半導体装置。
【請求項9】
前記金属部材は、前記側面と前記下面とを繋ぐ部分に、前記側面および前記下面とは異なる平面または湾曲面とされたはんだ誘導部(51)が形成されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記金属部材は、前記側面のうち前記下面の端部側に凹部とされたはんだ誘導部(51)が形成されている、請求項8に記載の半導体装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体素子にはんだを介して金属部材が接合された構成の半導体装置およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、この種の半導体装置では、金属部材と半導体素子とを接合するはんだのうち半導体素子に接する部分における盛り上がりの形状、すなわちフィレット形状が半導体素子の信頼性に影響を及ぼすことが知られている。具体的には、例えば、はんだが接続対象である金属部材のうち半導体素子の表面と向き合う面からはみ出し、その側面を這い上がることで、フィレット形状は、半導体素子の表面と金属部材の側面とを略直線的に繋ぐ状態となることがある。はんだのフィレット形状がこのような状態になると、半導体素子にかかる応力が大きくなり、信頼性が低下してしまう。このような信頼性低下を抑制する半導体装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置は、半導体素子のうちはんだ接合がされる領域を囲む絶縁性材料からなるはんだ形状制御部材が配置されており、はんだのフィレット形状が制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2012-164880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体装置は、半導体素子に予めはんだ形状制御部材を形成しなければならず、製造コストの増大が懸念される。このため、より簡便にはんだのフィレット形状を制御することが求められる。
【0006】
本開示は、上記の点に鑑み、半導体素子にはんだ形状制御部材を設けずとも、半導体素子と金属部材とがはんだ接合され、はんだが半導体素子にかかる応力を緩和されたフィレット形状に制御された半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの観点によれば、半導体装置の製造方法は、半導体素子(3)と、上面(5a)、下面(5b)および上面と下面との間の面である側面(5c)を有し、半導体素子と対向する部分の平面サイズが半導体素子よりも小さい金属部材(5)とを用意することと、半導体素子にはんだ(41)を配置し、半導体素子のうちはんだが配置される面の外郭内側に金属部材を配置するとともに、はんだに金属部材の下面を接触するように載せることと、はんだを溶融させた状態における金属部材と半導体素子との距離をはんだの溶融前よりも大きくすることと、当該距離をはんだの溶融前よりも大きくしたままの状態ではんだを固化させることと、を含む。
【0008】
これによれば、半導体素子および金属部材の2つの部材間にはんだを配置し、当該はんだを溶融させた状態で2つの部材の距離を相対的に大きく維持したまま、当該はんだを固化させる半導体装置の製造方法となる。このため、溶融はんだの外郭の一部が表面張力により金属部材の側面よりも内側に凹んだ状態となるとともに、はんだがこの状態のままで固化することとなり、はんだのフィレット形状を緩やかに金属部材側に立ち上がったものに制御することが容易となる。よって、半導体素子にはんだ形状制御部材を設けることなく、より簡便にはんだのフィレット形状が制御された半導体装置を製造することができる。
【0009】
本開示の別の1つの観点によれば、半導体装置は、半導体素子(3)と、上面(5a)、下面(5b)および上面と下面との間の面である側面(5c)を有し、半導体素子と対向する部分の平面サイズが半導体素子よりも小さい金属部材(5)と、半導体素子と金属部材の下面とを接合するはんだ(4)と、を備え、金属部材は、半導体素子のうちはんだが配置される面の外郭内側に配置されており、はんだは、外郭の一部が側面よりも金属部材の内側に入り込むとともに、側面の少なくとも一部を覆っている。
【0010】
この半導体装置は、半導体素子と金属部材との間のはんだのうち余剰部分が金属部材の側面に付着することで、半導体素子と金属部材との間のはんだ量が調整された結果、はんだの外郭の一部が金属部材の側面よりも内側に入り込んでいる。このため、この半導体装置は、はんだのフィレット形状が緩やかに金属部材側に立ち上がるものとなり、半導体素子にかかる応力が緩和された構造となる。
(【0011】以降は省略されています)

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