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公開番号2024159376
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023097510
出願日2023-06-14
発明の名称全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材とポリウレタン緩効性肥料
出願人茂施農業科技有限公司,Maoshi Agricultural Technology Co., Ltd
代理人SK弁理士法人,個人,個人
主分類C05G 5/30 20200101AFI20241031BHJP(肥料;肥料の製造)
要約【課題】バイオベースの含有量が高く、製品の生体親和性が高く、緩効性に優れており、耐摩耗性及び耐圧性を大幅に高め、製品の構造性が安定しており、土壌に施用後安全でエコであり、分解性に優れる、全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材とポリウレタン緩効性肥料を提供する。
【解決手段】被膜材に使用される硬化剤はバイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタン複合物であり、それはバイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタンモノマー及びそのポリマーの複合物又は異なるバイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタンポリマーの複合物を含み、それはブドウ糖、リシン等のバイオ由来の原料で、バイオベースの含有量は65~71%であり、被膜材はバイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタン複合物と本発明が提供するバイオベースの多価アルコールの架橋反応により製造される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材であって、前記全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材の硬化剤であるイソシアネートは、バイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタンの複合物であり、
前記バイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタン複合物は、バイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタンモノマーとそのポリマーの複合物又は異なるバイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタンのポリマーで構成される複合物を含む、ことを特徴とする全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
続きを表示(約 2,400 文字)【請求項2】
前記バイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタン複合物の平均官能度を2.8~3.5の間に制御し、NCO含有量を24%~30%に制御し、バイオ由来の原料の比率が65~71%である、ことを特徴とする請求項1に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項3】
バイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタンのポリマーは、バイオベースのPDI三量体及びその誘導体、バイオベースのPDI四量体及びその誘導体、その他のバイオベースのPDI重合体及びその誘導体を含み、
前記バイオベースのPDIモノマーは、バイオ原料をバイオ酵素作用により発酵させ1,5-ペンタンジアミンを得て、1,5-ペンタンジアミンのホスゲン化反応を経て製造され、前記バイオ原料はブドウ糖、リシンのうちの少なくとも一種から選ばれ、
前記バイオベースのPDI三量体及びその誘導体、バイオベースのPDI四量体及びその誘導体、その他のバイオベースのPDI重合体及びその誘導体は、前記PDIモノマーを触媒により重合することで得られる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項4】
前記全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材は、前記バイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタン複合物とバイオベースの多価アルコールの架橋反応により合成され、
前記バイオベースの多価アルコール中のヒドロキシ基とバイオベースの1,5-ジイソシアナトペンタン複合物中のNCO基のモル比は0.98~1.10:1である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項5】
前記バイオベースの多価アルコールは、エポキシ化脂肪酸エステルとバイオベースの酸及びバイオベースのアルコールを開環重合して成るものであり、
前記バイオベースの酸は乳酸であり、前記バイオベースのアルコールはグリセリン、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコールのうちの少なくとも一種から選ばれ、
具体的な製造方法は、
(1)まず乳酸、バイオベースのアルコール及びエステル化触媒でエステル化反応を行い、乳酸エステル多価アルコール中間産物を得て、ここで乳酸とバイオベースのアルコールにおけるヒドロキシ基のモル比を4:1~8:1に制御するステップ、
(2)乳酸エステル多価アルコール中間産物に、エポキシ化脂肪酸エステルを分けて加え開環反応を行い、前記バイオベースの多価アルコールを得て、ここで、エポキシ化脂肪酸エステルの総添加量は総反応物質量の質量百分率の15%~20%を占めるステップ、である、ことを特徴とする請求項4に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項6】
前記エポキシ化脂肪酸エステルは、10から24の炭素原子を有する脂肪族鎖及び少なくとも一つのエチレンオキシド基の長鎖不飽和脂肪酸のエポキシ化物又はそのエステルであるか、
又は、10から24の炭素原子を有するエステル化脂肪酸鎖の長鎖不飽和脂肪酸油のエポキシ化物であり、前記エステル化脂肪酸鎖は少なくとも一つのエチレンオキシド基を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項7】
前記エポキシ化脂肪酸エステルは、エポキシ化脂肪酸油、エポキシ化された不飽和脂肪酸又は不飽和長鎖脂肪酸のエポキシ化エステルであり、
前記エポキシ化脂肪油は、エポキシ化大豆油、エポキシ化トウモロコシ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ヘンプ油、エポキシ化トール油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化落花生油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化菜種油のうちの少なくとも一種であり、
前記エポキシ化された不飽和脂肪酸は、5,6-エポキシカプリン酸、9,10-エポキシリシノール酸、9,10-エポキシステアリン酸、4,5-エポキシカプリン酸、9,10-エポキシオクタデカン酸、9,10-エポキシ酪酸、8,9-エポキシ-1-ヒドロキシデカン酸、9,10-エポキシ-1-ヒドロキシオクタデカン酸のうちの少なくとも一種であり、
前記不飽和長鎖脂肪酸のエポキシ化エステルは、エポキシ化された不飽和脂肪酸のアルキルエステルである、ことを特徴とする請求項6に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項8】
ステップ(1)で、前記エステル化触媒の添加量は総反応物質量の0.2~0.8%であり、エステル化触媒は、有機チタン酸エステル類触媒、有機スズ類触媒、酸化カルシウム、酢酸亜鉛のうちのいずれか一種であり、前記有機チタン酸エステル類触媒は、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチルのうちのいずれか一種である、ことを特徴とする請求項5に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項9】
前記バイオベースの多価アルコールのヒドロキシの値は120~350mgKOH/gであり、バイオベースの含有量は90%~100%である、ことを特徴とする請求項5に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材。
【請求項10】
粒状肥料及び前記粒状肥料の表面を被覆するポリウレタン緩効性肥料被膜により構成されるポリウレタン緩効性肥料であって、前記ポリウレタン緩効性肥料被膜は、請求項1又は2に記載の全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材が粒状肥料の表面で硬化し成膜して得られる、ことを特徴とするポリウレタン緩効性肥料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は緩効性肥料被膜材技術分野に属し、具体的には全バイオベースのポリウレタン緩効性肥料被膜材とポリウレタン緩効性肥料に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
農業科学技術の発展に伴い、農業生産で使用される肥料にも変化が生じ、緩効性肥料、液体肥料、気体肥料などの新型肥料が登場している。緩効性肥料は、従来の粒状肥料(作物専用の複合肥料又は尿素など)の外層が一層の特殊な緩効機能を備える膜で包まれており、作物の成長における養分への要求に応じて、養分の溶出速度と溶出量を制御し、養分の溶出速度と作物の要求を一致させるようにしたものである。このため、緩効性肥料は作物の成長に従い規則正しく同期的に有効養分を供給でき、よって肥料の養分の有効利用率が大幅に高まり、化学肥料の利用率を高める働きをする。また、肥料の被膜に吸水で圧力が生じ養分がゆっくりと溶出することで、栄養素の揮発及び雨水で濡れた時の養分の損失量を低減し、化学肥料の利用効率を高めることができる。
【0003】
緩効性肥料の被膜の緩効技術における核心は主として膜材料および対応する添加剤であり、被膜材の調合及び製造工程を調整することにより水蒸気の透過率、機械的強度、伸長率、耐摩耗性等の物理的な性能を調整することができる。調合の改良により異なる架橋密度及び材料結晶性能の材料が得られ、これにより膜の水蒸気及び肥料コア水溶液の透過率を制御し、養分の溶出を制御する目的を実現する。また、緩効性肥料の養分の溶出は温度、水分などの条件による制限を受けることもあるが、作物を植えた土壌などの環境条件及びその養分の要求に応じて溶出時間及び溶出ピークの調整を行うことができ、スマートで、エコな新型肥料である。
【0004】
農業生産様式の絶え間ない発展に伴い、田畑の作物の高収量・高効率な生産において緩効性肥料の使用は必要に迫られている。被膜技術は絶え間なく進歩しているが、やはりコストや製品のタイプで一定の制限を受けており、田畑の作物における大面積での使用を普及させることができない。被膜の主な材料には硫黄、ポリエチレン、アルキド樹脂及びポリウレタン(略称PU)がある。このうち、ポリウレタン被膜材はその他の被膜材と比較して強度が高く、弾性が良好で、耐熱性に優れ、孔径が細かく均一で、生分解しやすい等の利点を備えているため、近年ポリウレタン被膜材の研究開発・生産は緩効性肥料被膜材の主要な発展方向となっている。
【0005】
従来のポリウレタン被膜材は主として多価アルコールと粗MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を反応させて得られる。多価アルコールはさらにポリエステル類とポリエーテル類に分けられ、ポリエステル類は二塩基酸又は酸無水物とグリコール又は多価アルコールとを反応させて製造され、ポリエーテル類は多価アルコールを開始剤として酸化エチレン、酸化プロピレンを開環重合反応させて得られる。ポリエーテル類ポリウレタン材はポリエステル類ポリウレタン材と比較して水に分解しにくく、生分解性が緩慢で、価格も高いため、緩効性肥料のポリウレタン材被膜においてはポリエステル材が優先的に選ばれている。
【0006】
例えば、特許文献1は緩効性肥料に用いられるバイオベースの芳香族ポリエステルポリオール及びその応用を開示しており、脂肪酸、ジエチレングリコール、グリセリン等を順番に反応釜に真空吸入し、反応釜の固体材料投入口からテレフタル酸、無水フタル酸及びトリメチロールプロパンを投入し、エステル化反応を行い、バイオベースの芳香族ポリエステルポリオール製品が製造される。バイオベースの芳香族ポリエステルポリオール:ヒマシ油:エポキシ化大豆油=90:5:5の比率に基づいて配合し混合タンクに投入して均一に撹拌し5~10分反応させ、温度を30℃前後に制御し、A原料を得る。粗MDIを混合タンクに投入し撹拌して同様に温度を30℃前後に制御し、B原料を得る。当該案におけるエポキシ化大豆油は可塑剤助剤として使用されるだけで、化学反応の過程には関与せず、且つ当該特許においてバイオベースの含有量は50%より低いと同時に、当該特許において使用される粗MDIは石油ベースのイソシアネートに属し、非バイオベースの原料であり、石油化学原料はコストが高く且つ資源が再生できない。このため全バイオベースの被膜材に属さず、コストが高く且つ再生不可能である。
【0007】
特許文献2はバイオベースのポリマーの被膜材及びその被膜緩効性肥料と製造方法を開示している。当該バイオベースのポリマー被膜材は以下の重量百分率で調合して製造される。ヒドロキシ基を含む構成成分50~70%及びイソシアネート30~50%、ヒドロキシ基を含む構成成分はヒドロキシ末端のプレポリマー50~90%、助剤2~10%、多価アルコール7~50%、低分子鎖延長剤1~10%により構成される。ヒドロキシ末端のプレポリマーはバイオマス液化生成物80~100%とイソシアネート0~20%を反応させることにより製造される。当該案において使用される硬化剤であるイソシアネートも石油ベース由来であり、コストが高く且つ資源が再生できず、全バイオベースの被膜材に属さず、且つ原料の種類が多く、製造方法が複雑で、コストが高い。
【0008】
バイオベース材料は、よく見られる農作物、その他の植物、穀物、豆類、わら、竹粉等を含む再生可能なバイオマスを原料として利用し、生物、化学及び物理等の方法により製造される新型材料である。バイオベース材料の登場に伴い、低炭素と環境保護のニーズを満たすと同時に市場の多様化する消費ニーズを満たせるようになったため、バイオベース材料は現在のカーボンニュートラルという時代背景において新たな選択肢となっている。バイオベース材料はグリーン・低炭素、省エネ・エコ、原料が再生可能といった多くの優位性を有し、優れた生分解特性を備え、また応用できる範囲が非常に広範である。
【0009】
このため、本発明は生体親和性が高く、生分解率が高く、環境を保護し安全性に優れ且つ低コストで大量生産に適する全バイオベースのポリウレタン緩効性被膜材の開発を目的としており、中国の緩効性肥料業界の発展にとって重要な意義を持つものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
中国特許第107383347B号公報
中国特許第113105604B号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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