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公開番号2024145316
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-15
出願番号2023057607
出願日2023-03-31
発明の名称シアン含有廃液の処理方法
出願人日本曹達株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C02F 1/58 20230101AFI20241004BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】
本発明の目的は、実験施設、分析施設等で少量のシアン化カリウム、シアン化ナトリウムを使用した場合に発生する、毒性があるシアン成分を含むシアン含有廃液の処理方法のうち、毒劇物を使用せず、吸着や濾過ではなく、シアンを分解することにより、より安全な処理液に変換できる処理方法を提供することにある。
【解決手段】
シアン含有廃液に還元糖を添加し、この廃液をpH7~11の条件で還元糖と廃液中のシアンとを反応させてシアノヒドリンとし、その後、廃液に酸を添加して該シアノヒドリンを酸性条件下で加水分解し、その後、廃液を中和する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
シアン含有廃液に還元糖を添加し、この廃液をpH7~11の条件で還元糖と廃液中のシアンとを反応させてシアノヒドリンとし、
その後、廃液中の該シアノヒドリンを酸性条件下で加水分解し、
その後、廃液を中和することを特徴とする、
シアン含有廃液の処理方法。
続きを表示(約 120 文字)【請求項2】
前記還元糖とシアンとの反応条件をpH8~10とする、請求項1に記載のシアン含有廃液の処理方法。
【請求項3】
前記加水分解の際の酸性条件がpH3~4である、請求項1または2に記載のシアン含有廃液の処理方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はシアン含有廃液の処理方法であり、有害な処理薬剤や吸着材、濾過工程を必要とせず、簡便かつ安全に処理する新規な方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、シアン含有廃液の処理方法としてはアルカリ塩素法やホルムアルデヒドを含む処理剤で処理する方法が知られているが、いずれも毒性や経済性に難のある方法であった。また、廃液が比較的少量の場合は施設内で無害化するか廃液をアルカリ性にして保管後に除害施設に運搬するのが一般的であるが、廃液をアルカリ性にしてもシアンガスの発生をゼロには出来ず、保管中はシアンガスの漏洩の危険がある。施設内での除害は次亜塩素酸化合物を使用する方法が一般的であるが、除害中に塩素ガス、塩化シアンガスの発生の危険がある。
そこで、シアン成分を残留しないようにする方法として、特許文献1では、シアン含有廃液に、アルデヒド基又はケト基と疎水性基とを有する化合物、カルボキシ基と疎水性基とを有する化合物、グリオキシル酸或いはグリオキシル酸のエステル、アスコルビン酸或いはその光学異性体、リグニン或いはその誘導体、フミン酸或いはその誘導体および還元糖からなる群から選ばれる少なくともいずれかの化合物を添加し、かつ、廃液をpH5~12に保持して、上記化合物と廃液中のシアンとを反応させてシアノヒドリンとし、該シアノヒドリンを懸濁性物質に吸着させ、その後に該吸着物を固液分離している。
先行文献における吸着除去の欠点として、懸濁性物質の存在が必要となる点が挙げられる。石炭・コークスなどを含まない廃液を処理する場合には、活性単やゼオライトなどを添加する必要がある。さらに、吸着除去後に該吸着物を安全に排出・処分する必要も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-239955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、実験施設、分析施設等で少量のシアン化カリウム、シアン化ナトリウムを使用した場合に発生する、毒性があるシアン成分を含むシアン含有廃液の処理方法のうち、毒劇物を使用せず、特許文献1のように吸着や濾過ではなく、シアンを分解することにより、より安全な処理液に変換できる処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明に関する。
(1)シアン含有廃液に還元糖を添加し、この廃液をpH7~11の条件で還元糖と廃液中のシアンとを反応させてシアノヒドリンとし、その後、廃液中の該シアノヒドリンを酸性条件下で加水分解し、その後、廃液を中和することを特徴とする、シアン含有廃液の処理方法。
(2)前記還元糖とシアンとの反応条件をpH8~10とする、(1)に記載のシアン含有廃液の処理方法。
(3)前記加水分解の際の酸性条件がpH3~4である、(1)または(2)に記載のシアン含有廃液の処理方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、処理作業にあたって安全性に問題がなく、シアン含有廃液中のシアン化合物を最終的に全て無害化処理することができる方法が提供される。
また、本発明方法は、特別の装置を使用することなく、極めて簡易な手段によって、安全にかつ確実に、廃液中のシアン成分を効率よく分解除去できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のシアン含有廃液の処理方法は、以下の工程からなる。
第1工程
シアン含有廃液に還元糖を添加し、この廃液をpH7~11の条件で還元糖と廃液中のシアンとを反応させてシアノヒドリンとする。
第2工程
該シアノヒドリンを酸性条件下で加水分解する。
第3工程
廃液を中和する。
【0008】
以下に、詳細に説明する。
(第1工程)
本発明の対象となるシアン廃液は、実験施設、分析施設等で少量のシアン化カリウム、シアン化ナトリウム等のシアン化合物を使用した場合に発生する、毒性があるシアン成分を含むシアン含有廃液である。
なお、本発明において、シアンとはシアンイオン(CN
-
)を、シアンガスとはHCNガスを意味する。
本発明において用いる還元糖としては、具体的には、グルコース、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、フルクトース、グリセリルアルデヒド等の単糖類、マルトース、ラクトース、セロビオース等の二糖類、マルトトリオース等の三糖類、マルトオリゴ糖等のオリゴ糖が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。
還元糖であれば特に制限はないが、単糖類又は二糖類が好ましく、二糖類がやや反応が速いため、より好ましく、さらにマルトースが、最も効率よく反応させることが出来るため、最も好ましい。
添加量は単糖類の場合、シアンに対するモル比で8倍以上、好ましくは、30~90倍である。二糖類の場合はシアンに対するモル比で4倍以上、好ましくは15~45倍である。処理の際の原理から推定すると、還元糖の官能基による反応と推定される為、反応に必要な還元糖のmol量は理論的に算出できる。上記モル比で行うと、48時間後にはシアンの80%以上が分解できる。
還元糖の添加量が多い程、濃度は濃い程、反応時間が短縮される。
反応中の廃液は、pH7~11、好ましくはpH8~10に保持することで、最も効率よく反応させることが出来る。反応時のpHは12を超えると還元糖とシアンの反応率が下がり、酸性側では還元糖の変質やシアンガス発生の恐れがある。pHの調整には、硫酸、塩酸などの酸や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリが用いられる。
反応温度は、高いほど反応が速く、4~80℃でシアンを分解できるが安全性を考慮して15~30℃が望ましく通常、室温で行うことができる。反応時間は室温の場合、還元糖の添加量で変動するのでモル比で45倍の還元糖を添加した条件では、5時間以上、好ましくは5~30時間である。
この処理方法においては、溶液中のシアンイオン(CN
-
)が除害対象であり、反応においてはガスの発生を伴わないので、密栓した容器内で実施することが可能である。
【0009】
廃液中のシアンは一部がシアンガスとして気化するが、一定時間経過後には、気化したシアンガスも再び廃液中に吸収され除害されるため、最終的にはすべてのシアンを無害化することができる。たとえば、還元糖の添加量を廃液中のシアンに対してモル比で45倍とした場合、常温反応で約2時間半後には気相へのシアンガス発生は無くなり、4時間後には液中のシアンは99%がシアノヒドリンに変化する。
これは気液平衡の効果により、廃液中のシアンが分解されると発生したシアンガスが再び廃液中に吸収され最終的には殆どのシアンが分解される為と推測される。
実際の処理にあたって、還元糖の添加量を決定する場合には、廃液中のシアン濃度を予め測定し、廃液量を考慮して該シアンがすべて付加できる量を添加すれば足りる。
シアノヒドリンは、還元糖のアルデヒド基又はケトン基に、シアンが付加されて生成される、分子内にシアノ基とヒドロキシ基を持つ化合物である。
【0010】
(第2工程)
その後、廃液に酸を添加して、廃液中のシアノヒドリンを酸性条件下で加水分解する。第一工程で発生したシアノヒドリンは、強アルカリ下でシアンに戻る事が確認されており、これを防ぐ為に酸性下で加水分解させ、カルボン酸化合物に変化させる。この処置により強アルカリになってもシアンに戻る事はなくなる。
塩酸や硫酸等の無機酸や酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸の1種又は2種以上を用いて酸性条件にすることができる。通常、pH1~5、好ましくはpH2~4で加水分解する。
加水分解は、通常、15~30℃、好ましくは20~25℃で行う。加水分解の時間は、処理装置や処理の規模にもよるが、通常、15分~1時間で行うことができる。
シアノヒドリンは、加水分解によってα‐ヒドロキシ酸となる。
(【0011】以降は省略されています)

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