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公開番号2024138615
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-09
出願番号2023049176
出願日2023-03-27
発明の名称耐炎化繊維の製造方法及び炭素繊維の製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人
主分類D01F 9/22 20060101AFI20241002BHJP(天然または人造の糸または繊維;紡績)
要約【課題】本発明は、ポリアクリロニトリル系繊維から、炭素繊維が高収率で得られる耐炎化繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で、繊維密度が1.35g/cm3~1.50g/cm3になるまで加熱する耐炎化工程含む耐炎化繊維の製造方法。前記耐炎化工程において、繊維密度が1.22g/cm3、加熱温度が220℃になった時点から繊維に与えられる熱量の積算値が300J・h/g~1200J・h/gの範囲内となるように加熱すること、前記酸化性雰囲気の酸化性気体濃度が1体積%~15体積%である低酸化性気体雰囲気工程を含むことなどが好ましい。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で、繊維密度が1.35g/cm

~1.50g/cm

になるまで加熱する耐炎化工程含む耐炎化繊維の製造方法。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記耐炎化工程において、繊維密度が1.22g/cm

になった時点から繊維に与えられる熱量の積算値が300J・h/g~1200J・h/gの範囲内となるように加熱する、請求項1に記載の耐炎化繊維の製造方法。
【請求項3】
前記酸化性雰囲気の酸化性気体濃度が1体積%~15体積%である耐炎化工程を含む、請求項1に記載の耐炎化繊維の製造方法。
【請求項4】
耐炎化工程の加熱温度が230℃~300℃である、請求項3に記載の耐炎化繊維の製造方法。
【請求項5】
耐炎化工程の加熱時間が1分間~80分間である、請求項3に記載の耐炎化繊維の製造方法。
【請求項6】
前記耐炎化工程において、空気雰囲気中で40分間~75分間、230℃~245℃で加熱した後、酸化性気体濃度1体積%~15体積%雰囲気中で1分間~40分間、250℃~300℃で加熱して耐炎化繊維を得る、請求項1に記載の耐炎化繊維の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6に記載の方法で製造された耐炎化繊維を、不活性雰囲気中で1200℃~3000℃で加熱して炭素繊維を得る、炭素繊維の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、耐炎化繊維の製造方法及び炭素繊維の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
アクリロニトリル共重合体からなるアクリル繊維は、炭素繊維の前駆体として用いられている。アクリル繊維を前駆体として得られる、いわゆるPAN系炭素繊維は、機械的物性に優れ、また生産性も良いため、広く工業的に生産されている。
しかしながら、アクリル繊維を炭素繊維にする場合、加熱によりアクリロニトリル共重合体の分解反応より重量減少が起こり、アクリル繊維から得られる炭素繊維の収率は半分以下になり、コストに大きく影響するため、収率を高めることが求められる。
【0003】
例えば特許文献1には、2段階に分けて熱処理を行い、耐炎化繊維を得ることが提案されており、アクリル系繊維材料を、アミン化合物を除く有機化合物、フッ素化合物、シロキサン類、硝酸塩、亜硝酸塩のうち1種又は2種類以上の化合物(耐炎化処理剤)存在下で耐炎化処理後、酸化性雰囲気中、0~400℃で酸化処理する方法が記載されている。
特許文献2には、アクリル系繊維を酸素濃度0.01~3容積%の不活性雰囲気中で熱処理し、次いで活性雰囲気中で熱処理する方法が記載されている。活性雰囲気中での熱処理は、好ましくは220~320℃で3~10分程度行えば十分であることが記載されている。
特許文献3には、予備熱処理した繊維を非酸化性または弱酸化性雰囲気中、300~500℃の温度で0.3分間以上低温熱処理する方法が記載されている。非酸化性雰囲気とは、ヘリウム、アルゴン等およびそれらの混合物を意味し、弱酸性雰囲気とは、非酸化性ガスに10%以下の酸素を混入した雰囲気を意味すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2004-3043号公報
特開平7-292526号公報
特開昭51-75124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法は、第1段目の熱処理で使用する耐炎化処理剤が耐炎化繊維中に残存することがあり、その残存物は前炭素化工程により分解することになるので、炭素繊維の収率を低くする要因となる。特許文献2の方法は、酸素濃度を低く抑えた第1段目の熱処理で環化反応のみが進み、この段階では安定な環化構造はほとんどない。第2段目の熱処理において表面側で急激に酸化脱水素反応が起きる。このため、十分にアクリル系繊維の内部まで熱的に安定な構造にすることは難しい。特許文献3の方法では、前炭素化工程に相当する反応が同時に起きてしまい、環化反応や酸化または脱水素化反応の前に分解する部分があり、炭素繊維の収率が低くなる。
【0006】
本発明は、従来の方法より前炭素化工程における耐炎化繊維の分解物を減らし、ポリアクリロニトリル系繊維から、炭素繊維が高収率で得られる耐炎化繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で、繊維密度が1.35g/cm

~1.50g/cm

になるまで加熱する耐炎化工程含む耐炎化繊維の製造方法。
[2]前記耐炎化工程において、繊維密度が1.22g/cm

になった時点から繊維に与えられる熱量の積算値が300J・h/g~1200J・h/gの範囲内となるように加熱する、[1]に記載の耐炎化繊維の製造方法。
[3]前記酸化性雰囲気の酸化性気体濃度が1体積%~15体積%である耐炎化工程を含む、[1]または[2]に記載の耐炎化繊維の製造方法。
[4]前記耐炎化工程の加熱温度が、230℃~300℃である、[3]に記載の耐炎化繊維の製造方法。
[5]前記耐炎化工程の加熱時間が、1分間~80分間である、[3]または[4]に記載の耐炎化繊維の製造方法。
[6]前記耐炎化工程において、空気雰囲気中で40分間~75分間、230~245℃で加熱した後、酸化性気体濃度1体積%~15体積%雰囲気中で1分間~40分間、250℃~300℃で加熱して耐炎化繊維を得る、[1]~[5]のいずれかに記載の耐炎化繊維の製造方法。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の方法で製造された耐炎化繊維を、不活性雰囲気中で1200℃~3000℃で加熱して炭素繊維を得る、炭素繊維の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の方法より前炭素化工程における耐炎化繊維の分解物を減らし、ポリアクリロニトリル系繊維から、炭素繊維が高収率で得られる耐炎化繊維の製造方法を提供が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の望ましい実施の形態を説明する。
【0010】
本発明の耐炎化繊維の製造方法は、ポリアクリロニトリル系繊維を酸化性雰囲気中で、繊維密度が1.35g/cm

~1.50g/cm

になるまで加熱する耐炎化工程含む。
アクリル繊維から炭素繊維を製造する場合、まず、アクリル繊維を酸化雰囲気中で200~300℃に加熱して耐炎化繊維とし<耐炎化工程>、ついで、さらに高温で加熱し炭素繊維とする<炭素化工程>。炭素化工程では、一般的に公知の技術により、1000~2000℃の不活性気体中で熱処理する。また、炭素化工程の前に400~700℃の上昇温度勾配の不活性雰囲気炉で加熱することが好ましいとされている<前炭素化工程>。また、こうして得られた炭素繊維をさらに高温の不活性ガス中で加熱し、黒鉛繊維とする場合もある。
アクリル繊維の耐炎化工程における反応は、アクリル繊維を構成する高分子鎖に結合したニトリル基の環化反応と、さらにその構造が酸化または脱水素化され熱的に安定な分子鎖であるナフチリジン環とアクリドン環が複合した構造に変わる反応である。
すなわち、200~300℃での耐炎化反応では、アクリル繊維表面からの酸素の拡散により、熱的に安定な構造に変化する。この耐炎化反応の時間を長くするとアクリル繊維の中心部まで熱的に安定な構造に変化する。しかし、生産性の理由により耐炎化は30~60分で行われているので、アクリル繊維の径にもよるが、アクリル繊維の内部まで完全には熱的に安定な構造にはならない。
耐炎化時間を長くすれば、アクリル繊維の内部まで熱的に安定な構造にできるが、耐炎化時間を長くすることは生産性の上で好ましくない。また、酸化雰囲気中で耐炎化時間を長くしすぎると炭素繊維の強度が低下するので好ましくない。耐炎化反応は、酸素の拡散により、環化反応と酸化・脱水素反応が同時に起きる。この反応は共に発熱反応である。フィラメント数が多くなると、熱の蓄積により、耐炎化時に破断する場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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