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公開番号2024117323
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-29
出願番号2023023358
出願日2023-02-17
発明の名称観察装置および観察方法
出願人浜松ホトニクス株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G02B 21/36 20060101AFI20240822BHJP(光学)
要約【課題】観察対象物が多重散乱体である場合であっても、多重散乱光の影響を低減して観察対象物を観察することができる観察装置を提供する。
【解決手段】観察装置1Aは、光源11、ミラー22、コンデンサレンズ24、対物レンズ25、ビームスプリッタ41、撮像部43および解析部50などを備える。解析部50は、ミラー22の反射面の方位を変化させることにより観察対象物Sに対して複数の光照射方向それぞれに沿って光を照射させ、複数の光照射方向それぞれについて基準位置における干渉強度画像を撮像部43から取得し、これらの干渉強度画像に基づいて所要の処理をすることにより観察対象物の3次元屈折率分布を求める。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の光照射方向それぞれに沿って光が照射された観察対象物の干渉強度画像を取得する干渉強度画像取得部と、
複数の光照射方向それぞれについて、前記干渉強度画像に基づいて、平面波の光が第1端面および第2端面のうちの何れか一方に入射して他方まで到達したときの光の第1複素振幅画像を生成する第1複素振幅画像生成部と、
複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像に基づいて、前記第1端面から前記第1端面と前記第2端面との間の第1中間面までの区間の第1屈折率分布画像を生成する屈折率分布画像生成部と、
前記第1屈折率分布画像に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第1端面に入射して前記第1中間面まで到達したときの光の第2複素振幅画像を生成する第2複素振幅画像生成部と、
複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列Tを生成するとともに、複数の光照射方向それぞれの前記第2複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列T

を生成するトランスミッション行列生成部と、
前記トランスミッション行列Tと前記トランスミッション行列T

の逆行列との積に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第1中間面に入射して前記第2端面に到達したときの光の第3複素振幅画像を生成する第3複素振幅画像生成部と、
を備える観察装置。
続きを表示(約 3,100 文字)【請求項2】
前記干渉強度画像取得部は、複数の光照射方向それぞれに沿って前記観察対象物に照射されて前記観察対象物を経た光と参照光との干渉による干渉強度画像を撮像した撮像部から、前記複数の光照射方向それぞれの前記干渉強度画像を取得する、
請求項1記載の観察装置。
【請求項3】
前記干渉強度画像取得部は、複数の光照射方向それぞれに沿って前記観察対象物に照射されて前記観察対象物を経た光と、一定の照射方向に沿って前記観察対象物に照射されて前記観察対象物を経た光と、の干渉による干渉強度画像を取得する、
請求項1に記載の観察装置。
【請求項4】
前記屈折率分布画像生成部は、複数の光照射方向それぞれの前記第3複素振幅画像に基づいて、前記第1中間面から前記第2端面での区間の屈折率分布画像を生成する、
請求項1~3いずれか一項に記載の観察装置。
【請求項5】
前記屈折率分布画像生成部は、複数の光照射方向それぞれの前記第3複素振幅画像に基づいて、前記第1中間面から前記第1中間面と前記第2端面との間の第2中間面までの区間の第2屈折率分布画像を生成し、
前記第2複素振幅画像生成部は、前記第2屈折率分布画像に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第1中間面に入射して前記第2中間面まで到達したときの光の第4複素振幅画像を生成し、
前記トランスミッション行列生成部は、複数の光照射方向それぞれの前記第3複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列T
32
を生成するとともに、複数の光照射方向それぞれの前記第4複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列T

を生成し、
前記第3複素振幅画像生成部は、前記トランスミッション行列T
32
と前記トランスミッション行列T

の逆行列との積に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第2中間面に入射して前記第2端面に到達したときの光の第5複素振幅画像を生成する、
請求項1~3いずれか一項に記載の観察装置。
【請求項6】
前記屈折率分布画像生成部は、複数の光照射方向それぞれの前記第3複素振幅画像に基づいて、前記第1中間面から前記第1中間面と前記第2端面との間の第2中間面までの区間の第2屈折率分布画像を生成し、
前記第2複素振幅画像生成部は、前記第2屈折率分布画像に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、前記第2複素振幅画像で表される光が前記第1中間面に入射して前記第2中間面まで到達したときの光の第6複素振幅画像を生成し、
前記トランスミッション行列生成部は、複数の光照射方向それぞれの前記第6複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列T
21
を生成し、
前記第3複素振幅画像生成部は、前記トランスミッション行列Tと前記トランスミッション行列T
21
の逆行列との積に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第2中間面に入射して前記第2端面に到達したときの光の第7複素振幅画像を生成する、
請求項1~3いずれか一項に記載の観察装置。
【請求項7】
前記干渉強度画像取得部は、第1期間および第2期間それぞれにおいて複数の光照射方向それぞれの前記干渉強度画像を取得し、
前記第1複素振幅画像生成部は、前記第1期間および前記第2期間それぞれについて、複数の光照射方向それぞれの前記干渉強度画像に基づいて、複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像を生成し、
前記屈折率分布画像生成部は、前記第1期間の複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像に基づいて、前記第1屈折率分布画像を生成し、
前記第2複素振幅画像生成部は、前記第1屈折率分布画像に基づいて、複数の光照射方向それぞれの前記第2複素振幅画像を生成し、
前記トランスミッション行列生成部は、前記第2期間の複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列Tを生成するとともに、前記第1期間の複数の光照射方向それぞれの前記第2複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列T

を生成し、
前記第3複素振幅画像生成部は、前記第2期間のトランスミッション行列Tと前記第1期間のトランスミッション行列T

の逆行列との積に基づいて、複数の光照射方向それぞれの前記第3複素振幅画像を生成する、
請求項1~3いずれか一項に記載の観察装置。
【請求項8】
前記干渉強度画像取得部は、波数空間において光照射方向を表す波数ベクトルの位置が離散的かつ周期的に分布する前記複数の光照射方向それぞれに沿って光が観察対象物に照射されたときに前記干渉強度画像を撮像した撮像部から、前記複数の光照射方向それぞれの前記干渉強度画像を取得し、
前記第3複素振幅画像生成部は、前記複数の光照射方向それぞれの波数ベクトルの前記波数空間における位置の周期的分布に基づいて区分される複数の領域それぞれにおいて前記トランスミッション行列Tと前記トランスミッション行列T

の逆行列との積を求め、これら複数の領域それぞれの前記積に基づいて複数の光照射方向それぞれの前記第3複素振幅画像を生成する、
請求項2に記載の観察装置。
【請求項9】
複数の光照射方向それぞれに沿って光が照射された観察対象物の干渉強度画像を取得する干渉強度画像取得ステップと、
複数の光照射方向それぞれについて、前記干渉強度画像に基づいて、平面波の光が第1端面および第2端面のうちの何れか一方に入射して他方まで到達したときの光の第1複素振幅画像を生成する第1複素振幅画像生成ステップと、
複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像に基づいて、前記第1端面から前記第1端面と前記第2端面との間の第1中間面までの区間の第1屈折率分布画像を生成する屈折率分布画像生成ステップと、
前記第1屈折率分布画像に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第1端面に入射して前記第1中間面まで到達したときの光の第2複素振幅画像を生成する第2複素振幅画像生成ステップと、
複数の光照射方向それぞれの前記第1複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列Tを生成するとともに、複数の光照射方向それぞれの前記第2複素振幅画像に基づいてトランスミッション行列T

を生成するトランスミッション行列生成ステップと、
前記トランスミッション行列Tと前記トランスミッション行列T

の逆行列との積に基づいて、複数の光照射方向それぞれについて、平面波の光が前記第1中間面に入射して前記第2端面に到達したときの光の第3複素振幅画像を生成する第3複素振幅画像生成ステップと、
を備える観察方法。
【請求項10】
前記干渉強度画像取得ステップにおいて、複数の光照射方向それぞれに沿って観察対象物に照射されて前記観察対象物を経た光と参照光との干渉による干渉強度画像を撮像した撮像部から、前記複数の光照射方向それぞれの前記干渉強度画像を取得する、
請求項9記載の観察方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、観察装置および観察方法に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、スフェロイドやオルガノイドと呼ばれる3次元の細胞組織を作製する技術が進歩している。また、これらの3次元細胞組織を創薬や再生医療などに応用する研究が進んでいる。これらの3次元細胞組織は光学的に透明な多重散乱体である。このような光学的に透明な散乱体をイメージングする技術として、これまでに多種多様な手法が提案されている。そのうち蛍光プローブを用いるイメージング技術としては、共焦点顕微鏡、多光子顕微鏡、ライトシート顕微鏡が挙げられる。一方、蛍光プローブを用いない非染色・非侵襲のイメージング技術としては、光コヒーレンス・トモグラフィ(Optical Coherence Tomography、OCT)などが知られている。
【0003】
スフェロイドやオルガノイドなどのような観察対象物については非染色・非侵襲のイメージングが望まれる場合が多いものの、これらの観察対象物のイメージングにOCTが適用されたという報告例は多くない。その理由としては、OCTによるイメージングの分解能が低いこと、および、OCTによるイメージングにより得られた信号の解釈が難しいこと、が考えられる。したがって、現時点では、ゴールドスタンダードとなりうる非染色の3次元細胞組織のイメージング技術は確立されていないと言ってよい。
【0004】
観察対象物の光路長を非染色・非侵襲でイメージングすることができる技術として、定量位相イメージング(Quantitative Phase Imaging、QPI)も知られている。QPIは、観察対象物(例えば細胞)の光路長という物理的な情報を取得することができることから、生物分野で応用が進んでいる。QPIにより取得した画像を用いて、微分干渉画像や位相差顕微鏡画像などの他の種類の画像を生成することができる。QPIは、情報量が比較的多い画像を取得することができる技術であり、従来の明視野画像を用いた解析よりハイコンテントな解析にも適用することができると期待されている。また、近年の機械学習による画像認識精度の向上により非染色のイメージング技術を使ったハイコンテントな解析が盛んに研究されており、今後、多重散乱体の非染色イメージングは重要な役割を担うことが期待される。しかし、QPIは、取得される画像があくまで光路長の2次元への投影であるので、真の3次元の構造を把握できない。
【0005】
また、観察対象物の光路長を非染色・非侵襲でイメージングすることができる技術として、特許文献1に記載されている光回折トモグラフィ(Optical Diffraction Tomography、ODT)も知られている。ODTは、QPIを3次元イメージング可能な技術に発展させたものであり、観察対象物の3次元屈折率トモグラフィを実現することができる。ODTを用いて細胞観察を行うことにより、細胞核やミトコンドリアなどの細胞小器官の同定が可能になり、また、3次元的な形態変化の追跡が可能になって、QPIより更にハイコンテントな解析ができることが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2017-219826号公報
【非特許文献】
【0007】
Pritam Pai, et al, "Opticaltransmission matrix measurement sampled on a dense hexagonal lattice," OSAContinuum, Vol.3, No.3, pp.637-648 (2020).
Duygu Akbulut, et al,"Optical transmission matrix as a probe of the photonic strength,"PHYSICAL REVIEW A 94, 043817 (2016).
Elbert G. van Putten, at al."The information age in optics: Measuring the transmission matrix", [online],[令和4年12月21日検索],インターネット<URL:https://physics.aps.org/articles/v3/22?referer=apshome>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のODTは、数個からなる細胞の観察に適用され得るものの、上記のような3次元細胞組織などの多重散乱体の観察には適用が困難である。何故なら、従来のODTでは、観察対象物で生じる多重散乱光が多い場合に、取得される画像に多重散乱光の影響が大きく現れるからである。
【0009】
光の散乱とは、光が対象物と相互作用することによって光の進行方向が変えられる現象をいう。特に対象物の屈折率の空間的な不均一さが増大すると、光は対象物を通過する間に対象物と多数回相互作用するようになる。このように対象物と多数回相互作用した光は多重散乱光と呼ばれる。これに対して、対象物と一回のみ相互作用した光は単一散乱光と呼ばれる。多重散乱光は、スペックルの増大および単一散乱-多重散乱比(Single-scattering to Multi-scatteringRatio、SMR)の悪化の原因となり、測定の障壁となることが知られている。
【0010】
スペックルは、光が時間的かつ空間的にコヒーレントである場合に、多重散乱光の干渉によって空間的に強度または位相の大きな変化が引き起こされることにより生じる。スペックル発生を抑制するには、時間的または空間的にインコヒーレントである光を出力する光源を用いればよい。例えば、位相差顕微鏡などの通常の明視野顕微鏡は、ハロゲンランプや発光ダイオードなどの空間的かつ時間的にインコヒーレントな光源を用いることで、スペックルのない画像を取得している。
(【0011】以降は省略されています)

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