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公開番号2024052862
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-12
出願番号2024027803,2020158725
出願日2024-02-27,2019-07-05
発明の名称脂肪酸含有油脂を分解する新規微生物
出願人国立大学法人東海国立大学機構
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C02F 3/34 20230101AFI20240405BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】油脂分解能のある新たな微生物を提供すること。
【解決手段】一つの実施形態では、微生物は、ブルクホルデリア科である。一つの実施形態では、微生物は、ブルクホルデリア属である。一つの実施形態では、微生物は、ブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)またはBurkholderia cepacia complexなどである。一つの実施形態では、本開示の微生物は、トランス脂肪酸を資化する能力を有する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、トランス脂肪酸を分解する能力を有する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、トランス脂肪酸含有油脂を分解する能力を有する。一つの実施形態では、本開示の微生物は、トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力を有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
トランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を分解および/または資化する能力を有する微生物を含む油分解剤であって、
前記微生物は、トランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を唯一の炭素源として含む培地で増殖する能力を有するブルクホルデリア属(Burkholderia)の微生物である、
油分解剤。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
さらなる油処理成分を含む、請求項1に記載の油分解剤。
【請求項3】
前記微生物は、トランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を分解および/または資化する能力を15℃でも保持している微生物である、請求項1に記載の油分解剤。
【請求項4】
産業排水、家庭排水、生ゴミ、油性汚泥またはグリーストラップに適用するための、請求項1~3のいずれか一項に記載の油分解剤。
【請求項5】
分解の対象である前記油はトランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の油分解剤。
【請求項6】
前記微生物は、トランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を唯一の炭素源として含む寒天培地上にコロニーを形成する能力を有する微生物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の油分解剤。
【請求項7】
前記微生物は、トランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含む寒天培地上に生じたコロニー周辺にクリアゾーン(ハロー)を形成する能力を有する微生物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の油分解剤。
【請求項8】
前記微生物は、Triton X-100およびエライジン酸をそれぞれ0.25重量%および0.2重量%の濃度で含む無機塩培地に終濃度OD660=0.04となるような密度で植菌し、pH7.0、28℃で培養したときに24時間後の上清におけるエライジン酸濃度が、0.1%未満となるトランス脂肪酸分解能を有する微生物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の油分解剤。
【請求項9】
前記微生物は、ブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)、ブルクホルデリア アンビファリア(Burkholderia ambifaria)、Burkholderia cepacia complexのいずれか一つに属する微生物株である、請求項1~8のいずれか一項に記載の油分解剤。
【請求項10】
前記微生物は、ブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)に属する微生物株であり、ブルクホルデリア属細菌KH-1株(受託番号NITE BP-02731で特定される菌株)の全ゲノムの配列と比較した際、少なくとも90%同一である全ゲノム配列を有する、
前記微生物は、ブルクホルデリア アンビファリア(Burkholderia ambifaria)に属する微生物株であり、KH-1AL1株(受託番号NITE BP-02977で特定される菌株)の全ゲノムの配列と比較した際、少なくとも90%同一である全ゲノム配列を有する、あるいは
前記微生物は、Burkholderia cepacia complexに属する微生物株であり、KH-1AL2株(受託番号NITE BP-02978で特定される菌株)もしくはKH-1AL3株(受託番号NITE BP-02979で特定される菌株)の全ゲノムの配列と比較した際、少なくとも90%同一である全ゲノム配列を有する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の油分解剤。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、油脂および/または脂肪酸分解能力を有する微生物およびその使用に関する。より特定すると、トランス脂肪酸含有油脂を分解する新規微生物に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
食品工場や油脂工場の排水には多量の油分が含まれる。この油分は、活性汚泥による処理能力の低下、沈降性の低下による固液分離不全、膜分離活性汚泥法(MBR)における膜のファウリング、嫌気消化におけるメタン発酵阻害など、様々な生物処理機能の低下を引き起こす。そのため、油分高含有排水の生物処理の前段として、例えば加圧浮上分離装置などにより油分を除去することが行われている。また、外食産業の厨房排水も油分を多く含むため、油分を除くためのグリーストラップが設置されている。加圧浮上分離装置もグリーストラップのどちらも、悪臭や害虫の発生源であること、分離した油の回収・運搬と産業廃棄物処理にかかるコスト、管理や清掃等にかかる労苦やコストなどの問題を抱えている。このような問題を解決する手段として、微生物による油分解技術が検討され、関連する微生物製剤も複数、市販されているが、設定可能な滞留時間内で望まれるレベルまで、油分濃度を微生物分解により下げるのは極めて困難である。そのため、現状では、加圧浮上分離装置や従来のグリーストラップが用いられていることがほとんどである。
【0003】
また、生ゴミの発酵処理においても、油分が多い場合は、発酵阻害や消滅型処理機における排水中への油の高含有などの問題がある。また、加圧浮上分離装置やグリーストラップにより分離回収した油性汚泥は産業廃棄物となるため、その処理には大きなコストがかかる。そこで、これらの油分を微生物で分解することが検討されているが、やはり上述の排水処理と同様に、微生物の分解能力に限界があるのが実情である。
【0004】
微生物による油分除去では、以上のように分解速度が問題になるが、特に冬場の低温による活性低下が、微生物の適用を困難にしている場合が多い。特に冬場の低温では、微生物による油脂の分解速度は極めて遅く、特定の微生物により排水処理や廃棄物処理を行うことは不可能であると考えられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Journal of Bioscience and Biotechnology,Vol.107,No.4 401-408,2009
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究した結果、トランス脂肪酸含有油脂を分解する新規微生物であるブルクホルデリア菌(科)に属する微生物を見出した。この微生物は、15℃程度の低温でも効率的に油脂および/または脂肪酸を分解できる局面も見出された。本開示は、本開示の微生物の応用、例えば油処理等にも関する。
【0007】
本開示は、油脂分解能力を有する新たな微生物およびこの微生物を用いた油脂および/または脂肪酸分解方法を提供する。
【0008】
したがって、本開示は以下を提供する。
(項目1)
トランス脂肪酸含有油脂を資化する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目2)
トランス脂肪酸を資化する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目3)
トランス脂肪酸を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目4)
トランス脂肪酸含有油脂を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目5)
15℃において油脂を分解する能力を有する、ブルクホルデリア科細菌。
(項目6)
前記資化または分解する能力が15℃において保持される、項目1~4のいずれか一項に記載のブルクホルデリア科細菌。
(項目7)
ブルクホルデリア属の細菌である、項目1~6のいずれか一項に記載の菌。
(項目8)
ブルクホルデリア アルボリス(Burkholderia arboris)、ブルクホルデリア アンビファリア(Burkholderia ambifaria)、またはBurkholderia cepacia complexに属する微生物である、項目1~7のいずれか一項に記載の菌。
(項目9)
ブルクホルデリア属細菌KH-1株(受託番号NITE BP-02731で特定される菌株)、KH-1AL1株(受領番号NITE ABP-02977で特定される菌株)、KH-1AL2株(受領番号NITE ABP-02978で特定される菌株)もしくはKH-1AL3株(受領番号NITE ABP-02979で特定される菌株)であるか、またはその誘導株であって該誘導株は、項目1~7のいずれか一項または複数に記載の細菌の特徴を有する、項目1~8のいずれか一項に記載の細菌。
(項目10)
項目1~9のいずれか一項に記載の細菌を含む、油分解剤。
(項目11)
さらなる油処理成分を含む、項目10に記載の油分解剤。
(項目12)
項目1~9のいずれか一項に記載の細菌もしくは項目10に記載の油分解剤と、さらなる油処理成分とを備える、油分解のためのキット。
(項目13)
項目1~9のいずれか一項に記載の細菌、または項目10もしくは11に記載の油分解剤を処理対象に作用させることを包含する、油分解除去方法。
(項目14)
前記処理対象はトランス脂肪酸またはトランス脂肪酸含有油脂を含む、項目13に記載の方法。
【0009】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の微生物およびこれを含む組成物は、トランス脂肪酸および同脂肪酸含有油脂を分解し得るという点で、特に食品工場などから出される排水等に代表される油脂含有対象の処理が可能となり、広範囲の油脂濃度に対応可能であり、また、従来より低い温度で使用可能であり得るので、油脂による環境汚染の浄化、生ごみ処理、コンポスト化処理、排水処理などの廃棄物処理および堆肥化など広範な状況に適用可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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