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公開番号2024005022
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-17
出願番号2022104992
出願日2022-06-29
発明の名称厚鋼板
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20240110BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】溶接後熱処理後の低温靭性が改善され、溶接後熱処理時の割れが抑制される厚鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.080~0.170%、Si:0.10~0.50%、Mn:1.10~1.50%、P:0.020%以下、S:0.0050%以下、Ni:0.61~0.95%、Cr:0.10~0.90%、Mo:0.30~1.00%、V:0.005~0.050%、Al:0.010~0.080%、N:0.0010~0.0080%、O:0.0050%以下、残部:Fe及び不純物からなり、式1(各[元素記号]は各元素の含有量)を満たす化学組成を有し、表面から1/4板厚位置における結晶粒の円相当直径の上位10個の平均が80μm以下である厚鋼板。
0.60≦VX≦1.90 … 式1
VX=3.69-0.75×(2.7×[C]+0.4×[Si]+[Mn]+0.45×[Ni]+0.8×[Cr]+[Mo])
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.080~0.170%、
Si:0.10~0.50%、
Mn:1.10~1.50%、
P:0.020%以下、
S:0.0050%以下、
Ni:0.61~0.95%、
Cr:0.10~0.90%、
Mo:0.30~1.00%、
V:0.005~0.050%、
Al:0.010~0.080%、
N:0.0010~0.0080%、
O:0.0050%以下、
残部:Fe及び不純物からなり、かつ下記式1を満たす化学組成を有し、
表面から1/4板厚位置の圧延方向断面の圧延方向1mm、板厚方向0.4mmの範囲において、方位差15°以上の境界で囲まれた結晶粒の円相当直径の大きい方から上位10個の平均が80μm以下である厚鋼板。
0.60≦VX≦1.90 … 式1
VX=3.69-0.75×(2.7×[C]+0.4×[Si]+[Mn]+0.45×[Ni]+0.8×[Cr]+[Mo])
式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、及び[Mo]は、それぞれC、Si、Mn、Ni、Cr、及びMoの各含有量(質量%)を意味する。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
質量%で、
C:0.080~0.170%、
Si:0.10~0.50%、
Mn:1.10~1.50%、
P:0.020%以下、
S:0.0050%以下、
Ni:0.61~0.95%、
Cr:0.10~0.90%、
Mo:0.30~1.00%、
V:0.005~0.050%、
Al:0.010~0.080%、
N:0.0010~0.0080%、
O:0.0050%以下を含み、さらに下記A群及びB群からなる群から選択される1種又は2種を含み、
[A群]Cu:0.60%以下、Nb:0.050%以下、Ti:0.050%以下、及びW:0.50%以下からなる群から選択される1種又は2種以上
[B群]Ca:0.0050%以下、Mg:0.0050%以下、及びREM:0.0050%以下からなる群から選択される1種又は2種以上
残部:Fe及び不純物からなり、かつ下記式1を満たす化学組成を有し、
表面から1/4板厚位置の圧延方向断面の圧延方向1mm、板厚方向0.4mmの範囲において、方位差15°以上の境界で囲まれた結晶粒の円相当直径の大きい方から上位10個の平均が80μm以下である厚鋼板。
0.60≦VX≦1.90 … 式1
VX=3.69-0.75×(2.7×[C]+0.4×[Si]+[Mn]+0.45×[Ni]+0.8×[Cr]+[Mo])
式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、及び[Mo]は、それぞれC、Si、Mn、Ni、Cr、及びMoの各含有量(質量%)を意味する。
【請求項3】
前記化学組成が、前記A群を含む請求項2に記載の厚鋼板。
【請求項4】
前記化学組成が、前記B群を含む請求項2に記載の厚鋼板。
【請求項5】
1400℃に加熱して5秒保持した後に、1400℃から800℃まで32℃/sで冷却し、さらに800℃から200℃まで8℃/sで冷却した場合に、表面から1/4板厚位置におけるビッカース硬さHV10が下記式2を満たし、
加熱温度が650℃であり、保持時間が15時間である熱処理を行った場合に、表面から1/4板厚位置における引張強さが600MPa以上であり、かつ、-50℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが70J以上である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の厚鋼板。
634×√[C]+140-HV10>0 … 式2
【請求項6】
前記化学組成が、Ni:0.61~0.85%及びCr:0.10~0.75%の少なくとも一方を満たす、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の厚鋼板。
【請求項7】
前記化学組成が、Ni:0.61~0.85%及びCr:0.10~0.75%の少なくとも一方を満たす、請求項5に記載の厚鋼板。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、厚鋼板に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
橋梁、建築、造船及び圧力容器等の構造体は溶接が施される。これらの構造体には、溶接で生じた残留応力を除去又は緩和するために溶接後熱処理(Post Weld Heat Treatment、以下、「PWHT」と称する場合がある。)が行われる場合がある。近年、これらの構造体の大型化や過酷な使用環境などを考慮し、鋼板の厚肉化に加えて、PWHT後の鋼板の強度及び低温靭性を向上させることも求められている。
【0003】
従来技術において、これらの構造体に使用するための種々の厚鋼板及びその製造方法が提案されている(特許文献1~7等を参照)。
また、溶接後熱処理時には母材の溶接熱影響部から割れが生じることがあり、これを防止することも重要である。例えば、特許文献8には、溶接継手に600℃で2時間保持する熱処理を施し、試験ビード側の断面で割れの有無を観察する試験方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2011-1620号公報
国際公開第2014/103629号
特開2021-8653号公報
国際公開第2021/156925号
国際公開第2015/162939号
特開2015-183279号公報
国際公開第2020/137812号
特開平5-51696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
構造体にPWHTが施された場合、鋼板には不純物元素の濃化や合金炭化物の粗大化等が生じ、低温靭性が低下する傾向がある。そのため、PWHT後の低温靭性を向上させることは一般に困難である。PWHT後の低温靭性を向上させるためには、焼入れ性を高める合金の含有量を増加させることが有効である。しかし、鋼板の焼入れ性を高めると、PWHT時に発生する溶接熱影響部の割れの防止が困難になることがわかった。
【0006】
本開示は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、厚鋼板においてPWHT後の低温靭性が改善され、PWHT時の割れを抑制することができる(溶接後熱処理時の耐割れ性に優れる)厚鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の発明者らは、上記目的を達成するために、厚鋼板の化学組成及び製造条件について検討を行った。その結果、本開示の発明者らは、厚鋼板の化学組成を所定の範囲内に制御しつつ、熱間圧延、及び熱間圧延後の熱処理を適切に制御することにより、厚鋼板において結晶粒を微細化してPWHT後の低温靭性を向上しつつ、溶接熱影響部における硬さを低減することでPWHT時の割れを防止することができることを見出し、本開示の発明を完成させた。
【0008】
上記目的を達成し得た厚鋼板は、以下のとおりである。
<1> 質量%で、
C:0.080~0.170%、
Si:0.10~0.50%、
Mn:1.10~1.50%、
P:0.020%以下、
S:0.0050%以下、
Ni:0.61~0.95%、
Cr:0.10~0.90%、
Mo:0.30~1.00%、
V:0.005~0.050%、
Al:0.010~0.080%、
N:0.0010~0.0080%、
O:0.0050%以下、
Cu:0~0.60%、
Nb:0~0.050%、
Ti:0~0.050%、
W:0~0.50%、
Ca:0~0.0050%、
Mg:0~0.0050%、
REM:0~0.0050%、
残部:Fe及び不純物からなり、かつ下記式1を満たす化学組成を有し、
表面から1/4板厚位置の圧延方向断面の圧延方向1mm、板厚方向0.4mmの範囲の方位差15°以上の境界で囲まれた結晶粒の円相当直径の大きい方から上位10個の平均が80μm以下である厚鋼板。
0.60≦VX≦1.90 … 式1
VX=3.69-0.75×(2.7×[C]+0.4×[Si]+[Mn]+0.45×[Ni]+0.8×[Cr]+[Mo])
式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、及び[Mo]は、それぞれC、Si、Mn、Ni、Cr、及びMoの各含有量(質量%)を意味する。
<2> 1400℃に加熱して5秒保持した後に、1400℃から800℃まで32℃/sで冷却し、さらに800℃から200℃まで8℃/sで冷却した場合に、表面から1/4板厚位置におけるビッカース硬さHV10が下記式2を満たし、
加熱温度が650℃であり、保持時間が15時間である熱処理を行った場合に、表面から1/4板厚位置における引張強さが600MPa以上であり、かつ、-50℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギーが70J以上である、<1>に記載の厚鋼板。
634×√[C]+140-HV10>0 … 式2
<3> 前記化学組成が、Ni:0.61~0.85%及びCr:0.10~0.75%の少なくとも一方を満たす、<1>又は<2>に記載の厚鋼板。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、厚鋼板においてPWHT後の低温靭性が改善され、溶接熱影響部のPWHT時の割れを抑制することができる(溶接後熱処理時の耐割れ性に優れる)厚鋼板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
応力腐食割れ(SCC)試験を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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