TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025132750
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024030524
出願日2024-02-29
発明の名称銅系導体、撚線導体および電線
出願人古河電気工業株式会社
代理人個人,個人
主分類H01B 5/02 20060101AFI20250903BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】銅系導体に端子を接合して端子付き電線にしたときに、端子との接合を促進することができ、かつ端子付き電線の引張耐久性を高めることが可能な銅系導体を提供する。
【解決手段】銅系導体は、延伸方向に対して垂直な横断面で行なわれた電子後方散乱回折法による結晶方位解析において、横断面内で選択された第1測定領域にて、第1の方向に対して、<011>方位±8°以内の結晶方位である<011>方位群、<012>方位±8°以内の結晶方位である<012>方位群および<123>方位±8°以内の結晶方位である<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第1合計面積と、第1の方向に直交する第2の方向に対して、<011>方位群、<012>方位群および<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第2合計面積との平均値が、第1測定領域に含まれる結晶粒の総面積に占める割合である合計集積率は、40%以上である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
銅系導体であって、
前記導体の延伸方向に対して垂直な横断面で行なわれた、電子後方散乱回折(EBSD)法による結晶方位解析において、
前記横断面内にxy直交座標系を定めた上で、x軸上の方向である第1の方向と、y軸上の方向である第2の方向を想定し、
<011>方位±8°以内の結晶方位を<011>方位群とし、<012>方位±8°以内の結晶方位を<012>方位群とし、かつ<123>方位±8°以内の結晶方位を<123>方位群とするとき、
前記横断面内で選択された第1測定領域にて、
前記第1の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第1合計面積と、
前記第2の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第2合計面積と
の平均値が、前記第1測定領域に含まれる結晶粒の総面積に占める割合である合計集積率は、40%以上である、銅系導体。
続きを表示(約 500 文字)【請求項2】
前記横断面を、中心部と、前記中心部の周りを包囲する外環部とに区画するとき、
前記横断面の前記中心部内で選択された第2測定領域にて、
前記第1の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第1合計面積と、
前記第2の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第2合計面積と
の平均値が、前記第2測定領域に含まれる結晶粒の総面積に占める割合である合計集積率は、50%以上である、請求項1に記載の銅系導体。
【請求項3】
前記横断面内に存在する結晶粒の平均結晶粒径が20.0μm未満である、請求項1に記載の銅系導体。
【請求項4】
請求項1に記載の銅系導体からなる銅系素線を複数撚り合わせて形成してなる、撚線導体。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載の銅系導体、または請求項4に記載の撚線導体の表面に、少なくとも絶縁被覆層が形成された電線。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、銅系導体、撚線導体および電線に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
電気製品や自動車車載部品などに用いられる電線としては、導電率の高い銅系導体が用いられるとともに、その両端部には端子が設けられており、特に超音波を印加して電線の端部にある銅系導体を端子に接合させる場合には、軟らかく超音波の出力によって変形しやすい銅系導体が用いられる。
【0003】
このような銅系導体として、例えば特許文献1には、断面積あたりの銅合金の結晶粒が50~250個あり、その最大粒径はボンディングワイヤの直径の1/3以下であり、かつ、<100>等の特定方位がいずれも40%以下の無方位であることを特徴とする銅合金ボンディングワイヤが記載されており、これにより、ボンディングワイヤの先端がJの字状に曲がるということがなくなり、切断端部がボンディングワイヤの断面積内からはみ出ない銅合金ボンディングワイヤを提供することができる効果があるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017-045924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波を印加して電線の端部にある銅系導体を端子に接合させる際に、銅系導体が軟らかさに欠けていると、特に銅系導体と端子の間に空隙が形成されることで、端子と電線の接合強度が低くなり、さらには得られる端子付き電線の引張耐久性が低下していた。そのため、銅系導体に端子を接合して端子付き電線にしたときの引張耐久性が高い銅系導体が求められていた。
【0006】
これに関し、特許文献1に記載されているボンディングワイヤは、線径が15μm以上20μm以下の銅合金ボンディングワイヤに関するものであり、これより太径の銅系導体については着目しておらず、超音波接合の際の超音波の印加によって変形しやすくし、それにより銅系導体と端子との接合を促進して、銅系導体に端子を接合したときの端子付き電線の引張耐久性を高めるべき点において改善の余地があった。
【0007】
したがって、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、銅系導体に端子を接合して端子付き電線にしたときの銅系導体と端子との接合を促進し、かつ端子付き電線の引張耐久性を高めることが可能な銅系導体と、これを用いた撚線導体および電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、横断面内の測定領域に含まれる結晶粒の総面積に占める、<011>方位、<012>方位または<123>方位を有する結晶粒の割合を増加させることで、超音波接合によって銅系導体や撚線導体と端子を接合して端子付き電線を構成したときに、銅系導体を超音波の印加によって銅系導体を容易に変形して、銅系導体と端子との接合部分にあった空隙や、撚線導体の内部にあった空隙を低減することで、銅系導体と端子との接合を促進するとともに、端子付き電線の引張耐久性を高められることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)銅系導体であって、前記導体の延伸方向に対して垂直な横断面で行なわれた、電子後方散乱回折(EBSD)法による結晶方位解析において、前記横断面内にxy直交座標系を定めた上で、x軸上の方向である第1の方向と、y軸上の方向である第2の方向を想定し、<011>方位±8°以内の結晶方位を<011>方位群とし、<012>方位±8°以内の結晶方位を<012>方位群とし、かつ<123>方位±8°以内の結晶方位を<123>方位群とするとき、前記横断面内で選択された第1測定領域にて、前記第1の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第1合計面積と、前記第2の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第2合計面積との平均値が、前記第1測定領域に含まれる結晶粒の総面積に占める割合である合計集積率は、40%以上である、銅系導体。
(2)前記横断面を、中心部と、前記中心部の周りを包囲する外環部とに区画するとき、前記横断面の前記中心部内で選択された第2測定領域にて、前記第1の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第1合計面積と、前記第2の方向に対して、前記<011>方位群、前記<012>方位群および前記<123>方位群を有する結晶粒の面積を加算して求めた第2合計面積との平均値が、前記第2測定領域に含まれる結晶粒の総面積に占める割合である合計集積率は、50%以上である、上記(1)に記載の銅系導体。
(3)前記横断面内に存在する結晶粒の平均結晶粒径が20.0μm未満である、上記(1)または(2)に記載の銅系導体。
(4)上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の銅系導体からなる銅系素線を複数撚り合わせて形成してなる、撚線導体。
(5)上記(1)、(2)または(3)に記載の銅系導体、または上記(4)に記載の撚線導体の表面に、少なくとも絶縁被覆層が形成された電線。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、銅系導体に端子を接合して端子付き電線にしたときの銅系導体と端子との接合を促進し、かつ端子付き電線の引張耐久性を高めることが可能な銅系導体と、これを用いた撚線導体および電線を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

関連特許

古河電気工業株式会社
グロメット
8日前
古河電気工業株式会社
グロメット
8日前
古河電気工業株式会社
マルチコアファイバ
5日前
古河電気工業株式会社
銅系導体、撚線導体および電線
6日前
古河電気工業株式会社
筐体、プロテクタ及び電気接続箱
6日前
個人
光ファイバおよび光通信システム
5日前
古河電気工業株式会社
固定部材及び固定部材付ワイヤーハーネス
5日前
株式会社古河テクノマテリアル
耐火構造
8日前
古河電気工業株式会社
波長可変レーザ装置及び波長可変レーザ装置の制御方法
7日前
古河電気工業株式会社
シールド電線の端末構造、端子付き電線およびコネクタ付き電線
6日前
古河電気工業株式会社
シールド電線の端末構造、端子付き電線およびコネクタ付き電線
6日前
古河電気工業株式会社
シールド電線の端末構造、端子付き電線およびコネクタ付き電線
6日前
古河電気工業株式会社
シールド電線の端末構造、端子付き電線およびコネクタ付き電線
6日前
古河電気工業株式会社
耐熱性の水溶性フィルム、半導体加工用テープ及び半導体チップの製造方法
18日前
古河電気工業株式会社
シールド電線の端末構造及びその形成方法、並びに端子付き電線及びコネクタ付き電線
6日前
古河電気工業株式会社
シールド電線の端末構造及びその形成方法、並びに端子付き電線及びコネクタ付き電線
6日前
古河電気工業株式会社
絶縁キャップ及び絶縁キャップの取付用治具
21日前
古河電気工業株式会社
電気ケーブル巻取装置、並びに、電気ケーブル巻取装置を用いたハンドル給電装置及びシート給電装置
7日前
古河電気工業株式会社
電気ケーブル巻取装置、並びに、電気ケーブル巻取装置を用いたハンドル給電装置及びシート給電装置
7日前
古河電気工業株式会社
電気ケーブル巻取装置、並びに、電気ケーブル巻取装置を用いたハンドル給電装置及びシート給電装置
7日前
古河電気工業株式会社
超電導コイル用自己融着超電導線材の修理方法、超電導コイル用自己融着超電導線材および超電導コイル
5日前
個人
雄端子
1か月前
個人
後付地震遮断機
1か月前
個人
安全なNAS電池
11日前
個人
超精密位置決め機構
1か月前
愛知電機株式会社
電力機器
1か月前
東レ株式会社
積層多孔質膜
1か月前
個人
フリー型プラグ安全カバー
18日前
CKD株式会社
巻回装置
1か月前
ヒロセ電機株式会社
端子
1か月前
東レ株式会社
多孔質炭素シート
6日前
日機装株式会社
加圧装置
27日前
エイブリック株式会社
半導体装置
8日前
エイブリック株式会社
半導体装置
8日前
ローム株式会社
半導体装置
6日前
ローム株式会社
半導体装置
27日前
続きを見る