特許ウォッチ

公開番号2025078999
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-21
出願番号2023191380
出願日2023-11-09
発明の名称有機EL素子封止剤用の硬化性組成物、硬化膜、有機EL素子、及び有機EL素子の製造方法
出願人JSR株式会社
代理人弁理士法人ユニアス国際特許事務所
主分類H10K 50/844 20230101AFI20250514BHJP()
要約【課題】本発明の課題は、誘電率が低く、アウトガスの発生が少なく、基板密着性の高い硬化膜を形成することができる硬化性組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、マレイミド化合物(A)と、重合性化合物(B)と、を含有し、光重合開始剤(C)を含まないか、前記マレイミド化合物(A)及び重合性化合物(B)の合計量(100質量%)に対して2質量%以下の光重合開始剤(C)を含有する、有機EL素子封止剤用の硬化性組成物に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
マレイミド化合物（Ａ）と、
重合性化合物（Ｂ）と、を含有し、
光重合開始剤（Ｃ）を含まないか、前記マレイミド化合物（Ａ）及び重合性化合物（Ｂ）の合計量（１００質量％）に対して２質量％以下の光重合開始剤（Ｃ）を含有する、
有機ＥＬ素子封止剤用の硬化性組成物。
続きを表示（約 1,300 文字）【請求項２】
前記マレイミド化合物（Ａ）が、下記式（１）で表される化合物である、請求項１に記載の硬化性組成物。
JPEG
2025078999000019.jpg
40
170
（上記式（１）中、ｙは１～４の整数であり、Ｒは、炭素数３～５０のｙ価の有機基である。）
【請求項３】
上記式（１）のｙが２～４の整数であり、Ｒが炭素数１０～５０のｙ価の有機基である、請求項２に記載の硬化性組成物。
【請求項４】
前記マレイミド化合物（Ａ）が、下記式（２）～下記式（４）のいずれかで表される化合物を含む、請求項１に記載の硬化性組成物。
JPEG
2025078999000020.jpg
42
170
（上記式（２）中、Ｒ
１
は、炭素数２～３のアルキレン基を表し、ｎは、２～４０の整数である。）
JPEG
2025078999000021.jpg
42
170
（上記式（３）中、Ｒ
２
は、炭素数１～４５の２価の脂肪族基、又は炭素数６～４５の２価の芳香族炭化水素基を表す。）
JPEG
2025078999000022.jpg
42
170
（上記式（４）中、Ｒ
３
、
Ｒ
４
は、それぞれ独立して、炭素数１～１０のアルキレン基であり、Ｒ
５
、
Ｒ
６
は、それぞれ独立して、炭素数１～５の１価のアルキル基又はフェニル基であり、ｍは、１～２０の整数である。）
【請求項５】
前記重合性化合物（Ｂ）が電子供与性重合基を有する化合物（Ｂ１）である、請求項１に記載の硬化性組成物。
【請求項６】
前記電子供与性重合基を有する化合物（Ｂ１）が、ビニルエーテル基を有する化合物（Ｂ１－１）、プロペニルエーテル化合物（Ｂ１－２）、ビニル基を有する芳香族化合物（Ｂ１－３）、及びオレフィン系化合物（Ｂ１－４）（ただし、前記（Ｂ１－１）～（Ｂ１－３）に該当するものを除く。）よりなる群から選ばれる１種以上の化合物である、請求項５に記載の硬化性組成物。
【請求項７】
波長３９５ｎｍのＵＶ－ＬＥＤランプを使用して、照度１０００ｍＷ／ｃｍ
２
かつ積算光量３０００ｍＪ／ｃｍ
２
の条件で前記硬化性組成物に対し紫外線を照射することにより得られる硬化膜の周波数１００ｋＨｚにおける誘電率が３．０以下である、請求項１に記載の硬化性組成物。
【請求項８】
インクジェット塗布用である、請求項１に記載の硬化性組成物。
【請求項９】
有機ＥＬ素子の有機発光層を封止する封止構造形成用である、請求項１に記載の硬化性組成物。
【請求項１０】
請求項１～９のいずれか一項に記載の硬化性組成物を用いて形成された硬化膜。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、有機ＥＬ素子封止剤用の硬化性組成物、硬化膜、有機ＥＬ素子、及び有機ＥＬ素子の製造方法に関する。
続きを表示（約 1,400 文字）【背景技術】
【０００２】
有機エレクトロルミネッセンス素子（有機ＥＬ素子）は、陽極、有機発光層及び陰極を含む積層構造を有する発光素子である。有機ＥＬ素子は、表示装置や照明装置等の各種用途において広く実用化されている。
【０００３】
有機ＥＬ素子が備える有機発光層に酸素や水分等が侵入することによって、ダークスポットと呼ばれる発光不良部が生じてしまうことが知られており、このようなダークスポット等の不具合発生を防止するため、有機ＥＬ素子に封止構造を設け、封止構造により有機発光層が水分や酸素に接触しないようにすることが行われている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１には、有機材料を含む硬化性組成物により硬化膜を形成することにより、当該硬化膜によって有機発光層を被覆する封止構造を設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
国際公開第２０２１／０１０２２６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
硬化性組成物により形成された封止構造を有機ＥＬ素子に設けた場合、封止構造中に残存する硬化性組成物中の開始剤やその分解物に起因して封止構造からアウトガスが発生しやすく、これにより有機ＥＬ素子を劣化させることが懸念される。このため、有機ＥＬ素子では、封止構造からのアウトガスの発生を極力少なくすることが求められる。
【０００６】
一般的に有機ＥＬ素子の有機発光層上に形成される封止剤層は、無機膜、有機膜、無機膜の順に形成された多層構造を有している。有機ＥＬ素子による光取り出し効率向上のために、封止剤層の上部に高屈折率材層を形成した表示素子が新たに開発されているが、高屈折率材層の硬化収縮や線膨張係数が大きい場合、隣接する封止剤層を構成する有機層と無機層との間で剥離が生じるという課題が新たに生じている。また、折り畳み可能なスマートフォン等において、折り曲げた部分においても有機膜と無機膜との間で剥離が生じ、封止性能が低下するという不良が生じており、無機膜と有機膜との間に高い密着性が求められている。
【０００７】
また、例えば、タッチパネル方式を採用した有機ＥＬ発光装置では基板上にタッチセンサが配置されるが、封止剤層の誘電率が高い場合にはタッチパネルの使用時に誤動作が生じるといった不都合が生じることが懸念される。これらの観点から、有機ＥＬ素子に設けられる封止剤層には、低誘電率であることも求められる。
【０００８】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、誘電率が低く、アウトガスの発生が少なく、基板密着性の高い硬化膜を形成することができる硬化性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明によれば、以下の硬化性組成物、硬化膜、有機ＥＬ素子及びその製造方法が提供される。
【００１０】
本発明は、一実施形態において、
マレイミド化合物（Ａ）と、
重合性化合物（Ｂ）と、を含有し、
光重合開始剤（Ｃ）を含まないか、前記マレイミド化合物（Ａ）及び重合性化合物（Ｂ）の合計量（１００質量％）に対して２質量％以下の光重合開始剤（Ｃ）を含有する、
有機ＥＬ素子封止剤用の硬化性組成物に関する。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許