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公開番号2025032965
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-12
出願番号2024098601
出願日2024-06-19
発明の名称ペプチドバーコードを利用したmRNA配列最適化手法
出願人株式会社日立製作所,株式会社ARCALIS
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12Q 1/6806 20180101AFI20250305BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】核酸(例えばmRNA医薬)の無数の候補配列と目的タンパク質の発現量の関係を高スループットで取得すること。
【解決手段】核酸の配列最適化方法であって、非翻訳領域の配列及び目的タンパク質をコードする配列を含む候補配列と、前記目的タンパク質に直接的又は間接的に連結したペプチドバーコードをコードする配列とを含む核酸配列を調製する工程、前記核酸配列からタンパク質を発現させる工程、前記タンパク質から前記ペプチドバーコードを分離する工程、分離した前記ペプチドバーコードを分析する工程、前記分析の結果に基づいて、前記目的タンパク質の発現と前記候補配列との関係性を取得し、最適な候補配列を選択する工程を含む方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
核酸の配列最適化方法であって、
非翻訳領域の配列及び目的タンパク質をコードする配列を含む候補配列と、前記目的タンパク質に直接的又は間接的に連結したペプチドバーコードをコードする配列とを含む核酸配列を調製する工程、
前記核酸配列からタンパク質を発現させる工程、
前記タンパク質から前記ペプチドバーコードを分離する工程、
分離した前記ペプチドバーコードを分析する工程、
前記分析の結果に基づいて、前記目的タンパク質の発現と前記候補配列との関係性を取得し、最適な候補配列を選択する工程
を含む方法。
続きを表示(約 970 文字)【請求項2】
前記調製工程において、異なる非翻訳領域配列、及び異なるペプチドバーコードをコードする配列を含む、複数の核酸配列を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調製工程において、目的タンパク質をコードする異なる配列、及び異なるペプチドバーコードをコードする配列を含む、複数の核酸配列を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記核酸がmRNA医薬である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記発現工程が、細胞において又は無細胞発現系において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記調製工程において、前記候補配列、又は前記目的タンパク質をコードする配列を、前記ペプチドバーコードをコードする配列が付加されたプライマーを使用して増幅することにより、前記核酸配列を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記調製工程において、前記目的タンパク質をコードする配列を、前記非翻訳領域の配列が付加されたプライマーを使用して増幅することにより、前記核酸配列を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記調製工程において、前記核酸配列を含むプラスミドベクターを増幅することにより、前記核酸配列を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記調製工程において、
前記非翻訳領域である5'UTRの配列を含むプラスミドベクター、前記目的タンパク質をコードする配列を含むプラスミドベクター、及び前記ペプチドバーコードをコードする配列を含むプラスミドベクターを作製し、
これらのベクターから、前記非翻訳領域の配列及び前記目的タンパク質をコードする配列を含む候補配列と、前記ペプチドバーコードをコードする配列とを含む前記核酸配列を含むプラスミドベクターを作製し、
前記核酸配列を含むプラスミドベクターを増幅することにより、前記核酸配列を調製する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ペプチドバーコードをコードする配列が、精製用タグをコードする配列に連結されている、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸、例えばmRNA医薬の配列最適化のための方法及びキットに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
mRNA医薬などの核酸医薬は、感染症やがん治療の用途での応用が長年期待されている技術である。生体内で発現させようとするタンパク質をコードする核酸(例えばmRNA)を脂質ナノ粒子などのキャリアに載せて、生体内に導入する。細胞に取り込まれた核酸(mRNA)は通常のタンパク質発現プロセスに従って、コードされた目的タンパク質が発現することになる。例えば、感染症予防のワクチンとして、ウィルスの一部分をコードするmRNAを導入すれば、発現されるタンパク質を免疫系に認識させることができる。また、がんワクチンとしての応用では、がん細胞中に発現している特有の抗原、すなわちネオアンチゲンをコードするmRNAを生体内に導入する。発現されるネオアンチゲンを免疫系が認識することで、免疫系にがん細胞を攻撃させることにより治療が行われる。核酸(例えばmRNA)の塩基配列を設計すれば、薬として利用可能であり、また製造法がシンプルであることから、配列設計から製造・出荷までを迅速に行うことができる。これらの利点から核酸(mRNA)医薬はその応用が期待されてきていた。Covid-19のパンデミック時に、mRNAワクチンが初めて実用化され、その性能が実証された。
【0003】
mRNAを含む核酸医薬の性能はその塩基配列によって左右されることから、対象疾患ごとに配列を最適化する必要がある。例えば、mRNA医薬の塩基配列は一般に、5’非翻訳領域(Untranslated region : UTR)、タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)、3’非翻訳領域(3’UTR)で構成される。5’UTRはリボソームが認識する部位であり、発現のコントロールに関わる。ORFのコドンに基づいてリボソームがタンパク質へと翻訳する。そのコドンのパターンによって発現効率が変化する。3’UTRはmRNAの安定性に関わる部位であり、例えば、アデニン(A)を連ねたPoly Aを設置するとmRNAの安定性が向上することが知られており、Covid-19のワクチンでも利用されている。
【0004】
mRNA医薬の塩基配列を設計する場合、5’UTR、ORF、3’UTRを目的に応じて最適化する必要がある。mRNA医薬だけでなく、DNAを用いたタンパク質の発現を伴う系においては、配列最適化が重要であり、いくつかの研究が実施されている。非特許文献1は、ORFのコドン最適化手法を開示している。iCodonと名付けられたソフトウェアによって、コドンを調整することにより発現量の向上を可能としている。また、非特許文献2は、5’UTRの最適化手法を開示している。ランダムなアミノ酸配列をコードする塩基配列を5’UTRに配置し、ポリゾームプロファイリング(polysome profiling)技術によって、リボソームが結合しやすい5’UTRを見つけることを可能にしている。
【0005】
機械学習や深層学習の技術的発展によって、配列最適化の計算手法の精度は向上している。一方で、学習モデルを作製するための分子生物学的データを大量に取得するのは簡単ではない。mRNA医薬の塩基配列とタンパク質発現量の関係性を示すデータを、ELISA(Enzyme Linked Immunosolvent Assay)によって取得しようとする場合、塩基配列を変化させたサンプルごとに1つのウェルで分析する必要がある。無数の候補物質を並列的に解析する方法としてペプチドバーコードを利用した研究がある(非特許文献3、特許文献1)。ただし、それらは対象となる抗原に特異的に結合する物質のスクリーニング目的で利用されており、mRNA医薬の塩基配列の設計には利用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第6781854号
【非特許文献】
【0007】
Diez, M., et al. iCodon customizes gene expression based on the codon composition, Sci Rep 12(1):12126 (2022)
Sample, P.J., et al. Human 5′ UTR design and variant effect prediction from a massively parallel translation assay, Nat Biotechnol 37(7):803-809 (2019)
Egloff, P., et al. Engineered peptide barcodes for in-depth analyses of binding protein libraries, Nat Methods, 16(5):421-428 (2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、mRNA医薬などの核酸医薬の塩基配列最適化のために塩基配列とタンパク質発現量の関係性を取得しようとした場合、塩基配列を変化させるごとに1サンプルとし、無数のサンプルを用意してそれぞれについて分析する必要があった。最適化したい塩基配列が長くなるほど、指数関数的に候補配列が増加し、発現量のデータを取得することは実質的に不可能であった。
【0009】
このような背景に鑑みて、本発明は、核酸(例えばmRNA医薬)における無数の候補配列とタンパク質の発現量の関係を示すデータを、高スループットで、好ましくは一測定によって取得するための手段及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、目的タンパク質を発現するための核酸(特にmRNA医薬)の塩基配列の最適化を検討する過程で、候補核酸配列から目的タンパク質を発現させる際に、目的タンパク質を識別可能なペプチドバーコードと連結して発現させ、ペプチドバーコードを分析することによって、目的タンパク質の発現に適した候補核酸配列を選択することができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)

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