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公開番号2025018667
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-06
出願番号2023122594
出願日2023-07-27
発明の名称レーダ装置および信号処理プログラム
出願人株式会社デンソー,トヨタ自動車株式会社,株式会社ミライズテクノロジーズ
代理人弁理士法人ゆうあい特許事務所
主分類G01S 7/36 20060101AFI20250130BHJP(測定;試験)
要約【課題】レーダ装置で電波干渉が生じる環境下において、受信信号中の干渉波の影響を、従来よりも良好に低減すると共に、低減のための処理負荷を抑制する。
【解決手段】干渉波における干渉開始時間Tbとチャープ傾きKと振幅Aと位相θとをパラメータとして、干渉波の波形を表した数式のパラメータを推定する。パラメータ推定は、受信波の波形に対応するN行1列の受信波形ベクトルyを、干渉開始時間Tbとチャープ傾きKとの組み合わせに対応する基底ベクトルの集合であるN行M列の辞書行列Dと振幅Aおよび位相θを含むM行1列の係数ベクトルxとの積で示した演算式における係数ベクトルxを、非ゼロ成分を1個のみ含むように、OMPを用いて算出するOMP処理を含む。またOMP処理の前に、チャープ傾きKの概算値を算出し、算出した概算値を含む所定の範囲内に収まるように辞書行列Dの基底ベクトルに用いるチャープ傾きKの値の範囲を制限する。
【選択図】図21
特許請求の範囲【請求項1】
レーダ装置(1)であって、
周波数変調されたレーダ波である送信波を送信アンテナ(2)から送信させるように、前記送信波における周波数変調態様に対応する所定の周波数変化を有する電気信号である送信信号(TX)を生成する、送信信号生成部(51)と、
受信アンテナ(3)で受信したレーダ波である受信波にローカル信号(LO)がミキシングされて所定のカットオフ周波数F
LPS
でフィルタリングされて得られたビート信号に対する信号処理結果に基づいて、前記受信波に含まれる干渉波の影響を抑制する干渉抑制処理(S1800~S1809)を実行する、信号処理部(7)と、
を備え、
前記干渉抑制処理は、
前記干渉波の波形を推定する、波形推定処理(S1800~S1808)と、
推定した前記干渉波の波形を前記受信波の波形から減算する、減算処理(S1809)と、を含み、
前記波形推定処理は、
前記干渉波が前記ビート信号に乗り始める干渉開始時間Tbと、前記干渉波の周波数の時間変化の傾きであるチャープ傾きKと、前記干渉波の振幅Aと、前記干渉波の位相θと、をパラメータとして前記干渉波の波形を表した数式における、前記パラメータを推定する、パラメータ推定処理(S1800~S1807)と、
前記パラメータ推定処理によって推定された前記パラメータに基づいて前記干渉波の波形を計算する干渉波形計算処理(S1808)と、
を含み、
前記パラメータ推定処理は、
前記ビート信号の波形に対応するN行1列の受信波形ベクトルyを、前記干渉開始時間Tbと前記チャープ傾きKとの組み合わせに対応する基底ベクトルの集合であるN行M列の辞書行列Dと、前記振幅Aと前記位相θとを含むM行1列の係数ベクトルxとの積で示した、演算式y=Dxにおける、前記係数ベクトルxを、非ゼロ成分を1個のみ含み他はゼロ成分となるように、直交マッチング追跡アルゴリズムを用いて算出するため、前記辞書行列Dの中から、前記受信波形ベクトルyとの内積が最大となる前記基底ベクトルを1個選択するOMP処理(S1802~S1806)と、
前記OMP処理の前に前記チャープ傾きKの概算値を算出し、算出した前記概算値を含む所定の範囲内に収まるように前記辞書行列Dの前記基底ベクトルに用いる前記チャープ傾きKの値の範囲を制限する前処理(S1800、S1801、S110~S170)と、を含む、レーダ装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記信号処理部は、前記前処理において、前記ビート信号に対してしきい値検定を行うことで、前記干渉開始時間Tbと、前記干渉波が前記ビート信号に乗り終わる干渉終了時間Teとを特定し、特定した前記干渉開始時間Tb、前記干渉終了時間Te、および前記カットオフ周波数F
LPS
に基づいて、前記チャープ傾きKの前記概算値を算出する、請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記ビート信号は、複素波形であり、
前記信号処理部は、前記前処理において、前記ビート信号の絶対値が所定のしきい値THより小さい状態から大きい状態に変化するタイミングを前記干渉開始時間Tbとして特定し、前記ビート信号の前記絶対値が前記しきい値THより大きい状態から小さい状態に変化するタイミングを前記干渉終了時間Teとして特定する、請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記チャープ傾きKの前記概算値は、
K=2F
LPF
/(Te-Tb)
により算出される、請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記前処理において、前記ビート信号に対して短時間フーリエ変換を行うことで、時間毎かつ周波数毎の前記ビート信号の電力分布のマップを算出し、算出した前記マップに基づいて、前記チャープ傾きKの前記概算値を算出する、請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、前記前処理において、前記マップの最小周波数の行における最大電力が実現する時間と周波数のペアを記録する処理を行い、その後、前記マップにおける、最後に記録された時間の次の時間列における最大電力が実現する時間と周波数のペアを記録するという処理を繰り返し、その後、記録された時間と周波数のペアに基づいて、前記チャープ傾きKの前記概算値を算出する、請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項7】
前記信号処理部は、前記前処理において、前記マップの最大周波数の行における最大電力が実現する時間と周波数のペアを記録する処理を行い、その後、前記マップにおける、最後に記録された時間の次の時間列における最大電力が実現する時間と周波数のペアを記録するという処理を繰り返し、その後、記録された時間と周波数のペアに基づいて、前記チャープ傾きKの前記概算値を算出する、請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記信号処理部は、前記前処理において、前記マップの最初の時間列における最大電力が実現する時間と周波数のペアを記録する処理を行い、その後、前記マップにおける、最後に記録された時間の次の時間列における最大電力が実現する時間と周波数のペアを記録するという処理を繰り返し、その後、記録された時間と周波数のペアに基づいて、前記チャープ傾きKの前記概算値を算出する、請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項9】
前記信号処理部は、前記前処理において前記マップに基づいて前記チャープ傾きKの前記概算値を算出し、前記OMP処理において前記概算値に基づく前記辞書行列Dを用いて前記係数ベクトルxを算出し、前記干渉波形計算処理において前記係数ベクトルxおよび前記基底ベクトルに基づいて前記干渉波の波形を推定し、前記減算処理において前記干渉波の波形を前記受信波の波形から減算した後、前記受信波からフーリエ変換で得られたスペクトルのノイズフロアが規定値より大きい場合、前記前処理を再度行う、請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記信号処理部は、前記送信アンテナから前記送信波が送信されるオンデューティ期間の前の、前記送信アンテナが使用されないオフデューティ期間に前記受信アンテナから受信した干渉波に基づいて、前記オンデューティ期間における干渉波の前記チャープ傾きKの前記概算値を算出する、請求項1に記載のレーダ装置。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置および当該レーダ装置にて実行される信号処理プログラムに関するものである。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、当該車両の周辺に存在する他車両や静止物等のターゲットを検知するレーダシステムが知られている。かかるレーダシステムにおいては、他車両に搭載されたレーダシステム等との間で、電波干渉を起こす場合がある。FMCWレーダ等のように、ビート信号のフーリエ解析結果を利用して各種情報を抽出する場合、電波干渉を受けると、時間波形をフーリエ変換した周波数スペクトルのノイズフロアが上昇する。すると、ターゲットからの反射波に基づくピークがノイズフロアに埋もれることによって、ターゲットの検出が困難になる。なお、FMCWは、Frequency Modulated Continuous Waveの略である。
【0003】
上記のような電波干渉が生じている場合でも、安定したレーダ装置の動作を実現するために、従来種々の提案がなされている。例えば、特許文献1に記載のレーダ装置は、受信信号に基づいて物体の情報を算出する物体情報算出部と、変調動作期間とは重複しない探索変調動作期間中に所定の最小周波数から最大周波数までの間で周囲の電波干渉状況を計測する干渉状況解析部と、干渉状況解析部により計測された電波干渉状況に基づいて送信信号の周波数帯域を選択する帯域選択部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第6744481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、特許文献1に記載のレーダ装置は、車両周囲の電波干渉状況を計測して干渉の少ない周波数帯域を探索し、その周波数帯域を以降の送信信号の周波数帯域として選択する。これにより、電波干渉が生じている場合でも、安定したレーダ装置の動作を実現しようとしている。しかしながら、例えば、自車両の周囲に他車両が多数存在する場合には、干渉の少ない周波数帯域の探索が困難となり得る。
【0006】
一方、受信信号における干渉波の影響を、受信信号に対する信号処理で低減することによっても、安定したレーダ装置の動作を実現することが可能である。この種の技術についても、従来種々の提案がなされている。本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、電波干渉が生じる環境下において、受信信号における干渉波の影響を、従来よりもよりいっそう良好に低減することが可能な技術を提供すると共に、低減のための処理負荷を抑制することを目的とする。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、レーダ装置(1)であって、
周波数変調されたレーダ波である送信波を送信アンテナ(2)から送信させるように、前記送信波における周波数変調態様に対応する所定の周波数変化を有する電気信号である送信信号(TX)を生成する、送信信号生成部(51)と、
受信アンテナ(3)で受信したレーダ波である受信波にローカル信号(LO)がミキシングされて所定のカットオフ周波数F
LPS
でフィルタリングされて得られたビート信号に対する信号処理結果に基づいて、前記受信波に含まれる干渉波の影響を抑制する干渉抑制処理(S1800~S1809)を実行する、信号処理部(7)と、
を備え、
前記干渉抑制処理は、
前記干渉波の波形を推定する、波形推定処理(S1800~S1808)と、
推定した前記干渉波の波形を前記受信波の波形から減算する、減算処理(S1809)と、を含み、
前記波形推定処理は、
前記干渉波が前記ビート信号に乗り始める干渉開始時間Tbと、前記干渉波の周波数の時間変化の傾きであるチャープ傾きKと、前記干渉波の振幅Aと、前記干渉波の位相θと、をパラメータとして前記干渉波の波形を表した数式における、前記パラメータを推定する、パラメータ推定処理(S1800~S1807)と、
前記パラメータ推定処理によって推定された前記パラメータに基づいて前記干渉波の波形を計算する干渉波形計算処理(S1808)と、
を含み、
前記パラメータ推定処理は、
前記ビート信号の波形に対応するN行1列の受信波形ベクトルyを、前記干渉開始時間Tbと前記チャープ傾きKとの組み合わせに対応する基底ベクトルの集合であるN行M列の辞書行列Dと、前記振幅Aと前記位相θとを含むM行1列の係数ベクトルxとの積で示した、演算式y=Dxにおける、前記係数ベクトルxを、非ゼロ成分を1個のみ含み他はゼロ成分となるように、直交マッチング追跡アルゴリズムを用いて算出するため、前記辞書行列Dの中から、前記受信波形ベクトルyとの内積が最大となる前記基底ベクトルを1個選択するOMP処理(S1802~S1806)と、
前記OMP処理の前に前記チャープ傾きKの概算値を算出し、算出した概算値を含む所定の範囲内に収まるように前記辞書行列Dの前記基底ベクトルに用いる前記チャープ傾きKの値の範囲を制限する前処理(S1800、S1801、S110~S170)と、を含む、レーダ装置である。
【0009】
また、請求項11に記載の発明は、周波数変調されたレーダ波である送信波を送信アンテナ(2)が送信したときに、受信アンテナ(3)で受信されたレーダ波である受信波にローカル信号(LO)がミキシングされ、更に所定のカットオフ周波数F
LPS
でフィルタリングされてビート信号が得られるレーダ装置の信号処理部(7)に用いられるプログラムであって、
前記信号処理部に、前記ビート信号に対する信号処理結果に基づいて、前記受信波に含まれる干渉波の影響を抑制する干渉抑制処理(S1800~S1809)を実行するよう機能させ、
前記干渉抑制処理は、
前記干渉波の波形を推定する、波形推定処理(S1800~S1808)と、
推定した前記干渉波の波形を前記受信波の波形から減算する、減算処理(S1809)と、を含み、
前記波形推定処理は、
前記干渉波が前記ビート信号に乗り始める干渉開始時間Tbと、前記干渉波の周波数の時間変化の傾きであるチャープ傾きKと、前記干渉波の振幅Aと、前記干渉波の位相θと、をパラメータとして前記干渉波の波形を表した数式における、前記パラメータを推定する、パラメータ推定処理(S1800~S1807)と、
前記パラメータ推定処理によって推定された前記パラメータに基づいて前記干渉波の波形を計算する干渉波形計算処理(S1808)と、
を含み、
前記パラメータ推定処理は、
前記ビート信号の波形に対応するN行1列の受信波形ベクトルyを、前記干渉開始時間Tbと前記チャープ傾きKとの組み合わせに対応する基底ベクトルの集合であるN行M列の辞書行列Dと、前記振幅Aと前記位相θとを含むM行1列の係数ベクトルxとの積で示した、演算式y=Dxにおける、前記係数ベクトルxを、非ゼロ成分を1個のみ含み他はゼロ成分となるように、直交マッチング追跡アルゴリズムを用いて算出するため、前記辞書行列Dの中から、前記受信波形ベクトルyとの内積が最大となる前記基底ベクトルを1個選択するOMP処理(S1802~S1806)と、
前記OMP処理の前に前記チャープ傾きKの概算値を算出し、算出した概算値を含む所定の範囲内に収まるように前記辞書行列Dの前記基底ベクトルに用いる前記チャープ傾きKの値の範囲を制限する前処理(S1800、S1801、S110~S170)と、を含む、プログラムである。
【0010】
このように、レーダ装置は、演算式y=Dxにおける、係数ベクトルxを、非ゼロ成分を1個のみ含み他はゼロ成分となるように、直交マッチング追跡アルゴリズムを用いて算出する。このようにすることで、干渉波のみならず所望波まで除去してしまう可能性が低減される。
(【0011】以降は省略されています)

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