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公開番号2024169513
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-05
出願番号2024159911,2022154378
出願日2024-09-17,2020-11-20
発明の名称異常予兆検知機能付ケーブル
出願人株式会社オートネットワーク技術研究所,住友電装株式会社,住友電気工業株式会社
代理人弁理士法人上野特許事務所
主分類H01B 7/32 20060101AFI20241128BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】電線に断線が生じる予兆を、電線の軸線方向に沿った位置によらず、同様の感度で検知することができる異常予兆検知機能付ケーブル、および電線異常予兆検知装置を提供する。
【解決手段】電線導体21A~Dと、前記電線導体21A~Dの外周を被覆する電線被覆22と、を有する1本または複数の対象電線2A~Dと、検知線導体31A~Cと、前記検知線導体31A~Cの外周を被覆する検知線被覆32と、を有する1本または複数の検知線3A~Cと、前記対象電線2A~Dおよび前記検知線3A~Cを含む電線群Gの外周を被覆するシース5と、を有し、前記検知線導体31A~Cは、前記電線導体21A~Dよりも、耐屈曲性が低く、前記シース5は、前記電線群Gの外周に直接密着するか、前記電線群Gの外周に密着して前記電線群Gを被覆する内周層4の表面に密着した、押出成形体として形成されている、異常予兆検知機能付ケーブル1とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
計測部と、通知部と、を有し、
電線導体と、前記電線導体の外周を被覆する電線被覆と、を有する1本または複数の対象電線と、
検知線導体と、前記検知線導体の外周を被覆する検知線被覆と、をそれぞれ有し、前記検知線導体の耐屈曲性が相互に異なる複数の検知線と、
前記対象電線および前記検知線を含む電線群の外周を被覆するシースと、を有し、
前記検知線導体は、前記電線導体よりも、耐屈曲性が低く、
前記シースは、前記電線群の外周に直接密着するか、前記電線群の外周に密着して前記電線群を被覆する内周層の表面に密着した、押出成形体として形成されており、
前記複数の検知線は、第一の検知線導体を有する第一の検知線と、第二の検知線導体を有する第二の検知線と、を含み、
前記第一の検知線導体は、複数の、第一の金属材料の素線よりなり、該複数の素線を一括して、外周を直接、前記検知線被覆に被覆され、
前記第二の検知線導体は、複数の、前記第一の金属材料よりも高い耐屈曲性を有する第二の金属材料の素線よりなり、該複数の素線を一括して、外周を直接、前記検知線被覆に被覆された、異常予兆検知機能付ケーブルに対して、
前記計測部が、前記検知線導体の特性インピーダンスを、時間領域反射法によって計測し、該特性インピーダンスに基準値以上の変化が生じている場合に、前記検知線導体に損傷が生じていると判定するとともに、該損傷が生じている位置を特定し、
前記計測部が前記検知線導体に損傷が生じていると判定した際に、前記通知部が、前記対象電線に断線が生じる予兆が存在することを外部に通知する、電線異常予兆検知装置。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記複数の検知線はさらに、第三の検知線導体を有する第三の検知線を含み、
前記第三の検知線導体は、
前記第一の金属材料の素線と、前記第二の金属材料の素線と、をともに含み、前記第一の検知線導体よりも高く、前記第二の検知線導体よりも低い耐屈曲性を有し、
前記第一の金属材料の素線および前記第二の金属材料の素線を一括して、外周を直接、前記検知線被覆に被覆されている、請求項1に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項3】
前記異常予兆検知機能付ケーブルは、複数の前記対象電線を含み、
前記複数の対象電線は、前記検知線を取り囲んで配置されている、請求項1または請求項2に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項4】
前記異常予兆検知機能付ケーブルはさらに、前記シースと前記電線群の間に、導電性部材を含んだ層状の部材として、外側検知層を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項5】
前記外側検知層を構成する前記導電性部材は、前記検知線導体の径よりも小さい厚みを有する金属の層として構成される、請求項4に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項6】
前記外側検知層は、導電テープより構成され、前記電線群を囲んで配置されている、請求項4または請求項5に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項7】
前記導電テープは、前記電線群を中心として、ターン間に間隙を設けて螺旋状に巻き付けられている、請求項6に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項8】
前記外側検知層は、積層テープより構成され、
前記積層テープは、テープ状の絶縁体または半導体として構成された基材の両面に、導電性の被覆層を形成したものであり、前記電線群を囲んで配置されている、請求項4または請求項5に記載の電線異常予兆検知装置。
【請求項9】
前記計測部は、前記検知線導体の特性インピーダンスとともに、前記外側検知層を構成する前記導電性部材の特性インピーダンスを測定し、
前記通知部は、前記計測部によって計測された前記導電性部材の特性インピーダンスに、基準値以上の変化が生じた際に、前記対象電線に損傷が生じる予兆が存在することを外部に通知する、請求項4から請求項8のいずれか1項に記載の電線異常予兆検知装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、異常予兆検知機能付ケーブルおよび電線異常予兆検知装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
種々の電気・電子機器や輸送用機器、建造物、公共設備等において、電線が搭載、また敷設されるが、電線の長期の使用に伴い、電線に断線等の損傷が発生する場合がある。例えば、電線に屈曲や振動が繰り返し加えられると、金属疲労により、電線を構成する導体に断線が発生する場合がある。断線等の損傷は、実際に発生する前に、金属疲労が進行している段階等、予兆の段階で検知することが好ましい。電線の損傷の発生を、予兆の段階で検知することができれば、その電線を交換する等の対策を実施することで、電線が配置された機器の機能停止等、電線の損傷に起因する不具合を、未然に防止することができる。
【0003】
電線の損傷の予兆を検出することを意図したケーブルとして、例えば、特許文献1に、複数の素線を撚り合わせた導体を有する検知線と、複数の素線を撚り合わせた導体を有する被検知線と、を備え、検知線の導体の撚りピッチが、被検知線の導体の撚りピッチよりも長くなった断線検知機能付ケーブルが開示されている。検知線の導体の撚りピッチを被検知線の導体の撚りピッチよりも長くすることで、検知線の屈曲寿命を被検知線の屈曲寿命よりも短くして、断線の予測を図っている。
【0004】
また、特許文献2に、複数の電線とそれら複数の電線を覆う電気シールド層と電気シールド層を覆うシースからなる電気ケーブルと、電気シールド層に設けられ導体線とその外周の絶縁層からなる断線検知線と、導体線に電気的に接続された電圧源と、導体線に電気的に接続された第1の検出器と、電気シールド層に電気的に接続された第2の検出器とを備えた断線検知装置が開示されている。断線検知線の屈曲寿命は電線の屈曲寿命よりも短く設定される。断線検知線の導体線に電圧源により電圧を印加し、第1の検出器の検出信号と第2の検出器の検出信号から電気シールド層の断線を予測することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2013-182716号公報
特開2007-305478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載されるように、断線の予兆を検知する対象である対象電線とともに、その対象電線よりも屈曲によって破断しやすい検知線を設けておき、検知線の破断を監視することで、対象電線の断線の予兆を検知することは可能である。しかし、単に検知線を設けることのみで、対象電線の断線を高感度に検知できるようになるとは限らない。特許文献1では、検知線と複数の被検知線とが、一括してシースに被覆されており、特許文献2では、複数の電線が、断線検知線を設けた電気シールド層に被覆されている。ここで、特許文献1および特許文献2の構成では、複数の対象電線と、その外周を被覆する被覆部材、つまりシースや電気シールド層との間に、空隙が存在しており、複数の対象電線が、被覆部材に囲まれた空間の中で、移動可能となっている。対象電線が屈曲や振動を繰り返して受ける間に、そのような対象電線の移動が起こると、対象電線と検知線との位置関係が、ケーブルの軸線方向に沿った位置によって、不均一に変化する可能性がある。つまり、対象電線と検知線が、軸線方向に沿った位置によって、異なる相対位置をとるようになる可能性がある。
【0007】
すると、屈曲や振動によって、対象電線が受ける負荷と検知線が受ける負荷との関係性が、軸線方向に沿った位置によって、異なるものとなる。その結果、屈曲や振動によって、対象電線に同じ大きさの負荷が印加されたとしても、軸線方向に沿って、負荷が印加される位置によって、検知線の破断が起こり、対象電線の断線の予兆を検知できる場合と、検知線の破断に至らず、対象電線の断線の予兆を検知できない場合とが生じうる。このように、対象電線の断線の予兆の検知における感度に、位置によるばらつきが生じる可能性がある。
【0008】
電線に対して、断線等の損傷の予兆を検知するに際し、軸線方向に沿って、どのような位置に損傷の予兆が発生しても、同様の感度で検知できることが好ましい。自動車等の機器においては、電線のどの位置に損傷が発生するかを予測することは困難であるが、どの位置に損傷が発生したとしても、機器の機能停止等の不具合につながる可能性があり、電線の損傷の予兆を発生位置にかかわらず検知して、電線の交換等の対策を講じることが重要である。特に、自動車のブレーキシステム等、電線の損傷による影響が大きい箇所においては、電線の損傷の予兆を高感度に検知することが望まれる。
【0009】
以上に鑑み、電線に断線が生じる予兆を、電線の軸線方向に沿った位置によらず、同様の感度で検知することができる異常予兆検知機能付ケーブル、および電線異常予兆検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示にかかる異常予兆検知機能付ケーブルは、電線導体と、前記電線導体の外周を被覆する電線被覆と、を有する1本または複数の対象電線と、検知線導体と、前記検知線導体の外周を被覆する検知線被覆と、を有する1本または複数の検知線と、前記対象電線および前記検知線を含む電線群の外周を被覆するシースと、を有し、前記検知線導体は、前記電線導体よりも、耐屈曲性が低く、前記シースは、前記電線群の外周に直接密着するか、前記電線群の外周に密着して前記電線群を被覆する内周層の表面に密着した、押出成形体として形成されている。
(【0011】以降は省略されています)

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