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公開番号2024149391
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2024024862
出願日2024-02-21
発明の名称光送信機、量子通信システム、および光送信機を動作させる方法
出願人株式会社東芝
代理人弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
主分類H04B 10/70 20130101AFI20241010BHJP(電気通信技術)
要約【課題】量子鍵配送のための光送信機、その動作方法及び量子通信システムを提供する。
【解決手段】光学システム1において、光送信機2は、第1のレーザ(信号レーザ9)及び第2のレーザ(デコイレーザ11)を備える。各レーザは、位相ランダム化パルスを放出する。光送信機はまた、調整可能な合成比に基づいて、第1のレーザ及び第2のレーザから放出されたパルスを合成し、パルスの合成された流れにする光コンバイナ10を備える。光送信機はさらに、短いアーム21及び長いアーム23を有する非対称マッハツェンダ干渉計19を備える。該干渉計は、パルスの合成された流れを受信する入力ポートと、干渉計の出力を提供する出力ポートとを有する。それらアームのうちの少なくとも一方は、短いアームと長いアームとの間の位相を制御する位相制御素子25を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
量子暗号技法にしたがった量子鍵配送のため光送信機であって、
第1のレーザおよび第2のレーザと、ここで、各レーザは、複数の光パルスのうちの各パルスの位相がランダム化されるように前記複数の光パルスをそれぞれ放出するように構成されており、
前記第1のレーザおよび前記第2のレーザによって放出された前記複数の光パルスを、調整可能な合成比に基づいて合成して、複数のパルスの合成された流れにするように構成された調整可能な光コンバイナと、
短いアームおよび長いアームを有するマッハツェンダ干渉計と、ここで、前記マッハツェンダ干渉計は、前記複数のパルスの合成された流れを受信するように構成された入力ポートと、前記マッハツェンダ干渉計の出力を提供するように構成された出力ポートとを有し、
前記マッハツェンダ干渉計の前記出力を量子チャネルに提供するように構成された出力カプラと、
を備え、
前記短いアームおよび前記長いアームのうちの少なくとも一方は、前記短いアームと前記長いアームとの間の相対位相を制御するように構成された位相制御素子を備える、光送信機。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記第1のレーザ、前記第2のレーザ、前記光コンバイナ、および前記マッハツェンダ干渉計は、集積チップ上に形成されている、請求項1に記載の光送信機。
【請求項3】
前記光コンバイナは、前記第1のレーザによって放出された前記複数の光パルスの強度を調整可能に変調するように構成された強度制御素子を備え、前記光コンバイナの前記合成比は、前記強度制御素子の変調を調整することによって調整可能である、請求項1に記載の光送信機。
【請求項4】
前記強度制御素子は、第1の強度制御素子であり、前記光コンバイナは、前記第2のレーザによって放出された前記複数の光パルスの強度を調整可能に変調するように構成された第2の強度制御素子をさらに備え、前記光コンバイナの前記合成比は、前記第1の強度制御素子および前記第2の強度制御素子の変調を調整することによって調整可能である、請求項3に記載の光送信機。
【請求項5】
前記第1の強度制御素子または前記第2の強度制御素子の少なくとも1つは、電界吸収変調器、マッハツェンダ変調器、調節可能な干渉計、および半導体光増幅器のうちの少なくとも1つを備える、請求項4に記載の光送信機。
【請求項6】
前記光コンバイナは、実質的に等しい長さの2つのアームと、少なくとも一方のアームにおける調整可能な位相制御素子とを有するマッハツェンダ干渉計を備え、前記光コンバイナの前記合成比は、前記位相制御素子を調整することによって調整可能である、請求項1に記載の光送信機。
【請求項7】
前記光コンバイナの前記合成比は、前記出力カプラにおいて、前記第1のレーザによって放出された前記複数の光パルスの前記強度が第1の所定の強度に等しく、前記第2のレーザによって放出された前記複数の光パルスの前記強度が第2の所定の強度に等しくなるように調整され、前記第2の所定の強度は、前記第1の所定の強度とは異なる、請求項4に記載の光送信機。
【請求項8】
前記量子暗号技法は、デコイ状態量子暗号技法であり、前記光送信機は、前記第1のレーザによって放出された複数のパルスの複数の信号状態または複数のデコイ状態のうちの一方と、前記第2のレーザによって放出された複数のパルスの複数の信号状態または複数のデコイ状態のうちの他方とを符号化するように構成されている、請求項1に記載の光送信機。
【請求項9】
前記マッハツェンダ干渉計の前記出力を受信し、前記マッハツェンダ干渉計の前記出力の位相を制御し、前記マッハツェンダ干渉計の位相制御された出力を前記出力カプラに提供するように構成されたさらなる位相制御素子をさらに備える、請求項1に記載の光送信機。
【請求項10】
前記光送信機は、クロックレートの各サイクル中に、前記第1のレーザおよび前記第2のレーザのうちの多くても一方がパルスを放出するように構成されている、請求項1に記載の光送信機。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、光送信機、量子通信システム、および光送信機を動作させる方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
量子通信システムでは、情報は、単一光子などの符号化された単一量子によって送信機と受信機との間で送られる。各光子は、その偏光、位相、またはエネルギー/時間などの光子の特性上に符号化された1ビットの情報を運ぶ。量子通信システムは、多くの場合「アリス」と呼ばれる送信者と多くの場合「ボブ」と呼ばれる受信者の二者間で暗号鍵を共有するための技法である量子鍵配送(QKD)を実装するために使用され得る。この技法の魅力は、多くの場合「イブ」と呼ばれる承認されていない盗聴者に、鍵の任意の一部が知られた可能性があるかどうかのテストを提供するということである。
【0003】
QKD技法(プロトコルと呼ぶ場合が多い)は、単一光子の状態ではなく減衰されたレーザパルスを用いて(例えば、減衰されたレーザパルスの位相で暗号鍵を符号化することによって)多くの場合実装される。これは、好適な単一光子源が広く利用可能ではないからである。減衰されたレーザパルスを使用することにより、QKDプロトコルが光子数分割攻撃の影響を受けやすくなり、それによって通信のセキュリティを減少させる可能性があることが知られている。特定のQKDプロトコルがこの問題に対処するために開発されてきた。これらのプロトコルのいくつかでは、送信機は、標準の信号状態パルスに加えて、追加の状態パルス(デコイ状態パルスと呼ばれる)のセットを準備および送信する。デコイ状態パルスは、信号状態パルスの強度(すなわち、平均光子数)とは異なる強度を有する。デコイ状態QKDプロトコルは、情報理論的セキュリティを伴って長距離にわたって高ビットレートで鍵を共有できることを確実にすることによって技術を増強することができる。
【0004】
デコイ状態QKDプロトコルは、パルス強度を信号状態またはデコイ状態のいずれかに対応するように調整するための強度変調器と組み合わせて単一のレーザを使用して多くの場合実装される。実際上は、一般的に用いられる強度変調器の不備点により、セキュリティ脅威(サイドチャネルとして知られている)が発生する可能性がある。そのようなサイドチャネル(「パターン効果」として知られている)は、送信されたパルスの強度が前のパルスの強度に依存することを意味し得る強度変調器の有限変調帯域幅によって引き起こされる。これにより情報が漏洩し、セキュアキーレートを減少させる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1は、一実施形態に係る例示的な光学システムの概略図である。
図2は、図1の光学システムの例示的な構成を指定する表を示す。
図3は、図1の光学システムの使用中の例示的なパルスシーケンスを例示する。
図4は、図1の光学システムを動作させる例示的なプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、例えば、強度変調器の有限帯域幅に関連する「パターン効果」といった、従来のデバイスの課題を克服する、(デコイ状態)QKDプロトコルを実装するための新しい有用な光デバイスを提供することを目的とする。このために、本開示は、信号状態パルスとデコイ状態パルスをそれぞれ生成する2つの独立したレーザを備える光送信機を提示する(デコイ状態パルスは、信号状態パルスの強度、すなわち平均光子数とは異なる強度を有する)。2つのレーザの出力は、調整可能な光コンバイナ、すなわち、合成比を調整することができるコンバイナを使用して合成される。合成比に依存して、コンバイナは、信号状態パルスをデコイ状態パルスとは異なるように、例えば、減衰または増幅によって変調し得る。これにより、信号状態パルスとデコイ状態パルスとの間の強度比を制御することが可能になる。次いで、コンバイナを出るパルスは、非対称マッハツェンダ干渉計によってタイムビン量子ビットへと変換され、受信機に送信される。マッハツェンダ干渉計の一方のアームにおける位相制御素子が、タイムビン量子ビットの位相符号化のために使用され得る。上述の信号状態パルスおよびデコイ状態パルスに加えて、提示される送信機は、(第2のタイプのデコイ状態として)真空状態も放出することができる。提示される送信機は、放出されたパルスの平均光子数がゼロになるように制御することによって(すなわち、単純に両方のレーザをオフに切り替えることによって)真空状態を実装することができる。
【0007】
信号状態およびデコイ状態を生成するために2つの独立したレーザを使用することは、送信機の動作中に光コンバイナの分割比を切り替える必要がないので、強度変調器または同様のものの(高速)切り替えが必要ないことを意味する(減衰または増幅の好適なレベルが最初のまたは周期的に繰り返される較正プロセス中に決定され得る)。したがって、提示される送信機は、従来のデバイスの「パターン効果」の課題を抱えない。信号状態とデコイ状態を生成する提示される方法は、フォトニック集積に適合し、完全集積型QKD送信機を可能にする。さらに、真空状態についての信号対雑音比が、強度変調器を用いて(一般的に用いられる強度変調器の有限消光比により)レーザパルスを減衰させることによって真空状態を準備する従来の実装と比較して、提示される送信機によって改善され得る。
【0008】
第1の態様によれば、量子鍵配送のための光送信機が提供される。本光送信機は第1のレーザおよび第2のレーザを備える。各レーザは、複数の光パルスのうちの各パルスの位相がランダム化されるように複数の光パルスをそれぞれ放出するように構成される。本光送信機はさらに、第1のレーザおよび第2のレーザによって放出された複数の光パルスを、調整可能な合成比に基づいて合成して、複数のパルスの合成された流れにするように構成された調整可能な光コンバイナを備える。本光送信機はさらに、短いアームおよび長いアームを有するマッハツェンダ干渉計を備える。マッハツェンダ干渉計は、複数のパルスの合成された流れを受信するように構成された入力ポートと、マッハツェンダ干渉計の出力を提供するように構成された出力ポートとを有する。本光送信機はさらに、マッハツェンダ干渉計の出力を量子チャネルに提供するように構成された出力カプラを備える。短いアームおよび長いアームのうちの少なくとも一方は、短いアームと長いアームとの間の相対位相を制御するように構成された位相制御素子を備える。
【0009】
一実施形態では、第1のレーザは利得スイッチレーザであり、および/または第2のレーザは利得スイッチレーザである。
【0010】
一実施形態では、第1のレーザ、第2のレーザ、光コンバイナ、ならびにマッハツェンダ干渉計は、集積チップ上に形成され得る。
(【0011】以降は省略されています)

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