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公開番号
2024134262
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-03
出願番号
2023044472
出願日
2023-03-20
発明の名称
絶縁電線およびワイヤーハーネス
出願人
株式会社オートネットワーク技術研究所
,
住友電装株式会社
,
住友電気工業株式会社
代理人
弁理士法人上野特許事務所
主分類
H01B
7/08 20060101AFI20240926BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】断面が扁平形状になった扁平部を有する絶縁電線を、他の電線とともに扁平形状の幅方向に並べて集合させる際に、絶縁電線への急な曲げの印加や過剰な長さの確保を要さずに、隣り合う電線との間隔を狭くして集合させることができる絶縁電線、およびそのような絶縁電線を含むワイヤーハーネスを提供する。
【解決手段】複数の素線が撚り合わせられた導体11と、前記導体11の外周を被覆する絶縁被覆13と、を有する絶縁電線1であって、前記導体11を構成する前記素線のそれぞれ、および前記絶縁被覆13を相互に連続させて、扁平部2と、低扁平部3と、を軸線方向xに沿って有し、前記低扁平部3における断面の重心31の位置が、前記扁平部2における前記断面の重心21の位置に対して、扁平部2の扁平形状の幅方向yに沿った第一方向D1にずれている絶縁電線1とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の素線が撚り合わせられた導体と、
前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有する絶縁電線であって、
前記導体を構成する前記素線のそれぞれ、および前記絶縁被覆を相互に連続させて、扁平部と、低扁平部と、を軸線方向に沿って有し、
前記絶縁電線の軸線方向に直交する断面が、前記扁平部において、幅方向に長い扁平形状をとり、かつ前記低扁平部において、前記扁平部よりも扁平度の低い形状をとり、
前記低扁平部における前記断面の重心の位置が、前記扁平部における前記断面の重心の位置に対して、前記扁平形状の前記幅方向に沿った第一方向にずれている、絶縁電線。
続きを表示(約 840 文字)
【請求項2】
端末部に前記低扁平部を有する、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項3】
前記絶縁電線は、前記扁平部と前記低扁平部の間に遷移部を有し、
前記遷移部の前記幅方向外側の外縁は、少なくとも、前記第一方向と反対の方向である第二方向において、前記軸線方向に対して角度を有している、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項4】
前記遷移部の前記外縁は、少なくとも前記第二方向において、前記軸線方向に対して傾斜している、請求項3に記載の絶縁電線。
【請求項5】
前記遷移部の前記外縁は、前記第一方向と前記第二方向の両方において、前記軸線方向に対して傾斜を有しており、
前記傾斜は、前記第一方向において、前記第二方向よりも小さくなっている、請求項4に記載の絶縁電線。
【請求項6】
前記遷移部の前記外縁は、
前記第一方向において、前記軸線方向に沿って延びており、
前記第二方向において、前記軸線方向に対して角度を有している、請求項3に記載の絶縁電線。
【請求項7】
前記低扁平部は、幅方向の全域が、前記扁平部の幅の範囲内に収まっている、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項8】
前記低扁平部の幅方向の少なくとも一部の領域は、前記扁平部に対して、前記扁平部の幅の範囲を超えて、前記第一方向にずれている、請求項1に記載の絶縁電線。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の絶縁電線を含む複数の電線を有し、
前記絶縁電線の前記低扁平部は、前記第一方向において、他の電線と隣り合っている、ワイヤーハーネス。
【請求項10】
前記絶縁電線は、端末部に前記低扁平部を有し、前記低扁平部において、他の前記電線と共通のコネクタに接続されている、請求項9に記載のワイヤーハーネス。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁電線およびワイヤーハーネスに関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
絶縁電線において、軸線方向に沿って、扁平部と低扁平部とを設ける形態が提案されている。断面における導体の外形が、扁平部においては扁平形状とされ、低扁平部においては扁平部よりも扁平度の低い形状、典型的には略円形とされる。この種の扁平部と低扁平部を備えた絶縁電線は、例えば特許文献1および特許文献2に開示されている。特許文献1では、全体が扁平形状よりなる原料扁平電線を変形させることで低扁平部を形成しているのに対し、特許文献2では、断面円状等の電線を圧潰して扁平部を形成しており、製法の差異に起因して、扁平部および低扁平部における導体素線の形状の分布等、絶縁電線の詳細な構造に差異を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-156581号公報
特開2020-77499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示されるような、扁平部および低扁平部を備えた絶縁電線は、扁平部および低扁平部のそれぞれが有する形状や特性を活用して、それぞれの部位を適した用途に用いることができる。例えば、扁平部は扁平形状の高さ方向に、高い省スペース性を有するうえ、高い曲げ柔軟性を有するため、絶縁電線を曲げながら所定の経路に配策するのに、好適に利用することができる。一方で、低扁平部は、円形等、扁平度の低い断面形状を有することを利用して、複数の絶縁電線を集合させるのに、好適に用いることができる。例えば、複数の絶縁電線を共通のコネクタに接続したり、一括して結束したりする際に、コネクタ接続箇所や結束箇所等、複数の絶縁電線を集合させる箇所に、低扁平部を設けておけばよい。低扁平部において複数の絶縁電線を並べて集合させることで、扁平部において複数の絶縁電線を幅方向に並べて集合させる場合よりも、集合箇所が占める幅、つまり適用するコネクタの幅や結束部の幅を、小さく抑えられる可能性がある。
【0005】
しかし、扁平部と低扁平部を有する絶縁電線を、複数幅方向に並べる場合に、低扁平部の箇所でそれらの絶縁電線を集合させるとしても、絶縁電線の間隔は、扁平部の幅にも影響されるため、低扁平部の配置間隔を小さくするのは限界がある。図5Aに示すように、特許文献1,2に開示されているような絶縁電線9においては、扁平部2の重心の位置21と、低扁平部3の重心の位置31が揃っている。この絶縁電線9を幅方向に複数並べた場合に、低扁平部3に曲げを加えずに、コネクタ51への接続等によって集合させるとすれば、図5Bに示すように、隣接する絶縁電線9の間で、低扁平部3における間隔pは、扁平部2における間隔と等しくなり、扁平部2の幅wよりも小さくすることはできない。すると、コネクタ51の幅等、低扁平部3を集合させた箇所の幅が、扁平部2の幅によって定まる大きなものとなってしまう。一方で、図5Cに示すように、それよりも狭い間隔、つまり扁平部2の幅wよりも狭い間隔pで、低扁平部3を集合させようとすれば、低扁平部3を幅方向に曲げる必要が生じる(図5C中に矢印にて表示)。すると、その曲げにより、低扁平部3において、絶縁電線9を構成する導体に曲げ疲労が生じる可能性がある。また、曲げた絶縁電線9の曲げ反力により、コネクタ51等、集合させた低扁平部3を一括して保持する部材に、過度な負担がかかり、それらの部材に損傷が生じる場合がある。例えばコネクタ51に防水部材が備えられる場合に、防水部材に損傷が生じると、コネクタ51の防水性能が低下してしまう。一方で、それら低扁平部3の曲げによって生じる影響を低減するために、曲げを緩やかに形成することも考えられるが、その場合には、長い経路を通って低扁平部3を曲げることになるため、低扁平部3を長く確保する必要が生じ、配策に必要な絶縁電線9の総量が大きくなってしまう。
【0006】
以上に鑑み、断面が扁平形状になった扁平部を有する絶縁電線を、他の電線とともに扁平形状の幅方向に並べて集合させる際に、絶縁電線への急な曲げの印加や過剰な長さの確保を要さずに、隣り合う電線との間隔を狭くして集合させることができる絶縁電線、およびそのような絶縁電線を含むワイヤーハーネスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の絶縁電線は、複数の素線が撚り合わせられた導体と、前記導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有する絶縁電線であって、前記導体を構成する前記素線のそれぞれ、および前記絶縁被覆を相互に連続させて、扁平部と、低扁平部と、を軸線方向に沿って有し、前記絶縁電線の軸線方向に直交する断面が、前記扁平部において、幅方向に長い扁平形状をとり、かつ前記低扁平部において、前記扁平部よりも扁平度の低い形状をとり、前記低扁平部における前記断面の重心の位置が、前記扁平部における前記断面の重心の位置に対して、前記扁平形状の幅方向に沿った第一方向にずれている。
【0008】
本開示のワイヤーハーネスは、前記絶縁電線を含む複数の電線を有し、前記絶縁電線の前記低扁平部は、前記第一方向において、他の電線と隣り合っている。
【発明の効果】
【0009】
本開示の絶縁電線は、断面が扁平形状になった扁平部を有する絶縁電線を、他の電線とともに扁平形状の幅方向に並べて集合させる際に、絶縁電線への急な曲げの印加や過剰な長さの確保を要さずに、隣り合う電線との間隔を狭くして集合させることができる絶縁電線となる。本開示のワイヤーハーネスは、そのような絶縁電線を含むワイヤーハーネスとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A~1Cは、本開示の一実施形態にかかる絶縁電線を示す概略図である。図1Aは斜視図である。図1Bは図1A中のA-A断面に相当する扁平部、図1Cは図1A中のB-B断面に相当する低扁平部を表示する断面図である。各図において、導体を構成する素線は省略している。
図2Aは、図1の絶縁電線を示す平面図である。図2B~2Dは、変形形態にかかる絶縁電線を示す平面図である。
図3A,3Bは、本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスについて、電線とコネクタの接合部を模式的に示す平面図である。それぞれワイヤーハーネスを構成する電線が2本の場合、および3本の場合の例を示している。
図4A,4Bは、本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスについて、電線とコネクタの接合部を模式的に示す平面図である。いずれもワイヤーハーネスを構成する電線が4本の場合の例を示しているが、用いている電線の種類が異なっている。
図5Aは、重心のずれのない絶縁電線を示す平面図である。図5B,5Cは、図5Aの重心のずれのない絶縁電線のみを用いたワイヤーハーネスを示しており、図5Bは極間隔を広くとった場合、図5Cは極間隔を狭くした場合を示している。
(【0011】以降は省略されています)
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