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公開番号2024127243
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023036258
出願日2023-03-09
発明の名称排水処理設備の操業状態推定装置、操業状態推定方法および操業状態推定プログラム
出願人JFEエンジニアリング株式会社
代理人弁理士法人酒井国際特許事務所
主分類C02F 3/12 20230101AFI20240912BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】処理対象水の生物処理プロセスを高精度に表現し得るプロセスモデルを構築できるとともに、当該プロセスモデルの構築に要する時間および労力を低減できること。
【解決手段】微生物を利用して排水を生物処理する排水処理設備の操業状態の推定において、前記排水処理設備の操業条件と、前記操業条件に従って操業する前記排水処理設備から観測された観測値とを収集し、前記排水処理設備による前記排水の生物処理プロセスを複数の数式によって表現したプロセスモデルと前記操業条件とをもとに、前記排水処理設備の操業状態の予測値を導出し、前記プロセスモデルに含まれる複数のパラメータのうち、前記排水処理設備から実測し難く且つ前記生物処理プロセスで行われる反応への寄与度が大きい特定パラメータを、前記観測値と前記予測値との誤差を修正するように調整し、調整後の前記特定パラメータを前記プロセスモデルに適用する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
微生物を利用して排水を生物処理する排水処理設備の操業状態推定装置において、
前記排水処理設備の操業条件と、前記操業条件に従って操業する前記排水処理設備から観測された観測値とを収集するデータ収集部と、
前記排水処理設備による前記排水の生物処理プロセスを複数の数式によって表現したプロセスモデルと前記データ収集部による前記操業条件とをもとに、前記排水処理設備の操業状態の予測値を導出する予測処理部と、
前記プロセスモデルに含まれる複数のパラメータのうち、前記排水処理設備から実測し難く且つ前記生物処理プロセスで行われる反応への寄与度が大きい特定パラメータを、前記データ収集部による前記観測値と前記予測処理部による前記予測値との誤差を修正するように調整し、調整後の前記特定パラメータを前記プロセスモデルに適用するパラメータ調整部と、
を備えることを特徴とする排水処理設備の操業状態推定装置。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記パラメータ調整部は、カルマンフィルタを用いて前記特定パラメータを調整する、
ことを特徴とする請求項1に記載の排水処理設備の操業状態推定装置。
【請求項3】
前記特定パラメータは、前記排水処理設備に流入される処理対象の排水中に含まれる有機成分の分画比率と、前記生物処理プロセスで行われる硝化反応に関わる硝化細菌の最大比増殖速度と、前記生物処理プロセスにおける酸素供給量補正値とのうち少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理設備の操業状態推定装置。
【請求項4】
前記データ収集部は、時間的に離散した複数の前記観測値を収集し、
前記パラメータ調整部は、前記データ収集部によって収集された複数の前記観測値を、線形補間によって時間的に連続した複数の連続観測値に変換し、複数の前記連続観測値の各々を用いて前記特定パラメータを調整する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理設備の操業状態推定装置。
【請求項5】
微生物を利用して排水を生物処理する排水処理設備の操業状態推定方法において、
前記排水処理設備の操業条件と、前記操業条件に従って操業する前記排水処理設備から観測された観測値とを収集するデータ収集ステップと、
前記排水処理設備による前記排水の生物処理プロセスを複数の数式によって表現したプロセスモデルと前記操業条件とをもとに、前記排水処理設備の操業状態の予測値を導出する予測処理ステップと、
前記プロセスモデルに含まれる複数のパラメータのうち、前記排水処理設備から実測し難く且つ前記生物処理プロセスで行われる反応への寄与度が大きい特定パラメータを、前記観測値と前記予測値との誤差を修正するように調整し、調整後の前記特定パラメータを前記プロセスモデルに適用するパラメータ調整ステップと、
を含むことを特徴とする排水処理設備の操業状態推定方法。
【請求項6】
前記パラメータ調整ステップでは、カルマンフィルタを用いて前記特定パラメータを調整する、
ことを特徴とする請求項5に記載の排水処理設備の操業状態推定方法。
【請求項7】
前記特定パラメータは、前記排水処理設備に流入される処理対象の排水中に含まれる有機成分の分画比率と、前記生物処理プロセスで行われる硝化反応に関わる硝化細菌の最大比増殖速度と、前記生物処理プロセスにおける酸素供給量補正値とのうち少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の排水処理設備の操業状態推定方法。
【請求項8】
前記データ収集ステップでは、時間的に離散した複数の前記観測値を収集し、
前記パラメータ調整ステップでは、収集された複数の前記観測値を、線形補間によって時間的に連続した複数の連続観測値に変換し、複数の前記連続観測値の各々を用いて前記特定パラメータを調整する、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の排水処理設備の操業状態推定方法。
【請求項9】
請求項5または6に記載の排水処理設備の操業状態推定方法をコンピュータに実行させる、
ことを特徴とする排水処理設備の操業状態推定プログラム。
【請求項10】
前記特定パラメータは、前記排水処理設備に流入される処理対象の排水中に含まれる有機成分の分画比率と、前記生物処理プロセスで行われる硝化反応に関わる硝化細菌の最大比増殖速度と、前記生物処理プロセスにおける酸素供給量補正値とのうち少なくとも1つである、
ことを特徴とする請求項9に記載の排水処理設備の操業状態推定プログラム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、排水処理設備の操業状態推定装置、操業状態推定方法および操業状態推定プログラムに関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、微生物を利用した生物処理により、処理対象の排水(以下、処理対象水という)を浄化する排水処理設備が提案されている。水処理の分野において、生物処理は、処理対象水中に含まれる有機物(有機性の汚濁物質)を微生物の生物反応によって分解するプロセスである。一般に、排水処理設備は、処理対象水の生物処理を行うための反応タンクを備え、反応タンク内に流入した処理対象水を、活性汚泥等の多種多様な微生物によって生物処理する。これにより、排水処理設備は、処理対象水を浄化した水(以下、処理水という)を得る。排水処理設備は、得られた処理水を、浮遊物質の除去や消毒等の適切な処理を施した後に外部へ排出する。
【0003】
このような排水処理設備の機能評価または運転支援等を行うためのツールとして、排水処理設備内で行われる処理対象水の生物処理プロセスを模擬するプロセスモデルが利用されている。当該プロセスモデルは、国際水協会(IWA)によって提唱された活性汚泥モデル等、物理化学的な洞察に基づいた数学モデルである。当該プロセスモデルでは、処理対象水の生物処理プロセスにおける微生物の生物反応が、モデルパラメータを変数とする複数の数式によって表現されている。このようなプロセスモデルは、排水処理設備の操業条件(処理対象水の流量や有機物濃度等)を入力することにより、当該排水処理設備の操業状態の推定に有用な予測値を出力することが可能である。
【0004】
例えば、特許文献1には、水処理装置の運転データを収集するデータ収集手段と、モデルパラメータで記述された数式によって水処理プロセスの要部を表現した数学モデルと、過去の経験的な情報を総合して水処理プロセスを定性的に表現する言語モデルと、水処理装置を運転する運転手段と、これらデータ収集手段、数学モデル、言語モデルおよび運転手段の作動を制御する制御手段と、を備えた水処理装置のモデル参照型自動制御装置が開示されている。特許文献1に記載の従来技術において、数学モデルは、水処理装置の運転結果を予測する。言語モデルは、水処理プロセスの、上記数学モデルによって表現されていない性質についての知識を有し、運転データに基づいて水処理装置の運転状況を判断し、判断した運転状況に応じて、上記数学モデルの校正すべきモデルパラメータを選択して校正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第4700145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した処理対象水の生物処理プロセスにおいては、反応タンク内に混在する多種多様な微生物の生物反応が、処理対象水の水質や流入量等の処理状況の変化に伴って複雑に変化してしまう。それ故、プロセスモデルによって上記複雑な生物反応を継続して高精度に表現するためには、生物処理プロセスの処理状況が時間の経過とともに変化するに伴い、プロセスモデルに含まれる多くのモデルパラメータを、上記処理状況および経験則をもとに試行錯誤して調整する必要がある。これには、多大な時間および労力(すなわち人的コスト)が掛かるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1に記載の装置では、上述した言語モデルを構築するために、処理対象水の生物処理プロセスに関する膨大なデータを収集する必要があり、さらには、アルゴリズム実装に多大な手間を要することから、多大な時間および労力が掛かるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、処理対象水の生物処理プロセスを高精度に表現し得るプロセスモデルを構築することができるとともに、当該プロセスモデルの構築に要する時間および労力を低減することができる排水処理設備の操業状態推定装置、操業状態推定方法および操業状態推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る排水処理設備の操業状態推定装置は、微生物を利用して排水を生物処理する排水処理設備の操業状態推定装置において、前記排水処理設備の操業条件と、前記操業条件に従って操業する前記排水処理設備から観測された観測値とを収集するデータ収集部と、前記排水処理設備による前記排水の生物処理プロセスを複数の数式によって表現したプロセスモデルと前記データ収集部による前記操業条件とをもとに、前記排水処理設備の操業状態の予測値を導出する予測処理部と、前記プロセスモデルに含まれる複数のパラメータのうち、前記排水処理設備から実測し難く且つ前記生物処理プロセスで行われる反応への寄与度が大きい特定パラメータを、前記データ収集部による前記観測値と前記予測処理部による前記予測値との誤差を修正するように調整し、調整後の前記特定パラメータを前記プロセスモデルに適用するパラメータ調整部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る排水処理設備の操業状態推定装置は、上記の発明において、前記パラメータ調整部はカルマンフィルタを用いて前記特定パラメータを調整する、ことを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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