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公開番号2024121213
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-06
出願番号2023028180
出願日2023-02-27
発明の名称有機性汚泥又は有機性排水を含む処理対象物の処理方法及び処理装置
出願人水ing株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C02F 3/12 20230101AFI20240830BHJP(水,廃水,下水または汚泥の処理)
要約【課題】従前のOSAプロセスを実施するために必要であった長い滞留時間を維持もしくは増大させつつ、大きな槽容積や装置を不要とすることができ、脱水汚泥量の減容化効果が大きく、臭気の発生を低減できる有機性排水の処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】処理対象物を貯留する貯留工程1と、貯留後の処理対象物を生物処理する生物処理工程2と、生物処理後の汚泥含有水を分離汚泥と分離水とに固液分離する固液分離工程3と、分離汚泥に、カルシウムイオン源を添加する活性剤添加工程4と、カルシウムイオン源が添加された汚泥を、鉄イオンの存在下で微曝気処理して、当該汚泥を分解して再基質化する微曝気処理工程5と、微曝気処理後の再基質化された汚泥の一部を、生物処理工程2に返送する再基質化汚泥返送工程6と、を含む処理方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも有機性汚泥又は有機性排水を含む処理対象物の処理方法であって、
当該処理対象物を貯留する貯留工程と、
貯留後の処理対象物を生物処理する生物処理工程と、
生物処理後の汚泥含有水を分離汚泥と分離水とに固液分離する固液分離工程と、
当該分離汚泥に、カルシウムイオン源を添加する活性剤添加工程と、
カルシウムイオン源が添加された汚泥を、鉄イオンの存在下で微曝気処理して、当該汚泥を分解して再基質化する微曝気処理工程と、
微曝気処理後の再基質化された汚泥の一部を、当該生物処理工程に返送する再基質化汚泥返送工程と、
を含み、
活性剤添加工程におけるカルシウムイオン源の添加量は、微曝気処理工程に供給される分離汚泥量1m

/dに対してカルシウムイオン濃度が好ましくは0.03mg/L以上12mg/L以下とし、
微曝気処理工程における鉄イオンの濃度は、Feとして40mg/L以上とすることを特徴とする処理方法。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記活性剤添加工程において、前記分離汚泥に、ケイ素イオン源又は通性嫌気性菌又はこれらの組みあわせをさらに添加することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記微曝気処理後の再基質化された汚泥の一部を、前記貯留工程に返送する追加の再基質化汚泥返送工程をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項4】
前記貯留工程の前に、前記処理対象物から夾雑物を除去する夾雑物除去工程をさらに含み、
前記微曝気処理工程において、前記汚泥に、前記夾雑物除去工程において除去された夾雑物の一部をさらに添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項5】
前記微曝気処理工程に導入する汚泥のTS濃度を2%以上7%以下に濃縮する汚泥濃縮工程をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項6】
少なくとも有機性汚泥又は有機性排水を含む処理対象物の処理装置であって、
当該処理対象物を貯留する貯留槽と、
貯留後の処理対象物を生物処理する生物処理槽と、
生物処理後の汚泥含有水を分離汚泥と分離水とに固液分離する固液分離槽と、
分離汚泥に、カルシウムイオン源を添加する活性剤添加手段と、
カルシウムイオン源が添加された汚泥を、鉄イオンの存在下で微曝気処理して、当該汚泥を分解して再基質化する微曝気処理槽と、
微曝気処理後の再基質化された汚泥の一部を、当該生物処理槽に返送する再基質化泥返送ラインと、
を含むことを特徴とする処理装置。
【請求項7】
前記貯留槽の前段に設けられ、前記処理対象物から夾雑物を除去する夾雑物除去装置と、
当該夾雑物除去装置からの夾雑物の一部を前記微曝気処理槽に供給する夾雑物供給ラインと、をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記微曝気処理槽の前段に設けられ、前記微曝気処理槽に導入される汚泥のTS濃度を2%以上7%以下に濃縮する汚泥濃縮装置をさらに含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記微曝気処理後の再基質化された汚泥の一部を、前記貯留槽に返送する追加の再基質化汚泥返送ラインをさらに含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも有機性汚泥又は有機性排水を含む処理対象物の処理方法及び処理装置に関し、特にし尿処理施設や下水処理施設の有機性汚泥又は有機性排水を含む処理対象物の処理方法及び処理装置に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
広義的な汚泥減容化とは、排水または汚泥処理の固液分離時に発生する余剰汚泥を可溶化及び再基質化することで余剰汚泥の減容化を図る技術のことである。これまで、物理化学的または生物学的処理による汚泥減容化プロセスが多数報告されている。物理化学的処理としては、オゾン酸化処理、酸化剤処理、アルカリ処理、超音波処理、電解処理、熱処理、叩解処理などがある。生物学的処理としては、消化処理、好熱性細菌処理、微生物/酵素処理、嫌気好気生物処理、自己酸化処理、食物連鎖処理などがある。
【0003】
物理化学的処理の課題として、後述の生物学的処理方法よりも不活性の有機物量が多く発生し、後段の水処理工程への負荷が大きくなることが挙げられる。また生物学的処理の課題として、必要な反応槽の容積が大きくなり敷地面積が増大することや、処理に必要な特定の生物槽の安定維持が困難となる点が挙げられる。
【0004】
嫌気好気生物処理の一つであるOSAプロセス(Oxic Anaearobic Process)は、汚泥を好気性雰囲気下で生物処理した後に得られる余剰汚泥を嫌気性雰囲気下で滞留させ、その後当該余剰汚泥を生物処理に再度供する方法である。OSAプロセスにおいては、細胞外高分子化合物(EPS)の高次構造を構成する補因子の一つであるFe(III)がFe(II)に還元されることでEPSの崩壊が起こることが汚泥発生量低減の要因の一つであると報告されている(非特許文献1)。
【0005】
OSAプロセスの課題として、汚泥の反応を進めるために汚泥滞留時間(SRT)を十分に確保する必要があり、そのために水理学的滞留時間(HRT)を長くとると、OSAプロセスを実施するための反応槽及び装置が大きくなることが挙げられる。
【0006】
また、好熱性細菌処理や微生物/酵素処理は、余剰汚泥中の特定の生物相を増殖させ、汚泥の可溶化及び再基質化を促進している。好熱性細菌処理や微生物/酵素処理の課題として、微生物増殖や酵素生産のための反応槽が別途必要となり、機器点数の増加や敷地面積の拡大が挙げられる。
【0007】
本出願人は、従前のOSAプロセスを実施するために必要であった大きな槽容積や装置を不要とすることを目的として、有機性排水を汚泥活性槽で生物処理した後、最終沈殿槽で汚泥と処理水とに分離し、汚泥の一部を曝気槽に導入し、鉄の存在下で微曝気処理して汚泥を分解して再基質化させた後、再基質化された汚泥を活性汚泥槽で再び生物処理する処理方法を提案している(特許文献1:特開2020-142168号公報)。
【0008】
本出願人はさらに研究を進めた結果、特許文献1の技術では、再基質化後の汚泥の全量を活性汚泥槽に返送するため、生物処理前の有機性排水からの悪臭の発生、及び活性汚泥槽の活性汚泥濃度(MLSS)を維持することが困難となり、また、嫌気槽へ導入する汚泥濃度が低濃度となることがあり、汚泥滞留時間(SRT)にまだ改善の余地があることがわかった。
【0009】
浄化槽汚泥の処理方法において余剰汚泥の発生量を低減させるとともに脱水ケーキの悪臭発生を抑制する技術として、浄化槽汚泥を脱水処理して固形分が除去された有機性排水を微生物によって生物処理する過程で、生物処理助剤(腐植、腐植抽出物、フミン酸、フルボ酸、珪砂、珪石等のうちの一種または複数種)と接触させて特定微生物群(通性嫌気性菌であるバチルス属細菌のような土壌微生物群)を優占化する特定微生物群優占化処理と、前記特定微生物群優占化処理によって前記生物処理の過程で優占化された特定微生物群を含む汚泥を前記脱水処理前の有機性排水に供給して接触させる接触処理と、を含む排水処理方法を実施するための排水処理装置が提案されている(特許文献2:特開2015-160188号公報)。
【0010】
特許文献2には、脱水処理される前の有機性排水が優占化された特定微生物群と接触するので、浄化槽汚泥に含まれる僅かな有機性固形成分であるタンパク質、デンプン、脂質等が悪臭の発生を伴うことなく効率的に分解され減容化されるとともに、余剰の特定微生物群の自己分解が促進され、その結果、脱水設備で固液分離された固形分、つまり脱水ケーキの大幅な減量化が達成できるとともに、その脱水ケーキが悪臭を放つことも回避できるようになることが記載されている。特許文献2には、装置構成の説明と、800g-O

/m

・日の吹き込み空気量で2日以上曝気する好気条件下で、優占化された特定微生物群と浄化槽汚泥とを接触させると、接触処理しない場合に比べて汚泥量が30%減少することは記載されている。しかし、優占化された特定微生物群を含む汚泥の全量が生物処理槽に導入されるため、特許文献1と同様に、生物処理前の有機性排水からの悪臭の発生があり、また活性汚泥槽の活性汚泥濃度(MLSS)を維持することが困難となり、さらに、嫌気槽へ導入する汚泥濃度が低濃度となることがあり、汚泥滞留時間(SRT)にまだ改善の余地がある。また、同じ出願人の後続の特許(特許文献3:特許第6306298号公報)において、特許文献2に記載の技術(土壌微生物活性化法)は、計画値よりもBOD/SS負荷が低い場合には、汚泥の誘導に要する期間が長くなり、もともと処理能力に余裕がある装置では誘導後も効果が顕在化しにくいことから、低いBOD/SS負荷で処理能力に余裕を持って運転している近年の汚水処理プラントでは採用しにくいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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