特許ウォッチ

公開番号2024076339
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-06-05
出願番号2023151897
出願日2023-09-20
発明の名称計時器用ムーブメントの取り扱い及び/又は提示をするためのケーシングを形成する計時器用取り付け具
出願人オメガ・エスアー
代理人個人
主分類G04D 3/00 20060101AFI20240529BHJP(時計)
要約【課題】所定のキャリバーのファミリーに属する計時器用ムーブメントの検査を容易にする。
【解決手段】所定のファミリーのムーブメントの取り扱いをするための計時器用取り付け具200であって、ムーブメントの備える制御メンバー410の遠位部分411は、モデルに特有の半径値の分、ムーブメント軸から離れ、取り付け具200は、モデルに特有のリング220を備え、リング220は、底部210とカバー230とともに単一の角位置にて嵌合してムーブメントを囲むことができ、リング220の外形は、ファミリーの各キャリバーに対して同じであり、基準肩部が取り付け具軸DCを定め、リング220は、遠位部分411がファミリのすべてのキャリバーに対して同じである所定の値VPの分、取り付け具軸DCから離れているように、特定の値の分、制御メンバー410の半径方向DRに、取り付け具軸DCに対してムーブメント軸DMをオフセットしている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
所定のファミリーに属するキャリバーモデルに従う計時器用ムーブメント（４００）の取り扱い及び／又は提示をするためのケーシングを形成する計時器用取り付け具（２００）であって、
前記ムーブメント（４００）には、ムーブメント軸（ＤＭ）を中心とする半径方向に突き出る制御メンバー（４１０）があり、
前記制御メンバー（４１０）の遠位部分（４１１）は、前記キャリバーモデルに特有の半径値（ＶＲ）の分、前記ムーブメント軸（ＤＭ）から離れており、
前記取り付け具（２００）には、前記ムーブメント（４００）の前記キャリバーに特有のトランスポートリング（２２０）があり、
前記トランスポートリング（２２０）は、一方では、底部２１０に、他方では、カバー（２３０）に、前記トランスポートリング（２２０）に形成された少なくとも第１の空欠部（２２１）を通して半径方向（ＤＲ）に通り抜ける前記ムーブメント（４００）の前記制御メンバー（４１０）を除き、前記ムーブメント（４００）を囲むために、単一の角位置にて、嵌合することによって連係するように構成しており、
前記取り付け具（２００）は、前記ファミリーにおけるすべての前記キャリバーに対して同じ外形を有し、
前記取り付け具（２００）には、外側基準肩部（２４０）があり、
前記外側基準肩部（２４０）の少なくとも一部は、取り付け具軸（ＤＣ）に対して対称であり、
前記トランスポートリング（２２０）は、前記第１の空欠部（２２１）によって定められる前記半径方向（ＤＲ）の方に、前記ムーブメント（４００）の前記ムーブメント軸（ＤＭ）を、前記取り付け具軸（ＤＣ）に対して、偏心値に従って偏心的にポジショニングして、前記制御メンバー（４１０）の前記遠位部分（４１１）が所定の値だけ前記取り付け具軸（ＤＣ）から離れているようにするように構成しており、
前記所定の値（ＶＰ）は、前記ファミリーにおけるすべてのキャリバーに対して同じであり、
前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）にはそれぞれ、互いに投影されたときに、そして、前記取り付け具（２００）が、前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている閉状態にあるときに、前記取り付け具軸（ＤＣ）に垂直な、同じ輪郭を有する平坦な外側プレート（２１８、２３８）があり、
前記トランスポートリング（２２０）には、外側リップ（２２５）があり、
この外側リップ（２２５）は、前記取り付け具（２００）が、前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられた閉状態にあるときに、前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）にある肩部（２１９、２３９）から突き出て、
前記外側リップ（２２５）は、互いに投射されたときに、そして、前記取り付け具（２００）が、前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている閉状態にあるときに、前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）の前記平坦な外側プレート（２１８、２３８）と同じ輪郭を有し、
前記外側リップ（２２５）と前記平坦な外側プレート（２１８、２３８）にはそれぞれ、ポジショニング用ノッチ（２２７、２１７、２３７）があり、
前記ポジショニング用ノッチ（２２７、２１７、２３７）は、前記取り付け具（２００）が、前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている閉状態にあるときに、前記取り付け具軸（ＤＣ）に平行に向き整合され、
前記外側リップ（２２５）と前記平坦な外側プレート（２１８、２３８）にはそれぞれ、前記ムーブメント（４００）の表盤側をブリッジ側から区別する位置合わせ用ノッチ（２２６、２１６、２３６）があり、
前記位置合わせ用ノッチ（２２６、２１６、２３６）は、前記取り付け具（２００）が前記閉状態にあるときに、前記取り付け具軸（ＤＣ）に平行に向き整合される
ことを特徴とする取り付け具（２００）。
続きを表示（約 1,700 文字）【請求項２】
前記カバー（２３０）には、前記制御メンバー（４１０）を通過させる第２の空欠部（２３１）がある
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項３】
前記底部（２１０）は、前記ファミリーにおけるすべての前記キャリバーに対して同じである
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項４】
前記カバー（２３０）には、内側カバー突起（２３２）があり、
前記内側カバー突起（２３２）は、前記カバー（２３０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている状態に前記取り付け具（２００）があるときに、前記取り付け具軸（ＤＣ）の方向に前記トランスポートリング（２２０）を軸方向にて支持するように構成している
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項５】
前記トランスポートリング（２２０）には、リング突起（２２２）があり、
前記リング突起（２２２）は、前記底部（２１０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている状態に前記取り付け具（２００）があるときに、前記取り付け具軸（ＤＣ）の方向に前記底部（２１０）を軸方向位置にて支持するように構成している
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項６】
前記トランスポートリング（２２０）には、前記底部（２１０）にある底部の溝又はラグ（２１３）と連係するリングのラグ又は溝（２２３）があり、
これによって、前記底部（２１０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている状態に前記取り付け具（２００）があるときに、前記トランスポートリング（２２０）に対する前記底部（２１０）の相対的な角度的な向きを整合させる
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項７】
前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）が前記トランスポートリング（２２０）に対して角度的にインデクシングされて取り付けられている閉状態に前記取り付け具（２００）があるときに、前記外側リップ（２２５）は、前記取り付け具（２００）に対して前記取り付け具（ＤＣ）方向にオフセットされており、
これによって、前記カバー（２３０）の側において、前記ムーブメント（４００）の表盤側を見えるようにし前記制御メンバー（４１０）の半径方向の通過を確実にするように構成している、前記ムーブメント（４００）を前記トランスポートリング（２２０）の上面にて受ける上側チャンバーの境界を定め、
そして、前記底部（２１０）の側において、前記上側チャンバーよりも体積が小さく、前記ムーブメント部（４００）のブリッジ側を見えるようにするように構成している前記トランスポートリング（２２０）の下面によって境界が定められる下側チャンバーの境界を定める
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項８】
前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）は、前記ムーブメント（４００）の光学的検査を可能にするように透光性である
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項９】
前記底部（２１０）と前記カバー（２３０）は、前記ムーブメント（４００）の音響検査のために、前記取り付け具（２００）が収容する前記ムーブメント（４００）を、近傍の他の音源から遮音する
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
【請求項１０】
前記底部（２１０）、前記トランスポートリング（２２０）及び前記カバー（２３０）は、弾性クランプによって２つずつ嵌合するように構成している
ことを特徴とする請求項１に記載の取り付け具（２００）。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、所定のファミリーに属するキャリバーモデルに従う計時器用ムーブメントの取り扱い及び／又は提示をするためのケーシングを形成する計時器用取り付け具に関する。前記ムーブメントには、ムーブメント軸を中心とする半径方向に突き出る制御メンバーがあり、前記制御メンバーの遠位部分は、前記モデルに特有の半径値の分、前記ムーブメント軸から離れており、前記取り付け具には、前記キャリバーモデルに特有のトランスポートリングがあり、前記トランスポートリングは、一方では、底部に、他方では、カバーに、前記トランスポートリングに形成された少なくとも第１の空欠部を通して半径方向に通り抜ける前記ムーブメントの前記制御メンバーを除き、前記ムーブメントを囲むために、単一の角位置にて、嵌合することによって連係するように構成している。
続きを表示（約 2,500 文字）【０００２】
本発明は、製造、検査、又は保管ステーションにおいて、所定のファミリーに属する様々なキャリバーモデルの計時器用ムーブメントの取り扱い及び／又は提示をするための製造装置に関する。
【０００３】
本発明は、計時器用ムーブメントの組み付け、取り扱い及び試験の分野に関する。
【背景技術】
【０００４】
ETA SA Manufacture Horlogere Suisseによる欧州特許文献ＥＰ２０１５１４８Ｂ１は、製造中における異なるタイプの計時器用ムーブメントの取り扱いと移送のためのシステムについて記載しており、このシステムには、異なるタイプのムーブメントにそれぞれ対応する異なるタイプの支持リングがあり、各ムーブメントは、所定の位置のムーブメントのプレートを支持するように構成している。このシステムには、さらに、移送パレットがあり、各移送パレットには、支持リングのいずれかを取り外し可能に受けるように構成している開口と、支持リングをパレット内に保持する保持手段とがあり、このパレットの開口及び支持リングの外形は、互いに適合するように構成している標準化された構成を有する。このトランスポートリングには、所定の位置にてムーブメントのプレートを支持するように構成している内側要素があり、支持リングの内側要素には、支持面と予応力手段があり、支持リングには、外側に、支持リングの正確な空間的ポジショニングのためのベアリングとしてはたらくことができる基準面がある。この予応力手段は、弾性を有し、ムーブメントが挿入されたときに互いに離れることによって弾性変形するように構成しており、これによって、リング内におけるムーブメントのプレートの正確なポジショニングを確実にする。
【０００５】
このような移送パレットは、より一般的には取り付け具（calotte）として知られ、計時器用ムーブメントの保護及び移送に非常に有用である。ムーブメントを検査するために、特に、進みや状態を検査するために、このムーブメントは、一又は複数のセンサの前に配置したり、一又は複数のセンサと接触させたりして、正確な位置に配置しなければならない。しかし、既存のキャリバーが多様であるために難しい。キャリバーモデルにリンクされる取り付け具が多様であるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、ポジショニングのための基準面がある取り付け具のファミリーを作り、ムーブメントの要素が、それを囲む取り付け具の輪郭に関連して、押し付けられた側に配置されるようにすることによって、所定のキャリバーのファミリーに属する計時器用ムーブメントの検査を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
このために、本発明は、請求項１に記載の、所定のファミリーに属するキャリバーモデルに従う計時器用ムーブメントの取り扱い及び／又は提示をするためのケーシングを形成する計時器用取り付け具に関する。
【０００８】
本発明は、さらに、製造、検査又は保管ステーションにおいて、所定のファミリーに属する異なるキャリバーモデルの計時器用ムーブメントの取り扱い及び／又は提示をするための製造装置に関し、この製造装置は、このファミリーにおける各キャリバーモデルのために前記のような取り付け具を備える。
【０００９】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴を一層明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
一緒に嵌合されて単一のインデクシング用角位置を占める、３部分によって構成している本発明に係る取り付け具の側面図を概略的に示している。この取り付け具は、所定のファミリーに属するキャリバーモデルに従う計時器用ムーブメントを囲み、その計時器用ムーブメントの制御メンバーのみが半径方向に突き出る。この制御メンバーの遠位部分は、この場合はリュウズの端であり、取り付け具軸から所定の距離離れており、この所定の距離は、関係するファミリーのすべてのキャリバーにおいて同じである。
図１の取り付け具を横から見た分解図であり、この取り付け具には、下側から上側へと順に、底部、トランスポートリング、及びカバーがあり、底部とカバーにはそれぞれ、平坦な面がある。
図１の取り付け具の正射影図であり、この取り付け具を構成する底部、トランスポートリング及びカバーの輪郭は、同じであり、取り付け具軸を定める平坦な又は丸まった基準面を有し、この取り付け具軸は、制御ステムの遠位端から所定の距離離れている。
平坦な面上に載置された図２の底部の正射影図を概略的に示している。
平坦な側面上に載置された図２のカバーの正射影図を概略的に示している。
図５に示しているようにカバーと角度的に連係する位置における、図２のトランスポートリングの下面の正射影図を概略的に示している。
図４に示しているように底部と角度的に連係する位置における、図２のトランスポートリングの下面の正射影図を概略的に示している。
上部にてムーブメントを保持するトランスポートリングの斜視図を概略的に示しており、ムーブメントの制御ステムがトランスポートリングの第１の空欠部を通り抜けている。
図８と同様な図であり、ムーブメントがあるトランスポートリングの反対側を示している。
ムーブメントがあるトランスポートリングについての、制御棒の遠位端を正面とする、側面図を概略的に示している。
ムーブメントがあるトランスポートリングについての、取り付け具軸を通りムーブメント軸を通る断面を概略的に示している図である。
【発明を実施するための形態】
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許