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公開番号2024070388
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-23
出願番号2022180843
出願日2022-11-11
発明の名称機能設計可能な圧電材料の製造法と其を用いたトランスデューサーの製造法
出願人個人
代理人
主分類H10N 30/097 20230101AFI20240516BHJP()
要約【課題】各種トランスデューサーに使用する圧電材料の特性は、圧電材料選択時に一義的に決まってしまう。要望する特性の圧電材料が得られたらトランスヂューサーの設計者にとって非常に有用である。本特許は、この課題を解決する手段を提案した。
【解決手段】圧電材料中に空孔を存在させることにより機能設計、すなわち諸特性を選択的に変えることができる事を理論的に裏付けた。これにより圧電材料中の空孔率を変えることで、選択的にその諸特性を決める方法と、その製造法を提案した。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
圧電材料において、その焼成体を製造する過程で空孔形成材を添加することにより焼成体に空孔を存在させ、その空孔率を変えることにより、圧電材料焼成体の諸特性を変える(機能設計可能)ことを特徴とする多孔質圧電材料の製造法。
続きを表示(約 410 文字)【請求項2】
請求項1を包含し圧電材料の諸特性の内、選択した特性の目標値を空孔率の選択により対応することを特徴とする多孔質圧電材料の製造法。
【請求項3】
トランスデューサーの機能を全うさせる為に多孔質圧電材料の両表面に設ける電極に、必要に応じて開口部を設けた事を特徴とする電極の製造法。
【請求項4】
請求項1~2のいずれか一項に記載の製造方法で多孔質圧電材料を用意する工程;前記多孔質圧電材料からなる圧電振動子を単独または配列構成させてトランスデューサーとする工程;多孔質圧電材料の表面に設けた電極に加工を施す工程;トランスデューサーの表面に必要に応じて音響整合層を付置し、トランスデューサーの背面にバッキング材を敷設し前記音響整合層、無い場合にはトランスデューサーの表面に音響レンズを付置することによりトランスデューサーを得る工程;を含むトランスデューサーの製造法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は圧電材料に係わるが分野別の利用形態を表1(非特許文献1)に示した。各種トランスデューサーに対して、ベースとなる圧電材料の構成組成を持つ粉末素材に空孔形成材を加え焼成し多孔質圧電材料を製造する。この多孔質圧電材料は空孔の存在により、その物性値を理論的かつ人為的に変えられる。
すなわち、機能(物性値)が設計可能となる。この機能設計を利用して諸特性の大幅な改善を図った多孔質圧電材料により使用目的に最適な各種トランスデューサーを提供する事が可能となった。
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続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
これ等トランスデューサーの内、最も高度で精密な設計および製造技術を要する分野は医療用途である。
従って、多孔質圧電材料の用途を医療用途にしぼり検討すれば、間違いなくトランスデューサー全体に係わる問題の解決策となる。超音波診断装置は,他の診断装置と異なり放射線等の被曝がない事、無侵襲であることから内科外科を問わず医療機関で診断のため広く利用されてきた。
超音波診断装置は電気信号を超音波信号に変換するプローブ(振動子)により被検体に超音波信号を送信し、被検体部の密度変化により発生する超音波の反射を再度プローブで受け、これを電気信号に変換後これら情報を可視画像として映像化し、これを被検体の診断に使用する診断装置である。同様な血管内超音波診断(IVUS:Intravascular Ulutrasound)装置も、その超音波センサーが極小〈0.8mm×1.0mm程度)であるので課題に対するターゲットとして最適と考えた。
【0003】
図1に標準的な超音波プローブ製造のため使用する振動子ブロックの構成斜視図111を示す。プローブの要、は超音波を発生する圧電素子30によって構成される振動子と、超音波の発生時に振動子の不要な振動を吸収するためのバッキング材1(不表示)と、振動子により超音波発生させるために正負の電圧を印加する為に圧電素子30の両面に設けた電極20および40と、圧電素子と人体の音響インピーダンスが大きく異なる事から可能な限り効率よく超音波を人体に伝搬すべく、一般的には整合層50および60の整合層2層を設けて、超音波の透過およびエネルギー伝搬に関して最善の効率化を計る設計を行う。
【0004】
前記の様に構成された超音波プローブの振動子ブロック111は大方、次の様な工程によって製造する。先ず図1に示した圧電材料30の両面に銀ペーストの接着又は焼き付け、若しくはクロミウム、ニッケルおよび金の蒸着による複合電極として設けられた電極層20および40、此の電極に図示しない金属銅の箔状板で構成された接続導体を接着または半田等により固定する。次に予め用意された所望の第一整合層50および第二整合層60を電極40の上に塗布または接着し複合ブロック構成体111を製造しておく。この様なプロセスで製造した複合ブロック構成体111をバッキング材1と接着する。
【0005】
以上の工程により用意された複合ブロック構成体111は図2示した様に、所定の寸法にダイシングによりカットして所望の配列間隔に分割して単位エレメントが集合した振動子とする。一般的にはプローブを組み立てケーシング後、最終工程で音響レンズを構成する樹脂7を第二整合層6の上に設ける。
【0006】
超音波診断装置のキーデバイスであるプローブは、代表的な圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(以降PZTと略す)圧電材料で構成されている。PZT圧電材料は電気信号を超音波に変換する効率が良い(電気機械結合係数)事から頻用されてきた。
この他、プローブの特性に大きな影響を与える圧電材料の特性は単位電圧で、どの程度の変位が起こるかを示すd33、および比誘電率ε0の値が重要視されてきた。電気特性、すなわち帯域幅特性やパルス幅に大きな影響を与える機械的品質係数Qmも重要な指標である。
特に変換後、超音波を効率よく被検体に伝搬させる機能を併せて保有することが重要かつ欠くべからざる必須の特性である。
【0007】
通常、医療用途の圧電材料は機械電気変換効率を配慮して縦振動モードで使用される。
圧電材料を縦振動モードで使用する場合、規定される電気機械結合係数k33、等価圧電定数d33および電圧出力係数g33で示される値を重要視し圧電材料の特性評価の尺度としてきた。
1940年代に発見されたチタン酸バリウム(k33=40%、d33=200pC/N)から、1954年にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が発見された後、1960年代にはチタン酸鉛とジルコン酸鉛のモル比を変えたPZT等の開発、および製造法の改善により圧電材料の性能は(k33=70%,d33=400pC/N)程度まで向上した。
一方、1982年頃からPZTの単結晶化の研究がお行われてきた。最近Mg(マグネシウム)とNb(ニオビウム)所謂リラクサー材と称せられる元素を添加した鉛化合物(PMN)とチタン酸鉛(PT)との化合物(PMN-PT)を微量とPZT(ジルコン酸鉛・チタン酸鉛)とを混合した原料を高温下、長時間かけて育成した単結晶(通称PMN-PT単結晶)を初め、各種のリラクサ添加材料を選択した単結晶圧電材料が医療用超音波診断装置のプローブ(振動子)用として開発され、その特性は驚異的に改善された。その内容はk33=93~95%、d33=1,500~2,000pC/Nであった。ただし、加工性が極端に悪く、高価である欠点がある。
この様な経過の中、多結晶セラミック圧電材料も、チタン酸バリュウム、チタン酸鉛、(チタン酸・ジルコン酸鉛、2系成分PZT;PZTと呼称)が良く知られている。昨今PMN-PT単結晶の研究開発の進展と、その成果に刺激され、これと同じリラクサー成分を添加した多結晶PZT(3系成分PZTと総称)が圧電特性の改善、向上のため開発されてきた。
すなわち、PZTに少量のリラクサを固溶したり鉛の一部をバリウム、ストロンチーム、カリシウムやランタンと置換した3成分PZTで、その性能は(k33=75%,d33=800pC/N)程度まで改善された。
【0008】
段落0007で述べてきた様に最近の傾向として医療用超音波診断装置のプローブ(振動子)の潮流が、非常に優れた圧電特性を持った単結晶圧電材料を用いたものに移行しつつある。
(1)単結晶化により、従前に見られない大幅に改善された圧電材料の特性が確認された。
すなわち、比誘電率(ε0)の値が非常に大きい、機械電気結合係数(k33)が高い、圧電定数(d33)が大きい、従って、g33も大きい値となる。
(2)加えて、従前の多結晶PZTと比較して周波数帯域幅が特段に優れていて広いこと、
(3)(2)項と併せて感度が4~8dB向上改善したこと、
(4)一方、これら単結晶圧電は非常に脆く加工性が極めて悪いこと、
(5)また単結晶圧電材料は結晶成長が遅く、製品化に長時間がかり、かつ形状に制約がある。その為、原材料がが非常に高価である。
加えて、機械的に非常に脆いため加工性が悪い。因みに従前から一般的にプローブ(振動子)用として使用されてきた多結晶PZTと比較して5~8倍(電極はメッキ仕上げで、同等形状の基板)の価格である。
(6)(5)に加えて、製造工程では同様の理由によりプローブ(振動子)にするまでの工程歩留まりが極端に悪い。
上記、致命的と思われる、欠点を凌駕してプローブ(振動子)の潮流が何故、単結晶圧電材料にあるのか、その理由は以下に示す通りである。
第一に、大幅に改善された圧電特性は言うまでもないが周波数帯域幅が従来のPZTセラミック圧電材料に比して格段に広くなったため、従前は2.5MHzの探触子(プローブ)と5MHzの探触子(プローブ)2本を用意する必要が有ったところを、3.5MHzのプローブ(振動子)1本で両周波数を賄える事になった。プローブ(振動子)の価格が1本数万円から数十万する事を考えると、その経済効果は抜群である。
感度が向上したことにより、人体深部の高品位画像が得られる様になったことも占有される大きな理由と思われる。
ちなみに、生体の診断に用いられる超音波パルスの周波数は、体表から臓器までの深さや超音波の減衰を加味して決まる。循環器や腹部では中心周波数2~5MHz、小児や乳腺、抹消部位で5~7.5MHz、血管内で10~30MHzと言われている。
【0009】
一般論として音波は色々な媒質の中を伝搬するが異なる媒質の境界面では両者の音響インピーダンスの差に応じ反射が起こる。このため異なる媒質を超える場合には音波の伝搬が大きく阻害される。
【0010】
現在プローブ用に実用化されている圧電材料としてはPZT(チタン酸鉛・ジルコン酸鉛)および、これをベースとし微量成分としてマグネシウム(Mg)やニオビウム(Nb)を加えた三成分PZTやPM-NT系の単結晶圧電材料である。
これ等、代表的な圧電材料の各種特性を表2に示す。
音響インピーダンス(Z0)は20~30MRaylsである。一方、人体の音響インピーダンス(Zm)は1.5MRayls程度とプローブを構成する圧電材料の、それと比べて極めて低い。
音響インピーダンスが異なり相接する物質の境界面で反射する超音波の割合は(Z0-Zm)/(Z0+Zm)で規定される。従ってPZT系の素材で構成されたプローブを直接人体に接したケースで計算してみると、その境界面で90%余りの超音波が反射されてしまう結果となる。
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(【0011】以降は省略されています)

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