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公開番号2025124144
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-26
出願番号2024019999
出願日2024-02-14
発明の名称プリエスティア属の細菌を含む組成物及び当該細菌の使用方法
出願人ハウス食品グループ本社株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類A01N 63/20 20200101AFI20250819BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】本発明は、ワサビ墨入病の治療又は予防に有用な組成物を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明に従えば、プリエスティア属に属する細菌を、ワサビ若しくはその生育地又はワサビ墨入病菌に適用することにより、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制し、ワサビ墨入病を治療又は予防することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
プリエスティア（Ｐｒｉｅｓｔｉａ）属の細菌を含む、ワサビ墨入病を治療又は予防するための組成物。
続きを表示（約 370 文字）【請求項２】
プリエスティア属の細菌を含む、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制するための組成物。
【請求項３】
前記プリエスティア属の細菌が、プリエスティア・アリヤバッタイ（ａｒｙａｂｈａｔｔａｉ）及び／又はプリエスティア・メガテリウム（ｍｅｇａｔｅｒｉｕｍ）を含む、請求項１又は２に記載の組成物。
【請求項４】
プリエスティア属の細菌をワサビ又はその生育地に適用する工程を含む、ワサビ墨入病を治療又は予防する方法。
【請求項５】
プリエスティア属の細菌をワサビ墨入病菌に適用する工程を含む、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制する方法。
【請求項６】
前記プリエスティア属の細菌が、プリエスティア・アリヤバッタイ及び／又はプリエスティア・メガテリウムを含む、請求項４又は５に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、プリエスティア属の細菌を含む組成物及び当該細菌の使用方法に関するものであり、特にワサビ墨入病の治療又は予防（防除）の用途又はワサビ墨入病菌の抑制の用途に関している。
続きを表示（約 2,700 文字）【背景技術】
【０００２】
植物内部には微生物が共生しており、植物共生菌の総称をエンドファイトという。エンドファイトにはカビ（糸状菌）とバクテリア（細菌）の２種類のタイプがあるが、これらの中には、病原性を示さずに植物の免疫を高めたり、生育を促進したり、強光、高温、及び乾燥などの種々の環境ストレスに対する耐性を高めたりする菌がいることが分かっている。例えば、特許文献１には、ラーネラ（Ｒａｈｎｅｌｌａ）属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加又は生育を促進させる細菌が記載されており、特許文献２には、シュードモナス（Ｐｓｅｕｄｏｍｏｎａｓ）属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する又は該植物の収量を増加若しくは生育を促進させる細菌が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
特開２０１７－１８６３０４号公報
特開２０１７－２０２５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
公知のエンドファイトの種類は限られており、特定の用途に適した微生物の探索が求められている。本発明は、ワサビ墨入病の治療又は予防（防除）に有用な組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、プリエスティア（Ｐｒｉｅｓｔｉａ）属に属する細菌が、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下に示す組成物及び方法を提供するものである。
〔１〕プリエスティア属の細菌を含む、ワサビ墨入病を治療又は予防するための組成物。
〔２〕プリエスティア属の細菌を含む、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制するための組成物。
〔３〕前記プリエスティア属の細菌が、プリエスティア・アリヤバッタイ（ａｒｙａｂｈａｔｔａｉ）及び／又はプリエスティア・メガテリウム（ｍｅｇａｔｅｒｉｕｍ）を含む、前記〔１〕又は〔２〕に記載の組成物。
〔４〕プリエスティア属の細菌をワサビ又はその生育地に適用する工程を含む、ワサビ墨入病を治療又は予防する方法。
〔５〕プリエスティア属の細菌をワサビ墨入病菌に適用する工程を含む、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制する方法。
〔６〕前記プリエスティア属の細菌が、プリエスティア・アリヤバッタイ及び／又はプリエスティア・メガテリウムを含む、前記〔４〕又は〔５〕に記載の方法。
【発明の効果】
【０００６】
本発明に従えば、プリエスティア属に属する細菌を、ワサビ若しくはその生育地又はワサビ墨入病菌に適用することにより、ワサビ墨入病菌の増殖を抑制し、ワサビ墨入病を治療又は予防する（防除する）ことができる。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
ワサビ墨入病菌を含む又は含まないリン酸バッファーを接種したワサビの本葉の写真を示す。各写真の左上の数字は植物体の番号を表し、右下の番号は黒色部の様子を１０段階で評価した結果を表す。
プリエスティア属に属する細菌及びワサビ墨入病菌を薄層培地上で対峙培養した後のシャーレの写真を示す。
ワサビ墨入病菌を含む薄層培地上でプリエスティア属に属する細菌を培養した後のシャーレの写真を示す。
プリエスティア属に属する細菌を含む薄層培地上でワサビ墨入病菌を培養した後のシャーレの写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【０００８】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のワサビ墨入病を治療又は予防する（防除する）ための組成物及びワサビ墨入病菌の増殖を抑制するための組成物は、有効成分としてプリエスティア属の細菌を含んでいる。本明細書に記載の「ワサビ墨入病」とは、アブラナ科ワサビ属のワサビ（Ｅｕｔｒｅｍａｊａｐｏｎｉｃｕｍ）の葉、葉柄、花軸、根茎、又は根に発生する微生物に起因する病害のことをいい、葉では最初に黒褐色の小斑点ができてしだいに拡大し、やや円味を帯びた不正形の暗褐色から黒褐色の病斑となり、その表面に小粒点（柄子殻）が多数できる。ワサビ墨入病を引き起こすワサビ墨入病菌としては、特に制限されないが、例えばフォーマ・ワサビアエ・ヨコギ（ＰｈｏｍａｗａｓａｂｉａｅＹｏｋｏｇｉ）などが挙げられる。
【０００９】
前記プリエスティア属の細菌は、グラム陽性の芽胞形成細菌である。本発明の組成物においては、前記プリエスティア属の細菌は、ワサビ墨入病を防除又はワサビ墨入病菌の増殖を抑制できる。前記プリエスティア属の細菌の種は、特に制限されないが、例えば、アリヤバッタイ（ａｒｙａｂｈａｔｔａｉ）、メガテリウム（ｍｅｇａｔｅｒｉｕｍ）、パラフレクサス（ｐａｒａｆｌｅｘｕｓ）、シュードフレクサス（ｐｓｅｕｄｏｆｌｅｘｕｓ）、フレクサス（ｆｌｅｘｕｓ）、ザントキシリ（ｚａｎｔｈｏｘｙｌｉ）、キングシェンギ（ｑｉｎｇｓｈｅｎｇｉｉ）、又はタイワネンシス（ｔａｉｗａｎｅｎｓｉｓ）などを含んでもよい。なお、プリエスティア・アリヤバッタイ及びプリエスティア・メガテリウムは、同一の分類であるとする報告（ＮａｒｓｉｎｇＲａｏＭＰｅｔａｌ．，ＦＥＭＳＭｉｃｒｏｂｉｏｌｏｇｙＬｅｔｔｅｒｓ，３６６，２０１９，ｆｎｚ２５８）と異なる分類であるとする報告（ＧｕｐｔａＲＳｅｔａｌ．，Ｉｎｔ．Ｊ．Ｓｙｓｔ．Ｅｖｏｌ．Ｍｉｃｒｏｂｉｏｌ．２０２０；７０：５７５３-５７９８）の両方があって議論が分かれているほど近縁の種である。
【００１０】
ある態様では、前記プリエスティア属の細菌は、プリエスティア・アリヤバッタイ及び／又はプリエスティア・メガテリウムなどを含んでもよく、具体的には、２０２３年１１月２８日より独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託されているプリエスティア・アリヤバッタイＮｏ．１－４株（受託番号：ＮＩＴＥＰ－０４０１９）及びＮｏ．１－５株（受託番号：ＮＩＴＥＰ－０４０２０）、並びに、プリエスティアｓｐ．Ｎｏ．５－１Ｙ（受託番号：ＮＩＴＥＰ－０４０２１）株及びＮｏ．５－１Ｗ株（受託番号：ＮＩＴＥＰ－０４０２２）からなる群から選択される少なくとも１種を含んでもよい。
（【００１１】以降は省略されています）

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