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公開番号2025122827
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-22
出願番号2024018509
出願日2024-02-09
発明の名称沿岸環境監視システム
出願人株式会社日立製作所
代理人ポレール弁理士法人
主分類G01N 33/18 20060101AFI20250815BHJP(測定;試験)
要約【課題】植物と藻類以外の影響を考慮して、海域の沿岸の環境の状態を評価することができる沿岸環境監視システムを提供する。
【解決手段】本発明による沿岸環境監視システムは、複数の計測器を備え、海域での複数の計測地点において海水中の溶存酸素濃度を計測する計測部1と、計測部1が計測した溶存酸素濃度を基に、海域で光合成により生産された一次生産量を算出する一次生産量算出部2と、過去に取得したデータ又は理論式を用いて、現時点での、一次生産に関わる条件のもとでの一次生産量を推定する一次生産量推定部3と、予め設定された海域環境状態パターンを用いて、一次生産量算出部2が算出した一次生産量と、一次生産量推定部3が推定した一次生産量とに基づいて、現時点での海域の環境状態が何であるかを判定する環境状態判定部4と、環境状態判定部4の判定結果を出力する表示部5とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数の計測器を備え、海域での複数の計測地点において海水中の溶存酸素濃度を計測する計測部と、
前記計測部が計測した溶存酸素濃度を基に、前記海域で光合成により生産された一次生産量を算出する一次生産量算出部と、
過去に取得したデータ又は理論式を用いて、現時点での、一次生産に関わる条件のもとでの前記一次生産量を推定する一次生産量推定部と、
予め設定された海域環境状態パターンを用いて、前記一次生産量算出部が算出した前記一次生産量と、前記一次生産量推定部が推定した前記一次生産量とに基づいて、現時点での前記海域の環境状態が何であるかを判定する環境状態判定部と、
前記環境状態判定部の判定結果を出力する表示部と、
を備える、
ことを特徴とする沿岸環境監視システム。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
過去に取得した前記データは、前記一次生産量の値と前記一次生産に関わる条件の値との関係を示す過去データであり、少なくとも溶存酸素濃度を含み、
前記一次生産量推定部は、前記過去データでの前記一次生産に関わる条件の値と現時点での前記一次生産に関わる条件の値とを用いて、前記過去データでの前記一次生産量から現時点での前記一次生産量を推定する、
請求項1に記載の沿岸環境監視システム。
【請求項3】
前記海域環境状態パターンには、前記一次生産量算出部が算出した前記一次生産量と前記一次生産量推定部が推定した前記一次生産量の状況と、前記状況において推定される前記環境状態とが、互いに紐づけられて記録されている、
請求項1に記載の沿岸環境監視システム。
【請求項4】
アラーム発信部を備え、
前記海域環境状態パターンには、さらに、前記状況において推定される前記環境状態において取るのが好ましい対応が、前記状況と推定される前記環境状態と互いに紐づけられて記録されており、
前記アラーム発信部は、前記取るのが好ましい対応を発信して表示する、
請求項3に記載の沿岸環境監視システム。
【請求項5】
前記取るのが好ましい対応には、前記計測器のメンテナンスの実行が含まれており、
前記アラーム発信部は、前記計測器のメンテナンスの実行を伝えるアラームを発信する、
請求項4に記載の沿岸環境監視システム。
【請求項6】
前記計測部は、二酸化炭素センサを備え、海水中の二酸化炭素を計測し、
前記一次生産量算出部は、前記二酸化炭素センサが計測した二酸化炭素の値を用いて、前記一次生産量を算出し、
前記一次生産量推定部は、前記二酸化炭素センサが計測した二酸化炭素の値を用いて、前記一次生産量を推定する、
請求項1に記載の沿岸環境監視システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、海域の沿岸部の環境を監視するシステムに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
海域の沿岸部では、陸からの流入、底泥からの溶出、及び外海からの流入などにより供給された窒素やリンなどを栄養源として海草、海藻、及び植物プランクトンが生育している。
【0003】
近年、天然又は人工の海草や海藻が繁茂する藻場や海藻養殖場において、海水中の溶存二酸化炭素から光合成により有機物として長期に貯留された炭素が、ブルーカーボンと呼ばれて注目されている。炭素の貯留は、枯死した海草の海底への堆積、離脱した海藻の深海への沈降、海草と海藻と植物プランクトンからの難分解性有機物の分泌、及び海草と海藻と植物プランクトンが分泌した易分解性有機物の生物分解による難分解化や深海(深海では貧栄養と貧酸素のために生物分解の進行が遅い)への沈降などによって進行すると考えられている。また、気候変動の緩和に向けて脱炭素への取組みが各地で進められており、ブルーカーボンによる炭素貯留量に対するカーボンクレジットの発行も始まっている。
【0004】
ブルーカーボンによるカーボンクレジットの認証と発行においては、対象海域での二酸化炭素(CO2)の貯留量を評価する必要がある。便宜的に海域でのCO2の貯留量を見積もる方法として、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change、気候変動に関する政府間パネル)が作成した湿地ガイドラインでは、藻場タイプ別の面積と吸収係数からCO2の貯留量を算出する手順が示されている。藻場面積の計測は、水中カメラでの撮像や衛星画像を用いる方法などが提案されて実施されている。吸収係数は、藻場の植物の種類などによって分類され、過去の調査結果に基づいて設定されている。
【0005】
一方、海洋科学的な海域での炭素貯留量の評価方法として、海面での炭素収支を監視する値である純生態系生産(NEP、Net Ecosystem Production)を算出する方法がある。海域でのNEPは、純一次生産(植物と藻類の光合成による炭素吸収量から呼吸による炭素放出量を差し引いた値)から、植物と藻類の枯死と植物と藻類が排出した有機物の分解による炭素放出量を差し引いた値で定義され、溶存酸素(DO、Dissolved Oxygen)や水温などの計測値から算出される。海域において、NEPが正の場合は炭素吸収の状態であり、NEPが負の場合は炭素排出の状態であるとされる。
【0006】
NEPは、日間変動と季節変動がある。晴天時の日中や日射量が多い夏季では、光合成が活発となって純一次生産が呼吸や分解による炭素放出量を超えることで、NEPが正になる。夜間や冬季では、NEPが負になることが多い。このように変動するNEPは、1年間の収支として算出されて評価される。海域でのNEPの年間監視による炭素貯留量の推定は、藻場面積と吸収係数を用いた炭素貯留量の算出と比べ、各年の気象条件などによる影響が反映されるため、より実際に近い炭素貯留量を評価できる可能性がある。
【0007】
また、藻場の保全には、様々な生物が生息する漁礁として、沿岸部での生物的な生産性や生物多様性を維持し向上する効果がある。海草には、護岸の効果がある。これらの効果は、海域の環境保全につながるので、藻場と海草の保全には、炭素の吸収と貯留以外の意義もある。植物と藻類の一次生産による有機物は、動物プランクトンの餌となり、さらに高度な生物に摂取されることで、海域の生態系に大きく影響する。このため、NEPを監視することによって、藻場の環境と生態系を健全な状態に維持して管理するうえで有用な情報が得られると考えられる。
【0008】
海域の炭素収支を計測する方法は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された技術では、海水の二酸化炭素分圧を観測し、この分圧とpHを用いて海水中の炭酸系の平衡計算により全アルカリ度と海水の全炭酸を算出して無機炭素生産量と有機炭素生産量を求める。特許文献1の技術では、pH電極のドリフト(反応部の汚れなどによりセンサの応答変化が起こること)を補正することで、伝播誤差を減少させて貯留炭素量の長期の自動連続測定を可能にしている。
【0009】
海域の健全性や異常を監視する方法は、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2に開示された技術では、無人飛行体で撮影した海面の画像から海水の採水箇所を選択し、無人飛行体で採水した海水を顕微鏡で撮影した画像から、赤潮の要因となるプランクトンの種類を判別し、プランクトンの種類ごとの個体数を計数して、有害赤潮を判別する。特許文献2の技術では、海水の採水から有害赤潮の判別、有害赤潮判別結果の通知を短時間で行えるようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2003-4718号公報
特開2021-71445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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