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公開番号2025107557
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-18
出願番号2024000932
出願日2024-01-08
発明の名称点火プラグとその製造方法
出願人株式会社デンソー
代理人弁理士法人あいち国際特許事務所
主分類H01T 13/32 20060101AFI20250711BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】接地電極におけるチップの接合性を高め、冷熱サイクルの繰り返しによるチップの剥離を抑制して、耐久性に優れた点火プラグとその製造方法を提供する。
【解決手段】点火プラグ1は、ハウジング2の内側に保持される中心電極3と、ハウジング2の先端から延出して、中心電極3と対向する接地電極4と、接地電極4と一体的に設けられ貴金属製のチップ5と、を備える。チップ5は、接地電極4に埋設される基端部51と、接地電極4の表面41よりも中心電極3側へ突出する突出部52とを有し、プラグ軸直方向Yにおいて、チップ5の外側には、基端部51及び突出部52の外周を筒状に取り囲む保護層6が設けられる。保護層6は、接地電極4の母材と同材質であり、プラグ軸方向Xにおいて、表面41からの保護層の最大高さhmaxは、突出部52の高さHtと同等である。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
筒状のハウジング(2)の内側に絶縁保持され、前記ハウジングの先端よりも先端側へ突出する中心電極(3)と、
前記ハウジングの先端から延出して、前記中心電極とプラグ軸方向(X)に対向する接地電極(4)と、
前記接地電極と一体的に設けられ、前記中心電極との間に放電ギャップ(G)を形成する貴金属製のチップ(5)と、を備える点火プラグ(1)であって、
前記チップは、前記接地電極に埋設される基端部(51)と、前記中心電極と対向する側の前記接地電極の表面(41)よりも前記中心電極側へ突出する突出部(52)とを有し、
前記プラグ軸方向と直交する方向(Y)において、前記チップの外側には、前記基端部及び前記突出部の外周を筒状に取り囲む保護層(6)が設けられており、
前記保護層は、前記接地電極の母材と同材質であり、前記プラグ軸方向において、前記表面からの前記保護層の最大高さ(hmax)は、前記突出部の高さ(Ht)と同等である、点火プラグ。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
前記保護層は、前記チップの外周の全体において、前記突出部の高さと同等の高さである、請求項1に記載の点火プラグ。
【請求項3】
前記保護層は、前記突出部の外周面を覆う筒状層(61)を有し、前記筒状層は、前記中心電極と対向する側に環状の端面(611)を有する、請求項2に記載の点火プラグ。
【請求項4】
前記筒状層は、前記プラグ軸方向と直交する方向(Y)において、前記基端部の外側を覆う前記保護層の基部(60)よりも外側に位置する、請求項3に記載の点火プラグ。
【請求項5】
前記保護層は、前記接地電極の母材が溶融後に固化した溶融固化層である、請求項1に記載の点火プラグ。
【請求項6】
前記チップは、前記基端部の埋設深さ(Hd)が、前記プラグ軸方向における両端面間の距離であるチップ厚(T)の1/10以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の点火プラグ。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の点火プラグの製造方法であって、
前記接地電極に前記チップを抵抗溶接により接合する溶接工程を備えており、
前記溶接工程において、前記チップの直径よりも内径の大きい凹部(103)を有する第1溶接電極(101)を用い、
前記第1溶接電極と第2溶接電極(102)とを前記プラグ軸方向に対向させて、それらの間に前記チップ及び前記接地電極を、前記チップが前記凹部の内側に位置するように配置し、
前記第1溶接電極と前記第2溶接電極との間に、前記チップ及び前記接地電極を挟持した状態で通電することにより、前記接地電極の母材を溶融させて、
溶融した前記接地電極の母材が、前記凹部の内側において前記チップの外側を覆って這い上がることにより、前記凹部に沿う形状の前記保護層を形成する、点火プラグの製造方法。
【請求項8】
前記凹部の深さ(Dd)と、前記チップにおける前記基端部の埋設深さ(Hd)とは、前記チップの前記プラグ軸方向における両端面間の距離であるチップ厚(T)に対して、Dd<T-Hdの関係となるように設定される、請求項7に記載の点火プラグの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、点火プラグとその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
点火プラグは、エンジン気筒内に突出する先端側に、中心電極と接地電極とを備える放電部を設け、両電極間に火花放電を発生させて、燃料ガスへの着火を行っている。接地電極には、中心電極と対向する面に、耐消耗性に優れる貴金属製のチップが、抵抗溶接等により接合されており、チップと中心電極の先端面との間に形成される放電ギャップを維持するために、チップの接合性を確保することが重要となっている。
【0003】
特許文献1には、チップを接地電極の本体部に溶接固定する場合に、溶融した部分が流出すると接合強度が低下することに着目し、本体部の加工形状によって流出を抑制することが提案されている。具体的には、チップ接合側となる一面側へ向けてその反対側から本体部の端部を切断し、切断により変形した端を含む部分に、チップが接合されるようにしている。この従来技術によれば、中心電極側へ突出するように変形した端が、着火性を向上させると共に、溶融した部分をとどめる突出部となり、チップの周囲に溶融部が形成されて、チップの耐剥離性が向上するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許第06971956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、エンジン気筒内において点火プラグが曝される燃焼環境として、点火プラグの周囲を流れる気流の流速が高まる傾向にある。そのため、点火プラグの放電ギャップに発生する火花放電が気流に流されやすくなり、従来技術のように、中心電極側に突出した突出部を有する接地電極形状では、チップから突出部側へ火花放電が移動して、突出部が消耗してしまう。突出部が消耗すると、チップ周りに形成される溶融部においても、火花放電による消耗が加速し、チップと接地電極との界面が部分的に露出しやすい。このような状態になると、エンジン回転数の変動等による冷熱サイクルの繰り返しによって、チップが剥離するおそれがあった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、接地電極におけるチップの接合性を高め、冷熱サイクルの繰り返しによるチップの剥離を抑制して、耐久性に優れた点火プラグとその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
筒状のハウジング(2)の内側に絶縁保持され、前記ハウジングの先端よりも先端側へ突出する中心電極(3)と、
前記ハウジングの先端から延出して、前記中心電極とプラグ軸方向(X)に対向する接地電極(4)と、
前記接地電極と一体的に設けられ、前記中心電極との間に放電ギャップ(G)を形成する貴金属製のチップ(5)と、を備える点火プラグ(1)であって、
前記チップは、前記接地電極に埋設される基端部(51)と、前記中心電極と対向する側の前記接地電極の表面(41)よりも前記中心電極側へ突出する突出部(52)とを有し、
前記プラグ軸方向と直交する方向(Y)において、前記チップの外側には、前記基端部及び前記突出部の外周を筒状に取り囲む、保護層(6)が設けられており、
前記保護層は、前記接地電極の母材と同材質であり、前記プラグ軸方向において、前記表面からの前記保護層の最大高さ(Hmax)は、前記突出部の高さ(Ht)と同等である、点火プラグにある。
【0008】
本発明の他の態様は、上記した構成を有する点火プラグの製造方法であって、
前記接地電極に前記チップを抵抗溶接により接合する溶接工程を備えており、
前記溶接工程において、前記チップの直径よりも内径の大きい凹部(103)を有する第1溶接電極(101)を用い、
前記第1溶接電極と第2溶接電極(102)とを前記プラグ軸方向に対向させて、それらの間に前記チップ及び前記接地電極を、前記チップが前記凹部の内側に位置するように配置し、
前記第1溶接電極と前記第2溶接電極との間に、前記チップ及び前記接地電極を挟持した状態で通電することにより、前記接地電極の母材を溶融させて、
溶融した前記接地電極の母材が、前記凹部の内側において前記チップの外側を覆って這い上がることにより、前記凹部に沿う形状の前記保護層を形成する、点火プラグの製造方法にある。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の点火プラグは、チップの基端部が接地電極に埋設固定されると共に、中心電極側へ突出する突出部を含むチップの外周が、接地電極の母材と同材質の保護層によって保護されている。保護層は、接地電極の表面からの最大高さがチップの突出部と同等高さとなるように、チップの外周を筒状に取り囲んでおり、実質的なチップ体積を増加させてチップの消耗を抑制することができる。これにより、筒内気流が速くエンジン回転数の変動が大きい環境でも、チップと接地電極の界面が露出し、さらにはチップの剥離に至ることを抑制することができる。
【0010】
また、上記構成の点火プラグは、溶接工程において、チップ側に配置される第1溶接電極に、チップ径よりも内径の大きい凹部を設け、第2溶接電極との間でチップと接地電極とを挟持して抵抗溶接することにより製造することができる。すなわち、溶融する接地電極の母材の移動が凹部によって規制され、凹部に沿って這い上がる母材が固化することにより、チップの外周を筒状に取り囲む保護層を形成することができる。
(【0011】以降は省略されています)

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