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公開番号2024150977
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-24
出願番号2023064059
出願日2023-04-11
発明の名称高温超電導線材、超電導コイルおよび超電導磁石装置
出願人株式会社東芝,東芝エネルギーシステムズ株式会社
代理人弁理士法人東京国際特許事務所
主分類H01B 12/06 20060101AFI20241017BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】高温超電導線材の各層が剥離する方向への機械的な強度を向上させて剥離を抑制することである。
【解決手段】高温超電導線材Wは、金属基板1の片面に他の層とともに積層された超電導層3を有し、テープ状を成す超電導積層体Bと、超電導積層体Bの外周を覆う保護層としての第1金属層4と、第1金属層4の上から超電導積層体Bの外周を覆う安定化層としての第2金属層5と、第2金属層5の上から超電導積層体Bの外周を覆う第3金属層6と、を備え、第3金属層6は、第2金属層5よりも、高硬度、高ヤング率、高降伏応力の少なくともいずれかの性質を有する、めっき層で形成されている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
金属基板の片面に他の層とともに積層された超電導層を有し、テープ状を成す超電導積層体と、
前記超電導積層体の外周を覆う保護層としての第1金属層と、
前記第1金属層の上から前記超電導積層体の外周を覆う安定化層としての第2金属層と、
前記第2金属層の上から前記超電導積層体の外周を覆う第3金属層と、
を備え、
前記第3金属層は、前記第2金属層よりも、高硬度、高ヤング率、高降伏応力の少なくともいずれかの性質を有する、めっき層で形成されている、
高温超電導線材。
続きを表示(約 800 文字)【請求項2】
前記第1金属層の材質は、銀であり、
前記第2金属層の材質は、銅であり、
前記第3金属層の材質は、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、クロム、クロム合金のいずれかである、
請求項1に記載の高温超電導線材。
【請求項3】
前記第3金属層の材質は、ニッケルにリンが添加された合金である、
請求項1に記載の高温超電導線材。
【請求項4】
前記第3金属層の材質として用いられる前記ニッケルに添加される前記リンの重量比は、7wt%以上、20wt%以下の範囲となっている、
請求項3に記載の高温超電導線材。
【請求項5】
前記第3金属層の上から前記超電導積層体の少なくとも片面を覆い、絶縁性を有する絶縁層を備える、
請求項1または請求項2に記載の高温超電導線材。
【請求項6】
前記第3金属層の上から前記超電導積層体の少なくとも片面を覆い、離形性を有する離形層を備える、
請求項1または請求項2に記載の高温超電導線材。
【請求項7】
前記超電導積層体の端部に、前記第3金属層で覆われていない非めっき部が形成されている、
請求項1または請求項2に記載の高温超電導線材。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の高温超電導線材を備え、
前記高温超電導線材が巻回され、前記高温超電導線材のターン間の少なくとも一部が樹脂で含浸され、前記高温超電導線材のターン同士が互いに固定されている、
超電導コイル。
【請求項9】
請求項8に記載の超電導コイルを備え、
複数の前記超電導コイルが軸方向に積層された状態で互いに固定され、かつ前記超電導コイルが互いに電気的に連結されている、
超電導磁石装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高温超電導線材に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、REBCO(REBa

Cu

Oy
7-δ
)線材と呼ばれる第2世代の高温超電導線材が知られている。この高温超電導線材は、図9に示すように、強度を担うテープ状の金属基板1の上に、結晶配向性を担う中間層2が形成され、さらにその上の超電導層3が形成されている。さらに、空気に触れることによる超電導層3の劣化を防止するために、超電導層3を取り囲むように配置された保護層4(第1金属層)が必要となる。通常、第1金属層の材料としては、銀(Ag)が用いられている。しかし、銀は高価であるため、超電導層3の劣化防止のために必要な最小限の厚さ(数μm程度)で保護層4が形成されている。
【0003】
さらに、クエンチの発生時に、迂回電流によって焼損しないようにするために、安定化層5(第2金属層)が保護層4(第1金属層)を覆っている。この第2金属層の種類、厚さは、クエンチ電流が、迂回する際に焼損しない電気抵抗となるように選定されている。通常、第2金属層の材質としては、銅(Cu)が用いられている。そして、この第2金属層は、数μm~数十μm程度の厚さで第1金属層を覆うように密着施工されている。第1金属層に第2金属層の役割(安定化)も担わせることも可能だが、通常は、第1金属層である銀が高価であるため、銅による第2金属層が用いられている。また、超電導層3の種類、結晶配向のさせ方などが異なる複数の高温超電導線材が考案されており、複数のメーカーから市販されている。ここで、超電導コイル11(図10)に使用される超電導線材は、銀の第1金属層、銅の第2金属層の構成で超電導層3を保護し、かつ安定化させており、この構成は、各メーカーでほぼ共通している。
【0004】
図10に示すように、従来、薄いテープ状の高温超電導線材(REBCO線材)がパンケーキ状に巻回され、ターン間に絶縁テープ7が設けられ、含浸樹脂8で固着させたものがある。ここで、絶縁テープ7には、その表面の一部または全周に、エポキシ樹脂で構成される含浸樹脂8との接着力を弱める離形処理、例えば、離形層10を設ける処理がなされている。これにより、超電導コイル11が極低温に冷却される際に生じる内部応力による剥離劣化を防止するための構成となっている。従来、様々な剥離劣化の防止の技術が考案されているが、その中でも線材の剥離に対する高強度化を図った考案がある。例えば、断面視でC型の金属部材により高温超電導線材の外周が補強され、超電導層3の上面を高強度化し、かつ動きにくくし、剥離を防ぐ構成としている。また、2枚の高温超電導線材が重ねられ、幅方向の両端部がハンダなどで接続され、熱応力を受けた際に加わる力を、この両端部のみで受ける構成としている。線材の幅方向の中央部は、隣り合う線材との接続がないため、熱応力は、線材のそれぞれで分断され、剥離応力は殆ど加わらないようになる。
【0005】
REBCO線材を高温超電導磁石用のコイルの線材として使用するにあたり、課題は多岐にわたり、それらに対する特許も多くなされている。ここで、課題のひとつとして、REBCO線材の内部剥離による超電導特性の劣化のしやすさがあり、その対策にも様々なものがある。例えば、前述のように、多層構成の上に、保護層4(第1金属層)、安定化層5(第2金属層)を有した構成のREBCO線材がある。この線材の長手方向の引張強度は、金属基板1の材質、厚さでコントロールできる。しかし、線材の平面に垂直な方向、つまり、多層構成に対しては剥離させる方向への引張強度は、非常に弱い。ピール試験、劈開試験では、弱い力で金属基板1と超電導層3とが剥離する。この方向に働く力としては、テープ状のREBCO線材をパンケーキ状に巻線し、含浸したパンケーキコイルにおいて、極低温への冷却時に発生する熱応力がある。特に、通電のために極低温冷却が必要な超電導コイル11がその冷却時に剥離劣化してしまうことが大きな課題である。このように、REBCO線材は、巻線によるコイル化の際に、熱応力による劣化がしやすいため、REBCO線材よりも弱い力で剥離する箇所を別に設けたり、線材自体を高強度化することで剥離しにくくしたりする対応がなされている。
【0006】
REBCO線材の保護層4(第1金属層)は、超電導層3を空気環境から守り、大気放置時の劣化を防ぐ役割を持っている。また、安定化層5(第2金属層)は、超電導層3がクエンチした際に、電流が迂回する経路としての役割を持っている。通常使われる材料としては、第1金属層に銀(Ag)が使われ、第2金属層に銅(Cu)が使われる。第1金属層は数μmの厚さで薄く、第2金属層は数μm~数十μmの厚さで機械的に弱く、熱応力がかかった場合に、これらの内部の超電導層3が剥離してしまうほどに変形してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第5259487号公報
特許第5512175号公報
特許第6505565号公報
【非特許文献】
【0008】
Y.Yanagisawa, TEION KOGAKU (J. Cryo. Super. Soc. Jap.) Vol.48 No.4 (2013), P.151
伊藤ら、「電析 Ni-P 合金めっき膜の微細構造と磁性」、東京都立産業技術研究所研究報告第4号(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、高温超電導線材の各層が剥離する方向への機械的な強度を向上させて剥離を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係る高温超電導線材は、金属基板の片面に他の層とともに積層された超電導層を有し、テープ状を成す超電導積層体と、前記超電導積層体の外周を覆う保護層としての第1金属層と、前記第1金属層の上から前記超電導積層体の外周を覆う安定化層としての第2金属層と、前記第2金属層の上から前記超電導積層体の外周を覆う第3金属層と、を備え、前記第3金属層は、前記第2金属層よりも、高硬度、高ヤング率、高降伏応力の少なくともいずれかの性質を有する、めっき層で形成されている。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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